成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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八十三話 リジー専属のエンジニア

 

 【 エンジニア視点 】

 

 『こちら第一部隊、配置に着きました』

 『こちら第二部隊、いつでも狙撃出来ます!』

 『こちら第三部隊!俺たちの後ろに居れば安全だぜーー!!』

 

 本社には秘密裏に私たちは行動する。理事からキヴォトスの危機だとか何を馬鹿な話をと一瞬思いましたが。空の色に奇妙な塔、あれを見たら嘘ではないと言うのが良く分かります。

 

 「はぁ、まさか私が部隊を率いる事になるとは思いもしませんでした」

 

 溜め息と共に愚痴も少々、私はあくまでエンジニアであって指揮官では無いというのに。

 

 「おや?」

 

 戦場を見渡しやすい位置に立っていると砂漠の奥で何かが光り、レーザーが私のすぐ横を通り過ぎた。

 

 「……どうやらもう始まっていたみたいですね」

 

 どうにも私は理事の様に部隊を動かすことが出来ない。まぁ当然なんですが。

 

 「…当然なんですが」

 「PMC理事代理、ヘリの準備が出来ました」

 「分かりました。あのレーザーの場所へと向かってください。直接指揮します」

 「ッハ!」

 

 彼の代理を任されたからにはやるしか無いんですけどね。

 

 「それに、たかがビナー如きに負けるわけにはいきませんのでね。何度も相手をしているからこそ私たちPMCが相手するべきでしょう」

 「だからってエンジニアさんが出る必要ないんじゃね?」

 「そういうあなたもただの警備兵でしょうが」

 

 守るのは得意であっても砂漠での戦闘はやったことありませんよね?

 

 戦闘ヘリに乗り、いつもと様子の違うビナーに接近する。

 

 「PMC理事代理、アビドス復興委員から無線連絡です」

 「繋げてください」

 『やっほ〜ヘリが飛んでるからもしかしてって思ったけど。やっぱりキミか〜』

 

 ふぅ、一人行方不明になっているというのにいつも通り呑気な方ですね。いえ、それだけ先生を信じていると言うことでしょうか?

 

 「ビナーの相手でしたら我々の方が有利です。なのでカイザーPMCもこの作戦に参加させて頂きます」

 『いらっしゃ〜い』

 「ホシノさんたちはそのまま独自に動いてください。合わせます」

 

 訓練の様子は見ていましたし。問題ないでしょう。

 

 「っ!PMC理事代理!ビナーがこちらに狙いを付けました!」

 「慌てず回避行動を取りなさい。ビナーは直線にしかレーザーを撃てません」

 「りょ、了解!」

 

 口を開きエネルギーを溜める動作、実に単調ですね。何度も見てきました。

 

 試しにヘリに武装されている機関銃で口を狙い撃ち暴発させられないか試しますが。ダメですね。ダメージはありますが全く仰け反りません。

 

 「第三部隊はアビドス復興委員の盾になりなさい。第二部隊は今送った座標に向かって狙撃、第一部隊は攻撃の手を緩めずに撃ち続けなさい」

 『『『了解!』』』

 

 アビドス復興委員と便利屋68がビナーをあそこに誘導したらしいですし。あそこから動く気配もないので突進をされる心配はないでしょうね。しかし、ほぼノーモーションで撃たれるあの謎の攻撃はそうはいきません。しっかり防いでもらわないと。

 

 「そこの警備兵はRLを撃ってください。それくらいは出来るでしょう?」

 「ちょ、エンジニアさん?もしかして理事室の前でゲームしてたの怒ってます?」

 「いいえ?全然、警備員とは何なのか分からなくなってしまっただけなので全く怒っていませんよ?」

 ((めっちゃ怒ってるじゃん))

 

 この時、ヘリの操縦者と警備員の心は一つになった。

 

 「何ですかその目は」

 「「いいえ、何も」」

 

 気にしてもしょうがない事だと思い、二人の事は一旦無視して戦況を見ますか。

 

 ビナーは相変わらずレーザーと謎の攻撃を繰り返し、戦力を削ろうとしますが、第三部隊はホシノさんによって鍛えられた動く城壁です。今更ビナーの攻撃で揺らぐ事はありません。

 

 私自身もヘリでビナーを攻撃しながら次の行動を考えていると、ビナーが突然潜り出した。

 

 「ビナーが砂に潜りました!ど、どうすれば」

 「落ち着きなさい!良く見てくださいビナーはすぐ近くに移動しただけです。あなたはそのまま高度を維持して回避行動に専念してください」

 

 けれど、なぜ?たった少し移動する為だけになぜ地面に潜ったのでしょう。何か意味がある筈。

 

 「!?ビナーから高密度のエネルギーを確認!」

 「何ですって?」

 

 あの数秒間でエネルギーを?溜めた?

