成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百六十七話 個性を活かすのは大変だぞ

 

 「…アビドスの住居者は相変わらず少ないか。どうにか増やしたい所だがやっぱり砂嵐のせいで観光地としては良いけど住みたいとは思わないなんて意見が多いな」

 「せめて砂嵐の原因が人為的なのか自然現象なのかはっきりと分かれば良いのですが」

 

 色々機材揃えて砂漠の調査をしてるのに全くと言っていい程に成果が出ない。調査員曰く砂嵐の性質上これは人為的じゃなければありえないなんて言ってたし。

 

 「邪魔するぜ」

 「忙しいところごめんね〜」

 「やっほ〜☆!」

 

 待て、どう言う状況だこれは。なぜミカとネルとホシノが尋ねてきた。凄く嫌な予感がする。

 

 「おや、いまお茶を用意しますね」

 「いや、長居するつもりはねえから気にすんな」

 「リジーに用があって来たんだよね」

 

 俺なんかしたか?

 

 「今って暇?」

 「あぁ、暇だな…それが?」

 「良し、二人とも!確保!」

 「は?」

 

 示し合わせた様にネルとホシノに捕まれあっという間に車に投げ飛ばされた。

 

 「いて!待てお前ら!どう言う事なのか説明」

 「それじゃあトリニティまでかっ飛ばすよ〜!」

 「人の話を聞けぇ!!」

 

 【 トリニティ・演習場 】

 

 「風邪を引いちゃったハスミちゃんとツルギちゃんの代わりに特別教官に来てもらったよ!」

 「オーケー今ので大体把握した。先生だな?」

 

 連れてこられた俺を見てザワザワとした正実の子を見てもうなんか色々と理解したわ。

 

 「大正解!先生があなたに頼むなら根回ししてから呼んだら手伝ってくれるって言ってたから」

 

 あの野郎、モモイたちに料理を振る舞った時のアレに味を占めたな?変なとこで悪知恵を働かせやがって。

 

 「で?ネルとホシノはなんでだ?」

 「私はミカちゃんに誘われて〜」

 「あたしはリオに頼まれて仕方なく」

 「リジーと同じ様に訳も分からず連れてこられた錠前サオリだ」

 

 増えたよ。普通に考えても教えるのに適してない人選な気がするんだが大丈夫かこれ。サオリは何を教えられるってなんだそのバリケードと地雷。

 

 「これか?私は攻め入られた場合に対する効率的なトラップの仕掛け方を教えておこうと思ってな。個人的な印象だが…彼女たちは守る事に慣れてない様に見えてな」

 「そ、そうか…加減はしてくれよ?」

 「あぁ、アリウスとカンパニーで培った技術を教えてくる」

 

 スクワッド流トラップか……恐ろしいな。ただ覚えられれば守りに強くなるってのは言えてる。ただ地雷は扱いが難しいからな、一般的な罠ではあるが仕掛けどころを間違えば大惨事だ。

 

 「私は盾持ちの子に盾の使い方教えてくるね〜」

 「あたしは基礎体力、何をするにしても最後にモノを言うのは根性だからな」

 

 それは言えてる。どんだけ技術を覚えたとして諦めたらそこで終わりだ。そう考えたらネルを教官にするのは理に適ってるのか?

 

 「……じゃあ、俺は」チラリ

 「……」ワクワク!

 

 やべぇ、全員目が隠れてるけどすっごいワクワクとした目で見られてるのがはっきり分かる。俺ほぼ実戦で覚えたタイプだから教えられることなんてないんだけど。

 

 「…相手を疲弊させる戦い方、つまり持久戦のやり方を教えよう」

 

 俺はミカが持って来ていた電ちゃんから銃を幾つか取り出して装備する。

 

 「何人か前に出て俺と一回戦ってみるぞ。習うより慣れろだ。説明は一戦してからするから戦わない子もしっかりと見てるように!」

 

