「ふぅ、最近は記者共も大人しいし、上の方も何も言ってこないから平和だな…そうだ。先生がまた無茶な仕事をしてないか様子を見に行くか」
アビドス組には先生をしっかり見張っておくように念を押したし、これで徹夜とかしてたらまた当身を食らわせないといけない。
【 シャーレ 】
「おい先生、様子を見に来たぞ。ちゃんと休憩してるんだろうな?」
シャーレの事務所に入るが特に返事もなく、少しは減ったけども書類の山があるのは変わらなかった。山の向こうに先生が居るのかと思い回り込むが居ない。
「んん?出掛けてたか。だったら鍵を閉めろよな不用心なやつめ……それにしても散らかってるなぁ」
コンビニ弁当にエナジードリンク、傭兵業や漁業にガラス製造とPMCを兼任してる俺よりも不衛生なのは何でだよ。
「ちょっと片付けるか、瓶を踏んづけて転けたら危ないし」
足の踏み場と言うか、ここに来る生徒の為に掃除をしていると何かカードの様なモノを見つけた。
「……いやこれカードの様なモノじゃなくて完全にカードじゃねえか。しかも大人のカード……はあ!?大人のカード!?なんっっっでこんな大事なもんをこんなとこに置いてんだよ!」
慌てて先生に届けようと思い拾うとカードがパキンッと音を立てて真っ二つに割れた。
「え、えぇええええええ!?!?ウッソだろおい!?」
先生の唯一の武器が壊れた!?ヤバいヤバいヤバい!キヴォトスの危機じゃねぇか!
「これ直せるか!?」
「やっほ〜…リジーも先生に用事?」
「ほほほほほ、ホシノ!?そそそうだとも!ただ先生は居ない様だしな!うん!また来るよ!」
なんてタイミングで来るんだ!ホシノは先生LOVE勢の一人じゃねえか!折れた大人のカードを見られでもしたら。
「……何を隠してるのかな〜?おじさんに見せてみなって」
「なんにも隠してないが!?!?」
「リジーって堂々としてる時は嘘が上手いのにこう言う時途端に下手くそになるよね〜」
そんな事ないが!?全然焦ってなんてないぞ!
「ほれほれ〜おじさんに言ってみ〜?」
「お前はおじさんって歳じゃないだろ」
「隙あり」
「しまった!?」
思わずツッコミを入れてしまうとその間にポケットに突っ込んだ大人のカード(破損)を取られてしまった。
「…うへぇ〜…これってカード?」
「ホシノ?わざとじゃないんだ。ただ先生に届けようと思って手に持ったら途端に割れて「リジー」……何でしょう」
「後ろを見てみてよ」
「………?」
後ろ?
ホシノに言われて後ろを振り返ると先生が『ドッキリ大成功!!』と書かれたプラカードを持ち、その横ではモモイがカメラを構えていた。近くにリオもいてリオが申し訳なさそうな顔をしているのを見て、先生に嵌められたとようやく理解した。
「…………先生?」
「“おめでとう、このドッキリに引っかかったのはリジーで10人目だよ“」
「…ほう?俺以外にも残り9人にこれを仕掛けたと?発案は…先生だな?モモイが先生の大人のカードを壊す様なドッキリ仕掛ける筈がないしな」
「正解!先生が私にこの話を持ちかけて来て普段驚かなさそうな人を呼んでどんな反応をするのかってドッキリ!リジーが来たのはこっちが驚いたよ!」
それでモモイが一番最初に呼んだのはリオって所か、あんまり驚かなさそうなイメージがモモイにあったんだろうな。
「…先生、正座だ。今すぐそこに座れ」
「“……あれ?もしかして怒ってる?いや〜確かに悪いとは思ってるけどほら、息抜きにはちょうど良いかな〜なんて“」
「さっさと正座しろ…いますぐに」
「“あ、はい“」
「ホシノ、リオ、モモイはちょっと席を外してくれ。俺は先生と少し“お話“があるから」
「あ〜〜…うん、分かった」
「先生、親しき仲にも礼儀ありよ。ドッキリをするならもう少し軽めのモノをお勧めするわ」
「先生!……裏ボスリジーには気を付けてね!なんか凄そうだから!」
ホシノたちが席を外した所で俺はゆっくりと先生に向き直る。
「さて…貴様には言って良い冗談とそうでない冗談がある事を教えてやろう…覚悟は良いか?」
「“お、お手柔らかに…“」
−−−その後、シャーレに悲鳴が響き渡ったのは言うまでもなかった