あのカイザーマンの一件から一週間、ビクビクしながら過ごしていたけど特に左遷の話とかが上がってこなかった。左遷の話がないってことは、カイザーPMC理事のことを黙っているかもしくはカイザーPMC理事はホシノの誘拐に関係してないと判断されて要注意状態なのか。
「分からん、あぁ分からんぞ!」
「何が分からないのですか?」
「そんなのこの後のことに決まってるだろ!いつ左遷させられるか恐ろしくて恐ろしくて………出て行け黒服ぅう!!」
突然部屋に現れた黒服に対して思わず右フックを打つが後ろに一歩下がるだけで避けられた。
「おやおや、嫌われてしまったものですね」
「白々しいわ!いやそれ以前に勝手に部屋に入るな不法侵入者め!」
個人的にそこまで嫌いではないけど今は一人で考えことしたい気分だったんだよこっちは!
「えぇい、私に何か用か!?」
「用も何も……あなた、どう言うつもりですか?」
「何がだ!」
黒服は落ち着いた足取りでカイザー理事の椅子に腰を掛けて肘を着く。
「なぜ、小鳥遊ホシノの救出に手を貸すような真似をしたのですか?あのような道化を演じてまで…あなたにメリットは無かった筈ですよ?」
「……私をバカにするのも大概にするんだな…黒服、貴様の『神秘』とやらの研究計画が破綻していたことに気付いていたわ!」
「…ほう?何故そのような答えに至ったのか聞いても?」
これちゃんとカイザー理事演じられてる!?変なことなってないよね!?一人称私であってたよね!?
「まず、シャーレの先生とやらが居たこと、シャーレが出来ていたのは知っていたがその先生がアビドスにいるなんて知らんかった。この計画は…『先生』が居る時点で成功する筈なかったのだよ!!」
「…ふむ、続けて」
デスクに置いてあったエナドリを飲み干してデスクに叩き付ける。こうでもしないと落ち着いてらんない。
「次に!!貴様は小鳥遊ホシノはアビドス高校を“自主退学した“と言ったな!」
「えぇ、言いましたね」
「アビドスに先生が居るなら先生は小鳥遊ホシノの退学を認める顧問のサインをしたと言うことだ!だが。あの生徒に対する生徒バカのような輩がサインするか!?学校に残った後輩のために退学をする小鳥遊ホシノ退学を!この時点で私は所持もしていない区域に武力を行使して攻め入った犯罪者!貴様もアビドスの生徒を攫った犯罪者!もう詰んでいたのだよ私たちは!計画が失敗した時点で私とお前の共闘は消えた!これ以上面倒なことになる前に私は小鳥遊ホシノの誘拐をしていないと言う方向に舵を切っただけだ!」
ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ。
「…なるほど。どうやらあなたはただ強欲なだけの人では無かったようだ。私もあなたのことを侮っていたと言うことでしょう」
「……言っておくが私は実際に小鳥遊ホシノなど攫ってもいないしどうでもいいとすら思っている。貴様が勝手に執着しているだけだ…私の目的はいつだってただ一つ、砂漠にあると言われている兵器を手に入れることだ。邪魔をするなよ黒服」
一気に捲し立てるように言ったけどこれ大丈夫か!?あなたは邪魔者のようですね。ではこうしましょうって感じでボイスレコーダー出てきたらどうしようもないぞ。
「……仕方ありません。小鳥遊ホシノのことに関しては手を引くとしましょう。どちらにせよそうすることしか出来ないようですのでね…ねぇ?『先生』」
「…なに?先生…だと?」
後ろを振り返るとシャーレの先生が扉を開けて立っていた。
「“…黒服“」
「それでは私は失礼させて頂きます。聞きたいことは聞けましたので」
「…貴様!最初からこれが狙いで!」
「さぁ?なんのことでしょう?それこそ“証拠“がありません」
おいおいおい今の会話を全部先生に聞かれてたってこと!?終わった。せめてカイザーマンのことをシラを切ることが出来れば最低だけど権力にモノを言わせて誤魔化せたのに!
−−−どうやら俺にとってのラスボスは黒服ではなく先生らしい