あやかしランブル!~蒼澄カンナ伝:私の家がなんかデカい穴に呑み込まれてるんですけど……~ 作:吾輩はもぐらである
第五十七話:Yume in dreamworld #1
「カンナさんの悪夢を私に調べさせてくれませんか~~?」
ある日、カンナはユメからそのような申し出を受けた。ジュソウで窮地を救われたお礼に、夢の世界にダイブできる獏のアヤカシの異能で恩返しがしたいらしい。
「私はもう慣れっこだけど、胸糞悪い夢だからユメも気を付けてね。」
「これまで色々な人の夢に入ってきましたのでご心配なく~。」
ユメは悪夢の内容を不安視していなかった。
ユメは式神になる前は無職で各地を放浪しており、人の夢に入って精神に悪影響を与えているものを取り除いてやることで路銀を稼いでいた。結構な数の夢を診てきたが、夢の調査を依頼する人間はほぼ全員が悩みや精神的な問題を抱えており、それ相応の歪みを何度も見てきた。毎晩同じ悪夢を見るというのはさすがのユメも聞いたことがなかったがだからこそ興味深かったし、何より命の恩人であるカンナの助けになりたかった。
「では、カンナさんさえ良ければ始めましょうかー。」
「うん。お願いね。」
カンナが寝息を立てるのを確認すると、ユメも獏の人形を抱いて眠りについた――
▼▽▼▽
夢の世界へと続く扉だけがぽつんと存在する空間。ユメが扉を開くとどこかの街に出た。
(ここは?)
目の前に学校と思われる施設がある。入り口には「シジョウ公立第三高等学校」の看板。後ろを振り返ると――
(あ、シジョウ富士ですねー。)
ユメはシジョウに足を踏み入れたことはないが、シジョウ富士は有名な観光スポットなので何度か写真で見たことがある。街中からシジョウ富士が見えるということは、恐らくここはカンナの故郷であるシジョウなのだろう。
ユメの予想を裏付けるかのように学園から1人の女子生徒が出てくる。カンナだ。現実よりも長い髪をポニーテールにしている。
「私今日晩御飯の準備があるから帰る!みんなばいばい。」
「カンちゃんばいば~い!」
「おい蒼澄!来月のボーリング大会はちゃんと参加しろよ!」
大勢の見送りを背にカンナが学校を後にする。
(これがカンナさん……15、6歳くらいですかね?)
カンナは外見から年齢を判断しづらい。180cm近い長身と大人びた顔立ちのせいで学生服がコスプレに見えてしまう。本人も学生服が似合っていない自覚があるらしく、校門を出るとすぐに鞄から私服と思われる紺色のトレーナーを取り出して制服の上から羽織った。そしてそのまま走り出した。
「わわー。待ってください~~!」
カンナは軽いランニングをしている風だが速すぎて追いつける気がしない。獏のアヤカシは夢の世界での事象をある程度コントロールできるので、獏を召喚して背に乗りカンナの後を追わせる。
大通りに合流してシジョウ富士が見える方角へ進むと商業施設が集中する地域へたどり着く。「裾之街」という乗合馬車の停留所が見えることから、恐らくここは裾之街という地域なのだろう。カンナは食料品店に入ってさっさと買い物を済ませると、大通りを更に北に向けて走り出す。やがて三叉路に着いた。
『←青美台 ↑シジョウ数理工科大学青美台キャンパス 王隠・シジョウ富士登山口→』
看板が一瞬目に入る。カンナは左折した。
