成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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六十一話 質問は手を上げてからしろぉ!!

 

 「お〜やってるやってる」

 「理事…これもあなたの計画ですか?」

 「まぁ、そんなところか、ってかエンジニア君は会社に居てても良かったのに」

 「クロノススクールの生徒が会社に来ると言うのに呑気にメンテナンスしてられませんよ」

 

 うん、それはそうか。立ち入り禁止の区域に普通に入りそうな雰囲気あるんだよな。ただそれは今は良いとして今はクロノススクールの生徒に囲まれてるカンナを助けないとな。

 

 「退け!カイザーPMCだ!昨晩匿名でヴァルキューレ生徒諸君の保護を頼まれた!」

 「…!カイザー理事」

 

 俺と兵士たちに気付くとカンナは少しホッとした様子で俺を見た。

 

 「カイザーコーポレーション系列のカイザーPMCまで出てくるなんてこれは真実味が出てきました!」

 「少々質問をしても宜しいでしょうか!」

 「ダメだ。今は彼女たちの保護が最優先事項、質問はその後だ」

 

 俺は質問を答える事をハッキリと拒否し、カンナたちの保護に取り掛かる。これでまだ質問をしてくるようなら少し痛い目を見てもらうからな。

 

 「つまりカイザーコンストラクションとの癒着を認めると言う事ですか?」

 

 クロノススクールとは別の格好のやつが質問をしてきた。どうやらクロノススクールの子たちもそこら辺の常識はあるみたいだな。

 

 「言った筈だ。質問は後で答えると、その回答を今この場でする必要はない」

 「しかし我々は真実をキヴォトス中に届ける義務があります!カイザーコンストラクションが防衛室を脅しヴァルキューレの資金を横領していたのは事実なのでしょうか!?」

 

 別の記者が俺にマイクを向けながらそう聞くと事情を知らないヴァルキューレ生徒たちがザワザワとし始めた。

 

 ッチ!余計な事しやがって!

 

 「その上ヴァルキューレ内部に侵入され施設を一部破壊されたと「おい」…何でしょう?」

 「質問は後だと言った筈だ……私の仕事は貴様らの質問に答える事ではなく彼女たちの保護………これ以上私の邪魔をすると言うのなら実力行使をする事も考慮されている。さぁ…選べ、その言葉の先を言ってご自慢のマイクとカメラを破壊されるか。キヴォトス中の人と共にアレやコレやと考察しながら待ち、私が質問に答えるのを待つか……」

 

 少し威圧をしながら睨み付けると記者やリポーターが一斉に退いた。クロノススクールだけは後ろを付かず離れずの位置で着いてきてるけど。まぁ着いてくるだけなら問題ないか。

 

 「…良かったのですか?あの者たちを無視しても」

 「変な事を報道するようならその会社を名誉毀損で訴えるだけだ」

 「それに態々PMCに喧嘩を売るような酔狂な人は…あの二人以外いないでしょうしね」

 

 エンジニア君が後ろにいる目を輝かせながらマイクを構えてるクロノススクールの二人を見ながらそう言うが、まぁそうだろうな。あの子たち本当に自由と言うか何と言うか。調印式の時も色々言ってたからなぁ。俺が質問は後だって言って質問を止める辺りまだマシな方だけど。

 

 「カンナ、お前はエンジニア君と一緒にあっちの区画にいって後は俺に任せてほしい」

 「分かりました。お任せします」

 

 俺はカンナたちを送り届けてからクロノススクールの二人を手招きした。後のリポーターとかは勝手についてくるだろ。

 

 【 PMC本社・会見場 】

 

 「え〜ではこれより今回の件についての記者会見を開きたいと思う。質問がある者は挙手を」

 「はい!」

 「そこのキミ」

 「私はクロノススクール報道部所属の川流シノンと申します!今回匿名でカイザーグループとヴァルキューレがリベートをしていると言う情報がありましがこれは事実でしょうか!」

 

 いやキミ挙手早いな、俺が挙手の「挙」を言い終わる前に手を上げるじゃん。

 

 「昨晩、深夜に匿名でこの書類が届けられた。故にその情報は事実だと肯定しよう」

 「つまりはあの脅迫文書も事実と?」

 「それも肯定する。届けられた資料の中に隠し撮りと思われる公安局長の写真が入っており。防衛室長はこちらを外部に漏らせば公安局長の命は無いと脅されていたようだ。これがその書類となる」

 

 −ザワザワ!

