「全部くれてやる!」
ヒエロニムスに向かってSMGの弾丸を撃ち尽くす勢いで弾幕をばら撒く。
『ーー!』
相手の杖が少し傾いたかと思えばどこからともなく光弾が現れるし魔法陣が突然出てきて爆ぜるから回避が出来ない。が、そこはやはりこの分厚い装甲には効果が薄いようだ。
ヒエロニムスが召喚をして幽霊モドキが現れた瞬間俺はSMGからMGに持ち替えた。
「お次はMGの弾丸だ!」
幽霊モドキは一気に薙ぎ払うことができるが、どうやら何度でも復活できるようで次から次へとやってくる。
「だったら貴様を先に倒すだけだ!」
両足と右腕のブースターを噴かして一気に接近してあいつを殴り飛ばす。そして壁に叩きつけられたところに腕部のRL、肩部のミサイルそしてMGを撃ちまくる。
「そしてこれも受け取るが良い!」
RGを少しだけ溜めて撃つとヒエロニムスを貫通して壁も貫通した。
「素晴らしい…荒々しくだが洗練された動きは戦場で培われた技術!それはそなたと言う存在をより一層引き立てる。これも一つの芸術か!」
「やかましい!ヘイローがないやつは黙ってそこで見てろ!」
手元が狂うだろうが!
ヒエロニムス自身も黙ってやられるつもりはないのか手に持っている杖で殴打して距離を取った。
「忘れ物だぞ!」
今持ってる全部のミサイルを撃ち尽くして空っぽになったミサイルのポッドも投げ飛ばすが、俺も魔法陣からの爆炎を食らった。
『損傷軽微、この攻撃はあまり受けないようにしてください』
(出来れば避けてるって!)
無限湧きする幽霊モドキは攻撃力こそは高いみたいだが装甲はそこまでないみたいだ。乱雑にMGを乱射するだけである程度は倒せる。だけどやっぱり痛いのはヒエロニムス本体の攻撃だな。いつ攻撃してくるのか分からない。
「……よし」
距離を取ると厳しいなら突っ込もう。
武器を全部仕舞ってブースターを噴かして殴りに行く。
『ーー!?』
「流石にこれは予想外か?」
ヒエロニムスの頭部だと思われる部位を殴り、膝蹴りを胴体に食らわせる。
『ーー!』
「うぉ!」
両腕の杖で俺を殴り更には自爆に近い攻撃を仕掛けてかなりの距離を離された。それだけ近づかれたくないってことか。
『リジー、RLが先ほどの打撃で破壊されました』
(マジか、これ使い捨てのミサイルポッドと違うんだよな。投げ付けるわけにもいかないし、室内だから距離を取っても崩れ落ちる可能性もあるから使えなかったし……距離?)
俺は思い浮かんだことを実行するためにヒエロニムスから直線上に距離を取る。幸いにもここは俺が壊したところ以外は一直線、ヒエロニムスのいる場所は左右に避けることが出来ない場所だ。
『リジー、このまま距離を取るとRGとチャージビーム、SR以外は射程圏外になります』
(それで良い!むしろそれが狙いだ!)
追撃を避けながら十分な距離を稼いで体勢を変える。
(コン!全速力でヒエロニムスに突っ込め!)
『……なるほど。了解です。全ブースター起動、衝撃に備えてください』
ブースターの燃料を使い切る勢いでヒエロニムスへと突撃する。どうやらあいつも俺の考えに気付いたようで更に弾幕が激しくなった。
『損傷率20%、戦闘可能領域です』
「マエストロ!偉大なる芸術家よ!貴様のヒエロニムスは強い!だが俺はこんなところでは立ち止まれないのだよ!貴様の天使は天にお帰り願おう!!」
ヒエロニムスの眼前まで近づき、俺は拳を振り抜き彼の胴体を貫いた。腹部に風穴を開けた彼は静かに崩れ去り、残ったのは拍手をするマエストロだけだった。
「海崎リジー、憤怒の代弁者よ。正直に言おう、私はそなたが未完成とは言えヒエロニムスを超えることなど不可能だと思っていた。神秘を宿さぬその機械仕掛けの器に、人工天使を地に堕とすことなど出来ないと。あぁ、だがそれは私の間違いだったようだ。そなたを二度侮ったことをここに謝罪しよう。そして、そなたのその輝きに喝采を!」
−−−パチパチと響き渡る拍手の音を聴きながら俺は先へと進んだ