 実際に正実の子たちと戦っていると銃の反動に負けて転けてる子が何人も居たので彼女たちに出来そうな持久戦に合わせ訓練メニューを作った。

 

 「そういやホシノたちの方はどうなってるんだろうな」

 「あ、あの!」

 「ん?どうした?何か分からない所でもあったか?」

 

 三人がどんな風に教えてるのか気にしていると一人だけ集団を抜けて声をかけて来た。

 

 「私、その…いつも弾を外しちゃってイチカ先輩やハスミ先輩に迷惑を掛けちゃって……どうしたらあんなに当たる様になりますか!」

 「む……正直に言えば戦場で悠長に構えて狙い撃ちなんて言えないから慣れとしか…ん?ちょっと銃を構えてみてくれないか?」

 「は、はい」

 

 試しに銃を真っ直ぐ構えてもらうとなんだか腕の力の入れ方に違和感を覚えた。言葉に出来ないんだが…こう、バランスが悪いと言うか。

 

 「キミ、試しに銃を撃ってみてくれ」

 「分かりました!」

 

 彼女が的に向かって撃つところを真横で見ていると弾はほとんど当たってないが反動を全部片腕で押さえ込んでいてもう片方はほぼ添えているだけの状態になっているのが分かった。

 

 「ふむふむ、じゃあこの手榴弾を銃を撃ちながら投げてもらえるか?」

 「ええ!?」

 「ダメで元々、無理でも責めたりはしないから気楽にな」

 「……はい」

 

 上手くいけば良いな程度でやらせてみると弾幕の中に手榴弾が真っ直ぐと飛んでいき的を粉々に吹き飛ばした。

 

 「「え…」」

 

 なんだ今の威力、あの手榴弾既製品だから粉々になる威力はないはず。

 

 「い、今のは普通の手榴弾…ですよね?」

 「あ、あぁ…ちょっと俺も投げてみよう」

 

 彼女に投げさせたやつと同じやつを的に投げると的には焦げ跡は付いたものの粉々にはならなかった。この威力の差から分かることは一つ。

 

 「キミ、擲弾兵やってみないか?今のを見てたらキミの筋肉のつき方は銃を撃つよりも投げる事に特化してる様に感じる」

 「で、でも…私、手榴弾はあまり投げたことなくて、もし変な方向に投げてまた迷惑を掛けたら!」

 「フォームは綺麗だったし銃を撃ちながらでも距離は飛んだ。的には真っ直ぐ飛んでいったし十分実力はあると俺は思う。個別メニューを作っておくから気が向いたらやってみてくれ」

 

 俺としては勿体無いと感じるがどんな方法を選ぶかは本人次第だから無理強いも出来ん。選択肢は多ければ多いほど良いとは言わないが自分の中の引き出しくらいは増えた方は良いだろ。

 

 「…私なんかの為にありがとうございます!必ず先輩の役に立てるよう強くなります!」

 「気にするな。こう言う事には慣れてるからな…さて、とりあえず基礎だけは作ったからその後は自分のやり方でやってみてくれ。どうしても分からない場合は会社に来てくれれば…うん?」

 「……!」キラキラ

 

 …わーお、気付いたら他の子たちが列を作ってた。これもしかして全員俺の個別メニュー待ち?

 

 「あ〜…もしかして全員見てほしい感じか?」

 「…!」コクコク!

 「オーケー、分かった。誰か紙を持って来てくれ」

 

 並んでいた全員の話を聞いて実際に見てメニューを考えるを繰り返したらなんか更に増えてキリがなくなってきた所でミカが全員を解散させて俺はようやく帰る事が出来た。

 

 次の日にツルギがお礼にと菓子の詰め合わせを渡され個別メニューも役に立っているみたいで機会があればまた頼むと言われた。どうやら俺のアドバイスでも使える所はあるみたいだ。

 

 −−−……詰め合わせに小さく羽川と書かれていたのは……深く突っ込まない方が良いのだろうか

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