成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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九十八話 まぁ、そう簡単に諦めてくれないよな

 

 「……お前がどうしてそうなったかは知らん。当事者じゃないしな、だが、こっちのシロコを、定まった結末などと言う理由で道連れにするのはやめてもらおう、何故ならシロコはそうなっていないのだから」

 

 俺は予言の通りとかこれは決まった結末だとか言うのが大っ嫌いだ。なんで決まったなんて分かる?自分がそうだったからお前もそうだって?呆れるな。

 

 「構えろ。砂狼シロコ…お前の言う定めとやらがどれだけ強いのか、証明して見せろ。この俺に」

 「……あなたがどんな人間なのかは知らない…だけど、たった一人のイレギュラーが加わったところで何も変わりはしない」

 「口ではなく実力で示して見せろ。それとも、自分に自信がないから時間稼ぎのつもりか?」

 

 勝てる気はしないが。それでもこいつはただ言い訳をしているだけだ。定まった結末、私はこうなる運命だった。私は先生を殺す。私は先生を利用する。まるで呪詛のように同じ言葉しか言わない。

 

 「そら、先手を譲ってやる。撃ってみろ」

 「……」

 

 彼女からの攻撃を上体を逸らして回避する。その後のSGによる攻撃をシールドで防ぎ、突然現れたヘリは撃ち落とす。MGによる薙ぎ払いはシロコの後ろに回り込む事で回避した。

 

 「…ふむ、今のはホシノ、ノノミの攻撃か…で?」

 「っ!!」

 

 ドローンを浮かばせてミサイルを撃とうとするのを足で踏んづけて止め、SGで撃ち抜いて破壊する。隠し持っていたフラッシュバンを爆破して距離を取り追撃を阻止する。

 

 「どうした?その程度なのか?」

 「……あなたは、確かに強いけど…さっきから避けてばかり、私に攻撃を当てることが出来ないから避け続けてる。違う?」

 「違うな、当てようと思えば当てられるぞ?…それに俺は先手を譲ってやると言ったんだ。お前の攻撃がこれで終わりなら反撃させてもらうが?」

 「……そう、じゃあずっとそこで避けていれば良い」

 

 シロコがシールドで殴りかかってきたからそれを受け流し、スモークグレネードで視界を塞ぐ。更に足元に叩きつけるように手榴弾を投げて爆破し彼女を吹き飛ばす。彼女は空中で反転した後、ドローンの上に乗ってミサイルと同時に攻撃をする。

 

 「当たらんよ」

 

 見た事ある攻撃ばかりだし。

 

 「……しつこい!」

 「さっきまでの余裕がないがどうした?滅ぼすのだろう?」

 

 こうやって挑発をしてはいるけどシロコの言ってる事は間違って無いんだよな。自爆覚悟で攻撃すれば当たるけどそれするとコンに怒られるし。

 

 考えて事をしていたら振動が響いてお互いに戦闘を中断する。

 

 「状況分析……ウトナピシュティムとの接続解除を確認。迂回路を試行します」

 「あ〜なんかあったのか?」

 「“リジーがシロコと戦ってる間にハッキングしてるところを壊した。以上!“」

 「なるほど、分かりやすい」

 

 つまり俺は偶然時間稼ぎに使われたってことか。

 

 「……試行失敗。ウトナピシュティムへのアクセスが遮断されています。介入出来ません。「多次元解釈」の抑制が維持されている事を確認——演算を加速し、破壊を再試行。演算の加速が不可能。地上サンクトゥムの顕現(インカーネーション)プロセスを確認。一時的な顕現を確認。一時オブジェクトの破壊を確認。顕現不可能……このままでは計画が失敗します」

 

 戦闘に集中する為に無線切ってたから何をしてたのかさっぱり分からん。

 

 「……まだ続けるか?この船の自爆シーケンスを作動させればお前たちはただじゃ済まない。俺としてはそうなる前に、降参してくれるとありがたいが」

 「…いいえ、先生を始末すれば、箱舟の自爆も、サンクトゥムの顕現も……いくらでもまたやり直せる…あなたがどれだけの努力をしたところで、先生が居なければ何も意味を為さない」

 

