成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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十九話 後はいつものように暴れるだけってもんだ!だが先生てめぇは殴らせろ!

 

 「ふははははははは!フルバレットだぁ!ふははははははは!」

 「っちょぉ!?リジーもアヴァンギャルド君も強いんだけど!?今の完全に私たちの勝ちフラグだったじゃん!」

 

 「フラグとは!折るためにある!!!」

 

 言っただろ?今回は本気で抗わせてもらうってな!

 

 「“モモイ!ミドリ!リジーは無視して一旦アヴァンギャルド君に集中攻撃!」

 「ほう!俺のこの盾を見て方向を変えたな!」

 

 だがな、アヴァンギャルド君は機動力が凄まじいんだよ!

 

 「うわー!?何その動き!?」

 「上半身が凄い回転して乱射してる!」

 「俺とアヴァンギャルド君はまさに最強!無敵!!」

 「……!」

 

 まぁ全力といっても学生相手だからあまり殺傷能力の高そうなミサイルとかチャージビームは使わんけどな。先生いるし巻き込まれたら危ない。

 

 「どうしたどうしたぁ!さっきまでの威勢が無くなっているぞゲーム開発部!!」

 「リジーとアヴァンギャルド君!私たちは絶対に諦めないからね!アリスを連れて一緒にテイルズ・サガ・クロニクル2を遊ぶんだ!」

 「続編あったんだあれ!?」

 「“みんな!今だよ!“」

 

 あのゲームに続編があることに驚き思わず手が止まったところでアヴァンギャルド君に集中攻撃を浴びせられた。が、そこはやはりアヴァンギャルド君その名に恥じぬ性能だ。ほぼ無傷!

 

 「どうしよう!このままじゃ本当に先に進めない!」

 「“落ち着いて!ウタハ、ドローンを追加、ユズはリジーの動きをよく見て隙を見つけてハッチに向かって攻撃して、あれは手動操作だから見えなくなれば動きが鈍る。モモイ、ミドリはドローンに隠れながら攻撃!“」

 

 グレラン持ってる生徒を俺にぶつけたか!硝煙で煤まみれにするつもりだな?

 

 「ならば、アヴァンギャルド君!後ろに下がれ!」

 「…!」

 

 アヴァンギャルド君を後ろに下がらせて俺がシールドを展開し、前進しながらMGを乱射する。その時に生まれた隙をアヴァンギャルド君に埋めてもらうという算段だ。

 

 「アクションゲームとかで見る連携バッチリな兄弟ボスみたいな練度してるよ!?」

 「対戦相手にしたくない攻め辛いプレイヤーみたい」

 「リアルタイムで戦闘データを集めているが、リジーとやらとアヴァンギャルド君が頻繁に前衛と後衛を入れ替えるから使い物にならない」

 

 後ろになんか如何にもデータキャラですよってやつ居たけどほんとにデータ集めたのか!あっぶねー!それにしてもさっきからミドリが投げてるデバイスみたいなので体力を回復されてるな。

 

 「ふははは!ヒーラーを見つけたぞ!」

 「…!ミドリ!危ない!」

 「ほう、妹を庇ったか!」

 

 威力が低めだとは言えもろにMGを受けたんだ。モモイはリタイアだな。

 

 「いったたぁ、まだまだ!」

 「なに!?まだ立てると言うのか!?」

 「私は何度だって立ち上がるよ!アリスを見捨てるなんて私には、私たちには出来ないもん!」

 

 『…対象、モモイの戦闘能力が上昇』

 

 おいおい、マジかよ。お前ほんとに勇者なんじゃないか?逆境で力が段々増していくって、魅せてくれるじゃん!

 

 「しかし貴様が救おうとしているのは言わば時限爆弾!いつ爆発するか分からないそんな不確定な存在を懐に入れようとしている!分からんなぁ、キヴォトスよりも、世界よりも!!アリスと言う少女が大事だと言うのか!」

 

 ドローンを撃ち、爆撃を防ぎ、薙ぎ払う。ひたすらに攻撃を繰り返して俺はモモイに問い掛ける。

 

 「じゃあリジーはアリスがキヴォトスを破壊するって、本当にそんなことを思ってるの!?一緒にゲームして、話して、短い時間だけど笑い合った。誰かと“楽しい“を共有出来る優しいあの子が」

 「………データがそうだと示している。僅かな可能性だったとしても!俺は無視することが出来ないのだよ!」

 

 俺の情に訴えるか!確かにアリスと一緒にいるのは楽しかったさ!クソゲーだけど攻略を一緒にしてくれて、不審な俺のことを疑いもせず学校に連れて来て!それでも俺は調月リオを信じた!

 

 「友達はデータなんかで決まらない!!」

 「っ!」

 「私はアリスを信じてる!あの子がそんなことをする子じゃないって知ってる!私たちはデータで全部決まるゲームじゃ無いんだ!!決まったエンディングなんてないんだよ!リジー!」

 

 モモイの弾丸が俺とアヴァンギャルド君を後ろに押し込んでいく。

 

 「っく、だがその程度だ!」

 「………!?」

 「アヴァンギャルド君?」

 

 モモイに押し込まれた直後、アヴァンギャルド君の動きが鈍くなった。一体何が?

 

  『どうやら間に合ったみたいだね。エリドゥへのハッキングが』

 「ハッキングだと!?バカな!調月リオによってハッキング対策は盤石だったはず!」

 『『鏡』を使ってエリドゥのネットワークをハッキングしたんだよ』

 「鏡だと?鏡でなぜハッキングが」

 

 いや、違う!鏡って言うのは何かの機材の名前か!それで調月リオの対策以上のハッキングを仕掛けた!

