ポケットモンスター 希望のミッション   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しています。
それではどうぞご覧ください。


Mission.17「狐と力士 その2」

 フォスの叫びがスタジアムに鳴り響く。

 胸を十字に切り裂かれたキンタは、膝から崩れて落ち、最終的にその巨体は地に伏せた。

 

「キンタ……ちくしょうっ!」

 

 "つららおとし"によってできた壁を爪で引っ掻く。だが、びくともしない。

 フォスはキンタの状況が把握できていない。また、それはカールとクールの極悪兄弟の動きも見えていないということ。

 

「あと1人」

「"つららおとし"を解いた瞬間、挟み撃ちで殺してやろーぜ」

「それは名案だな兄弟」

 

 徐々に迫る凶爪。

 セコンドのアイリーとドッピンは叫ぶ。

 

「フォス!あの2人はあなたを挟み撃ちにするつもりよ!避けてッ!」

「おいフォス!!聞こえるのか!?フォス!!」

 

 中から氷が齧られる音はするが、フォスの返事はない。

 極悪兄弟は互いに顔を見合わせてニヤリと笑い、鋭い爪を構えて待機する。

 

「これで終わりだデブとガリ!」

「あの世に行っても恨むなよ!」

 

 そして、"つららおとし"が解かれた──────。

 

「ははーっ!死ねぇ─────────!!」

 

 カールは爪が伸びた、その時だ。

 

「なっ、えっ……!!?」

「死んでたまるかよぉ!!」

 

 カールに凄まじい衝撃が走った。

 同時に彼の身体は宙を舞う。

 

「きょ、兄弟ッ!」

 

 それはフォスの"ふいうち"だった。

 一方のクールは攻撃を続行したが、"こうそくいどう"によって難なく躱されてしまう。

 

「てめぇ聞こえてやがったのか!!」

「にひひ、その通りだぜ。俺様は敢えて聞こえないフリをしたんだよ」

「こいつッ!!」

「お前がどんだけ強くてもな。生きる事への執念だったら誰にも負けねーぜ。俺様はよぉ!!」

 

 直後、クールは激昂し、フォスに"メタルクロー"を放った。

 しかし、それは直前で止まることとなる。

 

「オイラが、守る……!!」

「キンタッ!」

 

 目をぎらつかせ、フラフラとしながらもキンタは立ち上がり、メタルクローを両手で受け止めて見せた。

 

「まだ死に足りねーかッ!!」

 

 体勢を立て直したカールが、クールを救わんと"こおりのつぶて"を放つ。

 

「させるかよッ!!」

 

 その攻撃をフォスは身を挺して守る。

 

「フォスどん!?なんて事をするんでごんす!」

「にひひ……相方がその傷で戦ってんのに引くわけねーだろ……がはっ!」

 

 それを見たキンタの額に血管が浮き出る。

 

「許さない……許さないでごんす!!」

「な、なんだこりゃ……!?」

 

 キンタはクールを掴んだまま、その場で高速回転を始めた。

 まるで竜巻の様な激しい回転。遠心力でクールの身体が引っ張られる。

 

「ぐぎぎっ……!!」

「見せるは決まり手十八番!物言い無しの──────せんぷうひねりッ!!」

 

 "せんぷうひねり"はかくとうタイプの高威力技。

 稽古中に編み出した技で、彼の体重とパワー、十分な回転が加わる事でその威力を増す。

 キンタは勢いを乗せたままクールを地面に叩きつける。

 

「バッチコイッ!!」

「ぐわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁッ!!」

 

 その一撃はかなりなモノでクールには十分過ぎるほどのダメージが入った。

 だが、それでもクールは沈まない。

 

「がっ……あっ……!!」

 

 フラフラとしながらも立ち上がり、爪を構える。

 またキンタも次の攻撃に備える。

 ただしお互いに相手をまともに見れた状態ではない。

 

「し、視界が揺れるでごんす……」

「……!??」

 

 クールは"こんらん"状態。キンタは一時的に焦点が合わない状態となっていた。

 互いに隙はあるのに、攻撃が当たるか一か八か。

 1対1であるなら泥試合確定の戦い。だが、今はダブルバトル。

 カールが動く。

 

「その隙、貰ったァァァァァァッ!!」

 

 カールの"メタルクローが炸裂する─────前に、

 

「させるかぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 横からフォスが飛んできた。

 

「"イカサマ"ッ!!」

 

 フォスの体当たりがカールに直撃。

 しかし、その一撃はあまりにも大きかった。

 

「お前、"攻撃力上げてた"よなぁ!!」

「し、しまったッ……!!?」

 

 "イカサマ"は相手の攻撃力の上昇値によって威力が左右するあくタイプらしい技の一つ。

 相手の攻撃力が強化されれば不利となるのだが、この技の前ではそれもメリットとなる。

 

「がはぁっ……!!」

「きょ、きょう、だい……?」

 

 兄弟の声が聞こえ、クール咄嗟に声が出た。

 その声のする方向にキンタは反応する。

 

「ここでごんす!」

 

 すかさずキンタは"はっけい"を放った。

 

「うっ……!!」

 

 ただの"はっけい"にも関わらずその一撃があまりにも重かった。

 脳が揺れる。視界もぼやけてきた。

 

「─────────まだ」

 

 クールが両手を合わせ"こおりのつぶて"を生成。

 そしてキンタに向けて放った。

 

「まだだァッ!!」

 

 "こおりのつぶて"が見事にキンタの傷へ直撃した。

 身体に走る激痛。蓄積されたダメージ。それら全てがキンタを一瞬のうちに襲った。

 

「あっ………」

 

 急に力が抜ける。

 

「オイラ……やっぱりダメ……だっ……」

 

 それからキンタは膝をつき、力なく地面に倒れた。

 それと同時に最後の一撃を与えたクールもニヤリとした表情を浮かべ倒れる。

 

「よくやってくれたぜ、キンタ」

「仲間を気にしてる場合か?」

「なっ……!?」

 

 いつの間にか頭上に氷柱が展開されていた。

 

「俺がいるだろうがよぉ!!」

 

 カールの合図と共に無数の"つららおとし"が降り注ぐ。

 フォスはそれらを"こうそういどう"で縫う様にして躱す。

 

「くっ……!!」

 

 だか、無情にもフォスの脇腹を1本の氷柱が掠めた。

 それを皮切りに次々に"つららおとし"がフォスを襲う。

 

「うわぁぁぁあぁあぁぁぁぁっ……!!」

 

 傷だらけとなったフォス。

 フラフラとしながらもなんとか立っていた。

 

「ちくしょう……こ、こんな所で……」

「さっさと死ね……くっ!」

 

 カールが膝をつく。次に手をついた。

 彼ももう限界の様だ。

 

「お前も……限界……………じゃ────────」

 

 すると、何か抜けた落ちた様にフォスは白目を剥いて地に伏せた。

 カールに追撃する余裕はなかった。しかし、カールの意識があるのは間違いなかった。

 シャウトがマイクを持ち上げる。

 

「この勝負、極悪兄弟の勝利ィィィィィィィッッ!!!!!」

 

 3回戦。遂に敗北─────。




お待たせしました……申し訳ない。

次回、Mission.18「 昼夜 その1」

次回もよろしくお願い致します!!
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