キヴォトスの二ッ岩は悪だくみの天才なんじゃよ   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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 えへへ……どこか短編を二つくらい突っ込んだみたいな感じになってしまいました。でも、ウチのゲヘナがこんな感じだってわかってもらえますよね。
 イロハのイメージが違うかもしれませんが、それは持っていないからです。辛いですよね。悔しいですよね。……なんでいないんでしょうか。虚しいですね。

 すべては虚しいので、感想と評価ください!!!!


貒は悪魔たちと相見える-その壱

「……ん、朝か」

 日が登り始めた頃に目を覚ます。昔は昼まで寝るのは当たり前だったのに、命蓮寺に居着くようになって身についてしまった習慣へ小さく笑みがこぼれた。

「しかし、ベッドは慣れんな」

 むくりと身体を起こし、窓を開ける。1晩経てばもしやと思ってみたが、どうやらそんなことは無かったようで、窓の外には見覚えのない世界が広がっている。

 ここは、万魔殿議長羽沼マコトの自宅、その客室。さすが議長というだけあって広々とした邸宅である。だが、幻想郷は基本和風家屋、洋風の部屋というのは慣れないものである。

 さて、起きたはいいが、どうしようか……朝餉にはまだ早い。

 

 

 

「───朝か」

 目覚まし時計を止め、体を起こす。

 針は午前五時三十分、今日も一日、このマコト様が偉大であることを示す1歩を進めなくては。

 まずは朝食と弁当作りだな。

「そういえばマミゾウの分も弁当がいるな……待て、奴は何を食べるんだ?」

 彼女は我々とよく似ているが、別の世界から来ているという。とすれば、食べるものが実は違っているということは無いだろうか……? 

「確認した方が……うん、何だこの匂い?」

 鼻をヒクつかせる匂いに誘われ、部屋を出る。

「スマンな、先に頂いとるぞ……なんじゃその寝間着」

「イブキが選んでくれたものだ、とてもよく眠れる」

 マミゾウは何か言おうとして、いったん口を閉じ、そうか。とだけ言った。イブキとおそろいのペロペロさんプリントパジャマに何か問題でもあるのだろうか。

「しかし、起きるのが早いな……それは、和食か」

 見ると皿の上には料理が出ている。皿の上には鮭、卵焼き、大根おろしに、白米と味噌汁。見る限りは普通の食べ物で、先ほどの私の心配は杞憂だったようだ。

「便利なもんじゃな、”いんすたんと”というものは、即席で味噌汁が作れる」

 ズズズと味噌汁を飲むマミゾウはそんなことを言う。

「あぁ、そうそうお前さんも食うか? 食わんなら儂の昼飯にするが」

「そうだな、いただこう」

 

 

 

「イロハ、今日のパトロールはマミゾウを連れていけ」

 昼下がりの万魔殿にて、出かけようとするイロハにマコトがそう声をかけた。

「……ハァ、わかりました。マミゾウさん、こちらへ」

 露骨に嫌そうな顔をしていたが、諦めたようで、儂に声をかけた。

「いやぁ悪いのぅ」

「いいですよ、一人で行かせたらどこに攫われてしまうかわかったものじゃありませんから」

 扉を開けながらイロハは言う。

「……それは冗談なんじゃよな?」

 どうでしょうかね。とだけイロハは答え、歩き出した。

 

 

 

