成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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五十七話 ここが子ウサギ公園かぁ、なんか絡まれたんだけど

 

 「ほぉ、なんかテントとか色々と置いてあるな。不知火カヤが言ってたがホームレスが多いらしいな」

 

 今日は計画を実行するための準備の為に子ウサギ公園に来ていた。今の所は人の姿なんて見えないけど、先生が動かせそうな生徒を探さないといけないしな。

 

 −カチ☆!

 

 「ん?」

 

 −チュドーン!

 

 「どうわぁああああ!?」

 

 何かが嵌る音がしたと思ったら突然足元が爆発して俺は空に飛ばされた。

 

 「あいた!?」

 

 そのまま頭から落ちてカバンとか諸々が周囲に散らばってしまった。

 

 「なんっで公園に地雷なんか設置されてるんだよ。おかしいだろ」

 

 幸いにも俺自身に損傷はなく本当にただただ吹っ飛ばされて物がばら撒かれただけだった。それにしても何故不知火カヤは食料の類を多めに持っていけと言ったんだ?あれか?身ぐるみ剥がされないようにか?

 

 「まぁ良いか、荷物を拾って次の場所にうわぁあああ!?」

 

 今度は足元が抜けて落とし穴に嵌ってしまった。サイズが俺よりも小さかったせいで腰から下が埋まって動けない状態になった。

 

 マジか、なんでこんな古典的なトラップが地雷の隣に置いてるんだよ。

 

 「地雷が爆発する音がしたから来てみれば、なんか落とし穴に嵌っているな」

 

 自力では抜け出せなくてどうしようかと思っていると、ウサギのヘルメット?を被った少女が珍獣を見つけたような視線を向けてきた。

 

 「……そこのキミ、ちょっと抜けるの手伝ってくれないか?」

 「…いや侵入者の手伝いするわけないだろ?なんの用があってここに来たのか知らないけど、侵入したからにはタダじゃ返さないからな」

 

 えぇ、なんか縄張り宣言してるんだけどこの子、え?子ウサギ公園って公園だよね?

 

 「…じゃあそこの弁当上げるからその代わりにこの穴から引き上げて欲しい」

 「……弁当?……っは!?和牛ステーキ弁当だって!?」

 

 不知火カヤに食料を持っていくようにと言われていたのをすっかり忘れてて急遽近くにあった弁当屋で用意したけどどうだ?

 

 「ちょ、ちょっと待っていろ!…こちらRABBIT2、RABBIT1、現在ポイントA(アルファ)で不審なオートマタが落とし穴に嵌っているのを確認した。そのオートマタは交渉を持ち掛け落とし穴から出せば和牛ステーキ弁当を渡すと言っている。私の独断で判断する事が出来ないから至急応援を頼む!」

 

 全部丸聞こえなんですけど。え?落とし穴から出してくれたら弁当あげるって言っただけなんだけど。

 

 「サキ、その話は本当ですか?」

 「ミヤコ、あそこを見てくれ、あの弁当のラベルを!」

 「……これは!確かに和牛ステーキ弁当です」

 

 なんか増えた。一人から四人に一気に増えた。えぇ、そんなに弁当欲しかったの?

 

 「そこのオートマタ、和牛ステーキ弁当の数は幾つですか?」

 「え、8個だけど」

 「「「「8個!?」」」」

 「……どうしてそれほどの和牛ステーキ弁当を持っていたのか聞いてもよろしいですか?」

 

 なんで俺は尋問されてんだ!?弁当持ってる事がそんなにおかしいのか!?

