夢と現のクロスロード   作:佐月栄汰

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 少し前。

 拓海が屋根から落下した頃に遡る。

 

(ヤバイヤバイヤバイ!!)

 

 落ちる直前に意識を取り戻した拓海は、焦りが汗となって溢れる。

 だが、何もできない。

 為す術もなく、崖にある小石のように落ちていく。

 

 そもそも身体が思うように動かない。

 恐らく転がっている最中にどころどころ強打した結果、あちこちが捻挫や骨折しているのだろう。

 

 幸いなのは、ここが異常なくらいの高さがある城だったことだろうか。

 下を見ても、未だにあるはずの城下町は見えてこないほど。

 

 落ちたら原形の一つも残さないこと間違いなし。

 文字通りのぺしゃんこになるだろう。

 

 ……まあ、おかげで助かると確信できたのだが。

 

「拓海――――!」

 

 最近聞き慣れた、拓海を呼ぶ声。

 ポロポロと落ちてくるコインと消える寸前のカリバーンに続けて、拓海の幻衛士である亮が飛び込んできていた。

 だが先に落ちた拓海のほうが落下速度は速く、しかも今現在も加速していっている。

 

 このままでは間に合わない。

 誰がどうみても下せる結論に、亮は待ったをかけるように、残った右手の黒剣を落下方向に突きつける。

 

「【輝弾(きだん)】【装填】!」

 

 カラドボルグに力が流れ込み、弾丸が生成される。

 使用したのは輝力。

 劇中に置いて天使の使う、救いの力。

 その塊の込められた黒剣の銃口は、寸分違わず拓海に向けられていて……

 

「【光線(フォトン)】【発射】ッ!」

 

 弾丸は、その名の通りの光線となって放たれた。

 間もなく拓海に直撃し、しかし風穴を空けることなく、光線は拓海の身体に吸い込まれるように消える。

 すると体の節々の痛みが消え、重いくらいに動かなかった関節も軽くなっていく。

 

 輝力の性質である救いの力とは、大雑把に言うと補助(バフ)のことだ。

 瘴気などの浄化、自分を除いた味方への強化、治癒、再生もこれにあたる。

 熟練者(ベテラン)や天才に限るが、十分以内であれば死んだ人を生き返らせることも可能となっている。

 

 ――と、肉体の不備が感じられなくなったと同時に、輝力が尽きたようで、亮の体が変化し始めた。

 ジャケットを突き破って背中に現れる二翼。

 若干の全身にある筋肉の縮小し、肌も異様なほど白い。

 心なしか目つきも穏やかになっていて、頭にも小さな翼を広げている。

 

 所謂、天使の姿となった亮は翼を閉じ、弾丸のような速度で急降下を始める。

 追い付き、そして追い越す。

 カラドボルグを放り投げ右腕で拓海をキャッチしながら、羽を広げ、ゆっくりと減速していく。

 

 ある程度操作が効くようになったところで、その付近にある屋根に着地。

 ここでようやく二人は、深く、ふかーく息を吐いたのだった。

 

「……ありがとう、助かった」

 

「このくらいお安い御用。それより、今は一旦腰を下ろそうぜ」

 

「そうだな……と、その前に」

 

 亮の言葉に頷いて、その場で座る前に、今一度創喚書に触れる。

 

「【選択】【従騎士】【創喚】」

 

 呼び出すのは一人の少女。

 拓海も右腕の件で世話になった、物語に置いてヒロインの一人であり、亮の家兼孤児院にいた義妹。

 その名は――

 

「【相坂ルーリィ】」

 

 指先の雫は落ち、神力で出来た大きな輪が上昇する。

 その囲いの下から、まず天使を思わせる白いローブと華奢な脚が見えてくる。

 次に目に入ったのは、ローブの上から着た、便宜上亮の部下である証たる黒いジャケットとそれに袖を通した細い腕。

 

