俺がパワードスーツとアヴァンギャルド君の簡易的な応急修理を済ませて調月リオのところに辿り着くと、調月リオは負けた悔しさはあるけどどこか吹っ切れた顔をしていた。アリスは笑顔を浮かべて俺に手を振っている。
「…調月リオ」
「海崎リジー…ごめんなさい、失敗してしまったわ」
「その割になんともスッキリとした顔をしているではないか。とても負けたやつの顔とは思えんな」
全く、シャーレの先生って言うのはつくづくチートだな。ヘルメット団、防衛ドローン、飛鳥馬トキ、俺、これだけの戦力を使っても退けるんだからやってらんねえよ!
「リジー!アリスは聞きました!リジーは悪の傭兵団のボスだったと!つまり!リジーは敵から説得して仲間になる特殊キャラだったんですね!!」
「いや待てモモイ!お前アリスにどんな話をしたんだ!?」
「どんなって、そのまんま?」
「色々脚色してたでしょお姉ちゃん」
おいコラ、モモイこっち向け。アリスに何を吹き込んだこら。
「それでは帰りましょう!アリスはリオ先輩にテイルズ・サガ・クロニクルをやってもらいたいです!」
「良いねそれ!会長も私たちの自信作をやればきっともっと分かり合える!」
なるほどなるほど、どうやら宣言通り、調月リオを悪役で終わらせなかったみたいだな。うんうん関心関心!だ〜け〜ど。
「調月リオよ。まだ貴様と俺の雇用契約は終わってない、そうだな?」
「え?えぇ、そうね」
「実はな、俺はまだこうして武器を手に持っているんだ」
レッグパーツの中に入っていたSMG。これからやることならこれだけの武器で十分だろ?
「……調月リオ、お前も目の前で自分の計画が台無しにされたんだ。背負う物も無くなったと言うのなら、雇用主として俺の八つ当たりに付き合ってくれないか?」
「…八つ当たりって…あなた、意外と子供っぽいところがあったのね」
まぁちょっと大人気ないけどさ。偶然に偶然を重ねた結果、上手くいった先生にイラッと来ちゃってね。
「ふはははは!これは言わば俺が納得出来ないからのオマケ要素だ。数多の障害を退け、ラスボスを倒し、エンディングを迎えた後のオマケ、付き合ってくれるよな?先生も」
「“あ〜〜やっぱり怒ってる?“」
「アビドスの件も含めてこの怒り全部貴様にぶつけてくれるわぁ!!」
小鳥遊ホシノはなんかバスジャックしようとしてるし猫耳少女はマルチ商法とかの詐欺に引っかかりそうになるし犬耳少女は銀行強盗勧めるし、ゆるふわ娘はアイドルやりたがるし長耳娘はちゃぶ台返すし!俺がちゃぶ台返ししたいくらいだったわ!!
「“いや〜、アビドスの子たちのことを任せられる大人がリジーしか居なくて“」
「だからって俺に任せるか!?」
「……先生、こんなことしでかした私が言うのも難だけれど、それは無責任だと思うわ」
「“っう!い、いや〜、まさかこんなに日数が掛かるとは思ってなくて“」
「…海崎リジー、私もその八つ当たりに参加させてもらうわ、もう一個の銃を頂戴」
だろ?八つ当たりしたくなるだろ?お前の計画止めたのこんな行き当たりばったりな性格してんだよ。
「!…アリス知ってます!これは傭兵リジーと生徒会長リオを本当のパーティーメンバーにすることが出来る特殊戦闘イベント!!」
まぁ、そう言うことになるのか?
「ところでアヴァンギャルド君は?」
「うむ、粉々に吹き飛んだわけでは無かったから応急修理だけ済ませて俺のパワードスーツと一緒に表に置いてる」
アヴァンギャルド君の戦闘能力を考えるとミレニアムのガードロボとして置いといた方が治安維持にも繋がると思うんだよな。
「それとこんなこともあろうかと、ちょっとした演出も入れれるようにしてあるんだ」−カチッ⭐︎!
「「「“?“」」」
電気が全て消えて最初にアリスが照らされる。
『勇者アリス:LV99』
「おぉ〜〜〜!見てくださいモモイ!アリスのレベルはカンストしてます!」
次にモモイが照らされる。
『賢者モモイ:LV99』
「なんか私賢者になってる!?」
魔法使いから覚醒したなら賢者でしょそりゃ〜。いや〜これ用意すんの苦労したわ、ポケットマネー使って作った。
次にミドリが照らされる。
『僧侶ミドリ:LV99』
「な、なんか恥ずかしいけど、テンション上がるかも」
ミドリの回復でタンクいないのに絶妙に堅かったからな。
後ろでグレランを撃ってた子が照らされる。
『ボマーユズ:LV99』
「す、凄い、この演出今度ゲーム作る時に……」ブツブツ
横で調月リオが呆れた顔をしてる気がするけど。たまにはこんなのも良いだろ?ゲームとかやったことなさそうだし。
そして先生が照らされる。
『シャーレ先生:LV99』
「“あ、私も99レベなんだ?“』
そしゃそうでしょ、これはラスボスが終わった後のオマケ。
『勇者パーティー:ゲーム開発部』
「モモイ!ミドリ!ユズ!見てください!アリスたちのパーティー名です!」
「リジーってほんとはゲーム詳しいでしょ!何この胸踊る演出!」
いやまぁこっちの世界のゲームを知らないのは嘘じゃないぞ?色々と忙しかったし。
次は俺たちの陣営がライトアップされていく。
『司令塔リオ:LV99』
「…はぁ、リジー、あなたの考えることが分からないわ。でも……そうね。こう言うのも悪くないわ」
そうだろ?楽しんだもん勝ちなんだよこれは、VRゲームだとでも思えば良い!
今度は俺ではなくいつの間にか調月リオの隣に居た飛鳥馬トキが照らされる。
『護衛トキ:LV99』
「…トキ!?いつからそこに居たの!?」
「今です。リオ様…私もその八つ当たり、参加したいと思いまして」
この演出始まってからず〜っと隣に居たぞ彼女。多分俺が雑談してる時に到着したんじゃないか?
最後に俺が照らされる。
『傭兵リジー:LV99』
「ふははは!覚悟するが良いゲーム開発部!今度は負けんぞ!」
『シークレットボス:エリドゥ』
「エリドゥ、なるほどね」
お?結構露骨過ぎたかな?
「エリドゥは調月リオの計画の始まりの地であると同時に、俺たちの計画の終着点!さぁ勇者たちよ!剣を取れ!杖を取れ!拳を掲げろ!お前たちの冒険はまだ終わっていないぞ!……勇者なのだろう?アリス」
モモイたちが必死になって何度ども立ち上がった。女王でも魔王でもない。ただのアリスのために。
「はい!アリスは……アリスは勇者です!行きます!」
「光よー!!!」
−−−この後の結果は、俺たちだけの秘密とさせてもらおうか