ポケットモンスター 希望のミッション   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰です。
それではどうぞご覧ください。


Mission.3「UB/ウルトラビースト」

 監獄へ戻ってきたエボは、急にドッと疲れが出て、すぐに眠ってしまった。

 依頼の殆どはアイリーがやってくれていた為、エボはあまり活躍する場面がなかった。

 ただ久しぶりの緊張感をその身に味わい、思った以上に疲れが出てしまったようだ。

 ───そして次の日、エボは目を覚ます。

 

「う〜ん………」

 

 騒がしい。一体何があったのだろう。

 きっとこの声はドッピンとそれから───。

 

「私の絵がしょぼい!!?私がこの絵でどれほど食べて来れたか、あなたにはわからないでしょうね!!」

「お前は偽物売りつけて地下に落ちてきたんだろうが!!そんな絵を誇ってんじゃねーよ!!」

「あなただってドーピングで落ちてきたんでしょうが!!この見せかけ筋肉ゴリラのなり損ないめ!!」

 

【ヒカソ】。ドーブルのヒカソだ。ドッピンと言い争っている。

 ここにギマリが加わると、このLevel1ではそれなりに有名な3人組の出来上がりだ。

 ドッピンは格闘技の試合でドーピングによる不正が見つかって地下落ち、ギマリはお分かりの通りミントのキメ過ぎ、このヒカソは凡作を傑作と言い張り、高額で売っていた事から地下へ。

 それぞれ罪は違えど、波長があったらしく、更に同じ雑居房だというのだから、これでも仲は良好なようだ。

 この光景も不思議なことではないらしい。いつもの事、アイリーからエボはそう聞いた。

 

「2人とも、おはよう」

「よう」「やぁ」「「エボ」」「さん」

 

 同時か。仲良しだな。

 エボはそう思う。

 

「ドッピン。早速で悪いんだけど、僕の刑期ってどれくらい減ったの?」

「お、やっぱりそこが気になるよな。ちょっと待ってろ───アイリー!刑期どんだけ減ったよ!」

 

 ベッドの上で寝転がっていたアイリーに、ドッピンは声を掛ける。

 

「1年減ったわ。エボは残り999年ね」

 

 途方もない。エボは絶望した。

 ただ1日だけとかではなかったのが唯一の救いだろう。

 

「採取とか手伝いとか、簡単なものだと流石に1ヶ月とかそこらだけどな。今回は戦闘もあったし、まぁ結構減った方なんじゃねーの」

「やっぱり結構厳しいね」

「俺たちは囚人だからな。これが妥当だと思うしかねーよ」

「………ドッピン。また今日も聞きたいことがあるんだ」

「あ?なんだ?」

「『UB』についてなんだけど」

「あー……まぁ気になるよな。そりゃそうだ」

 

 ドッピンは周りをキョロキョロと見渡し、それからヒカソを呼びつける。

 暫く2人でコソコソと話していると、何か決まったようでドッピンは再びエボの元へ。

 

「よし、今回は特別だぞ?」

「特別?」

「俺が話してやってもいいが、俺よりも長くて地上にも慣れているベテランがいるんだ。そいつの方がわかりやすいと思ってよ」

「じゃあ、そのポケモンに頼むわけだね」

「ただなー……情報屋だから多分金が絡んでくるんだよ」

「僕、払うけど」

「いやいや待て。もしかしたら無償で話してくれるかもしれねー。ま、もし払う事になっても初回限定で、俺とヒカソが少しばかり出してやるよ」

「え!?いいの!?」

「騒いだ詫びだ。それじゃあ案内すっぞ────」

 

 

 *****

 

 

「ここだ。このカフェにいるはずだ」

 

 監獄内にカフェ。ホントにここは自由だなと改めてエボは思う。

 カフェのドアを開けて中に入ると、カランカランとベルの音がなる。

 

「いらっしゃいませ〜。何名様ですか?」

「2人で。んで、今日は【ロトガー】さんはいるか?」

 

 店員は「あちらに」と、奥の方を指す。

 そこにはコーヒーを飲みながら、ゆっくりと新聞を読んでいるロトムがいた。

 ドッピンとエボは彼に近づく。

 接近に気づいたロトガーはコーヒーを置くと、エボを見て口を開いた。

 

「……あんたが最近ここに来た『エボ』だな?あんたの事は噂に聞いている。俺はロトガー、ただ此処に長居している中年だ」

「あ、どうも……エボです」

「それでドッピン。こいつを連れてきたのは、もちろん理由があってのことだろう?」

 

 そしてドッピンは早速事情を説明すると、ロトガーはコーヒーを一口飲む。

 

「なんだ、そんな事か。ただ、これも情報の一種だ。あんたは払えるのか?」

「全財産はこれしか……」

 