 こうして今の亮と同じ白い肌をした、頭に折り畳まれた小さな翼がある栗毛の少女が創喚された。

 あの荒廃した世界観の中では、異常なほど生気を宿す青眼をパチパチとまばたきして、それからこちらへ視線を配る。

 

「相坂ルーリィ、只今サン・ジョー! ちょっと前ぶり創喚者! お兄ちゃんも、元気そうでなにより」

 

 亮の現状を認識しておきながら、ルーリィは平然とそう言って、ニコリと笑みをくれた。

 

「……これが元気そうに見えるか?」

 

「生きててちゃんと話せてるなら、ボクからすれば元気の範疇だよ。強いて言うなら、無茶は程々にってくらいかな」

 

「いや、これは無茶した結果じゃなく不意を突かれただけで――」

 

「それならそれでもっと周りを見て行動して」

 

「……了解(ヤー)

 

 表情は明るいが淡々と言葉を返すルーリィに、流石の亮も縮こまる。

 

 劇中は何処もかしこも戦場。

 そこに身を投じる亮もその他も腐るほど怪我しているのを見てきたし、四肢が吹き飛ぶなんてザラだった。

 怪我をして戻ってくるその度に一喜一憂なんてしていたらきりがない。

 

 だからウダウダ言う前にやるべきことをやる、が身に染み付いているのだ。

 とはいえ家族相手だからか、言葉の節々に心配していることが窺える。

 

 つまるところ、身内の、それも手当てをしてくれる相手には、どんな人であっても絶対に勝てないということなのだ。

 

「で、腕は?」

 

「多分、下に落ちてった」

 

「ん。……あった」

 

 ルーリィは屋根の下をチラ見するとすぐ飛び降り、その間に拓海達は腰を下ろす。

 そして数秒後、件の腕を持って舞い戻ってくる。

 

「よし、それじゃあ創喚者、お兄ちゃん押さえておいてくれる?」

 

「分かった」

 

 頷き、亮の後ろに回って羽交い締めにする。

 何をするか分かっている亮は、大人しくされるがまま。

 亮の目の前にまで近付いてきたルーリィは、おもむろに手に持つ左腕と切断口を押し付けた。

 

「グ、ゥウウウウ――――――――!?」

 

「はーい我慢してねー」

 

 もがき苦しむ亮を拓海は必死に押さえ込み、その間にルーリィは切断部に向けて手を翳す。

 するとそこから癒しの光を溢れ出し、修復/接着。合わせ目となる部分が徐々に薄れていく。

 

 察しの通り、ルーリィの種族は天使。だが、その背中に象徴である翼はない。

 飛行能力はあるのに、ない。

 それこそがルーリィが特異者と呼ばれた最大の理由。

 頭の翼が折り畳まれていることも、一応その理由になっている。

 

 だがそれとは反して、ルーリィの輝力と技量は他天使と比べても破格となっており、上位天使であっても使えるものは数えるほどしかいない蘇生術者となっている。

 そのせいで天使と出会う度に『何故貴様は特異者なのだ』と憎々しそうに言われていたりするのだが。

 

「――はい。オッケー、です」

 

 と、気が付けば既に亮の腕は繋がっていた。

 拘束を解く。

 亮はグッグッと何度か拳を作り、背伸びの要領で腕を伸ばす。

 

「……うん。違和感も何もない。いつもすまないな、ルリ」

 

「そう思うなら、もっと怪我しないようにしてくださーい」

 

「流石に約束はできない。けど、まあ、善処はするよ」

 

 ルーリィの諦観混じりの言葉に、亮は苦笑を噛みこぼしつつ頷いた。

 

「――と、さて。もう少し話していたいところだが、時間が惜しい。これからの話をしよう」

 

 そう言って、曲がった背を伸ばした亮は、そのまま拓海の方へと向く。

 

「まあ、と言っても答えは一つか。定石、というか普通に考えるなら、このまま結界が消えるのを待つべきなんだが」

 

