ポケットモンスター 希望のミッション   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰してます。
それではどうぞご覧ください。


Mission.14「黒いメガシンカ その1」

「待たせたなぁゴミ共ッ!!次の試合はLevel.3同士の戦いだッ!!さっきの試合よりも激しいことが予想されっから目を離すんじゃねーぞぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

 おおおおおおおおおおおおおおぉッ!!!

 

 闘技場が揺れるほどの歓声。

 先ほど試合を終えたアクセルは治療室に運ばれた。命に別状はなく、寧ろ対戦相手だったブレーキの方が重傷だという。こちらも命に別状はない。

 まずは1勝と幸先のいいスタートを切れた訳だが、まだ1試合目であるということを忘れてはならない。

 情報通りであるなら次はシェローナにとって相性のいい相手─────。

 

「あなたでしたか。『ラピッル』さん」

「おぉ!お前かシェローナ!私が相手をしてやる!」

 

 彼女、ラピッルはミミロップの名前である。

 Level.3の囚人で、身体のあちこちに生々しい傷跡があり、その中でも一際目立つのが左耳と右目に大きな切り傷がついているのが特徴的だ。

 こことは違う金が動く地下格闘技で何度も優勝しており、実力があるのは当然のことあの"例の進化"まで持ち合わせているらしい。

 

「全力でお相手させて頂きます。私には信じてくれている仲間が待っていますので」

「なんかよくわからないけど、やるからにはお互い本気も本気!本気の喧嘩をするからな!」

 

 サーナイトとミミロップ。全く正反対の2人。

 互いに準備は整った。

 

「それではレディィィィィィィィィィィ───ファイトッ!!!」

 

 今、ゴングが鳴り響く。

 先に動いたのはラピッル。

 

「まずはこれでも食らえ!『グロウパンチ』!」

 

 オレンジ色に輝く拳がシェローナに迫る。

 それをシェローナはフワリと優雅に躱し、背後に回って"サイコキネシス"を放つ。

 

「うわわわっ!?」

「ふんっ!」

 

 サイコキネシスで宙に舞ったラピッルを操り、ある程度の高さまで上げてから地面に叩き落とす。

 地面にヒビが入るほどの衝撃。だが─────。

 

「おぉ!流石だな!……でも全然効かない」

「………ッ」

 

 ラピッルは楽しそうに笑ってはいるものの、その目は決して笑っていない。

 試合=喧嘩を楽しんでいるのであろうが、本能的な部分が敵意を剥き出しているのだろう。

 再びラピッルが仕掛ける。

 

「"スカイアッパー"ッ!!」

「無駄です」

 

 シェローナは腕を前に突き出して"リフレクター"を発動する。

 そのままスカイアッパーを喰らい、ガーンという鈍い音が響くもののダメージはほぼ0に近い。

 

「へへっ!」

「………」

 

 シェローナのタイプや技はまさにかくとうタイプ殺しと言っても差し支えがない。

 一方のミミロップ自体はノーマルタイプなので彼女自体には不利的な要素はないが、技はかくとうタイプ等の物理的なものが多く、技の面で見れば非常に相性が悪い。

 情報通り先ほどの試合よりかは相性の補完が完璧にできており、まだ始まったばかりにも関わらず観客たちの誰もがシェローナが勝つことに確信を持つ。

 

「ラピッルさん。あなたへの対策は容易にできます。このまま勝たせて頂きますよ」

「へぇ〜、随分と余裕そうじゃん!」

「更に何もできなくして差し上げますよ」

 

 シェローナはそう言うと"おにび"を放った。

 至近距離でのこれは避けられない。

 

「あちちっ!」

 

 まともに食らってしまったラピッル。

 これでシェローナ自らにはリフレクター、ラピッルはやけど状態。

 物理対策はこれで完璧なものとなった。

 

「これでッ!」

 

 それから"サイコキネシス"を放ってトドメとする所であった。

 が、ラピッルは彼女が構えるよりも早く"手"が出ていた。

 

「オラッ!!」

「えっ……!?」

 

 ラピッルから繰り出されたのは"れいとうパンチ"。

 物理技。今のシェローナにとってどうとでもない攻撃。

 しかし、拳の重みが違った。明らかに"やけど"が効いていない。寧ろシェローナは腹部を攻撃され、そこを起点に身体が氷に包まれる。

 

「お、なんか熱くないぞ!」

 

 試合の流れは徐々に傾きを見せる─────。

 

 

 *****

 

「どういうこと!?」

 

 声を出したのはエボ。

 モニター越しにそれを見た彼は困惑した表情で皆に聞く。

 

「おいおいどうなってんだこりゃ……」

「フォスどん。きっと相手はきのみを食べたでごんすよ。だからやけど状態も回復したでごんす!」

「いや、あの一瞬でどうやって食うんだよ……まぁもしかしたら特性の可能性もあるが……」

 

 フォスとキンタが予想を立てていると、横からツツミンがヌッと現われてモニターを凝視する。

 モニターから全く視線を逸らさない彼女にエボは声を掛けようとした。

 

