ポケットモンスター 希望のミッション   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。
それではどうぞご覧ください。


Mission.5「斬撃」

「くふふふっ、さぁ悲鳴を聞かせてくれ!」

「ぐぅ……!」

 

 ソウルの動きは俊敏で、一才の隙を見せない。

 エボとアイリーはその動きについていくのに必死で、技を仕掛けるタイミングが掴めないでいた。

 度々繰り出される"つじぎり"を避けると、追撃で鋭い爪による"シャドークロー"が繰り出される。

 

「しまった……!!」

「エボッ!」

 

 標的はエボに変わり、エボに向けて"つじぎり"が飛んできた。

 これをかわす事などできず、見事に命中してしまう。

 

「かはっ……!!」

 

 エボは吹き飛ばされ、粗末な家の壁に叩きつけられる。

 それを見たアイリーはすぐさま応戦し、ソウルの目の前で両手を叩いて"ねこだまし"を食らわせる。怯んだ彼の胴体に、すかさず"はっけい"を叩き込む。

 無防備な胴を狙われたソウルは、苦しい声を出しつつ、アイリーから距離を取った。

 

「……よくこの俺に一撃を与えたなぁ」

「あなたもまだまだって所ね」

「言ってくれる。だが、2度目はないッ!」

 

 ソウルは"れいとうビーム"を繰り出す。

 それをアイリーは後ろに下がって回避する。

 

「避けたなぁ」

 

 そしてソウルはそのまま"れいとう"ビームを放ち続け、地面全体を凍らせてしまった。

 これにより足場が滑りやすく不安定で、戦い難くなってしまったのだが、それはやった張本人も同じ事。

 彼は一体何を考えているのだろうか。

 

「構えろ、女ッ!」

 

 すると、ソウルは凍った地面をものともせず、アイリーに向かってきた。

 ソウルの全身がバチバチと音を立てたかと思うと、アイリーに向けて"10万ボルト"が飛んできた。

 それをアイリーは避けようとしたが、足に力が入らず滑ってしまい、"10万ボルト"をくらってしまった。

 

「うぐぅ……!!」

「まずは1匹目」

 

 ソウルの"つじぎり"がアイリーを捉えようとしていた。

 その時─────。

 

「やめろッッ!!」

 

 なんとか立ち上がったエボがソウルに向けて"ハイドロポンプ"を放った。

 これに対してソウルは、アイリーに気を取られて対処が遅れてしまい、ものの見事に吹き飛ばされる。

 エボはすぐさまアイリーに駆け寄ると、彼女は「大丈夫」といい、すぐに体勢を整えた。

 

「助かったわ、エボ」

「気にしないで。それより……」

「えぇ、あのソウルとかいうアブソル、本当に厄介。私たちが束になってもこれじゃあ長期戦になればなるほど不利」

「どうする?」

「どうするも何も助けなんて来ない。だったら"生きる為"に戦うしかない」

 

 "生きる為に"、その言葉がどうにも後ろ髪を引かれる。

 どこかに隠れていたフォスは全身がムズムズとし始めた。

 

「やってくれたなぁ……獲物どもぉ……」

「構えて」

「うん」

 

 ソウルはスイッチが入ったのか、先ほどよりも動きが俊敏になり、エボとアイリーに確実にダメージを与えていく。

 2人掛かりだというのにも関わらず、彼は臆することなく果敢に攻めてくる。

 

「まだまだぁ!」

「はぁっ!」

 

 エボの"ねっとう"に、アイリーの"はどうだん"。

 2つの技が彼を捉える。が、それを受けきって"かえんほうしゃ"を繰り出してきた。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

「うぅ……!!」

 

 凄まじい火力の"かえんほうしゃ"に2人は思わず声を漏らす。

 ニタリと笑いながら、ソウルが近づいてくる。

 

「随分と耐えたが、これで終いだぁ」

 

 ソウルは剣の様に鋭い角にエネルギーを集約させて、"つじぎり"の体勢を取った。

 エボはいつでも"ハイドロポンプ"を放てる様に、ソウルの方向に身体の向きを合わせる。

 緊迫した空気の中、空から何かが降ってくるのをアイリーは見た。

 

「うおぉぉぉぉぉぉッッ!!」

 

 それはフォスであった。フォスはソウルの脳天に"ハンティングダイブ"を食らわせてやったのだ。

 これによりソウルは思いもしなかったダメージを負うこととなり、その隙をついてエボは"ハイドロポンプ"を放ち、彼との距離を一気に離した。

 

