帝都初恋剣戟譚   作:新免ムニムニ斎

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【ふろく】黒歴史ノート肆

【登場人物】

 

 

秋津仁光(あきつひとみ)

 

 光一郎の母親。

 海外赴任している夫に代わって、秋津書肆(あきつしょし)を切り盛りしている。

 父親役もこなせるくらいに気丈で勇敢な性格。光一郎も頭が上がらない。

 旧会津藩士の血を引く一族「秋津氏」の直系。

 

 

 

牧瀬陽司(まきせようじ)

 

 大手電子機器メーカー『牧瀬電機』の社長。

 前妻の死後、すぐにドイツ人女性と再婚。その連れ子であるギーゼラの継父となった。……それによって一時期家庭内に不和が生じていたが、現在は落ち着いている。

 旧会津藩士の血を引く一族「牧瀬氏」の子孫。「秋津氏」とは会津藩時代、関係が深かった。

 

 

 

・レイモンド・N(ネイサン)・ウィルキンソン

 

 元アメリカ大統領。

 アメリカ政界有数の知日家、親日家であり、日ソ戦時は軍事侵攻に抵抗する日本への援助を惜しみなく行った。

 リベラルな価値観の持ち主で、白人層からの人気はいまひとつだが、有色人種からは熱烈に支持されていた。

 源悟郎とは幼なじみであり、同じ師から二天一流を学んだ同門。

 

 

 

・マーリン・バークリー

 

 現アメリカ大統領。

 大柄で筋骨隆々の白人男性。

 決して表には出さないが、黄色人種、特に日本人を「理解不能な野蛮人」と蔑視している。

 二〇〇二年夏の天覧比剣に国賓として招かれ、そこで「神武閣(しんぶかく)事件(じけん)」に巻き込まれたことで気分を害し、日本側を何度も批判している。その批判は彼の最大支持者である白人層も刺激し、在米アジア人への暴力事件を誘発している。

 やがて、同盟国である日本側に軍縮を「提案」し、それを呑まなければ同盟関係を破棄することもちらつかせている。

 

 

 

蔵川泰三(くらかわたいぞう)

 

 前内閣総理大臣。

 日ソ戦時、北海道北見市に住んでいた(めい)を亡くしている。

 バークリーの突きつけてきた「バークリー軍縮」に、真っ向から反対している。

 崩落した歩道橋の下敷きとなって死亡。

 

 

 

宝田寿文(たからだとしふみ)

 

 現内閣臨時総理。

 蔵川前内閣時代では外務大臣だったが、蔵川前首相の事故死後、宮中席次に則って臨時総理となって組閣。

 彼が就任してすぐに推し進めだした「日米高度戦略連携協定」が、日本において大きな物議を醸している。

 

 

 

久原(くはら)錦蔵(きんぞう)

 

 豊島(としま)拘置所(こうちしょ)から脱獄した死刑囚の一人。

 別名『人斬り錦蔵』。

 今はすでに絶伝した剣術『道枢(どうすう)一刀流(いっとうりゅう)』の使い手。

 かつて帝都の多くの人を斬り殺し、刀傷から噴き出した血を「彼岸花(ひがんばな)」と呼んで鑑賞していたシリアルキラー。

 その凶行は使う流派とともに知れ渡り、結果的に『道枢一刀流』の評判を地に落とし、絶伝へと導いてしまった。

 

 

 

白鳥(しらとり)九郎(くろう)

 

 帝国陸軍中尉。二十代。

 日ソ戦当時、北海道剣淵町に住んでいた母方の祖父母を戦禍で失ったことがきっかけで軍人を志した。

 国家主義団体に出入りして天下国家への憂いを語る、若き愛国者。しかし同時に、過去の経験ゆえにロシア人を強く敵視している筋金入りの差別主義者でもある。

 『枢剣教(すうけんきょう)』の開祖を尊崇し、信者として身を置いている。

 至剣流剣術中伝目録を持つ。

 

 

 

石動(いするぎ)マヤ

 

 『枢剣教』の開祖。

 剣の修行中に経津(ふつ)(ぬし)の声を聴き、「剣によって大和を平らげよ」という使命と、それを為すための神の剣『刀自剣(とじのつるぎ)』を授かった。

 まだ十代の少女だが、その神のごとき権能と風格は大人すら平伏させ、心酔させるほど。

 常に仮面をかぶっている。

 

 

 

 

 

 

【用語】

 

 

 

枢剣教(すうけんきょう)

 

 二〇〇二年後半に興った、神道系の新宗教および宗教団体。

 「剣は大和の(くるる)である」という信仰と「その「剣」をもって大和を平らげよ」という理念を持つ。

 その愛国的信仰と、開祖である石動マヤの持つ『刀自剣』の神秘的威力なども相まって、主に国家主義者を中心に信者を急激に増やしている。

 

 →『刀自剣(とじのつるぎ)

  

  開祖の石動マヤが、経津主より授かったという「神の剣」。

  その刃が肌を滑ると、その人間の内にある「(くら)」の鍵が外れ、中に収められていた『枢剣』が目を覚ます。

 

 →『枢剣(すうけん)

 

  人間一人一人の中に眠る「神の剣」。

  個々人によってその内容は異なるが、いずれもただの剣術とは思えぬ奇妙な技ばかりである。

  一方で、この『枢剣』をみだりに振りかざせば、たちまちその剣は(うつつ)の穢れをまとっていき、やがてそれを握る人間ごと死に至らしめるという。ゆえに信者はみな『枢剣』を見せびらかすことを自粛している。

 

 

 

蜻蛉剣(せいれいけん)

 

 光一郎の至剣と同じ名を持つ、光一郎の愛刀。

 無銘。

 刃文は直刃(すぐは)

 枝に留まる蜻蛉(トンボ)の意匠が、刀身に刻印されている。

 光一郎が切紙(きりがみ)免状取得記念に、師である源悟郎(げんごろう)から譲り受けた一振り。

 源悟郎曰く「二天一流の師から譲られた刀」とのことだが、無銘であることも含めて、その正体は謎に包まれていた。

 

 

 ★その正体は、「秋津氏」と関係が深かった会津藩士の一族「牧瀬氏」の保有していた刀。

  光一郎達の先祖「秋津光慧(みつとし)」の兄である「秋津(とう)右衛門(えもん)」が、親友であった牧瀬隆之助(りゅうのすけ)より譲り受けたモノであった。

  しかし、戊辰戦争(ぼしんせんそう)の最中に紛失したのか、刀は東右衛門の手から離れた。……親友の命とともに。

 

  ——それが百年以上もの年月を経て、東右衛門の弟の子孫である、光一郎の手元へ渡ったのである。

 

 

 

道枢(どうすう)一刀流(いっとうりゅう)

 

 かつて存在した剣術の一派。

 甲源(こうげん)一刀流(いっとうりゅう)小野派(おのは)一刀流(いっとうりゅう)の流れを汲む。

 一刀流の技法に、老荘思想に基づく心法と理論を取り入れた剣術。

 剣豪と名高い「鈴代(すずしろ)一玄斎(いちげんさい)」が創始した。

 しかし、『人斬り錦蔵』のもたらした凶行に道枢一刀流が使われたことで、道枢一刀流の名誉も大いに傷つけられ、この剣術は一玄斎の一代のみで絶伝してしまった。

 




良いお年を
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