楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
タイトルはこれだけど書くのはいわゆるそれの前日譚メインみたいなものですが、あのキャラの『その後』ってのを書きたかった
6月に結婚式をすると一生幸せでいられる……というのは、西洋に古くから伝わる言葉でありそれを『ジューンブライド』と言う。
そう、この『ジューンブライド』とは元々西洋、ヨーロッパに伝わるものであり日の国日本でも採用されている。
何よりも我が祖国であるUSAでも一般的に採用されているジンクスである……つまり何が言いたいかと言うと。
「バトラー!結婚式ですわ!」
そう、ワタクシの友人達を思うに、日本と西洋の方々ばかりなので挙式を挙げるのにこれ以上絶好の月は無いということ。
「なんですかローズ様、急に立ち上がったと思ったら目をキラキラさせて」
「ワタクシ決めたのです!ずっと迷っていた挙式の時期を!6月という最高の時期に決めたのですわ!」
「6月って3ヶ月後じゃないですか……全く、僕の嫁さんはやはりノリと勢いで生きているらしいですね」
「ええ!それがワタクシの生き方ですから!ふんす!」
ドヤ顔で自らの婚約者に胸を張ってみせる。
ノリと勢いとライブ感で走り抜けるのがワタクシ流の人生の歩み方、胸を張らずして何がサンライズローズか。
「やれやれ、お義父様の私有地に丁度よく挙式をやれそうな教会があるから良かったものの、普通は半年前には予約するものなのですよ。それに……」
とはいえ、それが出来るのはお父様の私有地に教会がちゃんとあるからなのですが。
それにバトラーは、ワタクシの考えくらいお見通し。
その後に続く言葉は言わずとも予想出来た。
「ええ、コンプちゃん、プリンさん、それにブロッサムさん、ムラクモさん、スノーフォールさん、クロードさんそれにアメリカで共に
「だろうと思いましたよ。同じアメリカのライバルと言えどそう近くに住んでる人達ばかりでもない上に、日本やアイルランドへも招待状を送るならもう少し期間があった方が良いとは思いますが……まあ仕方ないですね、何せローズ様ですから」
「そうですわ!ワタクシですから仕方ないのです!」
「いやそこは胸を張るところじゃないです。しかし決めた以上譲る気はない、そうでしょう?」
「当たり前です!ジューンブライドといえば西洋にも日本にも我がステイツにも馴染み深い文化。幸せなジンクスがあり、共通の文化なのであれば譲る理由がありませんもの」
「だとしたらもう少し早く思い立って欲しかったんですけどね」
「うっ……い、痛いところを……」
ただ、いくら以心伝心しているのだとしてもバトラーは痛いところを突いてくる。
執事や婚約者、トレーナーである以前にバトラーとは長い付き合い……それはそれはもう長い付き合いだ。
ワタクシが生まれ落ちた翌日にはバトラーは既にワタクシを抱き上げていたそうで、生まれながらにしての幼なじみであるのがこの執事でありながら言いたいことを言い合える関係性になった大きな理由になっている。
「という訳でローズ様、さっさと招待文書いて各国各地に送りますよ。
「そ、そうですわね!こういう時バトラーはやっぱり頼りになりますわ!」
「ま、ローズ様の幼なじみで執事で婚約者ですから」
そうだからバトラーには全幅の信頼を置いているし、やっぱり大好きなのだと思わされる。
お父様やお母様からも何故かワタクシよりバトラーを信頼してる節があるのだけは納得行きませんが。
「それにしても」
「どうかしましたか?」
「いえ、僕らって言ってみればローズ様がアメリカトレセンに入学した時から既にほぼ婚約者同然だったじゃないですか」
「ピエッ……ご、ごほん!嫌ですわバトラーそんな藪から棒に惚気られてもワタクシは愛情しか出せませんわ!」
「愛情は出てくる辺りやっぱりローズ様って可愛らしいですよね……いや、そもそも僕婚約者同然だったって話しかしてないですけどね」
急にこの人は何を言うのかとドキドキしてしまう。
ワタクシだって成人しているとはいえまだ現役大学生と同じ年齢、乙女と呼ぶにはあまりにも現役だというのに火力が高過ぎますわ!
この人は本当に本当に!
