今回も読者参加型形式でございます。
1話1話短めで読みやすさ重視でいけたらいいなと思ってます。
そして今回はポケダン風の作品。この世界に人はおらず、ポケモン達のみで色々と運営しております。
が、今作はそんな日常ほのぼの作品ではなく、罪を冒したポケモン達による囚人活劇(?)。
こんな黒い設定ではございますが、どうかお楽しみくださいませ。
それではどうぞご覧ください。
それは突然の出来事であった。
数十年前、【ウルトラビースト】、通称UB達の襲来により、地上のポケモンは根絶やしにされ、行き場を無くし、まもなくこの世界は滅んでしまうのだろうと誰もがそう思った。
しかし、たった数匹の勇気あるポケモンは諦めなかった。
一部の地域だけではあるが、その中でも必死に戦い抜き、自分たちの領土を取り返した。これは後に【ポケット戦争】と呼ばれ、多くの犠牲を払いながらも一時的な終わりを迎えた。
その戦いによって食糧などの物資が不足したことをきっかけに、無法者たちが各地で好き放題に暴れ、UBと変わらないほどの惨事を生みかけた。
そこでイルカマンを筆頭としたポケモン達の手により、彼らは地上から隔たれた地下監獄へ収容される事となる。
あれから数年後、今日もまた1人、囚人が地下へと落ちてくる────。
*****
───ブラック・イルカマン監獄。
獄長のイルカマン【クラーク】が管理している数万人の囚人を収容する地下大監獄。
ここは危険度によって収監される階層が異なり、各階層にはLevelが設けられている。Levelは1〜5まであり、最下層のLevel5は超重要危険ポケモンが存在し、ここに収監される者は一生日の目を見る事はできないだろう。
「さっさと歩くンゴ。全く犯罪者は迷惑ばっかりかけるンゴねぇ〜」
トゲデマルの【ミツオ】が囚人を連れながら愚痴をこぼす。
ここの監獄には毎日誰かしら囚人が落ちてくる。今日もまた1匹、犯罪を犯したポケモンが収容されようとしていた。
「お前は何をやらかしたンゴ?ん〜???」
ミツオはわざとらしくニヤニヤとしながらそう聞く。
それに対して囚人は「僕もわからない」と呟いた。
「へっ!自分の犯した罪を理解してないなんてとんでもない悪党ンゴねぇ!!?お前がやったのは『大量殺人』ンゴ」
「…………」
囚人は何も答えなかった。いや、答えられなかったが正解だ。何故なら彼は本当に何をしたかわかっていないのだから。
そうしてミツオと囚人はエレベーターに乗り、監獄がある地下へと降りていく。
暫くして地下1階に降りると、そのまま別室へと連れて行かれるのだが、この囚人は今回その工程を挟まずに雑居房へと連れて行かれる。
「お前は元々進化もしてなかったようだから手間が省けて助かるンゴ。あらゆる進化の可能性を秘めた素晴らしいポケモン……ンゴか。笑えるンゴね〜。そんな奴が犯罪者。可能性も糞もないンゴ」
その囚人はイーブイ。名は【エボ】。囚人番号1121番。普通のイーブイよりも首元の毛量が増しており、ジト目なのが特徴的だ。
先ほどミツオが言っていた手間が省けるというのは、ここの監獄では進化しているポケモンは脅威レベルを下げる為に、退化装置によって第1進化、つまりは初期段階まで退化させられてしまうのだ。
今回、エボはイーブイのままであった為、この工程を無視しても良いという判断に至った。無論、脅威と見做された場合は進化前だったとしても退化装置に掛けられ、今まで蓄積してきた力も初期段階に戻される。
「ここがお前の新しい家ンゴよ。せいぜいこれから始まる地獄を楽しみに待ってるンゴよ」
そう言ってミツオは扉を閉めた。
扉の向こうはとても広い空間があり、そこで囚人達は自由に食べたり飲んだりだべったり、様々な簡易的な施設を利用して過ごしている。
ここブラック・イルカマン監獄は雑居房はあるのだが、そこに扉は存在せず自由に出入りが可能となっており、使用するとしても寝る時くらいだろう。
Level1は謂わば軽犯罪者たちが集う場所。まだ更生の余地があると判断された危険性が極めて低いものたちがここにいる。
「お前が話に聞いてたイーブイだよな?」
周りをキョロキョロとしていたエボに声を掛けてきたのはワンリキーだ。
「君は……?」
「俺の名前は『ドッピン』。まぁここの案内を任されてる。とりあえず俺に着いて来てくれ」
ドッピンはそう言うとエボを連れて施設の案内を始めた。
ここは獄中の筈なのだが、地上と同じ様な設備が整っていた。食事処やスポーツジム、美容院や日用品売り場など幅広く取り扱っている。その全てを運営しているのはなんと囚人たちなのだ。