 その言葉に、拓海は思わず上を見上げた。

 彼女らの姿は見えない。元いた屋根がどれだけ上にあるかも分からない。

 分かるのは微かな物音、若干と光の明暗くらい。

 

(確かに、亮の腕も治った。ほんの少しだが、体を休めた)

 

 亮と言った通り、拓海の中でその答えは決まっている。

 

「……悪い。俺の信条もそうだけど、トキの事も気がかりでさ」

 

 あの弟分は、家族以外だと拓海と真里華以外に信頼も信用もしていない。

 最近一人増えたようだが、それも幻衛士。

 一応、味方と言っていい未来達に、鉛玉を撃ち込もうとする可能性が十分に高い。

 

「アイツらを止められるとしたら、ここにいる人達でいえば俺だけだろう。だから是が非でもいかなきゃいけない。ただ問題は……」

 

 どうやってあそこに戻るか、である。

 ただ戻っただけでは二の舞だろう。

 少なくとも、結界の制限時間まで稼げればいいのだが……

 

「黄の幻衛士については、オレが担当しよう。多分なんとかなる。思う通りに出来なかったとしても、なんとかする。だから後は、アンタがなるようにする手を作るだけだ」

 

「手、か」

 

 拓海がやるべきことは、結界維持の制限時間まで、戦闘の手を止めざるを得ない状況を作ること。

 だが、そんな状況をどうやって作ったものか――いや、待て。

 

「……なあ、神力って、色々と融通効いたりするのか? 形とか性質とか」

 

 亮にそう問いかけてみると、「ん、まあ」と眉を顰めながら肯定した。

 

「そもそもオレ達が想像の塊と言っていい存在だしな。呼び出されたものに、ちょっとした願望を混ぜるくらいはどうってことないだろう。

 とはいえ、想像(イメージ)……思考っていうのは常に移り変わるもの。文字や絵と言った固定されたものがないと、構築の維持すら困難になる。多分、保って数秒だろうな」

 

 だからそれは実戦的じゃないと、忠告をくれる。

 確かに役に立つかも分からない上に持続性すらないものは、確かに不要だと切り捨てるべきだろう。

 

「なら問題ない、数秒あるなら充分だ」

 

 だが拓海にとっては、むしろ欲しかった理想通りの答え。

 

 ――おかげで考えが定まった。

 

「……なにか考えがあるんだな?」

 

 拓海の笑みに気付いた亮へ、拓海は頷く。

 

「ああ、昨日からずっと考えていたことがあってな。これが上手くいくのなら、それも含めてなんとかできると思う。

 だから、後は……ルーリィ」

 

「はいはい」

 

「俺を持って、あいつらがいるところのさらに上空まで飛べるか?」

 

「…………はい?」

 

 素っ頓狂なことを問いかけてくる拓海に、ルーリィは目を丸くするのだった。

 

 

 

 

 そうして現在。天井屋根より遥か上空にて。

 ルーリィに抱えられる、拓海の姿があった。

 

「それじゃあ創喚者、本当に落とすよー!?」

 

 問いかけに、ドクンドクンと早くなる鼓動。

 自身を叱咤/鼓舞する。

 

「……頼む! それから、ここまでありがとう!!」

 

「遺言に聞こえるからそれやめてねー! それじゃあ――ほい!」

 

 ルーリィの手から離れ、落ちる。

 ふと、そういえばここ最近高いところから落ちる機会が多いなあ、等と思いつつ、パラシュートなしのスカイダイビングを堪能しながら球体を握り潰す。

 本日二度目の身体強化。

 間を置かずの使用のせいか、肉体が軋み、口の中に血の味で満たされる。

 

「そんで、おまけー!」

 

 ここで、ルーリィの一手。

 上から煌々とした光が放たれ、さらに亮の指差しによって屋根に立つ全員が、全身の痛みで冷や汗流すこちらの無謀に気が付く。

 

「たっくん……!?」

 

「……なんと、まあ。自殺行為も、ここまで極まるとは。人の愚かさとは際限がないとみえます。さて創喚者?」

 

