「理事!」
「例のモノを発見したと言うのは本当か?」
「はい。我々では判断が出来ず現在はあの場に警備を置いております」
「そうか、ならそのまま警備に当たってくれ。今はアレについては放置しろ」
「「了解!」」
俺は理事室に急いで向かい、無線機を手に取った。
「スピア!いつでも傭兵たちを出撃させれるようにしていてくれ!」
『突然どうしたんだよ?またなんか厄介事か?』
「あぁ、それもとびっきり厄介な出来事だ」
『あいよ。任せな!』
次はPMC兵にパトロールに当たる職員を増員するように連絡しようとすると防衛室用の無線機から連絡が来た。
「カヤか?今は忙しいんだ。何も用がないなら後で——」
『用も何も!カイザーPMCが先生を誘拐していきました!!』
「……は?……はぁああああ!?」
カイザーPMCが先生を誘拐ぃいい!?おいふざけんなよこんな状況で何をやらかしてんだ上の奴らぁ!
『あなたの指示じゃないですよね!?そうですよね!?』
「俺の指示なわけあるか!多分、アビドス地区以外にあるカイザーPMCの会社の筈だ」
『各学園代表を説得するために先生を呼ぶ事にしたのですが。先生を迎えに行く為のヴァルキューレを乗せたヘリが先生ごとカイザーPMCに奪われどこかに逃げられました。今は行政官がどうにか会議を進めていますが。まるで纏まりがありません。私もFOX小隊の方々とヴァルキューレで先生の行方を追っているのですが。痕跡がどこにもないのです』
マズいぞ。行政官とは仕事の関係上、会話をした事があるが彼女じゃとても纏められるような生徒たちじゃない。急いで先生を探す必要が出てきたのか。
「分かった。こっちでも探してみる!」
『…カイザーさん、先生を誘拐するような方に何か心当たりは?』
「……いや、済まないが分からん。上とのやり取りは基本的に電話越しだったし、他の地区のPMCとは繋がりがないんだ」
『そうですか……私の方でも、先生を隠していそうな場所を当たってみます』
そもそも、これは上がやった事なのか?いや、絶対に上がやった事だ。タイミングがあまりにも良すぎる。
傭兵たちに先生を探すように連絡をすると次は会社用の電話から連絡が入った。
「はい!こちらカイザーPMC理事ですが」
『…元気そうで何よりだ。理事』
「ぷ、プレジデント!?本日はどのような要件で?」
このタイミングでプレジデントから連絡が来るとかもう確定じゃねえかよふざけんな!!
『砂漠でオーパーツを発見したらしいじゃないか。素晴らしい成果だ』
「は!現在は我々で周囲の警備を固めております!」
『そうか…今回の一件、そのまま警備に当たっていろ。連邦生徒会を掌握するのは将軍に任せた』
「!?…ジェネラルにですか?」
あぁ〜そうだった!ジェネラルのやつが居たじゃんか。なんで顔合わせしてたのに忘れてたんだろ。
『そう言う事なのでキミたちはそのままアビドスで待機だ。良いね?』
「……了解しました」
通話が終了した所で俺は壁に向かって会社用の電話を思い切り叩きつけた。
「クソ共が!余計な事をしやがって!!!!」
あぁだが我慢だ。俺、我慢しろ、いま会社を潰したらキヴォトスのパニックは免れない。
俺はソファに深く座り込んで深く深呼吸をする。
「……先生をキヴォトスに隠すならどこだ?ヴァルキューレはカイザーグループと手を切ったからない。ミレニアムには技術者が集まっていて隠すのには不利。ゲヘナは先生ごと隠し場所を破壊されかねない。ならトリニティか?いや、それもない。PMC兵があからさまに彷徨いていたらティーパーティーが目を付ける。アビドスは俺がいるから論外」
ダメだ。全然分からん!!
頭を悩ませていると突然地面が揺れた。
「……地震か?」
いや、地震の事を気にしてる場合じゃないだろ!まずは先生を見つけないとキヴォトスが危うい!
「社長!いま、ホシノさんたちからシロコさんから連絡が途絶えたって!」
「なに!?そっちもなのか!?」
「え!?他にも連絡が出来ない人が!?」
スズカが慌てて入ってくると言う事は向こうも相当焦った様子だった筈。ああもう!なんで次から次へと問題が!…スズカ?
「………カタコンベ」
「…え?」
「そうか、そうじゃないか!どうして忘れてたんだ!」
俺がアリウス分校を引き継いだ事はプレジデントも知ってる。だったらキヴォトスの人から一番身を隠せる場所と言ったら元アリウス分校じゃないか!
「スズカ、少し待ってくれ」
「は、はい」
「カヤ!俺だ!先生の居場所に心当たりがある!」
『本当ですか!』
カヤに元アリウス分校を探すように言うと「すぐに当たってみます!」と通話を切った。俺は表立って動くことが出来ないから後は彼女に任せるだけだ。
「スズカ、ホシノたちには申し訳ないが。俺も手が離せないんだ。聞いただろ?先生が誘拐された」
「そうでしたか。でしたら私も急ぎ小隊を組んで先生の捜索に当たります!カタコンベなら私たちが一番詳しいです!」
「…任せた」
【 深夜 】
あれから先生を見つけたと言う連絡は無く。カイザーグループが連邦生徒会を掌握してしまった。D.Uに戒厳令が出され、交通網、通信網など全てが遮断、ヴァルキューレを含む他の組織も行政権を失って、命令を待つ事に。つまり先生の捜索に当たることが出来るのはカヤのFOX小隊とスズカの爆撃小隊だけだ。傭兵たちはカイザーグループに怪しまれる可能性があって撤退させた。
「本当に余計な事しかしないな。カイザーグループ」
「それを理事であるあなたが言いますか」
「ふん、そう言うエンジニア君だって不満そうじゃないか?」
「当たり前じゃないですか。表情には出てませんがもうほんとふざけんなって感じです」
二人でため息を吐いていると、カップがかちゃりと言う音が理事室に響いた。
「「ん?」」
「いや〜!この紅茶中々に美味ネ!ご馳走様デース!」
「ボンゴ!?いつから居た!?」
「hmm?オイラ二人がため息を吐いてる時から居たヨ!警備の人も通してくれたしネ!」
お〜い、警備の意味は?
「おっと!忘れる所だったヨ!オイラ、先生から手紙を預かってるネ!どゾ!」
「先生から手紙!?」
ボンゴから受け取って内容を見てみると、どうやら本当に元アリウス分校に居たみたいでスズカとRABBIT小隊、FOX小隊とカンナまで一緒に居るみたいだ。そして明日の早朝にシャーレを奪還するために襲撃するらしい。
「ふふ……ふふふふ……ふはははははははははは!!そうか。そうか!!」
「…パワードスーツの整備をしておきますね」
「それじゃあオイラは失礼するヨー!good Night!」
−−−手紙を態々寄越したんだ。俺がどう出るか分かっていたな?先生