それではどうぞご覧ください。
ブースターに進化したエボ。だが、エボの"進化"を維持できる時間は10分。
その間に勝負を決めなければならない。
(考えている時間はない。速攻で倒すんだ……!!)
先に攻撃を仕掛けたのはエボ。
"でんこうせっか"で一気に距離を縮める。
「直進とはわかりやすい」
ガンドゥの口が大きく開く。
直進してくるエボを真正面から飲み込まんとする"かみくだく"。
「はっ!」
だが、エボもバカではない。物理技で攻めてくるだろうと読んでいた。
急に方向を変えて、ガンドゥの右側に回り込み、脇腹目掛けて"フレアドライブ"を放つ。
「ぐっ……!?」
強烈なタックルを喰らったガンドゥは思わず声を漏らすが、それと同時に笑みを浮かべた。
何故なら攻撃を喰らわせた筈のエボの方が逆に苦しんでいたからだ。
「こ、これは……」
セコンドのアイリーは"フレアドライブ"の反動かと思った。ただエボの身体から明らかに傷付けられたよう痕が残っている。
そして気づく。
「エボッ!そいつの特性は"さめはだ"!不用意に近接攻撃は危険よ!」
「な、なんだって!?」
だからこそガンドゥは避けなかった。
エボはブースターで攻撃を続けるのは不利だと判断し、続いて進化したのが─────。
「"ねっとう"!」
シャワーズとなったエボは口から"ねっとう"を噴射し、ガンドゥに直撃。
「……っ!?」
先ほどの"フレアドライブ"の攻撃も相まってか。ガンドゥは"やけど"を負う。
エボは間髪入れない。再び進化をし、今度はサンダースへと姿を変える。
"でんこうせっか"でガンドゥの周りを駆け、後ろに回り込んだ瞬間に"エレキボール"を繰り出した。
「そう来るだろうと思っていたぞ」
ガンドゥは"ドラゴンクロー"を裏拳で放ち、エレキボールを消し飛ばした。
そして両方の翼を広げ"ダブルウイング"の体勢に入る。
「ん?」
冷気。それを感じた時には遅かった。
「"フリーズドライ"ッ!!」
「ぬぅぅぅぅ……ッ!!」
ガンドゥは直撃する瞬間に腕をクロスさせて防御を試みるが、タイプ相性も相まって後方に大きく後方へと吹き飛ばされる。
サンダースからグレイシアへ流れるような進化。エボの進化は止まらない。
「はぁっ!!」
エボは天高く飛び上がり、ブラッキーへと進化し、そのままガンドゥ目掛けて"ダメおし"を繰り出す。
それに対してガンドゥは"ドラゴンテール"で応戦したが、"ダメおし"の効果によって受け止めきれない。
相手に攻撃を与えた上で続けて攻撃を行うことができれば威力が向上する効果。
これによりガンドゥは強烈な一撃を喰らうことになった。
「かはっ……!」
「どうだ!」
スタジアムに割れんばかりの歓声が響く──────。
*****
Level4を相手にする時点で負けが確定したようなもの。誰もがそう思った。
しかし、実際は負けるどころか優位に立ち回る事ができている。
この事実をドッピンは大いに喜んだ。
「すげぇ!すげぇぞエボッ!あのLevel4に対してあそこまでやれるのかよ!」
「ええ……このまま行けば、ね」
あまり納得のいっていないアイリーに対してドッピンは首を傾げる。
「おいおい何を心配してんだよ。Level4つったら本来手も足も出せないくらい強いんだぜ?それをあんな有利に立ち回れてる時点でよ……」
「あなた忘れてない?」
「なにが?」
「"制限時間"」
「………………あっ」
そう、エボがここまで優位に立ち回れるのは、相手に合わせて複数ある進化先から好きなものに進化が可能という無法な状態であるという事。
それも制限時間内での話。この時間が過ぎればエボは"進化"のツケが回り、最悪死亡する可能性が出てくる。かと言って進化をしなければイーブイのまま。あらゆる面で対応が不可能となり敗北する事が目に見えている。
「それにあのLevel4が本気を出していないように見えるの」
「……まぁ確かにな。エボがいくら対応できてるからって決定打になるダメージを与えられてないのも事実だ」
「時間内で一気に畳み掛けてくれないと……」
「ところで時間は残りいくつだ……?」
「あと───────5分よ」
*****
エボは攻撃の間隔を空けない様に動いた。
自身でもわかっている。残りの時間が刻一刻と迫って来ていることに。
「があっ!!」
その焦りを見抜くガンドゥもまた攻撃に力が入る。
"かえんほうしゃ"で距離を取り、"あくのはどう"を弾丸の様にエボへ飛ばす。
「くっ!!」
エボはエーフィへ進化。すぐに"ひかりのかべ"を出現させて"あくのはどう"を凌ぐ。
だが、その攻撃の一つ一つが先ほどよりも重くなっている。壁の耐久値が急激に減り亀裂が入る。
(明らかに攻撃の威力が増してる!スピードでは勝っていてもこの威力じゃ容易に近づけない!)
