成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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六十三話 おかしいな。なぜバレる?

 

 『理事、クロノス報道部が来てるのですがどうしますか?』

 「またぁ!?今度は何聞きに来たの!?」

 『なんでも水族館を建てようと思った経緯について取材したいとか』

 「…う〜ん、今日は仕事が立て込んでるからと断っといてくれ」

 『分かりました』

 

 あの記者会見の後、クロノス報道部は何か気になる事があったのかして猫カフェをどうして経営してるのか。ガラスの製造や漁業にも手を伸ばしてるのは本当なのかと時々取材をしに来るようになった。

 

 「えっと、時間は…そろそろか」

 

 今日は先生と理事室で待ち合わせをしている。何でも個人的に話をしたい事があるらしいから取材は受けられない。

 

 「それにしてもこんな忙しい時期に何のようだ?暫くはここに来ないようにって言った筈だけど」

 『理事、先生が来ました。いま通します』

 

 先生の分のコーヒーを淹れながら、どんな用事なのかを考える。RABBIT小隊の事か?それとも他の用事か?

 

 「“こんにちは、リジー“」

 「あぁ、で?来ないように言ったのにここにきた理由は何だ?まさか雑談しに来た訳じゃないよな?“」

 「“そうだね。単刀直入に聞くけど…今回の事ってもしかして全部リジーが仕込んだ事だったりする?“」

 

 …あれ?バレてる?今回の作戦は完璧だった筈、(一部を除いて)どこで違和感を持たれたんだ?

 

 「参考までに聞くがどうしてそう思った?」

 「“子ウサギ公園に来てた事、あそこを通って家に帰るって事はそのルートに補修工事をする現場がある事になるけど、そんな大きな工事は近くでしてなかった。それと私が書類を持ってきてからの対応が早かったからさ。ほら、リジーっていつも私が何か持って来ると凄いため息を吐くからさ、今回それが無かったしなんかおかしいなって“」

 

 おっと……どうやら俺は最初からポカをやらかしていたらしい。今回は慎重に慎重を重ねて作戦を実行したのに逆にそれが仇となったか。

 

 「……先生…俺はいま非常に悩んでいる。真実を言うべきか偽るべきか」

 「“ねぇそれ自白してるよね?自分がやりましたって言ってるよね?“」

 「明言しなければ先生のそれはあくまで先生の予想なんだよ。つまり俺がそれをしたと言う確証はまだない」

 「“もう明言してるよねそれ?“」

 「……………はぁ」

 

 こいつ生徒バカなのに変な所で勘が鋭いって言うか…賢いって言うか…。

 

 「そうだ。俺が仕込んだ…まぁ全部って訳じゃないがな、実際、防衛室はカイザーグループと癒着していたし、色々とあったんだよ」

 「“……でもリジーはそれを止めたんだよね?“」

 「まぁな、放っておけなかったしこのままじゃ大変な事になるって分かってたし」

 

 あの状態だったら俺しか事前に止められる相手は居なかったし、上の動きが最近怪しいと思っていたのもあるからな。良い機会だった。

 

 「ただ、記者会見の時は予想外だったな。ユスティナ生徒が覗いてたし、俺もかなりブチギレてたから、当初とは違う結果になった」

 「“会社を潰すと疑われるから?“」

 「そう言うことだ。今後、PMCとしては表立って動くのは難しい。精々アビドスに眠っていると言うあるかどうかも分からない兵器が出てこないのを祈るばかりだ」

 

 でもあるんだろうなぁ。兵器…そうじゃなきゃカイザーコーポレーションも大金叩いてまでアビドスを買おうなんて思わんだろ。

 

 「“もし、その兵器が出てきたらどうするの?“」

 「ん?…そうだな、その兵器が本当にどうしようもなく制御できない代物なら破壊する。だがそうでないならエリドゥの様にキヴォトスの防衛に役立ててやるさ。その位しか使い道がないからな」

 

 そもそもその兵器ってどんな形をしてるんだ?アリスの光の剣見たいな見た目なのか、それともパワードスーツのようなモノなのか、地下に埋まってるらしいしそこまで大きなモノではないだろ。

 

 「“う〜ん、どんなのが埋まってると思う?“」

 「さぁな、ただキヴォトスを支配出来る可能性がある程の超兵器らしいけどな。俺も詳しい事は知らん」

 

 なんだなんだ?やけに気にするじゃないか。良いけどさ。

 

 「………先生、少しミレニアムでのあの話の続きをしようか」

 「“あの話?“」

 「トロッコ問題…お前はこの先も決断を迫られる。どちらかを見捨てないといけない状況へとな。リオの時のように……お前はその時、どうする?レバーを引くか…それとも引かないか」

 

 これはずっと俺が先生に聞いておきたかった答えでもある。あの時、先生は答える事は無かったけどレバーを引かない事を決断した。なら今は?先生はどう答える?

 

 「“…そうだなぁ……トロッコを脱線させるかな“」

 「おい、これは二択しかないんだぞ…真面目に——」

 「“私は真面目に言ってるよ…エリドゥの一件や、エデンの時のリジーを見て考えたんだ。リジーの言ってる事は正しい、確かに詭弁だし、どの口が言うんだって思うのも分かる。それで私なりに考えたんだけど、そもそもの問題となるトロッコを脱線させてしまえばどっちも助かるんじゃないかな?“」

 

 問題となるトロッコの脱線か、それをすればもっと酷い事になるかもしれないのにか?

 

 「…それは楽観的過ぎないか?」

 「“確かにそうだね。でも、それを実現させられる人を見たらそう思っても仕方ないんじゃないかな?“」

 「ん?実現させたやつが居るのか?そんな理想を」

 「“私の目の前に居るじゃん“」

 

 先生の目の前?え〜っと先生の前に居るのは…俺か!?

 

 「ちょっと待てぇい!俺がいつそれをした!?」

 「“まずはエリドゥかな、もしリジーがリオの事を教えてくれなかったら、私もゲーム開発部のみんなもリオの事を理解しないままアリスを助けに行ってた。そしてエデン条約の時も、リジーの傭兵が居なければミカは矯正局に送られてたし、ナギサと擦れ違ったままだったかも、アリウスの子たちだってそうだよ。みんなリジーが、問題となる線路を壊したから救われた“」

 

 いやいやいや、俺部外者でしたけど!?リオを説得したのは最終的に先生とモモイたちだし、スクワッドの子を連れてきたのは先生だろ!?RABBIT小隊は間違いなく先生に懐いて居るから書類を先生に渡したんでしょうが!

 

 「先生、先生、ちょっと俺の事を勘違いしてないか?俺は先生と敵対する悪だぞ?元が付くけど、エリドゥでもアリスを犠牲にしようとしてたよな?トリニティでも聖園ミカたちを威圧してたよな?今回に関しても俺は実質騙してたよな!?」

 「“でも最終的にはみんな救われてるじゃん?“」

 「いや、そうだけどさ」

 

 −−−もうなんなの?その信頼どっから出て来るんだよ

 

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