「最近ほんと弾薬の消費がエグいな…どうしたら戦闘演習でこんな弾薬を使う事になるんだ」
日を重ねる度に弾薬消費が上がってきていて補充が間に合ってない。一体どうしたんだうちの兵士たちは。
「それはあれです。そろそろ給料日が近いので皆、ボーナスを期待してるんですよ。ほら、最近百鬼夜行で怪異事件があったじゃないですか。そこであまり活躍できなかった人たちが挙って気合い入れてるんです」
そうか、仕事に熱心なのは良いけどもうちょっと加減してくれ。資金はあっても補充するよりも早く消費されちゃどうにもならんのよ。
「ん?なぁ、この研究部門に異様に使われてる資金は何なんだ?ウトナピシュテムについて何か進展があったのか?」
「……さぁ?」
「へ?」
「いえ、研究部門はちょっと頭のおか…ゴホン!とても個性的な人たちの集まりで秘匿主義ですので。なんでしょう。サプライズ好きと言ったら良いのか……なので彼らが何を研究してるのか私にもさっぱりです」
良いのかそれ。いや、今までそれで会社が経営出来たんだから結果的には良いのかもだけど…何それ知らんな研究がされてるって事だよな。アレなにみたいなこと聞かれても俺答えられんぞ。
「…昼飯にするか」
「…ですね」
深く考えないでおこう。エンジニア君が個性的で止めてるくらいだから悪い奴らではないはず。
「クックックックックックック!遂に…完成させましたよ!」
「あれ撃って良い?」
「気持ちは分かるけど落ち着いてホシノ先輩!」
食堂に着いたら黒服が円盤型の機械を持って気味が悪いほどの上機嫌さを見せていた。
「もしもし警備、食堂に黒い服の不審者が」
「おやおや、随分な挨拶ではないですか」
「よく分からん機械持って怪しい笑いしてたから妥当だろ…で?」
俺は手に持ってるそれについて聞いてみるとまたまた上機嫌になり不気味に笑い始める。
「クックック、そんなに知りたいですか?」
「ん?」
「おっと、これ以上はお巫山戯が過ぎましたか…この装置は此処とは異なる世界…並行世界の一部を垣間見る事が出来る装置ですよ」
「並行世界の一部?」
随分と断片的なと言うか局所的な機能してんな。
「本来ならば並行世界へ跳ぶ事を可能とする装置を作成したかったのですが、次元を越えるのはやはり容易ではない。ですのでまずは異なる世界を観測する事から始めました」
「その理由は?」
「紛失した遺物を回収出来ないかと思いましてね。アレらの遺物は収集が困難な物もありましたので」
思ったよりまともな理由だった。そういやこいつ集めた遺物、旧拠点ごと奪われて壊されてたな。
「ま、変な事に使わないならそれでも良いけどさ〜…それって本当に動くの?」
「えぇ、検査は全てクリアしています。複雑にしても難ですので操作はボタン一つで可能です」
「それじゃあ見せてもらおうか…その覗き見装置とやらの性能を!」
シロコちょっと言い方を考えようか。本質的には間違ってないがそれでも手頃ってやつを加えてあげろ。
「では、早速…」
「動いたわね…それで?ここからどうなるの?」
「その世界の日常の一部を垣間見る事が出来ます」
なんだか家でテレビ見ながら昼食してる気分だ。
『FATALITY…』
「「「「????」」」」
「ほう、これは興味深い」
「…なんです。これ」
包丁を持ったブチギレ顔のモモイがなんか言ってる。物凄く物騒な事を言ってる。
「あれって、モモイさん…よね?」
「…なんで包丁?」
「つっこむ所はそこか?」
まずなんで包丁を持ってるのか疑問に思えよ。
「ん、誰か来た」
『あ!こんなところに居たんだね!デス私!』
『…?』
『これからみんなでゲームセンターに行くとこなんだけどデス私も行く?』
モモイがブチギレモモイと会話してる!?なんだこれ…いや、なんだこれ!?この世界はなんなんだ!?
『OK…』
『分かった!じゃあみんな待ってるから早く行こ!』
『You go on ahead. I'll meet you there』
『え?先に行ってて?何か持ってきたい物でもあるの?』
『Yes』
黒服、説明くれ、頼むからなんか説明くれ、お前は一体どの並行世界に接続したんだ。
「どうやら、この世界はデスモモイさんと言う怪異が存在する世界のようですね。特徴はあの表情と包丁でしょうか」
『じゃあ先に行ってるね!』
「デスモモイ!?なにその物騒な名前!」
ダメだ、今まで色んな存在と出会ってきたがこんなにも理解が出来ない存在を見るのは初めてだ。
「おや?彼女がこちらを向きましたね」
「え?こう言うのって大体バレないのが普通なんじゃ?」
「向こうは常識から外れた存在、こちらを観測する事も不可能ではないのでしょう」
あ、こっちに歩いてきて。
『
包丁を逆手に持ったデスモモイが見下ろすような姿勢になり、それを見る者を恐怖させるような雰囲気を出し始めた。
『
「切れ!今すぐその機械を切れ黒服!このままだと本当にあいつ世界を渡ってこっちに来るぞ!」
「もう少しだけ観測しておきたいですが。仕方ありませんね」
「ん!ん!早く!」
「ああもう!私が切るわ!」
包丁を持って徐々に近寄ってくるデスモモイに恐怖しながら俺たち全員が電源を切るように言うが黒服は名残惜しそうにゆったりとした動きで中々切ろうとしない。その焦ったさに切れたセリカが電源を切った。
「「「…セーフ!」」」
「怖かったですね〜」
「アレには俺の防御力も意味がない…そんな予感を抱かせるやつだった」
「それでもしっかり庇ってくれるんだね〜」
ん?あ、ほんとだ。いつもの癖でホシノたちの前に出てた。
「次に使用する際は今のような現象に気を付けなければいけませんね」
「まだ続けるなら必ず誰かと一緒に使用する事、黒服、お前単体で使用するのは禁止する」
「「「「賛成!」」」」
「おやおやおやおや」
−−−久しぶりに死の気配ってのを感じたぞ