ドローレス・アンブリッジの娘(仮)   作:どんぐりを辿ったら着く書店

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マルフォイがフォイフォイしてて、エレナは相変わらず自由で我儘で、スネイプの血圧は上がりっぱなしで、エレナが消えて血圧が正常値に戻ったアンブリッジの血圧が久しぶりに上がるお話。
後、トレイシー・デイビスがマジで可哀想。


毎日のルーティン

私たちは無知によって道に迷うことはない。自分が知っていると信じることによって迷うのだ。

By ジャン・ジャック・ルソー

 

 

エレナはドローレスの言葉が真実だと信じており、確信めいたものまで持っているが、世の中には階段を登って秘密の通路を通ってから秘密の階段を下りなければ辿り着けない部屋というものもあり、その逆もまた然りである。つまりエレナは隠し通路というものに明るくなく、彼女の狭い知識がホグワーツにおいて通用する可能性は低く、また可能性の低さについてもエレナは認識していなかった。

 

 

エレナがいっそ無知であれば、大広間に残り他の新入生と一緒に寮へ戻れば良かったのだが、地下という大まかな場所を把握していたが故にイキって大広間を飛び出し、一人で寮へ向かうという謎のチャレンジをしてしまったのだ。つまり完全な無知であれば迷うはずのなかった道に、エレナは一部の情報を知っていたが故に、行けるとよく分からない自信を持って自分から道に迷うという選択肢を選んだのである。

 

 

「……地下牢って事は、階段を降りれば良いのよね?一体どこに地下へ続く階段があるのかしら。」

 

 

大広間から出たエレナは、早速階段を探し始めた。しかし、なかなか階段が見つからない。

 

 

「おかしいわね……どこに階段があるのよ。全然見つからないじゃない!」

 

 

しばらくキレ散らかしながら辺りを彷徨った後、ようやく地下へと続く階段をみつけた。そしてそのまま階段を降りて行くと、そこには大広間の何倍も暗くておどろおどろしい雰囲気の廊下が続いていた。ホグワーツ入学前はこの程度の暗い廊下を怖がるなんて事は無かったはずだが、家とホグワーツとでは感じ方が違う為、恐ろしさも変わるようだ。

 

 

「……こっちで良い、のよね?本当に、良いのよね?」

 

 

廊下を真っ直ぐ進んで行くと、一つの部屋を見つける事が出来た。そしてその部屋の前には、何故かしゃがみこんで項垂れているマルフォイの姿があった。彼がここに居るという事は、どうやらこの扉が寮への入り口の様だが、様子がおかしい。

 

 

「……こんなところで貴方と会うなんて最悪な気分だわ。」

 

 

「なっ、なんでレイブンクローがここに居るんだ?!」

 

 

「何でも何も、スリザリン寮は地下にあるのでしょう?ほら、そこを退きなさい。」

 

 

エレナはそう言うと、マルフォイを押し退けて扉に手を掛けた。しかし────

 

 

「……開かない。どうしてなの?」

 

 

エレナが不思議そうな顔で扉を見つめていると、マルフォイは困り顔でこう言った。

 

 

「寮に入る為には合言葉を言わなければならないらしいが、合言葉は定期的に変わるらしくて、僕は今のスリザリン寮の合言葉を知らないんだ。」

 

 

「そう……。ねえ貴方、過去のスリザリン寮の合言葉はご存知かしら?」

 

 

「……3つだけ知っている。"聖28一族"と"クディッチ"、それから……"純血"。この3つしか知らないな。」

 

 

「なるほどね……"純血"。」

 

 

エレナは納得すると、そのままマルフォイを押し退けて扉のドアノブを回した。すると、ゆっくりと扉が開かれる。その様子を見ていたマルフォイは信じられないと言った様子でエレナを見つめた。

 

 

「そんな……そうか、まずは過去の合言葉くらい試して見れば良かったんだな。」

 

 

「そうよ。分からないからって項垂れるくらいなら、色々叫んで試しなさい。それでも無理なら、大広間に戻って上級生に聞けば良いだけよ。」

 

 

