やぁやぁ初めまして、神です。別に宜しくはしないけどね。
突然だが聞いて欲しいんだ。君達はよく「こんな都合よく行かない」「運良すぎだろ」「現実味がない」と異世界の物事について簡単に言ってくれるよね。その通りだ。当たり前過ぎる。
だけど同時に思い出して欲しい。君たちの世界にもそう言った人間はいるだろう。
親が金持ちで何をやっても上手くいく人間が。
スポーツで優秀な結果を出し美人な女優と結婚した人間が。
エリート大学を出て一流企業で働き、悠々自適な生活を行う人間が。
そう、勝ち組な人間が僅かながらいる。
気付いてくれたかな。気付いてないなら逆を言ってみようか。
親が貧乏で何をやっても人並み以下な人間が。
スポーツで大会に出ても入賞どころか1勝ももできない人間が。
4流大学を出てブラック企業で奴隷のように働く人間が。
親に捨てられ施設暮らし、進学もうまくいかずホームレスに。
そう、負け組な人間が多くいる。
ここまで言ったし気付いたかな。まぁどうせだし間も言っとこうか。
親は普通で大体のことは頑張れば人並みにできる人間が。
スポーツ大会でそこそこ勝てる人間が。
そこそこの大学を出てよくある中小企業で働いてまぁ生活は厳しいけど暮らしていける人間が。
そう、どちらでも無い普通の人間が大量にいる。
そろそろ察しの悪いやつでも気付いたろう。この中でドラマで、アニメで、漫画で、映画で、小説で、劇で見たいと思う人間の人生はどれかな。
よくある日常の何の刺激もない日々。
底辺を這いずって這いずって最後まで搾取されて終わる日々。スポーツ大会で3回戦目で負けて「悔しかったなぁ〜」で終わる程度。
これらを君は見たいのかい?
数ある作品の一つとしてあるならちょっと見るくらいはあるかもしれない。
けど、面白い小説をを探してる時にそんなものを見たいか。
せっかくの休日に楽しい映画を見ようとした時にそんなものを見たいか。
働いて疲れた夜にそんなドラマを見たいか。
見たくないだろ?
他にもご都合主義についても言っておこうか。
毎日毎日部活の練習をして、いざライバルと胸の熱い戦いが始まる直前に事故で死んで終わる漫画を見たいかい。
中々人と馴染めなくて、それでも誰かと演奏を楽しみたくて練習して、頑張って誰かに声をかけたら「気持ち悪い」「え、ウザい」「馬鹿じゃないの」と言われて引きこもって終わるアニメが見たいかね。
そうゆう事だよ。そんな世界をわざわざ観測しない。チラッと見て、面白くないからと見るのをやめる。
結果上手くいった世界だけが物語として残る。
だからまぁ君たちが知らないだろうが異世界では転移直後に死亡した人間が1番多い。そんなもの見たことがないって。それはそうだろう、そんなただ死んで終わるものを見ないだろうから。
それなら転生なら大丈夫だと思ったかな。九割九部九輪十年以内に死んでるよ。
様々な理由で死んでいるよ。
転移だと「空気中の酸素濃度の違い」で「環境温度の違い」で「重力の違い」で「細菌の違い」で「大きさの違い」で「魔力濃度の違い」で「光量の違い」で「環境音の違い」で世界についた瞬間死に
転移先が「深海だった」「溶岩の中だった」「いしのなかにいる」「星の曲線が観れるほど上空だった」事により死んで
転移先が「ゴブリンの巣の中だった」「子育て中のドラゴンの巣だった」「国王の真上だった」「真夜中の王女の寝室だった」「戦場のど真ん中だった」「裏ギルドの中だった」事で殺される。
転移先が「人種族がいない」「知的生命体がいない」「生命体がいない」事で「孤独によるストレス」で「合わない常識によるストレス」で「同族がいないストレス」で精神が死に
「人間が食べる食料がなくて」「多種族の食料ですら得られなくて」「そもそも食料になるものがなくて」栄養不足で死ぬ
転生でも
「親が育成を放棄して」「親がすぐに死んで」「奴隷の身分で産まれて」「貴族の継承問題で暗殺され」「王族がクーデターによって惨殺され」「平民がモンスターパレードで蹂躙され」「農民が圧政で搾り取られ」「産まれてすぐ生贄にされて」なすすべもなく死ぬ。
神様は万能なんだからそんな状況で送らないだろって。無理無理、文字通り住む次元も違うし視点も違う。正直君達を転生させるのはシャーレからシャーレに微生物を移し替えるようなものだよ。だから違う人物を送ったり巻き込まれて転移みたいなことが起きるんだよ。
それに万能なら世界はそもそも平和で転生や転移させる必要がないしね。
次に君はチートがあれば生きれるだろと思ったね。それならどれだけ楽だったか。
魔力が無限にあればろくに魔法も知らないのに生まれたての赤児が飢え死にしないのかな。最強の肉体を得ても食糧のない世界で生きれるかな。創造魔法があれば使い方が把握できる前から超重力の中で生きれるかな。
チートがあっても大半は死んでるんだよ。まぁそもそもそんな強いチートはそうそうあげれないし強くないチートですらそんなにあげれないよ。神の力は万能で無限なんかじゃ無いんだから。