 痛い所を突かれたな、確かに先生が死んでしまったらシッテムの箱を使えるやつも、大人のカードを使えるやつも居なくなる。先生じゃない俺が抵抗しても、この世界は先生が死んだらそこでお終いだ。

 

 「だが」

 「…私たちが、そんな事させない」

 『実力の差はありますが。それでも勝率が無いわけではありません。僅かでも可能性があるのなら私たちはそれに賭けます』

 

 俺は守りに入ると強いぞ?耐久が売りだからなこの体。

 

 「“……“」

 「……指示を確認。「シッテムの箱」の演算支援を中止。戦闘支援モードに切り替えます」

 

 向こうのアロナが消えて、今いる場所の姿が変わった。

 

 「これより、私の能力を全て戦闘支援に割り当てます」

 「“私にも、超有能なアロナちゃんが居る!!」

 「ほう?なら俺にだってとても優秀な相棒が居るぞ!!」

 『イエス、私はとても優秀なAIなのです。先生』

 

 アロナは確かに優秀だが俺のコンだって負けちゃいない。何せパワードスーツを単独で動かせるし情報の伝達だって早い、何より色んな電子機器の中を移動出来るのが強みだ。

 

 「だが油断するな先生、相手の経験は間違いなく俺たちよりも上だ。大人のカードがあったとしても厳しい戦いになる」

 

 俺は徹底して命大事にをしてたから側から見れば戦ってるように見えるけど実際は守りに徹する事しか出来なかっただけだ。

 

 「……あなたは、本当に先生の事を良く知ってる。でも…それだけ、知ってるだけじゃ勝つ事は出来ない」

 「知ってるだけかどうかは実際に戦えば分かる」

 

 銃をリロードして構える。今まで先生と一緒に戦ったり、先生と敵対したりはしたがこうして大人のカードを使う所を見るのは初めてだな。一体誰が出てくるのやら。

 

 「“…守りは任せて良いんだよね?“」

 「もちろん」

 「“じゃあ…タンクは呼ばなくて良いね。攻撃と回復だけに専念するよ“」

 

 先生の持つカードが光りだし、周囲を明るく照らすのに対し、プレナパテスのカードはほの暗い光を生み出し見るものを恐怖させる何かを感じさせた。

 

 「“私ではない私が紡いだ縁を、彼女たちの意思を、いま此処に呼び寄せる。私たちに力を貸して、みんな」

 

 先生がそう呟くと、光は人の形を作り出して中から六人の生徒が現れた。

 

 『アリスに任せてください!』

 『アリスに最初のセリフ取られた!?』

 『別に誰が最初にでも良いでしょ?お姉ちゃん』

 『み、みんな、集中して』

 

 俺の側にはゲーム開発部の彼女たちが。

 

 『後方支援は任せてください!』

 『ふむ、こっちの私は興味深い物を作っているな』

 

 後ろにはアヤネとウタハが立っている。

 

 「ほう、まさかゲーム開発部のメンバーだとは思わなかったぞ」

 「“戦い方を知っている子の方が助かるでしょ?“」

 『こちらのカイザーPMC理事は本当に先生とご友人同士なんですね。何だか不思議な感じです』

 「まぁ、だろうな」

 

 カードから出て来たアヤネがそう思うのも無理はないな。多分だけど大人のカードで出てくる生徒は原作の方の生徒だろうし。

 

 「…ん、私もリジーの戦い方は知ってる。銀行強盗をした時に連携はとれるように」

 「だから銀行強盗はやらん!」

 「……私はいつでもウェルカム」

 『ダメですよ。シロコさん、リジーは傭兵ですけど良い傭兵なので強盗はNGです』

 

 覆面を取り出すな!仕舞え!全く、油断も隙もあったもんじゃないな。

 

 少しだけ眉を顰めてこっちを見るもう一人のシロコを見て、ふと思い出した。

 

 「あぁ、そう言えばお前は俺に誰だと言ったな……改めて自己紹介しよう」

 

 俺は彼女たちの前を歩き、目の前のシロコを見下ろし。

 

 「アビドス傭兵団社長の海崎リジーと言う者だ。お前たちの計画は俺の為に邪魔させてもらう」

 

 −−−今では完全に定着した。今の俺の名前を告げた

 

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