「って僕はそういう話をローズ様にしたかった訳ではなくてですね、思えば挙式に関しては後から恋人関係になった方々に結構抜かれたなあと思いまして」
「……ふむ、確かにそうですわね」
思えば確かにと冷静にバトラーの言葉を受け止める。
コンプちゃんに至っては日本、アメリカ、ドバイ、サウジアラビア、フランス、アイルランドの6ヶ国で挙式をし、ブロッサムさんはコンプちゃんのドリームトロフィー移籍後すぐにトレーナーを掻っ攫いそのままスピード婚、プリンさんは結婚こそしてないもののトレーナーがサトノ家を担当してから噂に聞くハーレムに取り込まれサトノ家の土地で挙式をしたそうな。
ここまで抜かれているのは些か意外ではある。
とはいえ、それはそれとして自分には自分のペースがあるのだから気にならない。
寧ろ焦って関係を崩してしまう方が心配なのは当然。
「ワタクシ達にはワタクシ達のスピードがあるのですから、慌てなくても問題無いですわ」
「ま、それは僕も賛同しますが……いつもノリと勢いで生きてるローズ様にしては珍しいですよね」
「あーたーりーまーえーでーすーわー!」
全く失礼な、バトラーはワタクシをなんだと思ってるんですの。
婚約者じゃなかったら3日は口を利いてあげなかったんですから。
「恋愛は慌てず騒がずじっくり構えていれば良いものですわ!自分達のタイミングでイチャイチャして愛を育んで、しっかり育ててから結婚するのがワタクシの流儀なのです!」
「しっかり育てられました」
「ふんす」
「しかしそう思うとブロッサム様のところはとんでもないスピード婚でしたよね」
「あそこは……ブロッサムさんの決断力の高さ、なんでしょうね」
ただ実際、ブロッサムさんの仕留めるスピードはとてつもなかった……と記憶している。
気が付いたらお付き合いされていて、そこから半年程で結婚。
お付き合いの報告を貰った時も驚きましたが、結婚するという報告を貰った時は流石に聞き直してしまいました。
お2人とも幸せそうなので、やはり『人には人のスピードがある』という見方で間違いなさそうですが。
「……ワタクシ達もきっと、コンプちゃんやブロッサムさんみたいに幸せになれますわよね」
そしてそう思うとやはり、馳せてしまうのは自分達の未来。
友人達の結婚エピソードがあるからこそ、自分達も『そうでありたい』と憧れてしまう。
「おっと、男としては『みたいに』ではなく世界一幸せにしたいと思ってるんですがね」
「ふふ、ですわね」
でも、そう思っても思わなくても。
ワタクシ達は世界一幸せになれると確信して、そう笑い合うのだった。
「ふぃ〜、やはり久々のアメリカは良いな。お前もそう思うだろコンプ」
「あのねあーくん、前回アメリカ来てからまだ1年経ってないんだよ。トゥインクル現役時代に芝路線で凱旋門賞走ってた期間に比べれば間違いなく短いんだよ」
「はっはっはっ、細かい事は気にするな」
アメリカ、フロリダ。
前回ここに来たのはラフィキちゃんのグランドナショナル以来で相変わらずわたしがトゥインクルから引退しようともレース関連で何かと縁がある……んだけど、今日は違う。
ローズちゃんから挙式の招待状を貰ったのだ。
そろそろ新メンバーを迎えるだの迎えないだので福嶋さんと相変わらずすったもんだのコントをしている時に送られてきたものだった。
ちなみに結局福嶋さんが押し切って渋々トレーナーがスカウトに向かって数時間で新しい子、ギャラントダンサーちゃんを見つけてきたのだからやっぱりあーくんは凄い。
それはさておき、そのランちゃんのメイクデビューが終わって数日でこっちに来ていたりするからトレーナーとしては多忙だと思うんだけど全く気にしてない辺りやっぱりこの人はこの人なのだろう。
「時坂さんはほんとーに変わらないよね〜」
「コイツがまともになったら多分それはニセモノだからな……」
「ん、たくさん食べられるの楽しみ」
「リリー?メインは結婚式だよ?」
そして同じ便でやってきたのはプリンと明路さんに、リリちゃんとそのトレーナー兼夫の丸ノ内恭也さん。
トゥインクル時代は揃ってライバルであり友人として沢山思い出を作ったのが懐かしい。
ムラクモちゃんやクロードちゃんは先の便で行ってて、スノーちゃんやパールちゃん、ロイヤルちゃんや他の招待されてる人ももう現地に着いているらしい。
中々会えてない人もいるから今日は半分同窓会みたいになりそうかも。
「それにしてもさ」
「なんだ?」
「初めてアメリカに来た時をなんだか思い出しちゃって」
「そっか〜、コンプちゃんが初めて来たのって中学3年生だもんね〜」
もう6年になる。
あのケンタッキーダービーでガチガチになりながら、無我夢中で走り抜けて初めてGIを手に入れたのが遠い昔みたいに思える。