「巡回にも戦車を使うのか?」

「私は戦車長ですよ。戦車を使わなくて何を使うんですか」

 それもそうかと思いかけるが、よく考えるとそれとこれとは話が別なのではないだろうか。そう思って口を開こうとした瞬間、操縦手の声が割り込んできた。

「総員ショック体勢ッ!」

 何事かという暇もなく、強い振動が車体を揺さぶる。

 だが、揺れはすぐに収まり、今度はドドドという轟音が聞こえてくる。

「チィ! 今日はどこですか!」

 イロハが舌打ちしながらハッチを開けて車外に顔を出す。そうすると轟音ははっきりと聞こえ、ハッチの隙間から外を窺うと巨大な水柱が一本見えた。

「車長! 操縦手が気絶してます!」

「無線手、交代を。この場所から撤退しますよ」

 イロハがテキパキと指示を出す。儂は気絶した操縦手を受け取り、抱きとめておく。

「しかし、あんな水柱が立ち上るとは、恐ろしいな」

「安心してください、あんなの自然に発生することは稀です」

 儂の独り言に、装填手が返す。だが、その返事には引っかかる部分があった。

「自然? なんじゃ、あんなのが人為的だと?」

「あれは温泉開発部の仕業です。どこであろうが温泉があると言っては、周りを爆破して温泉を開発するやつらでして」

「頭おかしいぞ、そいつら」

 装填手が嘘をついているようには見えない。だからこそ、信じたくない。そんな軽いことで事件を起こすような……いや、いるかもしれん。よくよく思い返せば幻想郷の奴らもそんなもんじゃった。

「これだけの騒ぎですので通報はいらないと思いますが、一応言っておきます、報告は上げなくていいです。マコト先輩が知ったら追いかけろとでも言ってきそうですから」

 危ない場所は切り抜けたのか、イロハが戦闘室に戻ってきて言った。

「……遅いんじゃないかのぅ」

 備え付けられた通信機は、呼び出しの声を発していた。

『風紀委員会に目に物を見せるんだ! 聞いてるのかイロハ! 一番近い場所にお前たちがいる。風紀より先に温泉開発部を鎮圧すれば、奴らをぎゃふんと言わせることができるんだぞ!!』

「うわ、喧し……ハァ、ここでサボると後でネチネチ言われそうですし、やるしかありませんね。───こちら虎丸、任務了解。頭を押さえます」

 通信機に短く返し、イロハはもう一度ハッチを開けて外へ顔を出す。

「総員強い衝撃に覚悟を。舌を噛んでも知りませんよ」

 イロハの合図に合わせてエンジンが唸りを上げ、ギャラギャラと履帯が地面を踏みしめる。

 その踏みしめが十分すぎるほど溜まった時、虎丸は野を駆ける一匹の獣となった。

 

 

 

「ハーッハッハッ! 今回もうまくいったなァ! 今日はあの風紀委員長はシャーレに当番……ならば恐れることはない」

「あ~……部長、なんか降ってくるよ?」

「何ィ!? 風紀の連中にしては早すぎる……いったい誰だ!」

「───行きますよ、虎丸」

 着地した虎丸はギャリギャリとアスファルトの上を削り飛ばしながら滑り、衝撃を流していく。それに巻き込まれて何人かのモブが吹っ飛ばされるが、雑兵をいくら押さえようとも意味がない。戦車は一つ、目指すも一つ。温泉開発部の頭、鬼怒川カスミの捕獲だ。

「特殊砲弾装填───!」

 対人捕獲弾頭が砲塔から撃ち出される。それは瓦礫の隙間をちょこまか走って逃げようとするカスミに向かって飛んでいく。

「ひぇ~~~~ッ!!!」

 至近弾だったためカスミの悲鳴が響く。だが所詮至近弾、捕らえられなきゃ意味がない。

「チッ、面倒ですね。榴弾で吹っ飛ばしてからにしましょうか」

「さすがにそれは死んじまうぞい」

「安心してください。キヴォトス乙女は固いんですよ」

 そんなことを言いながら、何発も打ち込んでいく。

「はっ、話をしよう! 私を見逃してくれたら。次の仕事は無償で引き受けよう! なっ、なっ!」

「……なんか言っておるぞ」

「構いません、あれは鳴き声です。彼女はそういう手合いなので」

 不安になっているマミゾウを抑えて、外に顔を出す。

「今回そういった取引は致しません。投降するか、榴弾直撃してから投降するか選んでください」

 私がそういうと、小さい悪魔は両手を上げた。

『───こちら虎丸、頭を押さえました。ちまちましたのは追いかけるの無理なので、そっちは風紀にお願いします』




夜はマコトさんとディナーに行くらしいですよ。うらやましいですね。
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