キヴォトスの二ッ岩は悪だくみの天才なんじゃよ   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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 お久しぶりです生きてます。
 雷帝関係ですべてがひっくり返りそうで怖くてたまらない日々です。


小悪魔と狸と遊びの日

 万魔殿の朝はそれなりに早い。普通こういう生徒会やら部活動は学業の後だと思うのだが、万魔殿の構成員たちは皆こちらの方へ登校してくる。

「授業は無いのか?」

「問題ない、映像授業は好きな時に見ればよいことになっている。学園に何かあったときに授業を受講していて来られませんじゃ困るだろう?」

 マコトは秘書の持ってきた書類に目を通しながらそう答えた。

「そういうモノかのぅ?」

「気になるなら見てもいいぞ。受け終わったものでも見直すことができるからな」

 差し出されたのは眼鏡のような機械だった。近未来的な世界だと思っていたが、こういうところも進んでいたらしい。試してみようと眼鏡をはずした時、万魔殿執務室の扉が開いた。

「おはようございます!」

 ハキハキとした幼い声が響く。誰もがその声に惹かれて入口を見る。長い金髪を両側にまとめながら、リボンは片方だけの変わった髪型に帽子をかぶった幼い悪魔がそこに居た。

「おはよう、イブキ」

「おはようございます、イブキ」

「よぉ、今日もいい朝じゃな、イブキ」

 皆が彼女に挨拶を贈る。無論儂も。イブキと呼ばれる少女はその挨拶一つ一つにキチンと挨拶を返した。そして、彼女は自分のテリトリーへ歩を進めるはずだった。

「マミゾウさん!」

 だが、今日はそういう気分じゃなかったらしい。彼女は儂の名前を呼びながらトテトテと近づいてきた。

「なんじゃ?」

「遊ぼ!」

「あぁ、いいぞ」

 ぎゅっと抱き着いた少女が上目遣いで頼むお願いを断れることなどできようか。いや出来ない。

「何して遊ぼうか」

 手を引かれ、彼女用のスペースへ移動する。そこには数々の玩具があった。

「今日はね~……ボードゲームの気分!」

「ほう、ぼぉどげぇむか。良いぞ」

 折り畳み足の卓袱台の上に盤が積みあがる。

「チェスに~、チェッカ~、ルド~とオセロ~!」

「おや、囲碁に将棋もあるじゃないか、ほほっまさに遊び大全と言ったところじゃな」

「どれにする?」

「そうじゃな……それじゃあイブキが一番得意なモノでよいぞ」

 儂がそう言うとイブキは不満そうに頬を膨らませた。

「もう! イブキを甘く見てるの?」

「そうだぞ、マミゾウ、イブキは強いんだぞ」

 どうやら弱いとみられたことが不満の様だった。しかし、儂が良くわかるのは東洋系で、西洋系で分かるのは辛うじてチェスとオセロぐらいだ。きっとイブキの得意なモノはその真逆だろう。

「そうは言っても、儂の得意なモノは将棋や囲碁じゃぞ? イブキが苦手なモノばかりじゃろ」

 イブキはコクリと頷いた。

「……こうしようか、ここにサイコロがある。げぇむは六つ、出たモノをしようか」

 

 

 

 ゲームにおいて必勝の方法があると言われて何を思いつくだろうか? ハメ技? チート? それとも定石か……だがどれも必勝であると言い切り難いだろう。定石には対策が、ハメ技には抜け道が、チートには鉄槌が下る。

 だが、確実に一つ存在すると言い切れるゲームがある。それがチェッカーだ。

「面白いのぅ、簡潔でありながら奥深い」

 赤の駒を動かしながらマミゾウは言った。

「でしょ?」

 黒の駒が赤の駒を軽々と飛び越え、赤の駒は我らが天使に取り上げられた。

 マミゾウの顔が少々歪む。

「言っただろう? イブキは強いぞと」

「……儂が不運だっただけか?」

「残念ですけど、イブキが一番得意なのはチェスですよ」

 そうこうしている間にも、マミゾウの駒は減り続けている。どちらが負けかは明白だった。

「……投了、じゃな」

 盤上の赤の駒はたった一つだけとなっていた。

「えへへ、もっかいする?」

「そうじゃな、もう一回やってみようかのぅ……ところで、必勝法があるんじゃろ? このげぇむは」

 イブキがびっくりした様子でマミゾウを見る。

「気づいたの?」

「なんとなくじゃがな。どういう仕組みか教えてもらえるかのぅ?」

 マミゾウはそういってもう一度盤上に駒を並べ始めた。




 こういうのを二人零和有限確定完全情報ゲームと言うらしいですわよ。
 双方のプレイヤーがお互い最善手を指し続けると必ず決まった結果になるものをそういうのだとか。

 チェッカーの最善手のお話はとても面白いのですわ。人工知能と人間の決闘、ミレニアムが大好きそうな話ですわね。
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