 

 「な、なんでって友人と食べる分をストックしようと思って買ったからだけど」

 「では何故和牛ステーキ弁当なんでしょう?これはかなりの高級品の筈、それを8個も買って、しかもこの公園に居る。怪しいじゃないですか」

 「それは急いでたからだっての!弁当買うの忘れて急いで近くの弁当屋に走って一番良い弁当を急いで欲しいって頼んだんだよ!ここに来たのは偶然だ!家に帰る途中でショートカットしようとして通ったんだよ!」

 

 いやこれは嘘だけど弁当の話は本当、どの弁当が良いのか分からなかったから一番良いのを頼んだらこれが出てきた。

 

 「本当ですね?嘘偽りないですね?」

 「ないよ!?逆になんでそこまで疑われなくちゃいけないの!?」

 「……サキ、この人を穴から出すのを手伝ってください」

 「分かった!」

 

 その後、左右からガシッと掴まれた俺は軽々と持ち上げられ穴から抜けた。

 

 「……ヘイローの有る生徒と俺の力の差ってなんだ???」

 

 黒見セリカもアリスも俺のこと引き摺れるしヘイロー有りのキヴォトス人はみんな力持ちなのか?

 

 「何をブツブツと独り言を言っている?モグモグ」

 「和牛ステーキのお弁当なんてSRTに居た頃も食べたことなかった…モグモグ、美味しい〜」

 

 SRT?えっと、なんだっけな、どこかで聞いた覚えがあるんだけど…どこだっけ…あ、そうだ。連邦生徒会の特殊部隊で構成された学校だっけか?連邦生徒会長が居なくなってから彼女たちを制御出来る人が居ないとかなんとかで学校が無くなったとかなんとか。

 

 「まさか廃棄されていない弁当を食べる事が出来るなんて、しかも高級品」

 「それだけじゃないですよモエ、8個あると言うことは一人2個食べられます」

 「確かに!」

 

 え?俺は何を食べてるかって?弁当のついでに買ったコンビニ肉饅。カバンが丈夫で良かったわ。

 

 「“あれ?リジー…偶然だね“」

 「…先生か……つまりいつものアレだな?」

 「“そう思われてるのはちょっと不本意だけど、まぁそうだね、いつものだよ“」

 

 つまり先生が独断で動かせる生徒は既に居たってことか……いやこんなトラップだらけの公園でよく普通に歩けるな先生。メンタルバケモンか?

 

 「なんだ、お前の言う友人って言うのは先生のことだったのか?」

 「あぁ、友人ではあるんだが友人違いだな。先生とここで会ったのは偶然だ。それで?先生はここで何をしているんだ?」

 「“えっと、今はこんな事をしてるかな“」

 

 防衛室長である不知火カヤから温情を受けてこの生徒たち… RABBIT小隊の事を任されて今は見守っている最中だとかなんとか…彼女絶対にこの事も忘れてただろ?いや、その原因は俺にもあるから何も言えんか。

 

 「“そう言うリジーはどうしてここに?“」

 「実はこの前道路の爆破事件が起こっただろ?そこの補修工事をする為の防衛を依頼されてな、PMCとして」

 「“そっか、それで子ウサギ公園に“」

 「いやそれは完全に偶然だ。家に帰る途中でショートカットしようとしたらトラップに引っ掛かったが」

 

 先生は「あ〜」と苦笑しながら自分もトラップに引っ掛かり掛けたと言った。いや笑い事じゃないんだが??なぜ自分の体を大切にしないんだお前は!

 

 「それじゃあ特に用も無いから俺は帰る。じゃあなRABBIT小隊諸君、今回の借りはその弁当で返したからな」

 

 俺は先生とRABBIT小隊に手を振り、帰り道を歩く。

 

 「はぁ〜すっかり暗くなってしまったな。まさかあんな事になるなんて、けどまぁ先生が既に動いていた事が確認できたし収穫はあったな」

 

 後はどう先生にあの書類を盗んで貰うかだが…う〜ん、今の所良い案が浮かばないな。

 

 「そこのお方少し失礼」

 「ん?なんだ?」

 「少々お話したい事があるのでついてきてもらってもよろしいでしょうか?」

 「済まないがこれから片付けないといけない仕事があるから無理だ。別の人に頼んでくれ」

 

