帝都初恋剣戟譚 作:新免ムニムニ斎
「——奇妙な、大将戦でしたね」
大体育室の周囲上階にある、観客席。
その一箇所に、その
一人は、
その年代の平均くらいの背丈であったが、細身であり、なおかつ半袖から伸びる両腕の素肌は色白である。座り姿勢は驚くほど整っていた。
背中の半ばほどにまで達した美しい黒髪は、太い三つ編み一束になっている。
常に雅な微笑みを絶やさない、静かな華やかさを持った美貌。
国民的人気を誇る特撮ヒーロー「
もう一人は、四十代前半くらいの男だった。
少年に負けぬほどに整然とした姿勢。背は180センチほどに高い。黒いスーツに身を包んだその体つきは一見すると細身に見えるが、ひ弱な感じはいっさいしない。
坊主頭の一歩手前の短さにまで切られた髪。厳めしくはないが柔らかくもない、
少年とは真逆で、近寄りがたい、油断ならない
——まるで、少年に何者さえも寄せ付けぬように。
……先ほどの言葉の主は、後者の男であった。
少年はそれに対し、雅な微笑を崩さぬまま答えた。
「ええ。ですが、きっと私達の知らない因縁がお有りなのでしょう。確かに
「……これはまだ予選です。わざわざ足を運んでご覧になるほどのものではないのでは」
少年は、優美な笑みのまま、からかうような口調で言った。
「予選だから取るに足りない戦い、という考えは少し勿体が無い気がします。帝都のどこに名勝負が隠れているのか分かりませんよ。……それに
「……ええ。まあ」
沈着冷静な男の顔つきに、若干のバツの悪さが浮かんだ。
少年は、大体育室をなおも
大将戦を終え、試合開始位置で向かい合って一礼している二人のうち、
「あの人……
少年の静けさのあるその美貌が、またも笑みを浮かべた。
常に人前で崩さない雅な微笑とは、性質が違っていた。
初めて気の合う友達が出来たような、瑞々しい嬉しさを秘めた、年相応のものだった。
「——彼から、私にとてもよく似た「気」を、感じたのです」