成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百七十一話 今度はいつもより慎重にならないと不味いか

 

 「う〜ん、連れて来れたのはお前だけか」

 「どうなってんすかね。今日に限って職員全員がギリギリのスケジュールってのは」

 

 それに俺の武器も都合悪く殆どがメンテナンスに出している状態、手元にあるのはSGとSMG、サブにHGだけだ。パワードスーツも今回は先生もプレナパテスも居ないからスキル使用を期待できない。

 

 「クソッ…今はこの総会を無事終える事に集中しないとか」

 「心配っすね。コンちゃんにもエンジニアさんにも結局連絡できなかったっすから」

 

 情報はスオウから教えてもらったネフティスと私募ファンドが砂漠のどこかにある列車砲を求めている事とネフティスは列車砲を使って俺たちカンパニーに対し優位に立つつもりって事。だがそもそも前提としホシノが契約続行と言ったらその時点で金を払えないアビドス高校は俺にまた借金をして、権利は俺の方に移ると思っている……。

 

 「ネフティスはカンパニーに対する切り札を持っていると聞くがどう思う?」

 「…ちょっと分かんないっすね」

 

 だよな。

 

 「お待ちしておりました。海崎社長、総会が始まるまではまだ時間がございますので席に着いてお待ちください」

 「あぁ」

 

 ま、アビドスに関しちゃ先生が居る筈だから余裕でやってくるだろ。心配ないな。

 

 そう思いながら座ったところ、何やらコソコソと連絡してるのが何人か居るしどこかソワソワと落ち着きもない奴も居る。これはホシノたちがやってきてるってことか?

 

 「何が起きてるんだ……」

 「くっ……」

 

 はは、そりゃほぼ毎日うちの兵士鍛えてるんだぞ?軍隊相手の戦いなんてもう余裕だろ。うちの兵士が成長すると同時にあいつらも強くなってんだ妨害は諦めるんだな。

 

 「黙れ、ネフティス!」

 「…!社長後ろに下がるっす!」

 「分かった」

 

 警備が咄嗟に俺を引っ張り中に入り込んでくる兵士に囲まれるのを防いだ。こんな時だが警備の持ち武器は191式自動步槍だった。結構良い武器持ってるな。

 

 「何の真似でしょうか?」

 「お前たちの企みなど、とっくに知っている」

 「企み、ですか…」

 「私募ファンド(われわれ)を裏切ろうとしているのだろう?」

 

 …俺呼ばれたのに蚊帳の外。なんか向こうで勝手に盛り上がってんだけど。

 

 そう思っていたら今度はネフティスが指を鳴らし兵を中に入れた…え?カイザーPMC?スオウがジェネラルとの関わりを持ってる時点で察してたが。ネフティスってアホなのか?あ、一部こっちを見てビクッとしてる。俺にビビりすぎだろ。

 

 「言葉には気をつけてください。列車砲は最初から私たちの物です」

 

 ふむ、ここは乗っておくか。

 

 「列車砲?ネフティス、俺はホシノたちがここに来て契約続行だった場合、砂漠横断鉄道を俺がどうするかを話し合う会談の日程を決めようと言う話しか知らんのだが?」

 「……列車砲についてもその時お話しする予定だったのです海崎社長」

 

 うん、これスオウの情報がなくてもそんな話信じなかっただろうな俺。普通に怪しいじゃん。

 

 「…どうだろうな、列車砲とは随分物騒な名前じゃないか、えぇ?黙ってた理由は俺が砂漠横断鉄道に関する権利をそのままモノにしようとした場合、計画に一枚噛んでこっそり探そうとでも思ったんじゃないのか?」

 「そ、それは…」

 「…まぁいい、今はそっちの問題を片付けたらどうだ?俺たちの問題はその後じっくり話し合おうじゃないか」

 

 これで少なくとも俺と警備はネフティスとグルじゃないってのは私募ファンドに伝わった。その上でカンパニーは今の問題を静観すると意思表示も出来たはずだ。弾もあまり持ってきてないから三つ巴は避けたいしな。

 