「いや、それはそうだが……。」

 

 

「まあとにかく、開いてよかったわね……ねぇ、早く入ったら?」

 

 

エレナがマルフォイを急かすように声を掛けると、彼は慌ててスリザリン寮に足を踏み入れた。

 

 

「お、おい。」

 

 

「何?」

 

 

「いや……何でもないさ。」

 

 

スリザリン寮の中は、とても地下とは思えない程広かった。壁にはタペストリーが掛けられ、天井には大きなシャンデリアのランプが浮かんでいる為、とても明るい雰囲気だ。しかし、どこか薄暗くて不気味な印象も受ける。

 

 

「ここが……スリザリン寮。まあ、住み心地は悪くなさそうね。」

 

 

「何を偉そうに言ってるんだ。」

 

 

マルフォイはそう言うと、スタスタと歩き始めた。エレナもその後に続きながら、辺りを観察し始めた。スリザリン寮は地下牢にあるということもあってか、窓は無く薄暗いランプの光だけが灯されていた。地下である為空気もひんやりとしているが、冬は暖かくて良さそうだとエレナは思った。また絵画が沢山壁に掛かっており、その殆どに蛇の絵が描かれていた。

 

 

「……ここが談話室ね。ふうん?まあまあね。」

 

 

エレナはそう言い、近くにあったポットを魔法で動かし、カップに紅茶を注いだ。そして目の前のテーブルまでカップを移動させ、優雅なティータイムを始めた。といってもお茶菓子の一つも用意されてはいないが。

 

 

「……それにしても、よく君はスリザリン寮の場所が分かったな。僕は父上に地図を貰っていたから、真っ直ぐ来れたが、君がこの場所に1人で来るとは思わなかったよ。それとも誰かに聞いたのかい?」

 

 

「私がまだ3歳の頃、私の後見人のおば様がスリザリン寮は地下牢にあるって話していたの。それを今日まで覚えていたから、その情報を頼りに階段を降りて地下まで来たの。その後は勘を頼りにしながらここまでやって来たわ。」

 

 

「それは、凄い記憶力だな……。」

 

 

マルフォイは感心してエレナを見つめたが、ふと何かを思い出したような表情を浮かべた。そして言いづらそうに口を開いた。

 

 

「……あの、さ。さっきは酷い事を言って悪かったな。」

 

 

「どうして突然謝るの?どういう風の吹き回し?」

 

 

「それは……僕にだって良心くらい残っているんだよ。僕らはずっと敵対していたが、これからはこの寮で過ごす仲間だ。スリザリンは身内を大切にする寮だ。だから、その───」

 

 

彼は数秒間を開けてから意を決したようにこう言った。

 

 

───僕と友達になってくれないか?

 

 

まさか、傲慢で不遜で死喰い人の息子であるマルフォイが、被害者遺族であるエレナに友達になりたいと申し出るなんて夢にも思わなかった。マルフォイは意外とお子ちゃまで、打たれ弱くて、エレナから見たら弱者でしかない。しかし、それとは別に死喰い人であった父親と比べれば、性格はかなり丸く、最低限の常識も身についているらしい。エレナはこの少年の生まれに同情しながら、優しい笑みを浮かべて彼に向き直り返事をした。

 

 

「嫌よ。」

 

 

「えっ……?」

 

 

「だって貴方は、私とレイブンクロー家を侮辱し、ヴォルデモートの配下だった父親を持つ人間よ。私がそんな人と仲良くするわけないでしょ。あんまり夢を見過ぎないでちょうだい。」

 

 

エレナはそう言うと、紅茶をグイッと飲み干し立ち上がった。マルフォイは呆然とした表情でエレナを見つめるが、彼女はそんな事など気にも留めずにスタスタと歩き出した。

 

 

しかし歩きながらエレナは考えた。もしマルフォイと友好関係を築き、エレナが上でマルフォイが下という上下関係が生まれた場合、もしかしたら大富豪であるマルフォイ家の資金援助が受けられるかもしれない、と。

 

 

