成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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六十話 そろそろ作戦開始といこうじゃないか!

 

 「今朝、先生が連邦生徒会にやって来ました」

 「…ふむ、要件は何だった?」

 「予想は付いていると思いますが、子ウサギ公園の設備に関する事でした。結論から申しますと手伝うことは出来ませんと先生にはお伝えし、RABBIT小隊の事はそのまま先生にお任せしました」

 

 まぁ全くの無傷とはいかなかったしな。

 

 「後は予定通りカンナさんをカイザーインダストリー製の武器を持たせて子ウサギ公園へと派遣、今頃は先生と交戦中か交渉中のどちらかでしょう」

 「イレギュラーが無ければ先生とRABBIT小隊が動くのを待つだけか」

 「早ければ今夜、カイザーコーポレーションとの癒着が明るみに出ることになるでしょう…ですがあの偽装書類を見て先生が通報しない場合はどう対処しましょう?」

 「ははは、そんな事があれば先生は真っ先に俺のところに確認しに来るだろう。なんせガラスの製造に水族館と色々と事業に手を出したから」

 

 今にして思うが俺って何がしたいんだろうな?明らかにPMCがする仕事じゃないだろ。それこそコンストラクションやインダストリーの管轄だし。

 

 「今戻りました。予定通り先生と接触し、RABBIT小隊に資金不足なのに装備が良過ぎると言う不信感を抱かせました。これならば今夜辺りに彼女らが例の書類を盗みに来るかと」

 「じゃあ後は早過ぎず遅過ぎずのタイミングでRABBIT小隊に攻撃を仕掛けるんだ。その後は先生に書類が届くのを待ち、後は俺に任せてもらおう」

 

 ただ、不知火カヤは先生が通報しない場合のことを言ったけど。間違いなく先生は通報せず俺の所にやってくるだろうな。先生にはそれなりに信頼されている気はする。アビドスを任せられる位にはな。

 

 「……本当に大丈夫でしょうか。いえ、カイザーさんを疑っている訳ではないのですが。こう、先生は少々………大分と、予想外の行動をしますので不安です」

 「…それは分かる。エデン条約の時もいきなり先生からトリニティの現状を聞かせられたからな。聞いてしまったら断れない案件ってやつだ」

 「それを一日で解決したあなたは一体何なんですか?あなたも大概規格外だと思います」

 

 まぁ、それはそうだな。俺もまさか巡航ミサイルを撃ち落とす事になるなんて思っても無かった。

 

 「それでは私は失礼します。今夜に備えなければいけませんので」

 「任せたぞ」

 

 カンナは一礼して防衛室から出て行った。俺も少し不知火カヤと打ち合わせをしてから先生が来る前に一旦会社に帰る事にした。

 

 【 深夜 】

 

 『理事…お客様です』

 「ん?こんな時間にか?相手は?」

 『先生です。何やら急を要するらしく理事に会わせてほしいと言っていますが?』

 「通してくれ」

 

 よしよし、今の所は予想通り!先生なら書類を受け取ったら真っ先に来ると思ってたぞ!

 

 内心でガッツポーズを取っていると先生が入ってきて例の書類を俺に見せてきた。

 

 「“リジー、この書類に見覚えはある?“」

 「…なんだ?それは……待て、封筒なら見覚えがあるぞ。それは確かカイザーコンストラクションが良く使う封筒だった筈だ。それが?」

 「“実は今日こんな事があって——“」

 

 先生からは大体カンナから聞いた事と同じ事を聞いて、その後ヴァルキューレに侵入したRABBIT小隊がこの書類を見つけてきたと言う事を聞いた。

 

 「……なるほど。カイザーコンストラクション、インダストリーとヴァルキューレが癒着していると疑ったRABBIT小隊がその証拠を入手して、先生は俺が関係しているんじゃないかと?」

 「“厳密に言うなら、リジー…何かこの事について傭兵業の方で知ってたんじゃない?“」

 

 なるほど、そっち方面で聞いてきたか。

 

 「そうだな。確かに知っている」

 「“それじゃあこの事はずっと放置してたって事?“」

 「いいや?俺はあくまで知っていると言ったんだ。そもそもコンストラクションやインダストリーとは管轄が違う。あれを作ってくれ、あれを建築してくれと仕事を頼む事は出来ても細かい事にまで首を突っ込む権限がないんだ」

 

 先生の顔が少し強張ったのを見て俺は放置していると言うところだけは否定した。

 

 「証拠が無かったんだよ。証拠が、傭兵を潜入させていたが、あいつらを潰せるだけの証拠が見つからなかった。まぁ先生が持って来てくれたが…」

 「“そっか…それを聞いて安心したよ。今のリジーが脅迫や癒着をしてるとは思えなかったから“」

 「癒着や脅迫はしてないが犯罪はしてるぞ。それは良いのか先生」

 

 俺がそう聞くと先生はスッと目線を逸らした。

 

 「“………まぁ、私も銀行強盗を手伝った事あるし“」

 

 そうだったな。俺が成り変わった時には小鳥遊ホシノが誘拐された後だったから忘れてたけど先生、一度覆面なんちゃら団とかやってたな。

 

 「…明日は色々と忙しくなるからしばらくは此処に来ない方が良いぞ。クロノススクールからの猛烈なアタックを受けたいなら構わんが」

 「“あ〜〜流石に私まで関係してるって思われるのは不味いよね?“」

 「そうだな。先生が癒着問題を解決した事がニュースになると残党が先生に襲い掛かるかもしれない。だから暫くうちの会社には来るな。少なくともクロノススクールの生徒が居る間はな」

 

 俺ちょっとクロノススクールの子は苦手なんだよなぁ。何と言うかいつも大袈裟と言うか何と言うか。まぁ今回はそれが役に立つ訳だけど。

 

 「それじゃあ先生、お前は公衆電話かどっかで匿名の電話をしろ。この書類は俺が預かっておく」

 「“分かった…でも珍しいね?こう言う事は事前に連絡してくれっていつもの言うのに二つ返事でオッケーなんて“」

 

 しまった!スムーズに進んでいた事が逆に違和感を持たせてたか!

 

 「今回の件は前々から俺が目を付けてた事だからな。そこまで驚く事じゃなかっただけだ」

 「“そっか……“」

 

 先生は「“コーヒーご馳走様“」とマグカップを片付けてから帰って行った。先生の姿が見えなくなった所で俺はエンジニア君に連絡を入れる。

 

 『何ですか?理事』

 「エンジニア君、明日はちょっとクロノススクールの生徒を連れて来るかもしれないから、アリウスの子たちが居る場所にクロノススクールの生徒を近付けさせないようにしてほしい」

 『……なるほど、分かりました。アリウス生徒たちにあの学校の生徒は少々、刺激が過ぎますからね。念入りに規制しておきます』

 「よろしく」

 

 −−−よし、これで大体の問題は片付いたな。後は俺が本番でポカしないだけだ

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