とある転生者達の青春記録(ブルーアーカイブ)   作:瓶詰め蜂蜜

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 無課金勢だからね、泣いちゃった☆


ArchiveⅩⅢ セイアちゃん。ようやく実装されたね。蜂蜜は爆死したよ。

(……先生達は勝てたのかな?)

 

 アリウス自治区にて、聖園ミカは祈りを込めて憐れみの賛歌キリエ・エレイソンを口ずさみつつ、たった一人でユスティナ聖徒会の複製達を相手に奮戦していた。

 だが、トリニティからの脱走、追手を振り払いつつの逃走、サオリとの激闘、そして倒しても倒しても尽きる事の無い亡霊達との連戦。

 どれほどの神秘を持っていたとしても、生徒子供のミカには苦しく長い時間であった。

 

(……ちゃんと助けてあげられたのかな)

 

 ふらふらとした足取り。しかし、複製へと向けられた銃口は振れない。

 

(私は、時間を稼げたかな)

 

 疲労によって乱れる視線。されど、複製達には背を向けない。

 

(私は……頑張ったよね)

 

 普段なら丁寧に手入れされた艷やかな髪はボサボサに乱れ、汗で落ちてしまったメイクに、土埃で汚れた制服。玉のような白肌は流れた血によって赤く染まり、火傷によって爛れていた。

 

「あー、こんな姿。先生には見せられないなぁ」

 

 いつの間にか蓄音機は動きを止めて、ミカの軽口だけが虚しく響いた。しかし、自分はまだやれると無理やり奮い立たせて震え

る足に力を込める。と、

 

 

 ───♪

 

「えっ……」

 

 再び、何処からか憐れみの賛歌が流れ始める。ミカは思わず蓄音機へと視線を向けるが、動きの止まった蓄音機はうんともすんとも言っていない。

 どこから聞こえるのだろうかと辺りを見渡すと、ユスティナ聖徒会を挟んだ向こう側から、コツコツと誰かの足音が響いてきた。

 

 ────私が殺す、私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない。

 

「───!」

 

 何かを呟きつつ近づいて来ていた誰かへ向けて、複製達は一斉掃射を行う。

 

 ────打ち砕かれよ。

 

 しかし、銃弾の雨を跳躍して躱すと、複製達のすぐ目の前に降り立つ。

 

 ────敗れたもの、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。

 

 慌てて照準を合わせる複製達。しかし、その全てを無手で薙ぎ倒す。

 距離が近付いたことでその姿がミカにも見えた。不思議な髪型をした少女だった。

 

 ────休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。

 

 猛威を振るう少女は、その間も一切言葉を途切れさせずに動き回る。

 

「すっごぉ……」

 

 驚愕のあまり、ぽかんと呆けた顔をするミカ。どんなに辛くても上げていた照準が思わず下がる程に驚いていた。

 

 ────装うなかれ。

 

 そんな事はお構い無しに、再び跳躍して今度はミカの前へと降り立つ少女。近くに来たことで、その特徴的な髪型がよく見えた。例えるならば、甲殻類のような髪型だった。

 

 ────許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。

 

 いまだに言葉を紡ぐ少女。否、それは言葉というよりは歌。それも、祈りを込めたものだった。

 

 ────休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。

 

 一体誰に対しての、どの様な祈りを込めているのかはミカには分からなかった。

 

 ────永遠の命は、死の中でこそ、与えられる。

 

 しかし、とても純粋で強い祈りが込められている事だけは分かった。それこそ、ミカが歌った『憐れみの賛歌』と同じ程に。

 

 ────許しはここに 受肉した私が誓う。

 

 

「────“この魂に憐れみをキリエ・エレイソン”」

 

 歌い終わった少女はくるりと反転してミカへと向き直る。その背後で、複製達は一斉に塵となった。

 

「……へ?」

 

 思いがけない光景に、再び間抜けな表情をさらしてしまうミカ。

 その姿に、甲殻類の様な髪型が特徴の少女、甲クララは困ったように笑うのだった。

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