【 カヤ視点 】
『防衛室長、ピラーの効果が及ばない範囲に固定砲台と狙撃ドローンの配備を終えました』
「はい、お疲れ様です。では皆さんは迫撃砲でホドへの攻撃をお願いします」
『了解しました。ですが良いのですか?ここまで距離が離れていれば砲台はともかく、狙撃ドローンの威力は下がってしまいますが』
「えぇ、これは本命ではなくあくまで補助ですので」
報告には上がっていましたが。こうして直接見るのは初めてですね。
「ピラーによる無人機やオートマタへのハッキングは厄介ですが。それもピラーを破壊してしまえば問題は何もありません」
しかし、自分で言うのも何なのですが…変わりましたね。私、少し前までの私ならこれを機に行政官を陥れる策を練っていたでしょうし。
「ユキノ、準備は良いですか?」
『いつでも』
カイザーさんからFOX小隊を動かして欲しいと言われた時は驚きましたが。確かにこれだけの巨体であれば出来る限りの手は尽くすべきでしょうね。私ですか?私ならばヘリに乗って現場の上空を飛んでいますが何か?
「自業自得ですしバレては居ないのですけど。行政官たちが集まっている場所に居るのは少々居心地が悪いですし」
「何を独り言を言ってるんですが?防衛室長」
「気持ちの整理です。あるでしょう?言葉に出して自分の気持ちを整理する時が」
「あ〜分かります。私もついついドーナツを食べすぎた時とか後悔した事ありますし。体重計に乗った時とか」
カンナさんはそうでもないのですがヴァルキューレの生徒はどうしてドーナツがそんなに好きなのでしょう?私がコーヒーが好きなのと同じ理由でしょうか?
「あ、防衛室長、どうやら戦闘が始まった様です!」
双眼鏡で確認をするとFOX小隊とミレニアムの生徒が合流した様ですね。では私たちの仕事をしますか。
「はい、貴女はこちらの爆弾を落としてください。貴女はこっちの爆弾を、そして私はこちらの硫酸弾を落とします。集中的に同じ場所に落とし続けてください」
「わぁ、爆弾の種類が豊富過ぎる」
「直接戦闘に加わることは出来ませんけど攻撃をしないとは一切言っていませんよ」
このくらいの爆弾を集めるのなんて簡単です。私は超人になるのですから。
……超人、この言葉は私を奮い立たせる為だけでなく、私の中の呪いになってしまっていた事に、気付かされました。彼女が行方不明になってから、小さな違和感ですけど。確実にキヴォトスはおかしくなっていった。そんな彼女の隙間を埋める様にシャーレと言う組織と先生と言う大人が現れた。
「ホドがこちらに狙いを付けました!」
「上昇しながら前進してください」
「了解!」
正直言って信用なんて全く出来ませんでしたよ。リン行政官はシャーレを自由に行動させている様ですし、疑いすらもしました。あの大人がその権限を利用して悪行をする様な人ならばどうするのか…とね。
爆弾を落とし続けながらも私は過去を振り返る。
だから私はシャーレを取り込む為にカイザーさんと接触しました。彼なら私の理想を分かってくれる。共に道を歩んでくれる同志なんだと勝手に舞い上がって…そこで現実を教えられました。
「ホドから高出力のエネルギーを確認!砲台とドローンを破壊するつもりです!」
「砲台は諦めてください!ドローンはホドの上空へ飛ばして回避を!あのエネルギー波は平行にしか撃てません!」
あのままでは私が行動した結果、キヴォトスにより混乱を齎す行為だと理解し、衝撃を受けましたよ。私が今まで努力してきた結果はなんだったのかと。
「これは、ホドに影響を受けた砲台がまだ残っておりこちらに狙いを付けています」
「近くの部隊に連絡を送りその砲台を破壊してください。これ以上砲台を残していても意味はありません」
彼はそんな私に自分だけの超人に成れば良いと言って、手を差し伸べてくれました。どうしてここまでしてくれるのだろうと疑問に思いましたが。彼と一緒に仕事をしているうちに、あぁ、これが彼の性格なんだと理解し、受け入れました。
「ホド!ダウン!」
「でしたらこちらの爆弾で一気に片を付けましょう」
「な、なんですか?この如何にも危ない見た目の爆弾は」
「…ふふふ」
「防衛室長!?」
なんと言ったら良いのでしょうね?こう言う気持ちの事を……何かつっかえていたモノが取れた気分です。無理をして超人振るのではなく、徐々に成っていけば良いのだと言う余裕が出来ました。
私が落とした爆弾はホドの中央へと命中し、大きな爆発を起こして落下していく。これでホドは撃破ですね。
−−−今の私は、彼女が誇れる様な人に成れているでしょうか?