成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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八十一話 ゲマトリアに幻の五人目が居たのか?

 

 「“リジーお疲れ“」

 「あぁ、指揮官であるジェネラルには逃げられたが。シャーレを取り戻す事は出来たな」

 

 お、連絡網が復活した。そう思った瞬間、空が突然赤く染まった。

 

 「……え」

 

 まさかあの空の色が黒服たちの言ってた色彩じゃないだろうな?

 

 「ようやく理解に至った」

 「…ん?ゴルコンダ?いや、誰だ?お前…ゴルコンダじゃないな?」

 

 念の為にモモトークで今の様子を写真に撮り黒服に送ると。黒服からゴルコンダは今ゲマトリアのメンバー全員と居ると返信が来た。つまりこいつはゴルコンダに似た何かだって事だ。

 

 「私は「フランシス」此処とは異なる時間軸にて先生を見守る者、従って最後の宣告を視聴せよ」

 

 此処とは異なる時間軸?何を言ってんだこいつ。

 

 「この世界は歪である。この物語は一つのジャンルを掲げられていたが故に、「先生」が主人公でいる事が出来た」

 

 え、何こいついきなりメタ発言してきたんだけど。こいつも成り変わり系転生者?

 

 「物語であったから、あなたは無敵だった——これはそう言う物語だった——筈だった。なんの因果か、この物語には「先生」以外の主人公が誕生した。本来有るべき役割を放棄し、有るべき終わりを捻じ曲げ、“先生が救う事が出来ない“存在を拾い上げていった……そう」

 

 「お前の事だよ。カイザーPMC理事」

 

 「“…リジーが?“」

 

 おっと〜?もしかしてこの人、原作からやってきた方ですか?俺が原作を改変しまくったせいで何かしらの影響を及ぼして、なんか修正力みたいなのが働いてフランシスが来た感じか?

 

 「…お前はなぜ此処に居る?お前はなぜ先生に信頼されている?お前は此処に居るべき存在ではない…なぜ、まだカイザーPMC理事のままなのだ?」

「いや、お前が何を知ってるのか知らんが「だが今となってはどうでも良い」……おい」

 

 こいつ、勝手に疑問をぶつけておいてどうでも良いと抜かすか?

 

 「これからお前たちの身に起こる事は最早そのような物語(モノ)ですらないのだから——主人公も、悪役も、事件も、葛藤もなく——全てが分解され、縫れあい——脈略も、構成も、必然性も無くなってしまった……作為的に作られた世界。そうして——果ては意味を失い、力が暴れ回るだけの——理解不能で不条理な世界へと。嗚呼、そうだ——元よりこの世界はその様に存在していた。我々は皆、それを忘れていただけ。これが——もう物語では無くなったとするならば、お前たちはもう何者でもない。学園と青春の物語は、幕を下ろした。覆され、解体されてしまったジャンルで、お前たちの価値は揺らぎ、地に落ち、無に等しいものとなる!しかして始めるのだ。物語ではない——」

 

 「貴様は何を言っている?」

 「“違う“」

 

 つまりこいつが言ってる事は全ては無に等しい、虚しいモノでしかないと言っているだけじゃないか。

 

 「この世界が無法地帯なのは今更だ。俺はそれを忘れたことなどない」

 「“物語と呼ぶのに相応しくない、歪な創作だったとしても“」

 

 銃を持ってそこら毎日の様に起きる小競り合い、酷い時は地雷で道路が破壊されてるからな。

 

 「それに貴様は何様のつもりだ?なぜ貴様が勝手に俺たちの事を何者ではないと決め付ける?」

 「“そんな事は、どうでも良いんだ。ジャンルの解釈なんて好きにすれば良い“」

 

 俺と先生はほぼ同時に言葉を紡ぐ。

 

 「俺の役割を決めるのは他の誰でもない俺自身だ!貴様が勝手に決めて良いモノではない!!」

 「“どんな未来であろうと、私たちは乗り越えていくのだから“」

 

 俺がカイザー理事になったのなら、それは当然の事だろう?他の誰かにお前は悪だ。先生に倒されるべき存在なんだと言われても知ったことか!