「ツ、ツツミン────」

「やられましたネ。あちらにワタシと同じ様な技術者がいるみたいです」

「え?」

 

 ツツミンの言葉にエボはキョトンとした顔で首を横に曲げた。

 

「あのラピッルの腕に付いてるものを見てください」

 

 皆、一斉にモニターを観るとツツミンの言う通り腕に何か付けている。

 それがブレスレットである事がわかったが、ツツミンはこれについて説明を始める。

 

「あのブレスレットは機械ですネ。あんなパッと見てアクセサリーにしか見えないものを作れるなんて……お相手さんは相当な技術者の様ですネ」

「そ、そうなの!?でも、仮に機械だとしてもあれは一体……」

「エボ君。先ほど"やけど"状態にならないのはおかしいと感じませんでした?」

「確かに。シェローナは"おにび"を放って確実にくらわせていた筈だ」

「そうでしよう?しかし、お相手さんのミミロップはやけと状態になっていない。おかしくありませんかネ?」

「ま、まさかッ……!!」

()()()()()()()()とはやってくれますネ」

 

 皆が困惑する中、ツツミンは突然エボに質問した。

 

「ところでエボ君。ミミロップの特性はわかりますかネ?」

「えっとぉ……」

「"メロメロボディ"と"ぶきよう"。それから少し珍しいもので"じゅうなん"が挙げられます」

「ん?」

 

 エボは何を言っているかわからないと言った感じの顔。

 ツツミンは続ける。

 

「情報によれば彼女の特性は"ぶきよう"。この特性の効果は『持っている道具の効果を使えない』というものです」

「道具って……はっ!」

「そうです。本来時と場合によっては上手く立ち回れる特性。しかし、今回に限ってはこの特性は道具を使わなければいけない都合上邪魔にしかならない……特性すらも()()()してしまう道具。その技術者と会って少しお話をさせていただきたいですネ」

 

 ツツミンの目がギラギラと輝いている。

 モニター越しに流れる映像。エボはただひたすらに応援するしかない────。

 

 

 *****

 

 

 身体が凍って身動きができないシェローナは、敢えて"おにび"を繰り出して、その熱エネルギーによる解凍を試みていた。

 だが、それを相手が待ってくれるはずもない。

 

「これでも食らえッ!!インファイトもどきッ!!」

 

 グロウパンチ・スカイアッパー・ダブルアタック・ダメおし。この順にラピッルは攻撃を繰り出した。

 グロウパンチによる火力上昇、スカイアッパーによる下からの攻撃、ダブルアタックによる連撃、最後に相手が動けない状態だからこそ安定して高い火力を放てるダメおし。

 最後の一撃を受けた後、シェローナはこおり状態が解除されて地面に膝をつく。

 

「くっ……!」

 

 そして運の悪い事にリフレクターの効果も解けており、相性は良いとはいえどかなりダメージを受けてしまった。

 ラピッルは段々と身体の動きが激しくなっている。自身の内なる力を抑えきれないのか。その場でピョンピョンと跳ね始めた。

 

「来た来た来た来た来た来た来た来たーーーーーーーッッ!!」

 

 すると、ラピッルの身体が眩い光を放ち始めたかと思えば、彼女の身体を虹色のオーラがドーム状に包み込み、内側から凄まじいエネルギーが爆発してドームが弾け飛ぶ。

 辺りに衝撃で砂埃が舞い、その中からゆらりとラピッルが姿を現した。

 そんな彼女は見た目も放つオーラも明らかに前とは違う。

 

「「メガシンカッ……!!」」

 

 セコンドのアイリーとドッピンは思わず声を漏らした。

 

「よーし、手加減できないから勘弁しろよ!シェローナ!」

「ま、まずいッ……!!」

 

 次の瞬間、ラピッルの姿が消えた。

 "こうそくいどう"を使用した様だが、そのスピードが通常とは桁違いに速く、もはや視認は不可能に近い。

 

「リフレク─────ッ!?」

 

 リフレクターを掛け直そうとしたシェローナ。

 その暇もなくシェローナの身体は宙に打ち上げられた。

 

「グロウパァァァァンチッ!!」

「かはッ……!!」

 

 ラピッルは地面が亀裂が走る程の脚力でシェローナに追いつくと、踵落としを繰り出した後、それに続く様に"グロウパンチ"を腹部にめり込ませ、落下の勢いを利用してそのまま地面に叩きつけた。

 

「もうそろそろ限界だろ?」

「…………」

 

 メガシンカのエネルギーは予想を超えるほど遥かに凄まじかった。

 力の差は歴然。

 このままでは敗北を喫す。

 シェローナはそう感じた。せっかく自身を信用してくれる友達と仲間に出会えたのに───────そして、彼女は意を決する。

 

「看守さん」

 

 絞り出す様な声だが、看守の耳には届いていた。

 

「許可をください────メガシンカをする許可を」

 

 彼女の胸に黒く濁った光が灯る。




お待たせして申し訳ありません。
諸事情でまたバタバタしておりますが、なんとかギリギリ完成させました……。

次回、Mission.14「黒いメガシンカ その2」

次回もよろしくお願いします!!
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