 えぇっと、まだ書類の整理が終わっていないからそうだな、ヴァルキューレがカイザーコーポレーションと癒着していたと怪しませる為にまだ残っているカイザーインダストリーとの取り引き書類をあの書類に混ぜて、ヴァルキューレにその装備を持たせる事にしよう。そうすれば間違いなく先生は動く筈。

 

 「仕方がありませんねぇ」

 「…その後は……ぐぁああ!?」

 「なに!?ッグハ!」

 

 背中に突然痺れるような痛みが走り咄嗟に相手を投げ飛ばす。足元に落ちた物を見るにどうやらスタンガンを当てたらしい。

 

 「ぐぅ、お前、なんのつもりだ!」

 「…いやはや、まさか信号回路を狂わせた筈ですのに投げ飛ばされるとは、さ、それでは行きましょうか。我々のアジトへ」

 

 身体中の動きが鈍くなり思うように動かせない、そうしている間に俺は正体不明の相手の仲間に連れて行かれた。

 

 【 早朝 】

 

 

 「……おい、なんで先生までここに居るんだ」

 「“え〜っと、リジーと別れた後に誘拐されたから…かな?“」

 

 なんじゃそりゃ!

 

 「体調は如何ですか?」

 「宜しくないな、俺の機嫌が」

 「問題なさそうでしたら何よりです。下手なおもてなしで何かあったらどうしようかと」

 

 無視かよ!なんだこいつ。

 

 「ご挨拶遅れました。私はデカルト、この組織「所有せずとも確かな幸せを探す集い」…通称「所確幸」を率いるリーダーです」

 「……はぁ、おい先生、こいつはお前に用があるんじゃないのか?」

 「“いやリジーにもでしょ、誘拐されてるし“」

 

 そうだよなぁ。でも俺、アリウス学園の先生だからもう宗教としてはそっちに入ってんだよね。なので宗教勧誘はお断り。

 

 「あなた方がウサ耳の生徒と仲良くしているのを私の仲間が見ているのですよ!その生徒を使って食べ物を強奪している所をね!」

 「「“……はぁ?“」」

 「“えっと、なんの話?“」

 

 珍しく先生と意見が合ってしまった。マジでなんの話だ?俺あの子たちに弁当あげただけだよね?

 

 「…私たちは時にこう呼ばれます。「穀潰し」あるいは「社会の膿」と、しかしそれはどちらも的を射ていません。私たちは何もしないのではなく」

 

 「ただ「無所有」を実践しているだけなのです!」

 

 何が言いたいのかさっぱり分からん。

 

「キヴォトスの人はあまりにも多くの物を所有して「おいデカルトとやら」…なんでしょう?」

 「さっさと本題に入れ!!俺は暇じゃないんだ!!!つまりお前たちは何が言いたいんだ!!!!」

 「は、はい!では本題に入りましょう!」

 

 腕を縛られた状態だけど俺が凄むとデカルトは慌てて誘拐した理由を話す。

 

 「あなた方があのラビット小隊なのかウサギ小隊なのか知りませんがそのリーダーであることは確か!さぁ約束してください」

 

 「今後「焼肉弁当」が廃棄されていたらそれは私たち「所確幸」に譲ると!後あの「和牛ステーキ弁当」も!」

 

 俺と先生はお互いに顔を見合わせる。

 

 「まず俺とあの子たちは初対面だ。リーダーじゃない、後なんで貴様に弁当買ってやらねばならんのだ」

 「“それに私はあの子たちの先生であって、あの子たちは部下じゃないし“」

 「部下であろうと生徒であろうとどちらでも構いません。あなた方の言う事は聞くのでしょう?」

 

 ダメだこいつ話が通じないタイプの相手だ。

 

 「なんですかその微妙な表情は、先生だと言うのに自分の生徒も律する事ができないのですか?」

 

 先生の表情からしてそうなんだろうなぁ…

 

 −−−はぁ、どうやってこっから抜け出そう?

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