成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百七十五話 我慢の限界だ!

 

 プレジデントが指示を出せないよう先に意識を奪うか?…ダメだ。あいつに何かあったら列車砲を撃つよう指示してるかもしれない。

 

 「…プレジデントはいつ起動キーを手に?」

 「起動キー?列車砲はキーがないと動かせないのか?」

 「いいや、起動キーが必要なのは今も機能を停止している砂漠横断鉄道の施設だ。施設が動かせなければ列車砲を動かす事など出来ん」

 

 ジェネラルすら知らされてない秘密があったのか。自分の部下すら完全に信用する事がないのは相変わらずなのに………ん?ちょっと待て、だったら変じゃないか?幹部であるジェネラルに起動キーを隠してたのにどうしてそれを幹部でもないただの兵士に持たせて列車砲に向かわせたんだ?

 

 「なぁ、ジェネラル、プレジデントはどうしてノノミを連れていくのか理由を話してたか?」

 「ネフティスとカンパニーに対する牽制だと言っていた。彼女を人質に取れば手を出せないだろうと。お前に対しては彼女だけでは牽制にすらならないから別の手段を用意したともな」

 

 そこは先手を打たれてたのか確かにノノミだけだったら兵士ぶっ飛ばして取り返してたけどさ…。うん?根本的な問題に気付いたんだがこれ俺が暴れてもあいつアビドスに撃てないよな…自治区一つが吹き飛ぶレベルの高威力なら自分自身が巻き込まれるかもしれないから。ここ中央駅だし範囲内だよな……。

 

 「反撃開始ぃ!!」

 「グワァ!?」

 

 机を踏み付けて跳躍しノノミの隣に居る兵士を踏んづけその勢いを殺さずに後ろに周りもう一人を殴り倒す。ついでにプレジデントの方に投げておこう。

 

 「「リジー(さん)!?」」

 「っく!どうやら部下の命が惜しくないようだな」

 「なら撃ってみせろよ。その列車砲を…自分ごと木っ端微塵になっても良いって言うならな」

 

 他の兵士が俺を取り囲む前にSMGとSGを構えプレジデントを煽る。残念な事に投げた兵はあいつに当たらなかった様だけど別の兵を昏倒させたっぽいし良しとしとこう。

 

 「ハッタリもここまで来れば大したもんだ。息をするようにポンポンと出まかせをするんだから。いま列車砲から手を引くと言うのならこの場での出来事には目を瞑ってやる」

 「目を瞑るとは大きく出たものだな海崎。お前がこうしている間にも列車砲はお前の会社に標準を合わせていると言うのに。それとも私が列車砲を動かせないと言う確証でもあるのかね?」

 

 確証ねぇ。俺が嘘を言ってるとでも思ってるんだろうが流石にあんなにヒントを出されたら俺でも気付けるぞ。

 

 「ノノミ、ちょっとポケットの中のもん何が入ってる?」

 「ポケットの物ですか?えぇっと。スマホと手榴弾とメモ帳と…ゴールドカード……」

 

 ゴールドカードと言ったノノミの言葉にプレジデントの杖を持つ手に一瞬力が入ったのが見えた。これで確定だな。灯台下暗しとは良く言ったもんだ。

 

 「砂漠横断鉄道の施設を稼働させるための鍵…貴様は所有していないのだろう?鍵を持ってない以上は施設に入れない。無理矢理にでも入ろうとすれば線路や列車砲に傷が付いてしまう。そこで貴様は言いくるめる事が出来そうなネフティスの令嬢…ノノミを狙った。このカードを奪うために」

 「……」

 「おっと、もう何も言う必要はないぞ。貴様は穏便に済ませるための最後のチャンスを棒に振った。二度目はない」

 

 これ以上余計な小細工をされる前に一気に殲滅してやる。この場にいる程度の人数ならノノミを守りながらでも十分相手は出来る。

 

 「くっ、う…させるか!」

 「意識奪うつもりで殴ったんだがな。加減し過ぎたか」

 「プレジデント!今のうちにお逃げください!」

 「…うむ、ご苦労」

 「ッチ!」

 

 殴り倒した筈のやつが起き上がり俺に組み付いたことでプレジデントを逃す隙を与えてしまった。振り解こうにも次から次へと組み付いてきて振り解いた頃にはプレジデントとスオウ、ノノミとジェネラルの姿が見えなかった。

 

 「…ふ、ははは……はははははははははは!!」

 「り、リジー?だ、大丈夫?」

 「大丈夫かって?あぁ!絶好調だとも!はははははは!これが笑わずにいられるか!エデン条約、アトラ・ハシース以上の怒りを超える出来事なんてもうないと思っていたのにな!」

 

 あのジジイは逃げたか!こうなったからにはあいつは列車砲を手に入れるために手段を選ばないんだろうな。ノノミを施設まで連れて行った後は列車砲を動かしてアビドスを消す気だ。あのジジイならそうする。

 

 「や、奴をプレジデントに近づかせるな!後退しながら足止めをするんだ!戦車とヘリをあっちに向かわせろ!

 「そうかそうか、あんな話を聞いた後でも貴様らはそっち側か…残念だ」

 「うへ〜……今のリジー、今まで一番怖いよ」

 「すまんなホシノ…ジェネラルとスオウが居るからノノミの身の安全は心配ないが…その代わりにアビドスそのものが危機に晒してしまった」

 「気にしなくて良いよ。流石にあれだけ沢山の人に組み付かれてたらね…」

 

 さっきの戦闘で壊れた鉄製の扉を持ち上げこっちにやってくるヘリに向けて狙いを付ける。

 

 『ターゲットを視認した。制圧射撃を開始する』

 「ぶっ飛べ!」

 『!?』

 

 殴り付けるように投げた扉は垂直に飛んでいきプロペラを砕いてそのまま天井に突き刺さった。ヘリは真下に落下し戦車を押し潰して大爆発を引き起こし後退していた兵士ごと爆風で吹き飛ぶ。

 

 「逃すと思っているのか?一人残らずぶん殴ってヴァルキューレに突き出してやる!」

 

 −−−俺の事を良いように使おうとしてる奴も含めてな!

 

 

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