「フォス!なんで!?」

「………し、仕方ねぇから戻ってきてやったんだ!もしあの野郎倒せれば刑期がもっと短くなるかもしれないからな!」

「ありがとう」

「うるせいやい!」

 

 空気が張り付く。ソウルの瞳が黒く濁り、ギラリとした眼光でエボ達を見る。

 思わず汗が噴き出るほどの殺意。どうやら本気で殺しにくるつもりだ。

 

「血を、血を見せろ………ここら一帯を赤く染めて─────!」

 

 瞬間、ソウルは踏み潰されることとなった。

 

「バッチコイでごんす!」

 

 "ヘビーボンバー"が炸裂。それが決まり手となり、ソウルは気を失ってしまった。

 3匹がポカーンと口を開けていると、身体の大きなハリテヤマが近づいてきた。

 普通のハリテヤマと違い、肌色の部分が薄茶色となっており、大きいと言っても他の個体比べて体格はやや小さめな様だ。斜め掛けの袋も常備している様で、中には大量のきのみが詰まっている。

 

「お前たちも敵でごんすか」

「違う!違う!僕たちは依頼でここに来た囚人だよ」

「お、という事は同士でごんすか!」

「そ、そうだね。えっと、ところで君は……?」

 

 エボがそう聞くと、彼はニコッと笑い自己紹介をする。

 

「オイラは【キンタ】と名乗る者でごんす!以後お見知り置きを、でごんす!」

 

 話を聞くと、彼も依頼を受けてエリアBに来た囚人の1人であるらしく、たまたま依頼を完了させたところ、音を聞きつけて駆けつけてくれた様だ。

 

「とにかく助かったよ、ありがとう」

「いやぁオイラも偶々ここにいてよかったでごんす。そうだ、体力も減っている様でごんすから、これを」

 

 キンタは袋からオレンの実を取り出すと、エボとアイリー、それからフォスに1つずつ配る。

 

「これで少しは体力を回復させるでごんす!」

「きのみまで……本当にありがとう」

「気にしないで欲しいでごんす!」

 

 3匹はもぐもぐとそれを食べると、少しではあるが身体が楽になった。

 

「しっかし、今のヘビーボンバーは凄かったなぁ。お前が『デブ』じゃなかったらあの威力は出せないだろ」

 

 と、フォスが言った瞬間。

 

「あ"ぁ……?」

「へ?」

「今、"デブ"って言ったの誰だ」

「あ、いや……」

 

 フォスの口からオレンの実が溢れる。

 

「土俵の塩にされてぇのかぁ!?あ"ぁ"!!?」

「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」

 

 それからフォスはキンタに首を掴まれ、ブンブンと勢いよく振り回された。

 

「はははっ!」

「………ふん」

「見てないで助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 エリアBの依頼。色々あったが無事完了。

 エボ達は監獄へと戻るのであった──────。

 

 

 *****

 

 

 4匹は無事帰還し、互いに健闘を讃え合い、その場を後にした。

 Level1の階層なのだから、いずれまた会えるだろう。

 

「ふぅ……」

「浮かない顔ね」

「うん、さっきの話」

「あなたは知らないものね。『脱獄囚』の存在を」

 

 先ほど看守達がソウルを回収しに来た時の話だ。

 ソウルはエボ達を見ると、不敵に笑い、こう言った。

 

「────いずれぇ、お前達は最凶最悪と呼ばれる『脱獄囚』と戦う事となる。エリアCは魔境だ。俺1人に苦戦している様では、これより起こる戦争に、監獄で呑気に暮らしているお前達では勝てる未来はない」

 

 "脱獄囚"に"戦争"。

 物騒な言葉が並んでいるが、果たしてこれは誠の話なのだろうか。ほら話であってほしいものだ。

 

「脱獄囚に関してはまた話が出る筈よ。その時にでも聞けばいいわ」

「もし戦うとしてアイリーはどう?勝てる?」

 

 エボが好奇心でそんな風に聞くと、アイリーはそっぽを向き。

 

「Level4の囚人相手なんてごめんだわ」

 

 と、心底嫌そうな顔をして言った。

 最下層に近いLevel4から、自力で逃れることのできる実力者が揃うエリアC。

 エボにとってはまだ先の話。また暫く簡単な依頼をこなし、その時まで気を休めよ─────。




ハムサン堂さんから【ハリテヤマ/キンタ】でした!

次回、Mission.6「平和」

次回もよろしくお願いします!!
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