 

 「だが俺がまだ居るぞ?アヴァンギャルド君の動きは鈍くなったがまだまだ」

 「“それはどうかな?“」

 「…!?先生、それはまさか俺が貴様に売った」

 「“うん、パワードスーツだよ。アビドスを出る前に購入しておいて良かった“」

 

 あのパワードスーツは先生仕様にコックピットを異常なほどに強化した特別強化ガラスにしている。万が一があったとしても先生だけは守れるよう脱出装置付きで。

 

 「クッソ!まさかこんなところで逆転されるなんて!」

 「“みんな!リジーは私が抑えておくからアヴァンギャルド君の対処をお願い!“」

 「せんせいぃいいいいいい!!!」

 

 まさかパワードスーツを持って来てるなんてな!なら俺も悪役らしく意地汚く戦わせてもらおうか!

 

 「先生!どこまでも邪魔をするか!」

 「“私は先生だからね、生徒を守る義務がある“」

 

 何故だろう、いま非常にこの先生の面を引っ叩きたくなった。

 

 「ならば何故!調月リオのことを守ってやらない!あいつも貴様の生徒だろう!」

 「“確かに、でも他者を犠牲にすることは間違ってる。リオはその正義を押し付けてしまった。だったら先生として止めないと、リオが罪を犯す前に“」

 

 調月リオが間違っている?正義の押し付けだと?……あぁ、どうして先生を引っ叩きたくなったのかようやく分かったぞ。

 

 「ならば調月リオへ別の道を示すことが出来たと!?貴様ならば調月リオにこんな選択をさせなかったとでも言うのか!?先生!答えて見せろ!貴様ならばこうなる前に調月リオを救えたのか!!救えたと言うのならばなぜしなかった!!彼女は一人孤独にキヴォトスの為にと背負う必要のない重荷を背負って努力して来たのだぞ!!それを貴様が……シャーレの先生であるお前が!!!!」

 

 「否定するのか!!!!!」

 

 お前が彼女の正義を否定するならば俺は彼女の正義を肯定しよう!調月リオと飛鳥馬トキだけに罪を背負わせないぞ!

 

 MGを捨て俺は先生のパワードスーツをひたすらに殴り続ける。傭兵としての怒り、俺自身の怒りをぶつけるために。

 

 「貴様の言ってることは全て詭弁だ!!楽観的で、陳腐で!ありきたりで!希望論だけをつらつらを並べ立てている!「アリスを救いたい、生徒だから」なるほど確かに筋は通っている。ならアリスを救った後は!?彼女はどうなる!!成功してもしなくとも、これをしてしまった彼女はミレニアムと言う家を失うのだ!貴様は調月リオと言う生徒を犠牲にアリスを救おうと言っているのだよ!!先生!!!」

 

 俺のパワードスーツの拳が受け止められ、同じ馬力の筈なのに徐々に徐々に俺が押され始めた。

 

 「“…確かに詭弁だ。だけど、それでも私は先生だから!アリスにも、トキにも!リオにも!!人殺しの罪を背負って欲しくない!!“」

 「貴様!まだ言うか!それが!楽観的だと言っているのだよ!!!事が起きてからでは遅いのだ!」

 「“起きないよ。アリスが女王になることもないし、リオが人殺しになることもない…信じてるから“」

 「っ!」

 

 だったら、どうして、どうして調月リオのことをほんの一欠片でも肯定してやらなかったんだ。あの子は否定され続けたんだぞ。それなのにお前は彼女を信じてるって言うのか!

 

 「貴様に彼女を信じる資格など…」

 

 「ない!!!!」

 

 先生の拘束を振り解いて俺はブースターを噴かし、先生に向かって拳を振りかぶるがアームが吹き飛ばされた。

 

 「させないよ!リジー!」

 「モモイ!?」

 

 アヴァンギャルド君は煙を上げて完全に機能を停止していた。腕や頭が一部欠けているのを見るときっと最後まで彼女たちと戦ってくれてたんだろう。

 

 「リジー!私たちは会長を悪役にしたい訳じゃないんだよ!ただ会長もアリスと友達になって、私たちと友達になって一緒にゲームをやりたいだけなの!」

 

 俺は持っているシールドを構えるが突然の後ろからの狙撃にシールドが弾き飛ばされた。

 

 「お姉ちゃんの言う通り、リジー!生徒会長もアリスちゃんが優しい子だってきっと分かってくれると思ってる!」

 「ミドリ!」

 

 後ろからの狙撃はミドリだったのか。

 

 『リジー、これ以上の戦闘を行えば30秒後にこの機体は大破します“』

 「……くそ、ここまでなのか。あぁ、良いだろう!俺の負けだ!先に進め!王の箱庭に行き、貴様らが正しいことを証明して見せろ!貴様らの理想を!この俺に見せてみろ!!!」

 

 俺は降参のポーズを取って動きを止める。このパワードスーツを壊してしまったらそれこそ個人的な理由でなんて始末書じゃ済まない。ゲームセットだ。

 

 走り去っていく先生たちの姿を見ながら俺は誰に言うでもなく呟く

 

 「………調月リオ、お前と分かり合いたいと思っているやつはお前が思っている以上に多かったみたいだな」

 

 だけど先生?俺は悪党だ。悪党ってのはエンディングを迎えても…

 

 −−−隠しボスと言うポジションが残っているんだよ





 
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