「……そうですわね。わたくしにはここでやめておきますわ」

 

「分かりました。ではあたしは――」

 

 ナタリアが一歩下がり、至る所にある影が蠢く。

 そこから溢れ出る黒の切っ先が、拓海に向けて射出され――

 

「させるか! 【ヴァールハイト・ゾンネンリヒト】!」

 

 沙良に向かって飛翔する、亮の手から発せられたのは、ルーリィのものと同じ光。

 その陽光に照らされた影という影が、跡形もなくかき消された。

 

「――――これは」

 

 間に合わず射出された影の刃すら、拓海に近付いていくだけで薄れていく光景に、沙良は絶句する。

 

「残念だったな」

 

 亮はニヤリと呟く。

 こちらには、そういう影に対する特効を持っていたのだ。

 

 トゥルーファクト・ウォーにある数多の種族。

 その中に、妖力を持った魔獣という影に潜み、影を編み、影となる実体のない獣がいる。

 その殆どが人間のような明確な知性はなく、ただ本能のままに精神を犯し、捕食する害獣。

 加えて雑食。最悪の重ねがけだ。

 

 他種族も満場一致で真っ先に駆除するべきだと判断されたくらいだが、肉体が軽薄な為、下手な攻撃は当てることもできない。

 故にそれに対する対策として、天使は一つの術を編み出した。

 

 それこそがこの光。

 影に対する特効を持つ、太陽の如く暖かい浄化の光だ。

 

 極々限定的な能力なので、彼女の初見時も影系の術を出して一つ二つくらいで、大した対策にならないと思っていた。

 だがこうして属性の一致した以上、これ以上暗殺者の真似事など、出来はしない……!

 

「……なるほど、確かにただの影では簡単に消されてしまうようですね。創喚者の手を借りたいところですが、その前に斬られてしまいそう。

 ああ、本当に――浅はかが過ぎて、逆に愛らしい」

 

 だがその確信は、沙良の身体から溢れ出る黒い靄によって否定された。

 

「なっ――――」

 

 瞬間、破裂するように飛び散る影が、直前にまで迫っていた亮へ襲い来る。

 

 ――なのに、消えない。

 まだ陽光は健在なのに、亮へ段々と近づいてきてるのに、未だ薄れていく気配がない。

 

 間一髪、潜り抜けるように回避した亮は彼女とぶつかり合い、鍔迫り合う。

 

「ッ。……お前、あれはなんだ?」

 

 腕にかかる圧力に顔を顰めながら、亮は問いかけると、沙良は惚けるように頭を傾げた。

 

「なにって、影ですよ。あたしに宿る特別な、ね」

 

「その特別がなんなのかを、オレは聞いてるんだが」

 

「教えるわけないじゃないですか。それでそれも対策されては元も子もない。――それより」

 

 亮の剣を舞うように振り払いながら、沙良は嗤う。

 

「駄目ではありませんか、目をそらしては」

 

 その時、蠢動する影。

 亮の後ろで停止していた靄は、瞬く間に剣山の如く凶器の塊と化す。

 そしてそれは独りで浮かび上がり、目標に――拓海に向かって飛び出した。

 

 迫る、迫る。

 無防備に落ちる拓海の向かう先に、()が待っている。

 

 ――だが、亮は振り向かない。助けに来ることはない。

 先ほどとは別の意味で顔を歪ませたまま、沙良との剣戟を再開する。

 

《……本当に、大丈夫なんだな!?》

 

《問題ないからっ、お前はお前で集中しろ!》

 

 こうなることを想定していたので、事前にそうなった時のことを話しておいたのだ。

 

 こちらのことはこちらでなんとかするから、目の前の対処を優先しろ、と。

 

《お前等も、手を出さなくていいし、そのまま待っててくれよ!》

 

 ついでに僅かに動きが見えた時亜、未来達にも()っておきながら、身体強化として取り込んでいた神力を右足に集中させる。

 

 そして、想像する。

 

「右足を覆うように――バネのように――――!」

 

 この言葉に意味はない。

 ただ自分の中のイメージを固定させるように、呟いているだけ。

 そのおかげか否か、神力は右足に巻き付いたバネのように、靭やかな下駄となった。

 

「…………あれはッ」

 

 右足を静かに振り上げ、残り四メートル、三。

 目前に迫った凶器に向け、躊躇なく振り下ろす!