エレナは錬金術と古代魔法についての研究をレイブンクロー家の親族から引き継いでおり、今もその研究に明け暮れている。古代魔法も錬金術もまだまだ解明されていない事が多く、それらの研究価値は未知数であり、エレナが賢者の石を使って何千年と生き長らえたとしても、全てを明らかにする事は出来ない。それだけの途方のない時間がかかる分野であり、研究にもとにかく多額の金が必要になってくる……つまり、資金と時間はどれだけあっても足りず、湯水の如く湧いてこなければ、素晴らしい研究成果を生み出す事は不可能なのである。

 

 

そして、もしマルフォイを尻に敷く事が出来れば、多額の資金援助が受けられ、資金面で研究はかなり捗るはずだ。つまり、我慢して付き合えば大きな利益が得られるかともしれないのだ。我慢する価値のある事案だ。これはしっかり検討すべきだ。

 

 

エレナは紛れもないクズで、性格の悪い女だった。マルフォイの純粋な気持ちを踏みにじり、自分の利益だけを追求する、正にスリザリンらしいスリザリン生だった。組み分け帽子はそんな彼女の醜い本性を読み取り、最適な組み分けをしたのだ。アッパレである、組み分け帽子。

 

 

そして数秒の間エレナは脳内でマルフォイの提案を受け入れるか検討し、ようやく結論を出したようだ。彼女は振り返り、マルフォイを見ながら口を開いた。

 

 

「……まあでも?どうしてもと言うのなら、考えてあげなくもないわ「本当か?!」……はあ、話は最後まで聞きなさいよ。」

 

 

最後まで言い終わる前に、マルフォイは瞳を輝かせてエレナの手を握った。エレナはそんなマルフォイの行動に呆れながらも、言葉を続けた。

 

 

「マルフォイ、もし貴方が私の行っている研究に資金援助をしてくれるのであれば、友人として接してあげても良いわ。だけど覚えておいて……私は、馬鹿は嫌いよ。私の友達でいるのなら、勉強にはしっかり力を入れて貰わ。私が貴方を馬鹿だと判断した暁には、貴方は私の友達ではなく、仇敵だと見なす事になる。それで良いのなら、友達になってあげるわよ。」

 

 

「……ああ、分かった!僕は必ず、君の友達に相応しい男になってみせる!」

 

 

マルフォイはそう宣言した。エレナはそんなマルフォイに少しの哀れみと、大きな期待を胸に抱いた。

 

 

「そう……なら良いわ。これからよろしくね?ドラコ?」

 

 

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ、エレナ。」

 

 

2人はこうして友人となった。しかし彼等が真に友人となるにはもう少し時間が必要なようで、この日から2人の奇妙な関係が始まったのだった。

 

 

「……じゃあ、私もう寝るから。ええっと、私の寮はどこかしら。」

 

 

スリザリンの談話室の貼り紙を確認すると、寮の振り分けについて書かれており、エレナの部屋は入って一番奥だった。ルームメイトはトレイシー・デイビスという名で、確か純血の一族だったと記憶している。しかしそれ以外にこれといって情報が無い為、エレナはすぐに彼女に対する興味を失った。

 

 

「じゃあ、そろそろ行くわね。また明日会いましょう……あ、そうだわ。私自分の研究室が欲しいんだけど、どうにかならない?」

 

 

「……フォイ?」

 

 

こうして、ホグワーツに来初めての、エレナの我儘が始まったのだった。エレナの朝は早い。彼女は毎朝、6時に起床する。そして身支度を整えた後、朝食の時間まで研究を行う。7時になると大広間で朝食を取り、8時には研究室に籠って授業開始のギリギリまで自室で研究を行うっていた。これは毎朝の日課……いわばルーティンである。

 

 

「ちょっと!また貴女なの?!早く出て行ってちょうだい!」

 

 

「うるさいわよトレイシー・デイビス。私は今忙しいの。この研究は魔法界にとってとても重要な事なの。私の邪魔をしないでちょうだい。」

 

 

