あやかしランブル!~蒼澄カンナ伝:私の家がなんかデカい穴に呑み込まれてるんですけど……~   作:吾輩はもぐらである

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 登場人物等の設定を気まぐれに公開していきます。
 話を順番に読んでいる限りネタバレにはならないよう気を付けていますが、先に設定を読むとネタバレが発生する可能性が高いので注意下さい。



設定:蒼澄大

 (あお)(すみ)(まさる)。蒼澄カンナの祖父。ヒト。物語開始時点で故人。

 

 大は幼いころに両親を病で亡くし、親戚であった蒼澄家に養子として引き取られました。当時、蒼澄家はシジョウで全盛期を迎えていた鉱山開発に関わる利権で繁栄しましたが、開発が落ち着くと貧乏になりました。大は利権頼りで生きてきた蒼澄家の者たちが苦労する様子を見て知識を磨くことに専念し、苦学の末に大陸のみならず海向こうからもエリートが集う「シジョウ数理工科大学」で研究者としての籍を手に入れました。ちなみに、大の専門は現実世界でいうと確率論・統計学に近い分野です。

 大のキャリアは順風満帆でした。権威ある査読付き論文誌に何本も主著論文を掲載し、出版した書籍は名著として現代でも重版され続けており、海向こうでも訳本が出回っています。個人的に行っていた不動産投資でも成功をおさめ、蒼澄家を再興することに成功します。

 

 二十八歳の時に飲食店経営者の鮎川寧々と結婚し、三十歳の時に一人息子の穣が生まれました。

 

 大は研究の世界で評価されるだけで満足する人物ではなく、大きな社会問題を自ら解決に導きたいという野心を持つ人物でした。シジョウには犯罪組織の跋扈、汚職、テロ、犯罪の多発という分かりやすい社会問題があったので、これらとの闘争に余生を費やすため、シジョウの首長になることを志すようになります。犯罪組織の嫌がらせで店の経営に苦労した経験がある寧々は大の決心を絶賛し、大の決心を聞いた翌月には自身の飲食店の経営権を他者に売却して選挙活動の資金を手に入れ、大の選挙活動にコミットします。大は犯罪組織との対決をマニフェストに掲げて首長選に挑み、二度の落選を経験しましたが、三度目の立候補で当時の現職に圧勝して首長に選ばれます。

 

 首長となった大は首長人生をシジョウに巣くう犯罪組織や腐敗官憲との戦いに捧げます。就任初日から銃撃され、自宅には連日危険物や脅迫状が届く日々でしたが、首長の強権で犯罪組織と戦うために数々の条例を制定します。代表的な条例として、宗教カルトから違法薬物の売買まで、シジョウの福祉に悪影響を与える団体を反社会組織として指定し活動内容と構成員の情報を収集する「反社会組織の排除に向けた特定団体指定条例」、「反社会組織の排除に向けた特定団体指定条例」で指定された団体への警察の捜査権限を大幅に強化する「治安回復条例」、反社会組織や構成員のシジョウにおける政治経済活動を大幅に制限する「市民生活保護条例」、起業や行政の資金の流れを透明化する「陽光条例」、企業、行政、警察組織の不正告発者を保護する「銀の盾条例」、青少年が犯罪組織に加入することを防ぐために教育や就職支援を行う「青少年保護条例」、反社会組織から脱退した構成員の社会復帰を包括的に支援するための「歓迎条例」等が挙げられます。

 犯罪組織との戦いばかりがハイライトされがちな大ですが、教育、特に科学教育の奨励と義務教育の普及にもかなりの力を注ぎました。シジョウはもともと数多くの著名な科学者を輩出する学際の街でしたが、教育格差が深刻でした。大は莫大な公費を投じて学校と教員を増やし、一般家庭が義務教育に費やすコストを下げ、識字率や就学率を劇的に改善しました。

 大は目的のためなら手段を選ばない性格で、任期中、現実の日本ならまず受け入れられないグレーなことを数えきれないほどやらかしています。批判は多いですが、当時のシジョウのシビアな社会情勢、首長としての圧倒的な成果、私服を肥やすことを一切しなかったことから、大の行動は圧倒的多数の市民に容認され、「目的のためなら手段を選ばない辣腕首長」と肯定的なイメージを持たれています。シジョウでは首長の任期は四年で三選までしか認められませんが、大は三期十二年を全うしています。

 

 妻の寧々は大が二期目に当選した翌日に病で他界しました。

 

 大の政策は周辺都市にも影響を与え、特にシジョウと同様の社会問題を抱えるラクドウは大の政策を真似しようと奮闘しています。大は首長を引退後は文筆家兼啓蒙活動家となり、各地で精力的に講演を行っていました。

 

 強い首長だった大は肉体も非常に強靭でした。十六歳の頃から一貫して大酒飲みでコーヒーと甘味の中毒者でしたが、人生で一度も大病を患ったことがありません。陸上競技を愛好し、六十五歳になるまでほぼ毎年フルマラソンに出場して完走していました。

 

 大は綺麗好きで掃除と整理整頓は得意ですが、料理の腕はイマイチでした。穣やカンナに対する教育は本人の自主性を重んじる放任主義でしたが、貧乏の苦しさを身を以て知っていること、首長として社会の暗部を見続けてきたことから「貧乏人にはなるな」「弱者の綺麗ごとなんて社会には通用しないから、頭脳も精神も強い舐められない大人になれ」と穣とカンナには口酸っぱく言い続けていました。

 

 人柄は温厚ですが、物の見方はシビアで、根本的なところで他者や社会を信用していませんでした。「自分が火の粉を被ってでも動かないと社会は良くならない」という一種の諦念と使命感を持ち合わせており、不満を原動力に生きる人物だったと言えます。

 

 本作にも登場する「蒼澄家爆破事件」で他界しました。享年七十九。

 

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