 

 「であれば、それを見守るとしよう。先生、カイザーPMC理事——いや、“主人公たち“よ。絶望を——破局を迎え——そうして、結末へと走り出すエンディングを!」

 

 結局言いたいことだけ言って帰りやがったあいつ。

 

 俺がため息を付いているとモモトークに黒服からシャーレの屋上に出てくれと連絡が来た。

 

 「……先生、ちょっと屋上に来てくれるか?」

 「”?…分かった“」

 

 【 シャーレ屋上 】

 

 「…クックック」

 「“……黒服、ホシノから聞いてたけど、本当にリジーと連絡をしてたんだね“」

 「えぇ、彼のお陰でゲマトリアの壊滅は免れました……あのままあの場所に居ていたら我々はタダでは済まなかったでしょう。感謝しています」

 「…つまり、色彩がお前たちの拠点を襲撃したのか?」

 

 俺がそう聞くと黒服は深く頷いた。

 

 「えぇ、「色彩」は「侵略してきた」のです」

 「なに?侵略?黒服、お前たちの総意じゃあ色彩は意思のない厄災の様なモノだと——」

 「…色彩が到来し——狼の神と接触したのです。恐怖(teller)の領域へと反転した彼女は、命ある全てのものを、あの世へと導く神「アヌビス」となり——自身の本質が赴くままに——この世界に終焉をもたらすでしょう。色彩はそれを理解していた。故にこの地に辿り着いて、まず彼女の「崇高」を確保したのです」

 

 理解していた?まるで色彩に明確な意思や目的がある様に聞こえるんだけど。

 

 「リジーの言う通り、色彩の行動には明確な意思と計画性を感じます。まさか自ら行動に出るとは…色彩はキヴォトスのありとあらゆる神秘と恐怖、そして崇高の概念を吸収し、自らのものにしようとしています——そして……キヴォトスに出現した6つの塔は——「サンクトゥムタワー」の一種と言えるでしょう。それも、反転した」

 

 何でサンクトゥムタワーを?……待て、色彩が態々出現させ反転させた?

 

 「まさかそれも無名の司祭の遺産なのか?」

 「いいえ、あれは当時存在していた原始的な神秘——「名もなき神」が築き上げた技術の一つ、アレが色彩の光を世界中に伝播させ、キヴォトスに存在する全ての神秘を恐怖へと反転させるでしょう」

 「……つまりアレが建っているとマズイ?」

 「非常にマズイです」

 

 マジか、黒服がそこまで言うレベルのヤバさか。

 

 「それと、私たちゲマトリアが所持していた秘技と検証結果が、色彩に奪われました」

 「……ミメシスも?」

 「…はい、あなたが所持しているモノ以外は全て」

 

 危ねぇ!俺が受け取ったのって結構ギリギリのタイミングだったのか!

 

 「これら全てを手にした「色彩の嚮導者」は……」

 「“色彩の嚮導者?“」

 「えぇ。色彩の意思を代弁する存在であり、計画を遂行する実行者——その名を「プレナパテス」。これから、やつと対面する事になるでしょう」

 「「“………“」」

 

 俺は無言で電ちゃんの中にある弾薬の残りを確認して、少なくなった分を補充する。先生はどこかに連絡をして、大人のカードを取り出した。

 

 「よし、行くか」

 「“頼りにしてるよ“」

 「……一つ、忠告しておきましょう。そのカードを乱用すれば——あなたは私たちと同じ結末を迎える事になりますよ。先生」

 「…黒服、その忠告をした所で先生は生徒の為ならば喜んでその身を差し出すさ…だが俺がそうはさせない。なんの為に俺が準備を進めてきたと思っている?」

 

 黒服からキヴォトスが大変な事になるって聞いてから、俺は傭兵たちと準備を進めてきた。ただ命令に従って待機してた訳じゃあない。

 

 「もしもし、俺だ」

 『社長か!?どうなってやがる!急に空がおかしくなりやがったし、塔みたいなのが幾つも現れやがった!』

 「仕事の時間だ!俺について来れるやつだけついてこい!それ以外の者はキヴォトスの防衛に当たれ!今回はそれだけ危険な仕事だと思えよ!」

 『…ッハ!上等だぜ!社長を追い抜かしても文句は言わせねーぞ!』

 

 事情を説明してないのに、それでもついてくる彼女たちには感謝しかないな。今度ボーナスを弾んでやろう。

 

 「“リジー、今は周りの敵を掃討してから、後で対策を練ろう“」

 「分かった」

 

 −−−先生にはスズカの部隊を指揮させることで大人のカードを使わない様にさせ、俺は建物の上からミサイルをばら撒き周辺の安全を確保していった

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