一応のこと看守の目はあるが、違反していなければここでは何をやっても問題ない。
この施設は獄長イルカマンが始め、そこから運営を囚人たち中心にし、物資はもちろん地上からの取り寄せとなるが、看守たちの協力のもと上手く回しているらしい。
「ここは本当に監獄? 流石に自由を与え過ぎな気も……」
「最初はみんなそう思うよな。だけどここは地獄と呼ばれている」
「なぜ?」
「最後に案内する場所が地獄への入り口さ」
そうしてドッピンに連れて行かれたのは受付カウンターである。ここで何を受け付けるというのだろう。
「ここは?」
「ご覧の通り受付だ」
「監獄の中に受付…… 見た感じ何か注文するって感じでもないけど……」
その受付カウンターの異様も異様。周りのポケモンたちは歯をガタガタと震わせたり、何かぶつぶつと唱えている者もいる。
「さっき地獄への入り口だって行ってたけど、それはどういう意味────」
「死にに行くんだよ。地上に出てな。へへへっ」
声を掛けてきたのはネイティ。目がかなりキマっており、明らかに普通ではない雰囲気を醸し出していた。
「『ギマリ』。お前部屋に戻るとか言ってなかったか?」
「どうせお前がここに来ると思って待ってたんだ。新人を連れてな〜」
そう言うとギマリは翼の裏からミントを取り出す。
「これを吸うとキまるぜ〜。おくびょうミントってやつだ」
「おいバカやめろ!受付前で出すやつがあるか!看守の目があるんだぞ!」
「へへへっ、そのスリルってもんがまた気持ちいいんだぜ〜」
ドッピンたちの間に入るようにエボが問う。
「それで…… さっき地上に出たら死ぬって言ったけど、それは一体どういう意味?」
「…… は?お前地上から来たばっかりなのに状況も知らねーのか?」
「僕はあいにく記憶がないんだ…… ただここに来る途中までは酷い環境ではなかった。地上に一体何があるって言うんだ?」
「あー……… そうかそうか。わかった。教えてやる」
ドッピンが言うにはこうだ。
囚人たちには当たり前だが個々に刑期がある。だが、その刑期は一生のうちでまず終えることもない、終えられる筈もない桁違いの長さである。
───1000年。それが彼等に与えられた罰だ。Level1ですらこれなのだ。
どれだけ獄中が設備が整っている良いところだったとしても、一生もこの中で暮らすなんてごめんである。
そこでこの監獄には救済措置。いや、刑とでも言うべき処置がある。
それが依頼をこなす事。依頼は地上からのもので、この時だけは囚人たちは地上へと出ることができる。
簡単な依頼から中には死に直面する様な危険な依頼まで様々だ。
「その依頼をこなしていけば……」
「そうだ。このバカみたいな刑期を少しずつだが減らしていくことができる」
「危険度が高いほど刑期もより早く減る感じか」
「その通り。ただそんなもん受ける奴なんてよっぽど余裕ない奴だけだ。基本的にはちょい危険なくらいでいいんだ。態々死にに行くなんてやってられるか」
エボは考えた。そしてすぐに答えは出た。
「僕、受けるよ。この依頼ってやつ」
「おっ、早速だな。お前も早く地上に出たい派のやつか?」
「ちょっとはね。ただ外に出れば、何かのきっかけで僕の記憶が少しずつでも取り戻せる気がするんだ」
「そうかそうか。ま、ただ今日はやめときな」
「どうして?」
「受付の所の立札見てみろ」
ドッピンにそう言われ、立札を確認するエボ。
そこには紙が貼り付けてあり、何やら文字がずらっと並び、その文字の密集具合は紙の白い部分が見えなくなるほどだった。
「あれは……?」
「今月死んだ奴らさ」
それ聞いてエボは息を呑んだ。そして今一度この依頼の危険性を改めて理解した。
「明日はあれのリセット日さ。全く囚人をなんだと思ってんだか………」
「……… 行くよ」
「お?」
「それでも僕は行くよ。僕が、僕の記憶を取り戻す為に」
「…… はっ!気に入ったぜ!えっとー……」
「エボ」
「ま、仲良くしようじゃねーかエボ。おいギマリ!『ヒカソ』と……『ラヴ』さんも呼ぶかぁ!」
───明日、初めての依頼を受ける。
危険な依頼だがそれでもやってやる。自分の記憶を取り戻すために。
これは絶望への一歩じゃないじゃない。
これが───希望のミッションだ。
第2話から地上へ……!!
現在の地上は一体どうなっているんでしょうか?
次回、Mission.2「地上」
次回もよろしくお願いします!!
※2話終了後に募集予定。