成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百七十八話 本当にこれで終わるのか?

 

 「見えてきたぞ。生徒会の谷だ…あそこに列車砲…シェマタがある」

 「……俺の気のせいじゃなければあの列車砲かなり大きく見えるんだが」

 

 そこそこ距離が離れているのにも関わらず列車砲と呼ばれる列車…いや…列車か?正直戦車って言われた方が納得できるんだが。なんだあの大きさ…いやそれよりあれもう交通施設じゃないだろ。

 

 「……うへぇ、あんなのがずっとアビドスにあったんだ。知らなかった…と言うか…あそこ本当に駅なの?」

 「当初はこんな様相ではなかったが……以前。大きく作り替えられてな。アビドス生徒会もネフティスも、あいつに踊らされただけだ」

 

 あいつ?まさかたった一人に動かされた結果こんな大袈裟な施設になったのか?

 

 「……黒幕がいるの?」

 「いや、黒幕ではない今は卒業して、キヴォトスを離れているからな」

 

 …ほんとキヴォトスの生徒って規格外だよな。

 

 「二年前、キヴォトスを混沌に陥れたゲヘナの暴君「雷帝」だ」

 「また二年前か!!」

 

 よりにもよって俺の中のデータにも残ってない時期!なんでピンポイントでそこの記憶だけないんだよ!

 

 「…リジー、大丈夫?なんかずっと二年前のことで悩んでるみたいだけど」

 「そうですね…二年前の事なら当時にリジーさんも知っている筈ですから…何か思い当たる節が?」

 「…いや、その逆だ…二年前……その時の記録が俺の中からゴッソリと抜け落ちてる」

 

 カイザーPMC理事としての記憶はないからどうにか過去の記録やデータを見て行動をしてきたけど…なぜか二年前の部分だけ見れなくなってる。これも妨害か?

 

 「カイザーコーポレーション以外に私たちを妨害してる何かが居るんだね。なんだろう。カイザーコーポレーションの兵士を追い払って列車砲を壊すだけで終わる筈なのに嫌な予感がするよ」

 「…私も、列車砲に近付くにつれて違和感を感じる。あそこに行き小鳥遊ホシノと何かをしなければと…どこか焦燥感に駆られる」

 

 そう言うスオウの顔を見てみればどこか顔色が悪いように見える。何かを抑え込んでいるような。ホシノの方に視線が自然と吸い寄せられてる風に見える。スオウ自身はそれに気付いてるのか?

 

 「…スオウさん。ここからはオート操縦に切り替えて少し休みませんか?汗も掻いていますし。顔色も良くありません」

 「…いや、問題ない」

 

 ノノミも気付いて休むように言うがスオウは汗を拭い。操縦に専念しようとしている。だがやはり意識はホシノに向いてるな。

 

 「スオウ、とにかく一度休め。そんな顔色じゃあ操縦は無理だ。撃ち落とされそうになれば俺が出来る限り迎撃するから」

 「……致し方ないか。すまないが少し休む」

 

 スオウも無理をしてるのは自覚があったみたいだな。少し悩む素振りをしたが素直に操縦席から離れて壁に背を預けて座り込む。

 

 「…先ほどの続きだが…雷帝は天才戦略家でもあり発明家であると同時に…政治家でもあった。連邦生徒会長が準備していたエデン条約も実は雷帝のために用意した奇策だったとか」

 

 エデン条約が……うん、例え連邦生徒会長が居たとしてもその雷帝って言うのがゲヘナに居たら無理だったろうな。

 

 「単なる鉄道事業のはずが、雷帝の手で紛争の種になった」

 「それで、その雷帝って人はどうしてそんなことを?」

 「……分からない。雷帝が何を考えているかなど、知る由もない。天才の考えをいくら探ろうとしたところで無駄だ。アビドスに接近したのも、ただの気まぐれだったのかもしれないからな」

 

 確かにウタハとか椅子とか机をドローンに魔改造したりするからな…その理由の大概がロマンだ。そこに何か深い理由があるわけじゃない。いや本人的にはロマンは深い理由なんだろうが。

 

 「事実、雷帝は列車砲の一件が中断されてから、アビドスと関わりすらしなかったらしい。結局、部下たちのせいですぐに失脚し、鉄拳政治は幕を閉じた。だが、彼女が残した発明品は、今もキヴォトスに残っている。そのどれもが一番、キヴォトスを一瞬で危機に陥れるレベルの物……列車砲のようにな」

 

 スオウは溜め息を吐いた後に、姿勢を崩した。額を指で解してるのを見ると頭痛でもしているのか?

 

 「…とりあえず、どうして施設がこんな形になってるのかは分かったよ。教えてくれてありがとう。眼帯ちゃん…本当に辛そうだし少し寝たらどうかな?」

 「……そうさせてもらう。すまないが…施設に着いたら起こしてくれ」

 

 スオウは目を閉じると直ぐに眠ったのか規則正しい寝息が聞こえてくる。相当頭痛が酷かったみたいだな…列車砲に近付いてからと言ってたが。

 

 「……ホシノ、ノノミ。お前たちはヘリが着陸したら列車砲から少し離れた位置に居てくれ。スオウみたいに何か影響を受けないとも限らない」

 「そうだね。プレ先生と一緒に居るアヤネちゃんたちにも近づかないように連絡しとく」

 

 ホシノがスマホを持って電話するのを横目に、地上を見下ろす。プレジデントが部下を送ったと言う割にはかなり静かだ。戦闘の気配をまるで感じない。戦闘は既に終わらせてプレナパテスたちが確保したのか?

 

 −−−なんだか不気味だな…まるで舞台の上に知らず知らずの内に上がらされている気分だ。





 少々シナリオとは違いますが…まぁ問題はないでしょう。キャンペーンのメインキャラクターたちは揃って居る故に…ヒ、ヒヒ!この混沌が終わりを迎えたその時、小生は「六つ目の古則」に到達するでしょう。海崎リジー…ここより先あなたがどのように振る舞おうとシナリオは変えることは不可能に等しい…あなたの役目は終わったのですよ…小生と先生との勝負をそこから眺めているのですね。ヒ、ヒヒヒヒヒ!
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