「行くで! みつ子! よし江! 合体やあああああッ!!」

1 / 1
大阪のおばちゃん三人がスーパー合体ロボに乗る小説です。
真ゲのH◯atsを大音量で聴きながら読むことを推奨します。

著者は東北の人です。


第1話

 天下の台所、大阪──

 活気で賑わうこの街に、恐怖の魔の手が迫る! 

 

 ズモモモモモモモモ……

 

 通天閣のお膝元、新世界に突如地鳴りが響き渡った! 

 お好み焼きがひとりでにひっくり返りそうな程の振動が、賑わう繁華街を襲う! 

 

「なんや地震か?」「どないした?」

 

 大阪の民が珍しく不安を覚え始めた、その時である! 

 

 ボッガァアアアアアアアアアン!! 

 

 爆音と共に南本通りのど真ん中が突如として隆起! 

 硬いアスファルトを粉もんの如く突き破り、巨大なドリルが顔を出した! 

 

「センノカアアアアアアアアアイッ!!」

 

 否! 穴掘り怪獣、「ドリザッパー」である!! 

 

 頭のドリルを旋回させ、タイガース魂のこもった六甲おろしをもかき消す程の咆哮! 逃げ惑う大阪の民! 

 繁華街を恐怖に陥れただけでは飽き足らず、大阪のシンボル通天閣へズシンズシンと歩み寄る! 

 

「スンノカアアアアアアアアアイッ!!」

 

 バキィィィッ!! 

 

「アカン! 通天閣がーッ!!」

 

 サラリーマンの悲鳴! 

 通天閣を串カツの串でも折るかの如く、根本からポッキリとへし折った! 

 

 ドリザッパーは通天閣を亡き者するや否や、道頓堀へ飛び込む阪神ファンを想起させる勢いで地中目掛けてダイビング! 

 大阪の地下を我が物顔で泳ぎ回る! 

 

 ボガアアアアアアアン! 

 

 大阪城! 

 

 ボガアアアアアアアン! 

 

 海遊館! 

 

 ボガアアアアアアアン! 

 

 あべのハルカス! 

 

 地面の下からコンニチワ! 

 大阪各所を観光巡りだ! 

 

「アカン! このままやと大阪がレンコンになってまう!!」

 

 惨劇を目の当たりにして一人のおばちゃんが──

 否! 大阪のおばちゃんが声を上げた! 

 ボン・ボン・ボンの3サイズに、大阪の空に燦然と輝くパンチパーマ! 

 

 その名は、「あけ美」! 

 

 その豊満な我儘ボディを揺さぶり、踵を返して自宅へと駆ける! 

 

「オバタリアン、GO!!」

 

 自宅へ到着するや否や、熱い正義と浪速魂が込もったシャウトを放つ! 

 同時に屋根がガーッ! と開き、中からドぎつい口紅色の大きなシルエットが迫り上がる! 

 

 スーパー戦闘機、「モーカリ・マッカー」である! 

 

 Burning Blast Apocalypse Ray.

 通称「BBA(ババア)線」を動力源とする超高性能戦闘マシン、BBA(ババア)マシンだ! 

 

 あけ美はモーカリ・マッカーに飛び乗り、緊急出動! 

 大阪の空を、真紅のマシンが駆け抜ける!! 

 ドリザッパー目掛けて一直線だ! 

 

「いてこましたれやああああああ!!」

 

 バババババババァッ!! 

 

 モーカリ・マッカーのマシンガンによる掃射攻撃! 

 しかしドリザッパーはものともしていない! 

 

「ドリル、スナァァァァァァァァァッ!!」

 

 ドリザッパーによる反撃! 天衝くドリルがモーカリ・マッカーを襲う! 

 間一髪! デパートの携帯会社のセールスを躱わすことによって培った回避スキルで、するりとドリルを躱わす! 

 

「びくともせぇへん! なんやねん自分!」

 

 セリフに反して余裕綽々の表情だ! 

 その時である! 

 

「あけ美ちゃあああああん!!」

 

 道頓堀のグリコロゴのタンクトップを彷彿とさせる全面白塗りのBBA(ババア)マシン、「アキマ・ヘンワー」! 

 パイロットはメガネをかけて痩せこけた大阪のおばちゃん、「みつ子」である! 

 

「お待たせえええええええ!!」

 

 全面豹柄のBBA(ババア)マシン、「ボチボチ・デンナー」! 

 パイロットはあけ美以上に恰幅の良い豹柄の大阪のおばちゃん、「よし江」である! 

 

 大阪の空に第二、第三のBBA(ババア)マシンとおばちゃんボイスがこだまする! 

 

「みつ子! よし江! みんな遅いやんけ! 何してたん!!」

 

「夏カナの再放送見とったわ!」

 

 大阪のおばちゃんに大人気の韓流ドラマである! 

 

「玉出で白菜安かってん!」

 

 大阪の激安スーパーである! 

 

「ほなしゃあないか」

 

 大阪のおばちゃんには世界の危機よりも優先すべきものがある! 

 ならば仕方がない! それよりもそれらをかなぐり捨てて駆けつけてくれた事を賞賛すべきである! 

 

「センノカアアアアアアアアアイッ!!」

 

 ドリザッパーの咆哮! 

 談笑に講じるのも良いが、怪獣はそれを待ってはくれない! 刻一刻と大阪の街は穴を開けられレンコンと化していく! 