あの日初めてローズちゃんに出会って、そこから本当の意味でわたしの全てが始まった。
そう思うと今日という日は特別感慨深く思えてしまう。
「しかしお前の見た目は6年、いや7年前から全く変わらんな」
「おう喧嘩なら買うぞ?お?」
「バカを言え、7年前から好みの見た目だと言ってるだけだ。中身は6年経って更に好きになっているが」
「上手い事言ったと思わないでよ!?それで釣られるのはあたしくらいだぞ!?」
だから感傷に浸ってる時に余計な事を言わないでほしいこのアホ夫は。
そんなキザな事言われて丸め込められるのはあたしくらいだぞ、バカ。
「まあ、この感じは昔から変わんないからねえ〜」
「2人とも変わらんなあ、まあ俺達もあんま変わった気はしないが。……関係性は変わった気がしなくもないけど」
「てへぺろ」
こっちの2人は2人でプリンが明路さんを『食べて』しまってからはお互い吹っ切れたのか距離感がもっと近くなってる気がする。
プリンが杖突いてるからそれの介助として、物理的にも近くなってるし。今となっては
「みっちゃんといつでも触れ合えて役得だし、杖も悪くないね〜」
なんて言っているから本人も振り切れていたりする。
それはそれとしてスモモやケーキ、あと他のチームメンバーにも食べられてハーレムしてる気がするけど……うん、突っ込まないでおこう。
「じー……トレーナーも全くかわらない」
「コメントにめちゃくちゃ困る……」
こっちは……どうなんだろう。
とりあえず丸ノ内さんは尻に敷かれてるらしい。
幸せそうだからまあいっか。
で、わたし達はと言うとずっとこんな感じで色々言い合ったりイチャイチャしたりで相変わらず。
もう21歳と秋で26歳になる成人同士だって言うのにいつまで経っても子どもっぽい感じが良いのやら悪いのやら。
でもまあ、そんな感じが『わたし達らしい』のかもしれない。
「さ、そろそろ着くぞ」
でももうそろそろそうやって昔や今までをじっくり思い返してる時間も無いみたい。
初夏とあってじんわりと暑いけれど、今日一番アツアツの2人に会いに行かないとね。
「今日はたっくさんお祝いしないとね」
世界一のライバルで
世界一の戦友で
一番長く隣で走ってくれて
いつだって背中を押してくれた親友の1人
大事な大事な、大切な人の1人
今日はどうか、世界一幸せな日になりますように。
そう願って、わたしはドアを開いた――
実のところ序盤から最後まで一番のライバルとして書いてきたローズを最後(58話〜After2)上手いこと出せなかったのが心残りだったんですよね
だから何とかして主役回を作ってあげたかった、作れて良かった
しかしあのギャグみてーなケンタッキーダービーから作中時間6年経ってる事に自分自身絶句してて草生えますよ
そんなに時計の針を進めるつもりはなかったんですがね…
???「この作者の情緒、なんか変…」
久々にこの作品に触れられて楽しかった
この話自体は完結してすぐくらいからずっと書こうかどうか迷っていた唯一の話なんで、次こそもう本当に更新は無いと思います
1話にして書きたい話はもう出てこないんじゃないですかね
あ、最後にシレッとまたチーム時坂に加入したメンバーだけ書いていきますね〜ほなまた…
ギャラントダンサー
ブリッジコンプに憧れてアメリカケンタッキー州から遥々中央トレセンに編入してきた留学生、時坂を見つけるや否や逆スカウトしてきてそのまま連れてきた
天性の大逃げウマ娘であり、メイクデビューをぶっちぎって「なんだ!また時坂か!」と言われている始末
国内クラシックを照準に定めて育成していくらしい
好奇心旺盛でブリコンを見つけると自動的にハグしに行くが、実は病弱
元ネタは1975年生まれ、現役中の79年に安楽死処置で亡くなった史実馬ギャラントダンサー
当時はクラシック出場権利が無くフランスクラシックを走る予定だったが輸送中に体調不良になりそのまま1年4ヶ月休養
その後復帰するも蹄葉炎により死亡
デビュー当初から大逃げで圧巻の走りを見せていた
もちろん時坂は病弱なギャラントダンサーを海外に連れていくことはせず国内一本で走らせるので体調不良も無ければ、めちゃくちゃ過保護なのでトレーニングはかなりセーブされて怪我もそんなにしない(代わりに出場レースもかなり絞って少なくなっている)
まーた救ってるよこの人ォ!
メジロラフィキ
一般通過グランドナショナル制覇ウマ娘
丸ノ内恭也
この中の中でやっと名前が確定したリリトレ
モデルは2022年高松宮記念覇者ジョッキー・丸田恭介
某リリカル魔法少女の兄貴と名前が同じ
???「偶然だぞ」
リリカルブロッサム
恋のダービーはズブくなかったらしい