「さて、それじゃあ君の身体を見させてもらうよ」
「頼んだ。そしてやっぱり居るんだなアリス」
「はい!リジーがミレニアムに来るとアリスのミニマップに表示されるのですぐに分かります!」
「…うん?…そうか分かった」
ミレニアムに来るとアリスに高確率で出会うのは割と最初からだった気がするが。もうそう言うもんだと思っとこう。
「ジー」
「………」
「ジーーーーー!」
「見てて楽しいか?」
「はい!」
「そうか、まぁ…なら別に良いか」
オートマトンのメンテナンスは刺さる人には刺さる分野だしな。ただ。こうメンテナンスしてると俺って本当にオートマトンなんだなって思うと同時に俺が今まで食べてきた物ってどこに消えてるんだと言う疑問が浮かぶ。
「目立った損傷は特に無し。これならパーツを変える必要もないね。何か体に新しい機能を取り付けたいとかはないかい?」
「今は特に必要ないな」
「そうか…新しく目からレーザーを出せる機能を取り付けてみようと思ったのだけれどね。残念だ」
「それはアバンギャルド君に付けてやれば良いだろ」
流石にレーザーなんてエネルギーを大量に消費しそうな武装は無理だぞ。機能停止するのかどうかは知らんが少なくとも腹は減る。
「……ところでアリス。そのペット用の籠の中に居るそれはなんだ。物凄く見てはいけない…と言うか見たら精神判定しそうな見た目してるが」
「アリスにも分りません!いつものようにフィールド探索をしていたら遭遇したので…捕獲しました!今はリオ会長に頼んでこのエネミーの解析をしてもらってます!」
ものっすごい威嚇してるんだけど。触手を叩きつけて。あ、いや…確かこんな生物を見たような…なんだったか。
「…こいつ。ゲヘナで見た気が……」
「失礼するわ。ここにアリスが来ていると聞いて来たわ。例の生物の解析結果が出たからその報告を…リジー?」
「邪魔してるぞ」
「…確か今日は定期メンテナンスの日だったわね。良かったらあなたも聞いていくかしら?この生物…いえ。料理について」
「出来れば…なんだって?料理?」
このウゾウゾと蠢いてるこの生き物が料理?リオでもそんな冗談言う、筈ないよな。って事はこいつマジで料理なのか。
「これの成分は小麦粉、砂糖、牛乳、卵、ベーキングパウダーだったわ」
「…え、パンケーキ?」
「えぇ…信じ難いけれどこの料理の成分はどれもこれもありふれた調味料と食材のみで構成された物質と言うことよ」
それがなんで紫と緑に変色して威嚇してるんだ!怪異はまだ分かる!ミメシスもまだ理解出来る!だがお前!お前はなんなんだ!?パンケーキが怪物になるってどう言う作り方されたんだ!?
「更に信じ難いのがこの料理、発見されたのは今日が初めてじゃないわ。ゲヘナ自治区で度々目撃されるらしいの」
「やっぱり気のせいじゃなかったかぁ!パンケーキだってのは知りたくなかったなあ!」
「ゲヘナには錬金術師が居るんですね!」
錬金術師、そうだな…普通の食材で蠢くパンケーキが出来るならそれはもう錬金術の領域だろうな。
「食べても特に害はないらしいけれど…味は食べれたものではないと言う情報よ。食べた人の話によれば様々な味が口の中で混沌を生み出しているとのこと」
「味変にしたって限度があるだろ」
「つまり、このパンケーキは特殊攻撃を行う幻のレアエネミー!?」
「ゲヘナに結構出没してるみたいだが?」
アリス、捕まえたそのパンケーキどうするつもりなんだ。ミレニアムではまず飼えないと思う。
「これは私がゲヘナの風紀委員に渡して飼い主の元に返してもらうわ。製造元であればこの料理の対処法も知っているでしょうし」
「それが無難か」
「そうですか…この子は既にテイムされているテイムモンスターだったんですね。この子のマスターが心配している筈です!アリスがゲヘナまで送り届けます!」
「え、アリスちょっと待て今の時間から行くのかって……行っちゃったよ」
リオがスマホを取り出した状態から固まったよ。これ連絡すれば良いのかアリスの交友関係を考えて任せれば良いのかちょっと悩んでる顔だわ。
「……空崎ヒナにアリスが変色したパンケーキを持ってゲヘナに行ったと言うことだけ伝えておくべきね」
「それが良い」
−−−その後、帰ってきたらアリスが「錬金術師とフレンドになりました!」と言ったんだが…本人に会ってきたのか