「そんな事知らないわよ!ここは私の部屋でもあるのよ?!……どうして、毎朝毎朝グロテスクなものを並べて、鍋にぶち込んでいるの!もう辞めて!この前のトロールの糞の匂いがまだちょっと染み付いているのに、どうしてくれるのよ!ミス・レイブンクロー!」

 

 

「鍋じゃなくて大釜よ。間違えないでちょうだい……それに、そんな事、私の知ったことではないわ。匂いなんてシャワーを浴びれば落ちるし、部屋の匂いが気になるなら、匂い消し薬でもスネイプ教授から貰ってきたら良いんじゃないかしら。」

 

 

トレイシー・デイビスはエレナの言葉に絶句した。呆れて声すら出ない。そんな漫画のような事があるのかと思うだろうが、エレナの発言にはそれだけのインパクトがあった。

 

 

エレナはドラコが研究室を用意してくれないからと、自室で錬金術の研究を始めてしまったのである。そして、ホグワーツの周辺に生息する魔法生物を捕まえては錬金術の材料にし、毎日様々な生物の臓物を部屋に持ち帰っているのだ。ホグワーツの授業日2日目の朝なんて特に酷かった。

 

 

『……ふう、お腹いっぱい。それにしてもホグワーツの料理ってまずいわね。もっと美味しい料理が食べたいわ。イタリア料理とかフランス料理とかロシア料理とか、他国の料理を沢山並べて欲しいわね。……時間はまだまだあるし、昨日の帰りに捕まえたトカゲを使って研究を始めましょう。』

 

 

エレナはそう言い、誰もいない寮の自室で錬金術用の大釜を氷に掛けた。錬金術を行う時は換気をしなければならないので、湖より高い位置にある窓を開けた。湖の下に寮があると聞いた時はどうしようかと思ったが、湖より高い位置に窓があって助かった。

 

 

『……今日作るのは、身代わり人形よ。さぁ、トカゲちゃん。解剖のお時間よ。』

 

 

エレナはニヤリと笑いながらトカゲに近づき、一瞬で絞めた。必死に逃げ回ろうとしていたトカゲは為す術なく殺られてしまったのである。そして死んだトカゲを解剖し、様々な臓器を取りだしていく。

 

 

身代わり人形とはその名の通り、自分がダメージを受けた時、受けたダメージを肩代わりしてくれる素晴らしい防具だ。この人形を作るのは意外にも簡単だが、使う素材や生成時間によって人形のグレードが上がっていく。今回エレナは、火傷や切り傷のダメージを身代わりしてくれる人形を作る。

 

 

『……まず、ブラックバスの目、酒、蜜蜂、トカゲの心臓、鴉の羽を入れてよく混ぜる。』

 

 

エレナはレシピを見ながら、指定通りに材料を入れ、様子を見ながら混ぜていく。そして次に藁人形を取り出し赤いリボンを結んでから大釜に放り投げた。そして最後に自分の腕を切り裂き、溢れ出た血液を小瓶に集め、それを回しかけるように3回に分けて大釜に入れる。

 

 

『……ええっと、最後にトカゲの血液を少量振り掛け、杖を振る。』

 

 

彼女が杖を取り、鍋に向かって振るおうとした瞬間、部屋の扉が勢いよく開けられた。

 

 

『えっと、次の授業は……って、何この匂い?!ちょっと、貴方何してるの!い、いやあああっ!』

 

 

トレイシーは解剖されたトカゲの死体を指さしながら、叫び声を上げた。

 

 

『何って……見ればわかるでしょ?錬金術をしているのよ。ミス・デイビス。今良いところだから静かにしてちょうだい。』

 

 

エレナはトレイシーにそう釘を刺し、勢いよく杖を振った。すると大釜から煙が立ち込め、下に書かれた連勤陣が7色に輝き出した。

 

 

『な、なんなのこれは!』

 

 

『ふふ、これは成功の予兆よ。もう少しで完成するわ。』

 

 

そして、煙の中から美しい人形が現れた。それは彼女がイメージした通りの姿形をしており、少しエレナに似ていた。完璧と言っても良い出来だった。エレナは満面の笑みを浮かべると人形を拾い上げた。

 

 

