【 スピア視点 】
「ウサギとクマのぬいぐるみの癖してなんで銃が腕から出て来るんだよ!」
しかもこのクマ腹を突き出してなんか飛ばしてきやがるし!
「おいウサギ小隊!あれお前らの仲間だろ!説得できねぇのかよ!」
「RABBIT小隊です!ウサギだからと言って全てが仲間な訳ないじゃないですか!無茶言わないでください!」
「遊園地ではコミカルチックな敵が凶悪なのは王道だよね!」
「モモイてめーそんなこと言ってる暇があるんなら弾幕ばら撒け!アレ使えんだろ!」
アレっつうのは社長が言ってたEXスキルとか言うアレな。イマイチ理解出来ねぇけど必殺技みたいなもんだって社長は言ってたし。強いんだろ。
「スピアちゃん!お姉ちゃん!そろそろ守護者が見えて来るよ!」
「おっしゃぁ!!アタシに任せろ!」
「…頼もしいわね」
お?ゲヘナの風気委員長様にそう言われるとはちょっと照れるな。
「へへん♪風気委員長様はいつも忙しそうにしてるんだしこんな時くらいアタシに任せてゆっくりしてて良いんだぜ?」
「タイチョー、ヒナ様が憧れの人だからってそんな張り切らなくて良いんですよ?」
「っば!?そそそそそんな訳ないだろ!?アタシは至っていつも通りだって!」
何を言ってんだこいつら!本人の前でそう言うのバラすなよ!?
「え〜?だってこの間も如何にヒナ様が可愛いか、如何にヒナ様が強いかを力説してたじゃない」
「そうですよ。タイチョーの部屋にクレーンゲームで取ったヒナ様ぬいぐるみいつもベットの横に置いてるじゃないですか」
「そうそう、隊長の銃の塗装だってヒナ様を意識した色合いじゃないっすか」
「「「ね〜?」」」
こいつら〜〜!!
「お前ら食後のデザート抜き!!」
「「「それだけはご勘弁を!?」」」
へん!アタシを揶揄おうなんて10年早いんだよ!全く。
「……私に憧れてるの?」
「そ、そうだよ!なんか文句あっか!?」
「いいえ、そう言ってもらえて嬉しいわ」
「お、おぅ、そうか」
微笑んでくれた!アタシにニコって!くぅ〜!これだけでもこっちに来た甲斐があったぜ!
「お?アレが守護者か?……なんか可愛いな」
けどまぁ敵だって言うなら倒すしかねぇよな!
取り敢えず最初にあの玉乗りネズミにマガジン一個分の銃弾を浴びせて手榴弾を投げる。
「なんだなんだ?守護者って割に攻撃がショボいじゃねえか!」
飛んでくるボールみたいなもんが爆発する前に蹴飛ばして返す。なんか敵はもう出てこなくなってるみてぇだな。
「オラオラオラ!アタシ特製の手榴弾を喰らいやがれ!」
「おまけもどーぞー!」
「アリスも負けていられません!光よー!」
通常の手榴弾の5倍の威力の手榴弾に偶然アリスのビームが当たって想像以上の威力で守護者を吹き飛ばした。
「……やり過ぎた」
「スピア!ぼ〜っとしてないで次行くよ!まだボスは残ってるんだから!」
「ん?一体じゃないのか?」
先に進んでいくと今度はカラスのマスコットみたいな守護者が居た。あれも可愛いな。グッズどっかで売ってると良いんだけど。
「おわ!カラスをそのまま飛ばして来るのかよ!」
「カラスだけじゃなくてカップも飛んできてるよ!」
「あ!?タイチョー!助けてくださーい!」
「何遊んでんだよ!」
部下の一人がカップを避けようとしたみたいだが逆に中に入り込んでそのまま回転して飛んで行きやがった。
「うぉえ、ぎぼぢばるい」
「お前昔から回転カップで酔ってたもんな。しばらくそこで休んでろ!」
「ずびばぜん」
休んでる部下に飛んでくるカラスは撃ち抜いて消してカップは気合を入れて蹴飛ばす。
「ちょ!隊長!幾ら隊長でもあんなデカいカップを何度も蹴飛ばすなんて無茶ですよ!」
「うっせぇ!無茶でもやるんだよ!アタシの心配してる暇がありゃ敵を倒せ!」
守りに入るのは専門外だが。それでも部下の命掛かってんだ。苦手だのなんだの言ってる場合じゃねぇ。あいつさっきから休んでるあいつばっか攻撃して確実に一人潰そうとしてやがる。
攻撃が激しくなってきて完全に攻撃まで手が回らなくなった時、傭兵としての直感が嫌なモノを感じ取った。
「っ!危ねぇ!!」
「え?」
隣の部下を突き飛ばした直後、アタシは左右からカップに挟まれた。
「っが!?」
「「「隊長!?」」」
頭を揺さぶられて視界がブレやがる。それどころか無理をしてカップを蹴飛ばしてた足に激痛が走って動けねぇ。これは骨をヤったな。
「……やべ」
「スピアちゃん危ない!!」
アタシを目掛けて走って来るメリーゴーランドを他人事みたいに眺めて、あぁ、こりゃ死んだなと軽く感じた。この事であいつが気を病まないと良いんだけどなぁ。それに、社長との約束も守れそうにないな。生きて帰ってこいって言われてたってのに。最後の最後でヘマしちまったよ。
来るであろう痛みに備えて目を瞑るが。いつまで経っても痛みが来ない。
「?」
目を開けてみると、憧れのあの人がアタシの目の前に立っていた。
「…大丈夫?」
「え、お、おう」
「仲間の事を大切に思うのは大事だけど。それと同時にあなたのことを大切に思っている子たちが居るのを忘れてはダメ」
「……おう、助けてくれてサンキュー」
あ、頭から血が垂れてきやがった。さっき挟まれた時か。
まだ戦いが終わってないからせめて攻撃だけでもしようと銃を構えても、頭がフラついて狙いが付けられない。
「あなたは休んでて。もう限界よ」
「……情けねぇとこ見せちまったな」
「そうかしら?少なくとも私からすれば、あなたは情けなくなんてなかったわ」
……やっぱカッコいいなぁ。
−−−空崎ヒナやモモイたちによって倒される守護者を見て、アタシはそんな事を考えた