 

 プロジェクターで偽装書類の内容を映すと記者たちはザワザワとし始める。良いぞ〜もっとザワつけ。

 

 「カイザーコーポレーションはこれに対してどうコメントを?」「それはいつからだったのでしょう?」「カイザーPMCはこれを知りながら放置していたと言う事ですか?」「今回の件についてカイザーグループはどのように責任を取るのでしょうか!?」

 

 ……おい、ザワつけとは言ったが質問をして良いとは言ってないぞ。質問する時は挙手しろって言ったよな?見ろ!クロノススクールの二人なんて生徒だからなのかまるで授業を受けてる生徒みたいな姿勢でジッとしてるぞ!マイク構えてるけど。

 

 「もしや調印式での件もカイザーグループが関係していたのでしょうか!」

 「ん?」

 

 なんで今エデン条約の時の話が出るんだ?

 

 「調印式での襲撃はトリニティやゲヘナに恨むを持つアリウス分校の生徒が主導し動いていたとか!」「アリウス分校は謎の武装集団によって鎮圧されてからカイザーグループに保護されたと情報が!」「カイザーPMC理事がアリウス分校を引き継いだと聞きましたが本当ですか!」

 

 ……ッチ、上のやつがこれを機に全部の責任を俺に擦りつけようとカイザーコーポレーションの息が掛かった記者を紛れ込ませたな?

 

 「そんな危険な生徒野放しにして良いのですか!矯正局へと送るべきだと言う意見が上がっておりますが!」

 

 な〜るほど。そこのお前か…。

 

 俺は最後の質問をしたロボ市民を見て確信した。あいつがカイザーコーポレーションの記者だって事に。

 

 −バキィ!

 

 俺は会見用の机を拳で叩き割って周囲を黙らせる。PMCの理事がこんな事をするなんて誰も想像しないだろうからな。

 

 「質問は挙手をしてくれと言った筈だが?」

 「し、しかし我々は真実を世間に……!」

 

 「貴様ら全員黙って座れ!!!質問はある者は挙手をしろ!!!それが出来ない者は今すぐにここから出て行くが良い!!」

 

 PMCスタイルはやっぱ俺には合わないな。ここからは傭兵スタイルで行かせてもらう。

 

 最初に机を叩き割った印象が強かったのか誰もが黙って何も言おうとしない。これじゃあ何で集めたか分からないじゃないか。

 

 「は、はい!」

 「そこの貴様」

 「クロノススクール報道部所属の風巻マイと言います。今回カイザーグループが起こした問題についてどのように対処するおつもりですか!」

 

 またクロノススクールの子か、勇気あるなぁ〜大人全員黙ったのに。

 

 「今回の件は俺としても重く受け止めている。キヴォトスの中心とも言える連邦生徒会を脅迫していたと言う事実はとても許せる事ではない。なので今回子ウサギタウンの再開発を主導していたコンストラクション、それとヴァルキューレの資金を巻き上げ装備を提供していたインダストリーは倒産。ヴァルキューレから巻き上げた資金は我々PMCが返済すると言う処置になる」

 

 これで防衛室がカイザーと繋がっていたと言う事実は無くなった。ヴァルキューレと防衛室は被害者。その責任はカイザーグループの幹部でもある俺が責任を持つと言えば問題はない。これに関してはな。

 

 「それと調印式の事について質問をしていたな?…俺の生徒を俺が引き取って何が悪い?」

 「せ、生徒!?つまりカイザーPMC理事がアリウス分校を引き継いだと言うのは本当なんですか!?」

 「川流シノン、質問の時は挙手を」

 「あ、すみません」

 

 ふぅ〜やっぱり来るよなアリウスについての質問、この反応を見るに川流シノンもこの情報は初耳だったらしいし。

 