 神力は影を素通りし、そのまま右足に剣山が突き刺さった。

 

「っ、ギ、ィ――――!?」

 

 文字通り、身を裂かれた激痛。

 発火でもするのではと思うくらいの熱の錯覚。

 

 肉体が起こす警報によって点滅する意識を、歯を食いしばってなんとか保たせる。

 だが、それも長くはない。

 このまま意識を手放せば剣山の餌食。

 そうでなくとも傷を塞がなければ出血多量も視野だ。

 

「兄貴!?」

 

「またなんて意味のない無茶を――!」

 

「……いや、多分、イカれてるが無意味じゃねェ」

 

 それでも、足は引かない。

 聞こえてくる悲鳴を他所に、むしろ押し込むように足を伸ばす。

 

 ギリギリと、音が鳴る。

 履いた足を守らず、血を垂れ流す下駄のバネは、ついに限界まで引き絞られ――

 

「ブッ飛べ――――――!!」

 

 気が付けば影は跳ね返り、彼女達の立つ屋根は、文字通り崩壊していた。

 

 崩れゆく足元。

 創喚者が落ちる前に彼/彼女らを抱えた幻衛士達は、すぐに安全であろう場所へと跳ぶ/飛ぶ。

 

(なんとか上手くやれた……)

 

 拓海も同じように、飛ぶ亮に抱えられながら、内心安堵する。

 考えていたことも、これなら心配いらないだろう。

 後で心配と苦労をかけた亮に礼を言っておこうと思いつつ、彼女等のいる真下の屋根にゆっくりと降ろされる。

 

「お前達、そろそろ、武器を納めろ。今日は、もう終いだ」

 

「……何を言い出すかと思えば」

 

 そうして亮に支えられたまま拓海の告げた言葉に、落胆と苛立ちを滲ませた沙良が呟く。

 

「興が醒めるような戯言ですね。まさか、負けそうだからそう宣っているわけではありませんよね?」

 

 思わず嘆息を一つ。

 まさかそっちから反論が来るとは思わなかった。

 

「……お前こそ何を言ってる。思い出してみろ、リア姉が手を止めたのは、俺に配慮してってだけじゃない」

 

「なにを――」

 

時間だ(・・・)

 

「は――――――」

 

 幻想(けっかい)が解ける。

 まるで上塗りしていた絵の具を削るように、拓海達は現実(もと)いた生徒会室へと戻っていた。

 

「そういうわけですわ、沙良。約束は、覚えていますわよね?」

 

「…………分かっています」

 

 ナタリアの言葉に、沙良は渋々といった様子で得物を仕舞う。

 やはり、事前に制約を設けていたらしい。

 拓海はホッと息を吐く。

 

 と、ナタリアは姿勢を正し、沙良ともども頭を下げる。

 

「改めまして、本日は大変失礼致しました。お詫びというのもあれですが、お帰りまでここで好きに身体を休ませていってくださいませ」

 

「それじゃあお先に、お言葉に甘えて、と」

 

 そう言いながらびっこ引いてソファーへと向かい、右足に触らないようゆっくりと座る。

 

「はいどうぞ。では、ここからはわたくしが言う事ではないので」

 

 と言いながら、一歩下がり、ニコリ笑顔な時亜が前に出て、

 

「お説教のお時間です」

 

「あっ、はい」

 

 ですよね。

 

 こうして拓海は、亮とルーリィによる治療を受けてながら、これから始まる説教を甘んじて受け入れるのだった。

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