「………あ〜これは何だ?調月リオよ」
「何って……見ての通り、アヴァンギャルド君よ」
「アヴァンギャルド君」
見た目も名前も何と言うか…斬新だな。
後日俺は真夜中の輸送をしていた。調月リオがこのアヴァンギャルド君をエリドゥ中央タワーに運び込みたいらしく、それを俺のパワードスーツと少人数のヘルメット団で運んでるところだ。
「ふむ、これを作るのにも大量の資金が必要だったと言うことか」
「えぇ、邪魔されるわけにはいかないから。シャーレの先生は生徒のためならば必ず私の計画を邪魔する。その時、あなたには先生たちの足を止めて欲しいの」
なるほど、足止め要員と言うことか。その間に調月リオがアリスを……全く、子供の癖して重たいもの背負おうとしちゃってさ。
「任せるが良い、俺と貴様の仲間が足止めをする。貴様は貴様の正義を成してこい」
「…止めないのね」
「なぜ?」
「だって、あなたはアリスと仲が良さそうだったから」
確かに、大変だけど楽しくはあったな。けどそれでも俺は世界が滅ぶと言われてまでアリスを助けようと思う出来た大人じゃない。
「ふははは!それこそ今更よ。俺は傭兵、いつだって自分のことで精一杯さ。キヴォトスが無くなれば俺も消える。アリスには悪いと思うが、所詮俺も我が身が一番の悪い大人なのだよ」
それに先生がどうにかするだろうしな!つまりは全部丸投げ!全力で妨害するけど先生ならハッピーエンドに繋げることが出来るという無責任な押し付けさ!だって俺は先生じゃないからな。生徒のことを理解することなんて出来ない!
「ただ、貴様は違うだろう?この作戦が終われば帰る場所はあるのか?」
「………」
「無いのだな、ならばもし行き先に困ったら我が傭兵団を訪ねると良い!衣食住全てがあるぞ!」
「…そうね。もしそうなったらそうさせてもらうわ」
けど俺は逃げ場所を提供することは出来る!背負う事に疲れて、膝を着いた子供たちの逃げ場所をな!何せ今の俺はカイザーPMC理事!広大なアビドスを管理し、傭兵団を雇い、大きな軍事力を持った理事!!もし調月リオを雇った事に文句を言うやつが居たらこの権力で黙らせてやる!
「さてアヴァンギャルド君は無事に届けた。今日はゆっくり眠るが良い調月リオ、夜更かしは女子の天敵だからな!」
「……ありがとう、海崎リジー」
「何がだ?」
何かお礼を言われるようなことやったっけ?全部傭兵の仕事の内だったんだけど。
「…こんな不確定なことを信じてくれて……最後にはトキしか私の側に居ないと思っていたから」
「ふむ、そのトキと言うのが誰かは知らんが、俺は貴様が集めてきたデータを信用したに過ぎん。つまりだ貴様の努力が勝ち取った信頼と言うことだよ調月リオ、ではな!」
アリスが覚醒したらキヴォトスは滅ぶ、なら俺たちはその時のための保険だ。覚醒させないためのな。
−−−少なくとも俺はあったばかりのアリスの善性よりも、長い事データを集め、検証し、葛藤してきた調月リオの善性を信じる