後に続くと建物がまばらになり山林地帯の雰囲気が漂い始める。ここまで結構な距離で坂道も多かったが、カンナは息一つ乱れておらず汗もほとんどかいていない。
カンナの家は三叉路を少し行った先の里山の麓にあった。
(大きな家ですねえ。)
屋敷と呼んで差し支えない大きさの二階建て。庭だけでもファミリー向けの家を建てられそうなほど広く、小さな離れと倉庫まである。カンナの雰囲気から察しはついていたが、彼女の実家はかなり裕福らしい。
「ただいまー。」
家の門を開けたカンナを茶色い毛並みの小型犬と平均的なサイズのぶち猫が駆け寄って出迎える。
「ガウガウ、リンリン、ただいま。ご飯作るからね~。」
家には誰もいない。カンナは祖父と父親と3人暮らしをしていたはずだが、恐らく仕事に出ているのだろう。
台所に立ったカンナが慣れた手際で夕食の支度を始める。料理が完成するころにはカンナの父親と祖父も帰宅し、夕食が始まる。
「「いただきます。」」
「いただきます。リンリン、ガウガウ、食べて良し。」
この日のおかずはラム肉のステーキとキノコのバター炒め。リンリンとガウガウも大きな肉を行儀よく食べ始める。
(美味しそうですー。それにしても、明るい雰囲気の夢ですね~~。)
人間は一晩に複数の夢を見るが、どうやら最初の夢は例の悪夢ではなかったらしい。単純にカンナの子供時代に興味があったのでしばらく見物することにした。
カンナの父親蒼澄穣は40代後半、祖父蒼澄大は70代前後のはずだが、2人とも年齢の割に筋肉質で引き締まった体格をしており頭髪も豊かである。顔立ちがそっくりで、どちらも知的な雰囲気だが眼孔の鋭さが半端ではない。幾度となく死線を潜り抜けてきたベテランの式神に似た、戦いを生涯の仕事に選んだ者特有のドスの効いた雰囲気を放っている。
(カンナさんの育ての親ってこういう人なんですね~~。)
普段のカンナの雰囲気を思い出すと「なるほど」と思わせるものがある。なんというか、カンナの目力はこの2人に近しいものがある。カンナは蒼澄家の血を受け継いでいないので全く外見は似ていないのだが、なるほど他人の目から見てもこの3人は親子だ。
食卓の会話はちょっと小難しい社会問題の話だがカンナも平然と会話に交ざっている。福祉行政がああだ、貧困対策がどうだ、来月の議員補欠選挙はこうだとあれやこれやと言いながら、3人仲良く山盛りの玄米と大きなラム肉をむしゃむしゃと平らげ、オニオンスープをぐびぐび飲み干し、生のニンジンをばりぼりかみ砕いていく。
食事が終わると穣と大は酒を飲み始める。酒のラベルは『青雲麗らか』。
「穣、お前また本出すんやろ?もうそろそろやっけ?」
「出すよ。ただ、ここ最近の動向を反映したいから少し出版が遅れそうなんだよね。」
「次のお父さんの本って何を扱うの?」
「何をって?ズバリ言うと、美頭家のシジョウ警察への不正介入かな!」
カンナに興味を抱かれ穣のテンションが露骨に上がる。
「
「美頭って
「そう。」
「美頭孝って
「人相通りの外道だよ。なあ、父さん?」
「せやな。美頭一派のお陰で、爺ちゃんも暗殺されかけたり汚職の濡れ衣を着せかけられたり、刺激的な首長人生を送らせていただきましたわ。カンナも注意せぇよ。あいつはホンマに見かけ以上の悪党やからな。」
穣は新聞記者、大はシジョウの首長として名を成した人物のはずだ。政治の話はあまり詳しくないが、美頭なる闇の権力者の話をしているのだろう。