次の瞬間に"ひかりのかべ"が砕け散る。
すかさずエボは"でんこうせっか"で横に飛んだ。
「遅いッ!!」
「しまったッ……!!」
"あくのはどう"がエボに炸裂。
凄まじい威力によってエボはたったの一撃でダウン。
「うっ……ぅ………ッッ!!」
足が震わせながらもなんとか立ちあがろうとするエボ。
そんな彼の頭上に大きな影がぬるりと現れる。
「避けなければ死ぬぞ?」
「……っ!!」
エボは足に力を込めて飛び跳ねた。
すぐその後に"ドラゴンクロー"が振り下ろされて地面に直撃。スタジアムがその衝撃によって揺れる。
「さあ、2発目は避けられるか?」
「すぅ……───────」
エボは大きく息を吸い込んでニンフィアへ進化。
そして不用意に近づいて来たガンドゥに囁く様に浴びせる。
「"みわくのボイス"」
ガンドゥの身体がミシリと音を立てた。
彼が困惑している隙。僅かな時にエボの口が発光する。
「喰らえッ!!」
そうして放たれるのは"マジカルシャイン"。ガンドゥにとっては最悪とも言えるフェアリータイプの技。
だが、ガンドゥは冷静に"メタルクロー"で正面からそれを受け止める。
「ふぅんッ!!」
「まだまだァッ!!」
気力を振り絞り、"でんこうせっか"で距離を取ってリーフィアへと進化。
エボの方を見ると同時。目に向けて"タネマシンガン"を放つとそれがガンドゥの視界を奪った。
悶えるガンドゥだが、近づけまいと口から超高熱の"かえんほうしゃ"を吐き出して周りを焼き尽くす。
だが、エボはそれを極限の集中状態で躱わす。チャンスを伺いながら切れ味鋭い尻尾にエネルギーを集中。
「ここだッ!!」
そしてエボは身体を捻って"かえんほうしゃ"の隙間を縫い、勢いのままに回転。
溜めに溜めたエネルギーを"ソーラーブレード"にして放った。
(狙うは首ッ!!)
エボにはもう後がない。確実に急所を取りに行く。
──────────しかし、もう"時間は切れていた"。
「そ、そんな……」
エボはイーブイに戻っていた。その尻尾もただの毛玉。なんの威力も持ち合わせてはいない。
ポフッと音もなくガンドゥの身体に命中する。
「──────惜しかったな。エボよ」
「……………」
視界が回復したガンドゥは鋭い爪を伸ばし、エボの首元の1本突き立てた。
「これがお前の限界だ」
「………くそっ………」
言葉にできない悔しさがエボの中を巡る。
そして死はすぐ目の前まで迫る。
「やめて、ガンドゥ!」
「そうだ何も殺すことはないだろ!?」
セコンドの2人も声を上げるがガンドゥは聞こうとしない。
「戦士は死んでこそ意味がある。お前は立派な戦士だ、エボ」
「…………ごめん、アイリー……みんな……」
それをモニターで見ていた控え室にあるアクセルは飛び出した。
全員の静止を振り切りリング内へと姿を現す。
「アクセル……」
「テメェこの野郎……チビを殺るなんて話が通ると思ってんのか」
観客からはブーイングが飛ぶがそれらを全て無視し、彼に歩み寄る。
「ルール違反だぞ?」
「それがどうした。そんな事で俺を縛れると思うなよ」
緊迫するリング内。迫るエボの死。
シャウトが状況を判断しエボのチームを失格として敗北。そう決断しようとしたその時であった───────。
「────ガンドゥ。これはどういう事だ?」
「あっ………ぁ……………ッッ!!」
入場口から入ってくる人影。
ガンドゥの顔が見たこともないほど青ざめていく。
「私は君の参加を許可した覚えはないが?」
「そ、それは……」
エボが飛びそうになる意識の中、辺りを見渡すとスタジアムにいる全員が目を丸くしてその方向を見ていた。
何故ならそこに立っていたポケモンは誰もが知るこの大監獄の──────。
「さて、理由を聞こう」
【ブラック・イルカマン大監獄 監獄長 ウルティマス】
すみませんお待たせ致しました。
ここから物語が動きます。
次回、Mission.22「脱獄囚」
次回もよろしくお願いします!!