 「事実だ。詳しい情報はトリニティやゲヘナから許可を得なければ話せないが。アリウス分校の生徒たちは洗脳されていた。彼女たちの自身に調印式を潰すと言う気持ちは全く無かったと言うのが俺から言える事だ。詳しく知りたいならゲヘナやトリニティに行くんだな」

 

 ん?いま扉の先からチラッとユスティナ生徒が見えた気が……確かユスティナ生徒はアリウスの生徒を守るように行動していた気がするし。このままアリウスに対する質問が続いてたらあの子ら入ってきてた?………こわ。

 

 「し、しかし同じ事が起こらないとも限りませんしやはり矯正局に送るべきでは?」

 「………………」

 「あ、あの?」

 

 質問をした記者に対して俺はルールブレイカーを取り出し顔の擦れ擦れを撃つ。

 

 「ひ、ヒィイ!?」

 「言った筈だ。質問をする時は挙手をしろと。俺はいま、何回挙手をしろと言った?」

 「えっと、5回です」

 「教えてくれて感謝する風巻マイ、さて、つまり貴様らは俺の警告を5回無視したと言う事だ。これ以上続けるのは無駄だと判断させてもらう」

 

 やっべ今バルバラがガトリング片手に入ろうとしてた。俺が撃たなかった絶対入ってきてた。そもそも何でユスティナ生徒がここに居るんだよ!?あれか!?新しいアリウス学園が出来るからか!?

 

 「それと俺の生徒を引き取って何が悪いと言った筈だ。俺がアリウス分校の先生だと言っているのに何故気が付かない?それとも何だ?貴様はそこまでしてアリウスの生徒を矯正局送りにしたいのか?危険な事を前もって知らせる自分はカッコいい!とか思ってるんじゃないだろうな?」

 「そ、そんな事は……」

 

 ん〜……これ大丈夫か?カメラとか回ってるし完全にキヴォトス中にこの事が放送されてるよな。

 

 「今回の記者会見はカイザーグループとヴァルキューレの癒着に対する問題を聞く時間だった筈だ。なぜ、それよりも前の調印式が話題に上がる?なぜ、アリウスの生徒を矯正局に送る話になった?なぜ、今更その話をする?」

 

 …あれ?なんか俺いつもの調子で喋ってない?気のせい?

 

 「世間に真実を伝える。なるほどそれは素晴らしい志だ…。誇張しないありのままを世間に公開するのならな。この際はっきり言わせてもらうが不愉快だ。貴様のその視線も、その態度も、その言動も。今まで散々傷付いてきた彼女たちを更に傷付ける行為だとなぜ理解出来ない?」

 

 割れたテーブルを踏み越えて俺は記者たちと同じ位置に立つ。

 

 「報道の自由が何だ?真実を報道する義務が何だ?それは貴様らの都合だ。俺からすれば知った事ではない!」

 「な!?それは我ら報道者に対する侮辱と言えますよ!?」

 

 俺に噛み付いてきた記者の胸ぐらを思いっきり掴み上げる。

 

 「だったらどうした!先に侮辱してきたのは貴様だろう!俺がアリウスを引き継いだと言うことは俺はその責任を負うと言っているのだ!貴様は俺にその責任を放棄し、別の者に任せろと無責任な発言をした事を自覚しろ!!」

 

 今まで彼女たち対する責任を放棄し続けたやつが何を言うか。俺は矯正局を信用してないからな。それに水無月スズカとも約束したしな。

 

 「ここは俺の会社だ!貴様らの会社ではない!貴様らリポーターや記者がここで仕事を続けたいのならルールに従ってもらおうか!!それが出来ないと言うのなら金輪際アビドスで仕事が出来ると思うなよ!!」

 

 掴み上げた記者を廊下に向かって投げ飛ばして追い出した。

 

 「少なくとも貴様は俺の定めたルールを破った。貴様の所属する会社の取材は今後受けない事にした。精々言い訳でも考えながら帰るんだな」

 「そ、そんな…!」

 

 はぁ…これもう完全に記者会見ってどころじゃないよな。やっちまったわ。

 

 固まっている記者たちには帰ってもらってる最中でクロノススクールの二人が変わらずカメラを回して報道していた。

 

 −−−いやお前らメンタルやべぇな。よくこの空気でカメラ回せるな

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