「カンナはシジョウで最悪の未解決事件って言ったら何を思い浮かべる?」
穣が問いかける。
「うーん、裁判所連続爆破事件かな?紅連会が絡んでるって噂だけど真相がよくわかってないって言われてるし。新しい事件だと、最近裏で流行ってる違法霊具の流通も分かってないらしいし……。」
「もっと昔の事件ではどう?」
「昔の事件だと、やっぱり私が産まれる前に起きた児童連続誘拐殺人事件かな?よく分からない理由で捜査チームが解散させられて、納得できないって抗議した責任者が放火で殺されちゃったやつ。他には……お父さんの同僚が亡くなった記者連続殺人事件とかお爺ちゃんの職場に毒ガスがまかれた事件はもう解決してるから違うよね?」
「よく知ってるじゃん。」
穣が満足気に鼻を膨らませる。
(シジョウって怖い街なんですね……。)
平和な街で生まれ育ったユメにはなかなか刺激が強い会話である。
「次の父さんの本では、そういう事件の捜査を美頭一派が黄山会とグルになってどう妨害したのかを明らかにする。出版前だからあまり具体的な事は言えないけど、あいつらのやり口は犯罪小説顔負けだよ。美頭の連中と腐敗警察の悪行を1つでも公にすることが父さんの残りの記者人生で最大の使命になりそうだなぁ。」
「へぇ、大変そう。」
「敏腕記者の責任は重いんだよ。他にできるやつもいなさそうだし、仕方ないね。」
「はいはい、頑張って。」
ふと気づいたが、夢の世界の子供だった頃のカンナと現実世界の大人のカンナの顔立ちに大差はない。だが、夢の世界で家族と談笑するカンナはどう見ても「大人」ではなく「ものすごく大人っぽい子供」にしか見えない。
(当たり前のことですけど、カンナさんにもただの女の子だった時期があるんですよねぇ……。)
感慨にふけっていると、唐突に窓ガラスが割れる「がしゃん」という音がした。
「ん?」
次に聞こえたのは「ごん、ころころ」と硬い何かが床にぶつかって転がる音。間髪を容れずに「どんっ」と轟音が響き渡り、周囲一帯を吹き飛ばす。
(えっ、えっ?)
急展開に一瞬頭が真っ白になるが、獏のアヤカシは夢の世界でそう簡単に傷を負ったりしない。爆発を認識する前に庭に瞬間移動して爆風から逃れる。
(今のは爆弾?)
バラバラと屋根の一部が崩落するのを見てようやく事態を把握する。
様子を伺っていると、しばらくしてカンナが犬を連れて庭に脱出してきた。
(そうでした、確かカンナさんは家族を犯罪者に……。)
庭には爆死した2人と1匹、穣、大、猫の遺体が横たわっている。犬もいつの間にか黒い動物用の棺の中で冷たくなっている。傷一つないので犬は寿命で他界したのだろう。
「あ”-ーーっ!!がぁ”-ーーっ!!!」
カンナは獣の咆哮のような叫び声をあげながら何者かを殴りつけている。
「死ねっ!死ねっ!死ねっ!」
カンナに殴られているのは恐らく鬼のアヤカシの大男。「恐らく」がつくのは、カンナの怪力で殴られ続けて身体がほとんど原形をとどめていないから。金属片でズタズタになった2人と1匹の遺体が無傷に見えるほど身体が損壊しているが、カンナは血だまりに浮かぶひき肉と化した男の顔面をなおも殴り続けている。
「うっ……。」
直視を躊躇われる惨い光景に思わず目を背けた時、ユメはシジョウの街並みが崩壊していることに気付いた。
(あ、穴?)
