成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百六十五話 芸術ってのは難しいな

 

 「そう…そこで並行世界の存在と交信する研究を同時並行して」

 「それは安全なんだろうな?デスモモイみたいなやつが居る世界と繋がったら悲惨な事に…」

 「そこはご安心を、我々に悪意などが無ければ彼女も攻撃的になる事はないでしょう。現に彼女が襲おうとした理由は我々が観測、所謂覗きをしていた事にある」

 

 黒服、今更かもしれないけどその開発材料と資金はどこから出てきてるんだ。

 

 「……」

 「…なぁ、マエストロはさっきから複製(ミメシス)を見て何してるんだ?何か複製したいものでもあるのか?」

 

 黒服にもはやお決まりとなったゲマトリア+α会議に呼ばれ並行世界の遺物を回収する為の門を作るための話し合いをしてる最中のマエストロは上の空で会話に入ってくる事がなかった。

 

 「…ヒエロニムス、ユスティナの違いは一体どこなのだろうな」

 「……はぁ?」

 

 え、哲学の話か?その質問にどんな意図があるのか分からん。

 

 「アトラ・ハシースにて創り上げたヒエロニムスには自我が芽生えることがなかった。しかし、同じ素材(ミメシス)によって生まれたユスティナ、及びバルバラには自己が存在する。人と同じ様に考え、悩み…笑う…アリウスの守護者たる彼女らに在って、人工の天使にはないモノとは?」

 

 あ、あ〜そう言う事か。芸術家として気になるって意味ね。なんだったか、心を込めた作品には魂が宿るとかなんとか?

 

 「それは私も気になりますね。私の命令を聞かなくなったあの瞬間、いえ、それよりも前でしょうか?自我が目覚めた事になりますから」

 「そんなもん切っ掛けだろ」

 「…切っ掛けだと?」

 「……なるほど、リジー、あなたはマダムがユスティナをバシリカに呼び込んだことを切っ掛けに自我の芽生え、「テクスト」の上書きが起こったと考えているのですか」

 

 ゴルコンダは俺の言いたい事を理解したらしい。正直言って予想にしかならないけどこれが一番有力なんじゃないかって説は考えてる。

 

 「彼女たちはアリウスの守護者だ。本来護るべきアリウス生に銃口を向けた事で一種のバグが起きたんじゃないか?そこからはユスティナ聖徒会と言うモノの定義を拡張、拡大していって今みたいになったってのが俺の予想だ」

 「なるほど、自己矛盾による崩壊か。複製である彼女らはアリウスを守ると言う一点のみに固執していた…そう言う風に生まれたからだ。しかしその固執していたモノを自身で壊してしまった結果が今か」

 

 ベアトリーチェが倒されるまでは所有者がベアトリーチェの物だったから辛うじて俺に攻撃してたみたいだが…今思えば俺にしか攻撃してないなバルバラのやつ。

 

 「ならばリジー、そなたならば彼女らを何と定義する?魂を得た芸術?現世へ留まり続ける亡霊?それとも…」

 「そんなもの最初から彼女たちの名前が答え言ってるだろうが」

 「ほう?」

 「彼女たちは俺の「生徒」だ。複製だろうがなんだろうがアリウスの守護者って言う生徒会を名乗るならアリウス学園の生徒以上でも、それ以下でもない。単純明快な答えだ」

 

 信仰については俺、全く教えられる気がしないからある意味助かったけどな。ユスティナ聖徒なら良い感じに教えてくれるだろ。

 

 「クックック!生徒以上でも以下でもないですか。やはりあなたは実に興味深い」

 「面白い。芸術でもなく、亡霊でもない…一人の人間としてそなたは見るか」

 「私には出来なかった考え方です……私は彼女たちを劣化品としか見なかったのですから」

 「我々の誰にも彼のように考えるのは難しかったと思いますよ。マダム」

 

 最近のこいつら見てると忘れがちだが悪党だからなゲマトリア。

 

 「それで?納得はできたのか?」

 「あぁ、その予想を聞き、ヒエロニムスもまだ完成品には程遠いと感じた。かの人工天使が再びそなたと相見える時、かの者はより崇高へ近づいた姿へとなっている事だろう」

 「まぁ、楽しみにしている」

 

 なんだろうな、完成系のヒエロニムスって。言葉をバチバチに喋るようになってるとかだろうか。

 

 −−−と言うより、オートマタが人間として認められてる時点で今更は話だと俺は思うけどな

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