 なけなしの全財産。当然だ。エボは地下に切ってまだ数日、金など持っているわけがない。

 ロトガーはやれやれと首を横に振ると、突然UBについて語り出した。

 

「あれは数十年前の事だ。『ポケット戦争』……。全てはあの日から始まった────」

 

 

 *****

 

 

 エリアB。ならず者が多いこの地だが、数十年前はそんな事はなかった。

 一般ポケモン達も住みつき、皆平和な暮らしを築いていた。

 だが、平和というものはそう長々と続かない。いずれ何処かで問題があるもの。

 

「…………!!」

 

 その日、空に「穴」が開いた。

 それは1つではなく、無数にできた。「穴」はガラスの様にヒビが入り、大きく広がると、中からこの世のものではない生物が次々に飛び出してきた。

 UBたちの襲来───これが絶望の始まりであった。

 

「うわぁあぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 

 悲鳴、叫び声、あらゆるポケモン達の声が辺りに響き渡る。

 そこにはまだ幼きロトガー自身もいた。

 ただ、彼はその幼さからか状況を理解できずにいた。空に「穴」がある。そう思っていただけだ。

 そこから「ポケット戦争」と呼ばれる、ポケモンとUBの熾烈な戦いが始まった。

 

 ─────その戦争の結果、なんとか一部の領土だけは取り返した。

 まだまだUBたちはこの世に蔓延っている。そこでポケモン達はエリアを決めた。

 エリアA。UBと手が掛かっていない唯一の平和なエリア。

 エリアB。ならず者が集まる治安の悪いエリア。エリアAでは住みにくいポケモン、貧しいポケモンや身寄りがないポケモン。そういう闇があるポケモンの逃げ場と言ってもいい。

 エリアC。脱走者達が集う最悪な環境。あの監獄を抜け出したLevel4の囚人が、協力して拠点を作り、看守や依頼で来た囚人達を返り討ちにしている。

 エリアD。UBの巣窟。彼らはここに追い詰められた。このエリアのみ他エリアと離れている為、今の所は問題ないが、いずれ強大な力を身につけ、再びポケモンたちを殲滅しにかかるだろう────。

 

 

 *****

 

 

「────奴らは化け物だ。この戦争で何万匹の命が奪われたことか」

「UBってそんなに恐ろしい存在だったんですか……」

「当然だ」

 

 ロトガーは口にコーヒーを含む。

 

「俺がエリアBで情報屋をしていた時、偶々いい情報がある、と言った輩がいてな。怪しいとは思ったが、着いて行った……しかし、案の定それは罠で、周りには俺を恨んでいた奴らがワラワラと集まってきた。俺は戦闘は得意な方じゃなかったんでな。隙を見て逃げようと思っていたら、奴らの1人が突然悲鳴を上げた。そいつを見ると─────無かったんだよ、首が」

「えっ……!」

「俺は思わず近くにあった機械類に飛び込んだ。暫くそこから様子を伺っていると、次々に奴らは首を抜かれちまって、辺りは血の海と化した。落ち着きを取り戻した後、俺はそいつを見た。そいつはこの世のものとは思えない様相。それもそのはずだ。そいつがUBだったんだからな」

「そ、そんな!じゃあロトガーさんは……」

「あぁ、しばらく機械の中でジッとしていた。あんな奴に1匹で挑んで勝てる筈もないからな。後から知ったんだが、そいつはコードネーム【SLASH】。又の名を【カミツルギ】と呼ばれている」

「カミツルギ……」

「俺がそいつを見た数日後、看守どもに捕まってここへ落ちてきた。奴らはポケモンじゃねぇ………昔は此処を出ようと色々試行錯誤してきたが、今はコツコツと依頼をこなしている。老いによるものかはたまた……」

「…………」

「今回は初回限定サービスだ。次に情報を貰う時は、それに見合う情報か対価を用意しておくことだな。それからドッピン、お前は今回のサービスは適用されない。ツケておくぞ」

 

 ドッピンは頭を抱えて「そんなぁ!」と嘆く。

 それからエボ達は部屋に戻る。

 

「ねぇ、アイリー」

「………なに?」

 

 スティック上のお菓子を食べていたアイリーに、エボは声を掛ける。

 

「また一緒に依頼を受けてくれないかな?」

「私以外に組めるポケモンはいるはずよ。そっちに当たりなさい」

「確かに他のポケモンでもいいんだ───普通の依頼は、ね」

「………あなた何を考えているの?」

 

 エボは真剣な表情で彼女に言った、

 

「───『エリアB』の依頼を受けてみたいんだ」




今回登場したのは煎緑茶さんの【ロトム/ロトガー】でした!
次回も応募キャラで 出ます……!!

次回、Mission.4「ならず者」

次回もよろしくお願いします!!
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