シジョウ富士の麓。最初は無かったはずの大きな黒い穴がぽっかりと開いている。
(シジョウの惨劇ですね。)
ユメはシジョウ奪還作戦に参加していないが、作戦に参加した班の同僚からの伝聞である程度は事件を把握している。あれが噂の異界へ続く穴だろう。
いつの間にか蒼澄家も穴に飲まれて消えている。ユメたちは真っ黒な虚空に浮かぶ地面の上に立っていた。
「あああぁぁぁっ!」
カンナが喉が張り裂けんばかりの大声で泣いている。髪を搔きむしり、拳と額を何度も地面にたたきつけ、土埃で汚れた爪を噛んでいる。動揺なんて生易しいものではなく完全に正気を失っている。
「と、友達!家族!家!北見先生!返せっ、返せっ、返せええええぇぇぇぇ!ああ”-ーーっ!」
「か、カンナさん……。」
声をかけるがカンナには届かない。その時、不意に背後から男の声がする。
「何してるんだ、カンナ。」
「泣くのはもう止めぇ、カンナ。」
振り返ると穣と大の遺体がまるで生きているかのように立ち上がり、言葉を発している。
「カンナ、爺ちゃん教えたよな?被害者面でメソメソしてるだけの善人の願い事が叶うほど世の中甘くないで。」
「辛いだろうけど、今は泣いてる場合じゃないってカンナならわかるよね?」
家族団らんの時とは打って変わって冷たい言葉を投げかける大と穣。
もう1人、犬神のアヤカシの偉丈夫が現れる。彼の写真をカンナに見せてもらったことがあるから知っている。カンナの師匠の北見慎だ。
「蒼澄さん、少年院を出たら面倒を見る約束を守れなくて申し訳ないです。」
北見慎が頭を下げる。
「でも、私が居なくても蒼澄さんのやるべきことは変わりません。立ち上がりなさい。強くなりなさい。それだけ、本当にそれだけです。」
ただ突き放すだけの冷たい口調。親を奪われた若い弟子に対する師の態度とは到底思えない。
「北見君の言う通りやぞ、カンナ。戦うんや。」
「勝つしかないないんだよ、カンナ。」
3人は彼女を至近距離で取り囲み、冷たい怒気をはらむ声音で「強くなれ」「戦え」「勝て」とひたすら連呼する。
「うるさいっ!」
ついにカンナの怒りが爆発した。
「私が知らないところで勝手に死んだくせに、私を独りにしたくせに、私に命令するな!」
金切り声をあげ子供のように泣きじゃくるカンナ。そんなカンナを見下ろす3人の顔に一瞬悲し気な表情が浮かぶ。
次に2人の男女が現れる。
(どなたでしょう?)
1人は陰陽師の制服を着た美男子。もう1人は銀の槍を持った可愛らしい気が強そうな女。ユメは面識がないが、中田原洋二と橡礼美である。
「カンナちゃん、素人にしてはやる方だと思ってたけど、もう限界かな?」
「蒼澄さんは十分頑張ったと思いますよ。後は陰陽寮に任せてゆっくりしてください。」
侮蔑混じりの薄ら笑いを浮かべながら2人が偽りの慰めの言葉をかける。
「ち、違います!中田原さん、橡さん!私はまだやれます!」
慌てた口調でカンナが反発する。
もう1人、短銃を携えた愛嬌がある顔立ちの若い男が現れる。またしてもユメの知らない人物だが、北別府俊介である。
「蒼澄さんは綺麗で強い女性だと思って口説いたんだけど、俺の目も曇ったのかな?綺麗なだけで中身は空っぽだったのかな?」
明るい冗談めかした口調だが目が笑っていない。ぞっとするほど冷たい軽蔑の感情がひしひしと感じられる。
「違う!私は、私は誓ったから!強くなるって、北見先生と約束したから!」
必死の口調でカンナが反論する。
更に3人、男女が現れる。金の杖を持つ長身痩躯の気弱そうな若い女性、筋骨隆々で強面の猫又の偉丈夫、短刀と短弓で武装した矍鑠たる犬神の偉丈夫。伊良部祥子、薮原大悟、小久保仁である。
(あれー、この人……。)
ユメは小久保の顔のみ見覚えがあった。
(どこかの街を救った英雄として肖像画に描かれてるのを見たことがある気がしますねえ……。)
3人もまたカンナに挑発的な態度で接する。
「どうした、蒼澄さん?もう限界か?瑠璃猿に立ち向かったあの時の元気はどこかに落っことしたのか?」
「カンナちゃんが私たちの仇を討てたのはまぐれだったのかな?」
「カンナ君、無理はしなくていいんよ。難しいことは他の人たちに任せて地元でゆっくりしててもええんよ。」
労りの言葉では決してない、カンナの努力を否定しようという悪意しか感じられない嫌な声音。
「違う……私はそんなんじゃない……。」
覇気のない沈んだ声でカンナが返す。
その後も次々と人が現れる。14歳くらいの可愛らしい女の子、荷馬車の停留所の駅員の制服を着た若い女、カンナと同じ学生服を着た何人もの少年少女たち。
「私を守ってくれたかっこいいカンナさんは幻だったの?がっかり。」
「シジョウを元通りにするって誓ったのは噓だったんだね。」
「カンちゃん、私たちの仇を取ってくれないの?」
「蒼澄のことすげぇやつだって思ってたけど、まあこんなもんかな?」
誰一人としてカンナを慰めたりしない。カンナの努力を哄笑し、悲嘆を嘲り、未来を否定する。ひたすら続く言葉の暴力。自分に向けられた悪意ではないとわかっていても背筋に悪寒が走る光景だった。
最初は反論していたカンナも、ついに何も言い返せなくなる。
(これがカンナさんの悪夢……?)