 「…どうやらカンパニーに味方をしてもらおうと考えていたようだが無駄だったようだな。やれ!」

 

 【 ノノミ視点 】

 

 「……始まったみたいですね。スオウさん」

 「…そうらしい。ご令嬢…あの男、兵を一人しか連れて居なかったが。それ程強いのか?」

 

 リジーさんと会った後、私は一応人質なのでスオウさんと大人しく中央駅旧庁舎で大人しく待っている事にしました。これから起こることもスオウさんには教えてもらってます。

 

 「警備さんが強いかどうかは分かりませんが…リジーさんはとてもお強いですよ」

 「小鳥遊ホシノと比べるとどうだ?」

 「え?う〜ん、模擬戦などはしてますがどちらも本気ではなかったので…正直どちらが強いかまでは…」

 「…そうか、少なくとも小鳥遊ホシノとはそこそこ渡り合えると言うことか」

 

 どうでしょう。リジーさんの戦い方は銃を頻繁に入れ替えて戦うかなりトリッキーな方法です。だからと言って銃が少なければ弱いと言うことでもないので……難しいですね。

 

 「どうした?」

 「いえ、改めて考えるとリジーさんはとても特殊だなぁと思いまして」

 「私も、例の人物から教えられてから少し調べたが…元カイザーコーポレーション所属でありながら連邦生徒会を占領したカイザーコーポレーションをシャーレの先生と共に撃退したと言うのは本当なのか?」

 「はい、この目で見た訳ではありませんが。事実ですよ」

 

 あの時はシロコちゃんも先生も行方不明になって混乱しました。

 

 「…スオウさん、あなたにも私のせいで迷惑を掛けてしまい。すみま…」

 「謝らなくて良い…私に謝罪は不要だ」

 「…それでも本当なら私はスオウさんと一緒にハイランダーへ入学する筈でした」

 「そうだな…」

 

 私の我儘のせいで、会社にもスオウさんにも苦労を掛けてしまい。今回のこのような事になってしまいました。恨まれていても仕方ありません。

 

 「……ご令嬢にはネフティスよりも優先したい目的があった。私と同じように。ただそれだけの事だ」

 「…優しいんですね」

 「私が優しい?小鳥遊ホシノと戦う為だけにご令嬢を利用したのにか?」

 

 本当だったら、執事さんに頼まれた通り私を人質にすれば良かったのに。スオウさんはリジーさんに会いたいと言い。あの情報を伝えてくれました。

 

 「はい、リジーさんの事を知ったとしても、そのままここに来ればいいだけの話じゃないですか」

 「…私が何を言ったところで、ご令嬢は意見を曲げないのだろうな」

 「もちろんです」

 「なら…それで良い」

 

 否定する事を止めたスオウさんはそのまま帽子を深めに被り壁に背中を預けたまま口を開かなくなりました。私はそんなスオウさんの隣に立ち、同じように背中を壁に預けます。

 

 「…もし、私が我儘を言わずそのままハイランダーに入学していたら。こんな風にスオウさんと話をしたんでしょうか」

 「……どうだろうな、少なくとも。今よりは気安い関係だっただろうな」

 「…それはスオウさんが私と仲良くしたいから?」

 「…かもしれない」

 

 最初の出会いはあまり良いものではありませんでしたけど。このまま今回の事が無事に終えることが出来れば。スオウさんとはゆっくりお話したいですね。

 

 「…そうです!改めて自己紹介しませんかスオウさん!」

 「自己紹介?あの時しただろう」

 「あの時は色々とあって、ちゃんとした自己紹介ができなかったじゃないですか?」

 

 背中を預けていた壁から離れ怪訝そうな顔をするスオウさんの目の前に立って手を差し出す。

 

 「私はアビドス対策委員会2年生の十六夜ノノミです!改めましてよろしくお願いしますね☆!」

 「……私の名は、朝霧スオウ。ハイランダー鉄道学園、理事会直属の管理監察官だ。よろしく頼む。十六夜ノノミ」

 

 スオウさんが少し口角を上げ、自己紹介をしてから私の手を取る。

 

 −−−スオウさんとはきっと友達になれる。そう信じています

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