そしてチートがあっても人生が劇的になるとは限らないんだよね。
ファンタジーのない近世レベルの文明で城を消し飛ばす魔法があっても見つかれば即魔女裁判や暗殺、使わなきゃただ厳しい生活。
食料生産チートがあっても知的生命体がその星どころかその銀河系にすらいない状況で何が起きるんだい。精々自然的危機しか見た事ないんだけど。
噛み合わなければ大体こんなもんだよ。
さてさて、転生転移の大半が塵みたいな事は言い出したらキリが無いしそろそろ本命と行こうか。
そう、現実は所詮最悪であるとも言えるような事実といこうか。
話としてはよくある転移系だよ。とある王国が勇者召喚をして魔王討伐を召喚者に「お願い」して、心優しい主人公が共に召喚された仲間たち5人と時に文化の違いやチート能力を楽しみ、時に仲間や現地人との恋があったり、中盤には仲間との死別や厳しい戦いが続くシリアス展開。そして遂に魔王との決戦というよくある流れだよ。
勿論細かく言えば転生したら○ライムだった件の12冊分位の物語があった訳だが問題は最後の決戦だね。
あれは酷かった。本当に酷かった。まるで時が止まったかのようだったよ。
まぁ流れとしてはよくある魔王を満身創痍ながらも追い詰めたら
「こ....この私がここまで追い詰められるとはな....誉めてやろう。私に真の力を使わせた事を!」
と、決め台詞と共に魔王が「魔力をまるで暴風のように撒き散らしながら」真の姿に変身した訳だ。
主人公である勇者が
「そ、そんな....まだ本気じゃなかったのか....」
なんて軽く絶望して力が抜けたんだろうね。剣を持った腕をだらんと下げたんだよ。
物語ならそこからズタボロにされた後に覚醒したり、武器や道具から神秘の力や精霊、神の加護等が勇者を助けたり、旅の途中でなんらかの関わりを持った誰かが助けに来たりするなんて事があるけど....そうはならなかった。ならなかったんだよ。
魔王が変身した時の「魔力をまるで暴風のように撒き散らした」事により「力が抜けた勇者の手から剣が高く飛び上がり」「勇者自体も衝撃で後ろに転がっていき」「奇跡のように落ちてきた剣が勇者の首を貫いた」
取引先の社長のカツラが取れてもここまで地獄のような沈黙にはならなかったろうね。体感ではカップラーメンができるんじゃないかと思うほど沈黙していたよ。
君にこの時の魔王の気持ちがわかるかな。
強者と認めた相手に決め台詞まで出して変身した瞬間に認めた相手が急に死んだんだよ。
羞恥に失望に戸惑い、そして混乱からの怒り。気持ちのやり場がなかったんだろうね。変身しても喋れるのにまるでさも喋れませんみたいな空気を出しながら「ゴァァァァァアアアアアアアア!!」みたいに終始吠えながら暴れてたね。
君にこの時の仲間の気持ちがわかるかな。
漸く倒せると思った魔王がより強大な力を見せてきて、もう駄目だ、お終いか。いや、だが勇者とならまだ希望はあるはずだ。
なんて奮い立とうとした瞬間にパーティの柱であり親友や恋人である勇者が死んでるんだよ。そりゃ絶望とかよりも現実が受け止めれなくて心が止まっていたね。魔王が暴れて跳ね飛ばされて殺されるまで呆然として全く動かなかったよ。
その後丸一日暴れて勇者達を挽肉に、魔王の間を風通しが縦にも横にもよ過ぎるほど劇的ビ○ォーアフターして漸く落ち着いた魔王が変身を解いてボソッと「なんだよこれ糞恥ずかしい...」って言って寝室に向かってった所で私は観測をやめたよ。
これ、見たいと思えるかい君は。シリアスな展開を7冊分くらい見た後の終わりがこんなのを本当に見たいかい。今回は滅茶苦茶端折った上で見たからまだギャグとして観れるだろうけどずっとハラハラドキドキしながら続きを観ていたら急にこんな終わり。キレないでいられるかい。無理だろうね。大多数はふざけるなと喚く事だからね。まぁ私と神友は爆笑したがね。
さて、今回は王道のファンタジーな所から説明したけど他のものもご都合主義がないことは多いよ。
追放からの実は優秀でした。なんてそもそも有能な事を分からないわけがなくそもそも追放しない。
クラスの中で一人だけ無能だからってそもそも数少ない同郷という仲間を捨てるリスクを取らないし、呼んだ方も多大なコストを払っているからまずはじっくり確認するし、処分や追放して残る優秀な人材に不信感を持たれるようなことはしない。
悪役令嬢に憑依転生したら処刑間近だったら特に流れは変わらず処刑される。
召喚された次の瞬間敵の幹部に襲われた。
冒険者ギルドで三下に絡まれない。
倒した敵を可哀想と見逃したら自分のピンチに助けに来ないしなんなら殺しに来た。
奴隷ハーレムしようとしたらそもそも奴隷に性的行為は禁止されている。
助けた女の子がお礼だけ言ってその後関わることはなかった。
ピンチに覚醒しない。
ピンチに助けも来ない。
ご都合良くいかないとはこうゆう事になる訳だ。もう一度最後に聞こう。
「本当にそんなのが観たいかい」