『やったわ!私ったらやっぱり天才ね!この人形さえあれば、私は無敵よ!アーハッハッハ!』

 

 

そんなエレナの様子を見てしまったトレイシーは絶句した。

 

 

しかし、錬金術は成功したかに思われたが、突然大釜はフツフツと沸騰し始め、そして数秒後、大爆発したのである。

 

 

『きゃあー!助けてー!』

 

 

そんなトレイシーの悲鳴と爆発音を聞いて、たまたま談話室に来ていたスネイプが寮へ飛んできた。そして彼女の部屋を見渡し、絶句した。なんと彼女が錬金術を行っていた大釜は黒焦げになっており、何かの肉の焼ける臭いが充満していたのだ。そしてその部屋の真ん中で大笑いをするエレナを見てスネイプは顔を顰め、頭を押えながら彼女に詰め寄った。

 

 

『……うっ、ひっくひっく……助けてください、先生。』

 

 

『アーハッハッハ!まさか爆発するなんて、一体どういう原理?でも、このハプニングの原因をつきとめてこそ、レイブンクロー家の人間ってものよ!やる気が湧いてきたわ。』

 

 

『ミス・デイビス、一体何が……ミス・レイブンクロー!これは一体なんの騒ぎかね!』

 

 

『あら先生、ごきげんよう。見ての通り錬金術の研究をしていましたのよ?』

 

 

スネイプはエレナの右腕がざっくり切れていて、そこから出血している事に気が付いた。そして部屋中は爆発によりところどころ焦げており、トレイシーは大泣きをしている。原因はエレナ・レイブンクローだと簡単に予測出来るが、まずはこの部屋を元通りしなければならない。

 

 

『……とりあえず、ミス・レイブンクロー、今すぐ医務室に行きたまえ。』

 

 

『あら先生、私はこの通り元気ですからお気になさらず。それよりこの爆発の原因をつきとめてみたいの!手伝ってくださる?』

 

 

エレナはそう言ってスネイプに笑顔を向けた。しかしスネイプはそんなエレナを見て顔を顰めた。そして彼女の腕を強引に掴み、部屋から連れ出したのである。

 

 

『ミス・デイビス、君は今混乱しているんだ。談話室で少し休みなさい。ミスター・マルフォイがご実家から届いたお菓子を生徒達に分けていた。君の気に入る物もあるだろう。』

 

 

スネイプはそう言い残すと、エレナを引き摺って医務室へと向かった。そして医務室に到着すると、そこには校医のマダム・ポンフリーがいた。

 

 

『こんにちは、マダム。この子を診て欲しいのですが。』

 

 

『……その子はスリザリン生のエレナ・レイブンクローですね?って、どうしたのですか!その腕は!』

 

 

スネイプはここまで連れてきた経緯を説明し、エレナが怪我をしている事を話した。

 

 

『とりあえず傷を綺麗にしますからこちらに来なさい!』

 

 

マダムは傷を確認しながらそう言い、杖を取り出した。しかしエレナはそんなマダムの様子を見て首を傾げる。そして次の瞬間、マダムは大きな声でスネイプを叱責した。

 

 

『全く、セブルス!貴方が着いていながら何故こんな事が起きたんですか!』

 

 

 

『は?……治ったら報告に来るように。そしてミス・レイブンクロー!これ以上問題を起こすな!お前の部屋は元通りにしておくが、次やったら退学だと思え。』

 

 

スネイプはそんなマダムの発言に目を見開いた。しかし、マダムの視線や言動に居心地の悪さを感じたのか、エレナに三言小言を言ってから医務室を去って行った。その後医務室で治療を受けたエレナが寮へ戻ると、マルフォイに呼び出され、お叱りを受けるのだが、エレナはマルフォイに向かってこう言った。

 

 

『……エレナ!何をしているんだ!デイビスが泣いていたんだぞ!これ以上、彼女やスリザリンに迷惑を掛けるな!』

 

 

『……それは無理なお願いよ。何故なら、私には研究を続ける義務があるわ。そんなにお困りなら、早く私専用の研究室を用意してちょうだい!そしたら、もう二度と自室では研究を行わないわ。』