 

「よっしゃ行くで! みつ子! よし江! 合体やあああああッ!!」

 

 あけ美が叫ぶ! 

 三つのBBA(ババア)マシンが集いし時、BBA(ババア)マシンはその真の力を発揮する! 

 

「「応ッ!!」」

 

 みつ子、よし江がそれに続く! 

 

「「「チェェェンジ!! オバタリアァァァアアアアアアン!!」」」

 

 三人は息を合わせ、それぞれのコックピットのレバーを思いっきり倒した! 

 三つのBBA(ババア)マシンが列を成し、マッハの速度を保ちながら勢い良く重なり合う!! 

 

 ガシャンガシャンと小気味の良い音を響かせ、やがて三つのマシンは一つのシルエットを形作る! 

 

 それは人型であった! 三つのBBA(ババア)マシンは巨大ロボットへと合体変形を遂げたのだ!! 

 

 立ち並ぶ高層ビルを優に超えるドリザッパーの背丈と同じくらいの巨大ロボット!! 

 大阪のおばちゃんに負けず劣らないずんぐり体型! 頭には燦然と輝くパンチパーマ! 

 

 その名も──

 

 

「「「浪速合体、オバタリアン!!」」」

 

 

 鋼鉄の巨人が大阪の大地に降り立った! 

 

「えーん、えーん」

 

 足元で一人、避難が間に合わず取り残された少女が咽び泣いている! 

 オバタリアンは懐から何かをつまみ出し、ビルの合間に針に糸を通すかの如く器用に手を入り込ませ、少女に手渡した! 

 

「「「あめちゃん舐めぇや」」」

 

 一口サイズの袋飴であった! 

 

「おおきにー!」

 

 あめちゃんを受け取ると少女は嬉しそうにどこかへ立ち去った! 

 

「よっしゃ! 避難完了や!」

 

 これで民間人に被害が及ぶことは無くなった! 

 正々堂々、ドリザッパーと一騎打ちだ! 

 

「頼んだで、オバタリアン……!」

 

 その様子を遠くから眺める白衣の老人! 

 オバタリアンの開発者、くいだおれ博士である! 

 

「「「どつき回したるでぇ!!」」」

 

 鋼の巨人がドリザッパー目掛けて突進する! 

 おおきく振りかぶり、ドリザッパーの脳天目掛けて拳骨を一発お見舞いした! 

 

 必殺「BBA(ババア)ナックル」だ! 

 

「ス゛ン゛ノ゛カ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛イ゛ッ!!」

 

 たまらず仰け反るドリザッパー! 

 大阪のおばちゃんによる怒りの実力行使は、如何なる質量兵器をも凌駕する!! 

 

「ドリル……スナァァァァァァァァァッ!!」

 

 しかしすぐさま反撃に応じるドリザッパー! 

 頭のドリルでオバタリアンを穿つ! 

 

「「「アカァァァァン!!」」」

 

 ドリルのひと突きで錐揉み回転しながら螺旋を描き宙を舞うオバタリアン! 

 通常の戦闘機パイロットであればありえない程のGによってお陀仏である! 

 しかし、スーパーのバーゲンセールのワゴン争いによって鍛え上げられた大阪のおばちゃんにとってこの程度、子供をあやす揺りかごの揺らめきにも等しい!! 

 

「みつ子! よし江! アレを使うで!」

 

 耐久には事欠かないオバタリアンであったが、このまま受け身を取り続けていては大阪の街は平らにならされ、もんじゃの如くペッタンコになってしまう! 

 今こそオバタリアン最終兵器使う時! 

 

「「優勝!?」」

 

「ボケてんとちゃうねん!」

 

 大阪人の必須スキル、軽いジョークを交わし終えると三人はコックピット中央のガラスケースに覆われたボタンを叩き割った! 

 オバタリアンはその大きな手を背中にまわす! 

 

 背中が痒いのか? 否! 

 

「「「BBA(ババア)スマッシャー!!」」」

 

 クソでかい布団叩きの形を模した、オバタリアン専用近接迎撃装備である! 

 

 

「「「「おととい来ぃやああああ!!!」」」

 

 

 スリーアウト満塁でバッターボックスに立つ阪神タイガース打者を彷彿とさせるフォーム! 

 ドリザッパーを下から打ち上げんと、BBA(ババア)スマッシャーを力一杯振るう!! 

 

 BBA(ババア)スマッシャーはドリザッパーの下腹部を直撃!! 

 ビル群を覆う巨体が軽々と持ち上がる!! 

 そのまま勢いを落とす事なく、BBA(ババア)スマッシャーを振り上げた! 

 

「ほな、さいならあああああ!!!」

 

 

 大阪の空へサヨナラホームランだ!! 

 

 亜音速で空の彼方へと飛んでいくドリザッパー。

 こうして夜空に瞬く星々に一つ仲間が加わり、大阪の街に再び平穏が戻ったのであった。

 

 穴だらけになった大阪の街。

 その穴という穴から、間欠泉の如く大量の温水が噴き出る! 

 

「温泉出たで!」

 

「「集めな!」」

 

 オバタリアンは懐からクソでかいビニール袋のような防御兵装、「BBA(ババア)袋」を取り出し、湧き出る温泉を収集にかかる! 

 

 

 ありがとう、オバタリアン。

 おおきに、オバタリアン。

 

 大阪の平和は、アンタらに任せたで!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。