「………先生、今回も俺はお前の敵だ。もしも立ちはだかるのなら全力で戦わせてもらうぞ」
俺はミレニアムサイエンススクールの門の前に立ち、今もゲーム開発部でわちゃわちゃやっているであろう場所に向かって独り言を呟く。
(えぇっと、コン、所属のところは違和感なく隠せてるか?)
『コン?誰のことですか?』
(お前のことだよお前の、いつまでも戦闘サポートAIじゃ長ったらしいだろ?コンバットから取ってコンだ。安直だけど無いよりはマシだろ?)
『…登録、戦闘用サポートAIの名前をコンへと変更します』
俺のネーミングセンスやっぱり終わってるな、自分で言うのも難だけど。
『リジー、パワードスーツの所属は完璧に隠蔽出来ています。所属のところに集中砲火を受けなければ塗装が取れる心配がありません』
(オッケー完璧!それじゃあお前は一足先に戻ってくれ、俺は少し様子見をしてから帰る)
『了解』
さて、昨日の今日で事態がそう動くとは思えないけど念の為。
−ドガン!!!
「んな!?」
ミレニアムサイエンススクールの方で突然爆発が起こり煙が上がっているのが見える。考えたくは無いけど、アリスが覚醒したってことか!
「くっそ、今すぐ様子を見に行きたいけどそうすると計画がダメになる!」
俺は無線を手に取りヘルメット団に連絡を取る。
「ヘルメット団!作戦開始だ!良いか!お前たちの役割は黒髪の生徒を救出しようとするシャーレの先生の足止め!無理せず適度なところで引き上げろ!」
『『『了解!』』』
俺も急いで調月リオとの合流地点に向かった。
【 カイザーPMC傭兵ビル 】
合流地点には既に気絶させられたアリスとメイドの姿をした少女と共に調月リオが立っていた。
「調月リオ、上手くいったようだな」
「えぇ、トキとあなたのところのヘルメット団が上手いこと撹乱してくれたお陰よ」
「ふははは!俺の部下は優秀だろう?」
良い傭兵と言うのは引き際を弁えているからな。今回は傭兵歴の長いベテランヘルメット団を連れてきた。
「では道中の索敵は俺に任せろ。最短距離でエリドゥに向かうぞ。貴様は先を走れ。調月リオ、後ろからの弾は俺の体で多少は弾ける」
俺は背中に突き刺さるメイドの視線を無視しながら調月リオの後ろを走る。
「……なんだ?メイド」
「いえ、貴方は出会ったばかりだと言うのにリオ様の信頼を勝ち取ったのですね」
「…何が言いたい?」
いやほんと何が聞きたいのかさっぱり分からないんだけどものメイド。
「…私は…リオ様に傭兵としては信頼されているのかも知れません…ですが…支えるための信頼は得ていないのです。貴方は?…同じ傭兵のような扱いなのにリオ様の心の支えとなっている……私はそれが羨ましい」
なるほど、いきなり出てきて私の友達取ったなこの野郎!ってことか。
「…名は?」
「トキ…飛鳥馬トキ」
「では飛鳥馬トキよ、お前は一つ思い違いをしている」
「?」
お前の勘違いをここで俺が吹き飛ばしてやろう!フルパワーで戦えるようにな!
「昨日、俺はアヴァンギャルド君を運ぶ時に調月リオがこう言っていた『最後にはトキしか私の側に居ないと思っていたから』とな、意図してなのか無意識なのかは俺も知らんが、貴様は最後まで残って共に戦ってくれると調月リオは言ったんだ」
「……!」
調月リオの声が飛鳥馬トキの名前を呼ぶ時だけ優しい声色になっていた。
「貴様は最初から調月リオの支えとなっていたのだよ!飛鳥馬トキ!他の生徒が敵になることは想定していたのに。貴様だけは!共に戦ってくれると、敵にならないと信じていたのだよ!」
「…リオ様」
仲良きことは美しきかな!なんて素晴らしい友情!
「…貴様は調月リオの罪を共に背負う覚悟はあるか!人殺しの汚名を着せられ、ミレニアムと言う居場所を失ってでも!調月リオと共に居るという覚悟を!」
「…愚問です。私はリオ様のボディーガードです。リオ様の罪は私の罪、覚悟などとっくの昔に出来ています」
「ふはははは!調月リオも飛鳥馬トキも、どちらも良い目をするじゃないか!」
自分の中のエゴを貫き通すと言う良い目をしてる!これで憂いなしだ!先生、アリスを助けるなら俺たち三人を突破して見せろよ!もちろん全力で抵抗させてもらうがな!
−−−迷いを捨てた彼女たちは強いぞ?