 

 

『フォ、フォイ……?』

 

 

マルフォイはエレナの言っている意味が分からないのか、それとも呆れを通り越して虚無にでもなったのか、フォイフォイと呟きながら固まっていた。そしてそれからもエレナは研究を続け、退学させるようスネイプがダンブルドアに進言したが、彼の言葉は聞き入れられず、エレナは自由に好きなだけ研究を続け、部屋を爆破させていたのだった。そして今に至るわけだが────

 

 

「もう辞めて!レイブンクロー!お願いだからこれ以上この部屋で錬金術をしないで!」

 

 

「問答無用よ!えい!」

 

 

エレナが材料を入れ、大釜をかき混ぜ、杖を振ると今回は失敗したのか、大釜の中の液体が部屋中に飛び散り、火災が発生した。

 

 

「きゃー!火事よ!火事!」

 

 

トレイシーが大騒ぎで部屋を飛び出し、談話室に行くと数人の生徒がやってきて大声を上げならエレナを叱責した。

 

 

 

「ミス・レイブンクロー!一体何をしているのですか!」

 

 

「今すぐその作業を中止しなさい!ミス・レイブンクロー!」

 

 

「待って!どうして火災が発生したのか調べないと!こんな事、このレシピを試していて始めてなの!ああ、気になる、気になるわ!」

 

 

エレナは嬉嬉として炎に近づこうとするが、生徒達は必死にエレナを押さえ付け叫んだ。

 

 

「早く!スネイプ教授を呼んで!早く!」

 

 

そして数分後、息を切らしながら汗をびっしょりとかいた状態のスネイプがエレナの自室にやって来た。

 

 

「馬鹿者ー!何をしているのだ!貴様ー!」

 

 

「……もう!邪魔しないでよ!」

 

 

そう言い、エレナは渋々といった様子でアグアメンティと言い、杖から水を放射して炎を鎮圧した。スネイプはエレナの魔法レベルの高さに驚きながらも、問題行動に限界を感じ、かつての悪戯仕掛け人と呼ばれた忌々しい4人の同級生の顔を思い出しながら怒りに震えたのだった。

 

 

場所は変わって、アンブリッジ邸にて。夜も更けた頃、一通の手紙が届けられた。

 

 

『ごきげんよう、マダム・アンブリッジ。

マダムが後見人として面倒を見ているミス・レイブンクローが、寮の自室を幾度となく爆破させ、自室は毎日炎の海と化しておりまして、吾輩としてはこれ以上彼女の受け入れを許容出来かねます。

そして、彼女は先日全ての教科書を錬金術の余波によって燃やしてしまい、新たな教科書を用意していただく必要があります。

スリザリンの偉大なる卒業生であられるマダム、今一度ミス・レイブンクローに落ち着きを持って生活するようお話していただきたい。

お忙しい中恐縮ではありますが、何卒宜しくお願い致します。』

 

 

差し出し人はホグワーツの寮監を務めている、魔法薬学の権威として名高いセブルス・スネイプだった。ドローレスはこの手紙を見た瞬間、顔を赤くして大声を上げた。

 

 

「は?……エレナアアッ!一体貴方は、何をやらかしているんですか?!」

 

 

アンブリッジの怒号は屋敷全体に響き渡り、屋根の上に止まっていた鴉はその声に驚いてバサバサと飛び去っていった。





■名前:エレナ・ヴァイオレット・レイブンクロー

■家族構成
父:ケビン・エイデン・レイブンクロー(旧姓はスミス)
母:ソフィア・メリー・レイブンクロー
兄:ノワール・ルーク・レイブンクロー

後見人:ドローレス・アンブリッジ

■杖
木材:イチイの木
芯材:大鷲の羽
長さ:35センチ
特徴:かなりしなる

■好きな物
勉強と錬金術と古代魔法

■嫌いな物
アンブリッジが昔使っていたフランスから取り寄せた香水

■仲の良い友人
ハンナ・アボット

■最近のブーム
錬金術の研究

■特記
ロウェナ・レイブンクローの子孫
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