 

 ビナーの首を見てみると攻略の要であるアビドス復興委員と便利屋68が居た。

 

 「…あれの狙いはまさか!?第三部隊!急いでホシノさんたちを後ろにしてエネルギーシールドを展開しなさい!第二部隊はその場から離脱!第一部隊も第三部隊の後ろへ!!」

 

 私が指示を出した後、ビナーは口を閉じ次の瞬間には口を開き、高密度のエネルギービームを放った。

 

 −ドォーーン!

 

 エネルギービームは砂漠に残っていた道路に直撃し、大爆発を起こした。私の乗っているヘリはその爆風によって制御不能に。

 

 「しまった!ヘリの操縦が効きません!このままでは落ちます!」

 「二人とも衝撃に備えなさい!不時着です!」

 「こんな事ならヘリに乗るんじゃなかったぁあああ!!」

 

 まさかビナーにこんな切り札があったとは!油断した!

 

 「お、落ちるぅう!」

 「うぐっ!」

 「あーー!神様仏様リジー様ーーー!どうか俺たちをお助けくださーーい!!」

 

 ヘリは砂に落ちて衝撃を和らげた。お陰で私も命拾いしましたよ。

 

 「無事な方、応答してください!」

 『こ、こちら第一部隊、負傷者が多いものの死傷者は居ません。しかしこれ以上の戦闘は不可能です』

 『こちら第二部隊、全員なんとか無事です!攻撃を続行します!』

 『こちら第三部隊!俺たちの盾を前にすりゃああの程度どうってことねぇ!』

 

 第一は戦闘不能、第二、第三は無事ですか。良かった。

 

 「……ここからは私も出ます」

 「え!?エンジニアさんには無理だって!戦闘訓練なんてしてるとこ見たことないですよ!?」

 「バカを言うんじゃないですよ。何も銃を持って戦う事だけが戦いじゃないんです。私にはこれがあるんで」

 「ど、ドローン?そんなドローン一体で何が」

 

 あぁ、ここがカイザーPMCのコンテナ近くで良かった。お陰で使いたい放題ですので。

 

 奇跡的に無事だったパソコンを使い全てのドローンに接続する。中にはゴリアテを収納しているコンテナもあったので本当に好都合です。

 

 「お、おぉう、エンジニアさんそんな事できたのか」

 「くふふ、私は理事の専属エンジニアですよ?この程度の事が出来ないようでは彼の無茶苦茶についていけません」

 

 前までは前線に出るなんて事をしなかった彼がどうしてあそこまで変わったのかは知りませんが。派手な事をする分、後始末をするのが大変だったのでね。

 

 『エンジニアくん大丈夫だった〜?』

 「えぇ、砂がクッションになってくれました」

 『そっか、あの無人機たちってエンジニアくんがやったの?味方?』

 「はい、ですから安心してください」

 

 ゴリアテに搭載されたカメラに接続して戦場を映す。ミサイルや砂嵐で攻撃をしてきますがゴリアテにその程度の攻撃効きません。ここに置いてあるのは全てが“ 対ビナー用“に準備していたモノですから。

 

 「……よくもまぁ、私たちPMCに喧嘩を売ってくれましたね。許しませんよ!ビナー!」

 

 アレを取り囲む様に銃弾、砲弾、レーザー、ミサイルが降り注ぎ確実にアレの体力を削っていく。

 

 「くふふふ!ソレを待ってました!!」

 

 ビナーが鬱陶しがって口を開けた瞬間にゴリアテに搭載していた爆弾を撃ち込んだ。

 

 「〜〜〜〜!?!?!?」

 

 −ドォォオオオン!

 

 爆弾を飲み込んだビナーは咄嗟のことでレーザーを中断出来ずそのまま爆発した。ビナーは地面に潜ってしまいましたが確かに手応えを感じました。

 

 −−−撃破完了です

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