聞いていたのと随分違う内容だが、あまりに救いのない夢である。自分の能力で夢の内容を改変してやろうかと思ったその時、うずくまっていたカンナがすっと立ち上がった。
「みんな静かにして。」
カンナの涙は止まり、外見が若返っている。恐らくは10歳にも達していない幼少期のカンナの姿だ。
「私は大人になったら正義の味方になります!」
カンナの宣言が響き渡る。罵倒が止み、急に周囲が静かになる。宣言が鼓膜を震わせ終える時、カンナは大人の姿になっていた。
人々が罵倒を再開するが、カンナは俯くことなく背筋を伸ばし堂々と受けて立つ。自身を罵倒する人々を悠々と見返すその表情は、ユメがよく知っている恐れを知らずの強者蒼澄カンナのあの顔だった。
「私は……私は折れない。必要なだけ強くなる。勝つまで戦い続ける。」
カンナがぽつりと呟く。その声は罵倒の声に負けることなくユメの耳に届いた。
「だって、私は蒼澄カンナだから。」
カンナが中空に拳を振るう。空間にヒビが走り、カンナを罵倒していた人々諸共砕けて消え去っていく。
「大丈夫。後は私が何とかするから。全部任せて。」
夢の世界が徐々に形を失っていく。どうやらこの夢は間もなくお終いらしい。
「さすがは蒼澄家の子だ!」
「さすがやカンナ、よう言うた!爺ちゃんも誇らしいわ!」
「素晴らしいです、蒼澄さん。それでこそ私の一番弟子です。」
あちこちからカンナへの喝采が聞こえる。
「カンナちゃん、さすが!」
「その調子ですよ、蒼澄さん。蒼澄さんにはセンスがあるんですから!」
「それでこそ僕が惚れた女性だ、蒼澄さん!」
「負けんなよ、蒼澄さん!」
「さっすがカンナちゃん!」
「カンナ君、後を頼みました。」
純粋な鼓舞と激励。カンナがすっと両手を挙げて声援に応えるのを合図に、最初の夢の世界が静かに崩れ始める。
(いやー、最初からすごい夢でしたね~~。)
衝撃的な夢だったが、ある意味わかりやすいというのがユメの解釈だった。
ストイックで責任感が強い人間が夢の中でも仕事や鍛錬に追われているというのは過去に経験がある。あの夢は恐らく、強くあろうとするカンナの
(やっぱりカンナさんは凄いですー。でも、ちょっと心配になっちゃいます……。カンナさんに心が休まる時はあるのでしょうか?いつもむむむ状態ではないでしょうか?)
獏の能力でカンナに何かしてやれないか思案していた正にその時。
「ほひひ……。」
耳元で笑い声がした。
「ほぇっ!?――」
驚く間も無く得体のしれない大きな力に囚われ、どこかへ連れされられる――