黒蝕は天を廻る夢を見る   作:紙吹雪

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二話目投稿するのにほぼ一年かかる激遅し投稿者が居るらしいっすよ
それなりの期間モンハンワイルズばっかやってました(告解)
こ、これは最新のゴアを観察して資料にする為だったんじゃ!
歴戦ゴアの火力だけなんかおかしいと思う
ワイルズのSteam評価が散々な事になってますが、私はまあモンハンだしその内立て直すやろ……くらいの気持ちでいます。

それはそれとしてアトラル・カ復活して欲しいなぁ……




模擬戦闘

 

 連れて来られた先も研究施設みたいな物でした。

 周辺の環境はあまり変わっていないね、うん。

 そもそも、何故連れて来られたのかさえ理解出来ていませんけど。

 

 これ、来た意味ある?

 うーん……まあ、きっとあるよね。

 見つからなかったとしても、見落としているだけかもしれないし。

 

 私はある人に話を聞かせて欲しいと、研究員らしき老人に頼まれました。

 ここにはこの老人くらいしか研究員らしい人がいないのですが、これは突っ込んではいけない事でしょうか。

 うん、変な事は言わない方がいいよね?

 

「話をして欲しい相手ってどなたですか?」

「儂の友人じゃよ。名をAFO(オール・フォー・ワン)と言う」

「……知らない人ですね」

 

 絶対本名じゃないですよねそれ?

 ヴィラン名って事なのかな。

 ……それも今更かな。

 

 連れて来られた先が悪い人達の巣窟なのは、世間知らずな私にも分かりました。

 でも、私はこれでもいいと思いました。

 私が自分の意思で生きたいと望むなら……行き着く場所なんて、暗いところしかないだろうから。

 

 普段なら、初めて話す相手と会う前は少しだけ心が浮かれてしまいます。

 未知との出会い……私はその新鮮な感覚が気に入っています。

 だけど、何故でしょうか。

 

 今はそんな気持ちには全然なれない。

 

「と言っても直接会う訳じゃなく、リモートじゃな」

「そうなんですか」

 

 これが今時ってヤツでしょうか。

 最近の流行りなんて殆ど知りませんが、遠距離通話って何だか素敵じゃないですか?

 何となく、ですけど。

 

「ほら、繋ぐぞ」

 

 え、そんないきなり……

 

「やぁ、君が胡天黒味かい?」

「は、はい。そうです」

 

 うう、妙に緊張しちゃうな。

 まるで狩人に狙われているみたいな緊迫感が……

 無意識に私は鱗を掻き毟りそうになりました。

 

「まあ、君の事は見えないんだけどね」

「え、そうなんですか?」

「ああ。前にちょっと大怪我しちゃってね」

 

 そんな事が……

 

「私も目が見えないので、お揃いですね」

「ふふっ、そうだね。幾つか聞きたい事があるから質問させて貰うよ」

「ど、どうぞ」

「まず、君の親について何処まで覚えているかい?」

 

 私の親……と言うと。

 

「私が物心付いた頃には、もう居なくなったと聞きました。生きているのか、死んでいるのかすら分かりません」

「ああ、その認識なのか。面倒臭いな」

 

 ……?

 この人は何か、私の知らない事を知っている気がします。

 

「それについては分かった。次の質問だ。君は、君自身の個性について何処まで把握しているのかい?」

「ええとですね」

 

 私は、私が知っている限りの事を話しました。

 何と言うか……素直話した方が良い気がしたんです。

 本能的に、と言いますか。

 下手な事言ったらとてつもなく悪い事が起きる気がしました。

 

「……ふむ、なるほどね」

「何が成程なんじゃ」

「まだ彼女……いや彼かな? ともかく、君の個性はまだ成長途中だって事だよ」

 

 せ、せいちょうとちゅう?

 

「そう言えばそうじゃな。()()()じゃないしな」

「どう言う事ですか?」

「そのままの意味さ。君にはまだ成長できる余地がある。それこそ、まだ赤子レベルにだ」

 

 ???

 私、成長したいなんて言った覚えは無いのですが。

 でもまあ、代謝は普通の人間よりも大きいと言われました。

 たまに生え変わるように鱗が取れたりもします。

 

「最後の質問だ。君は、人を殺す事に躊躇いはあるかい?」

「えっ……そんな、唐突に聞かれても」

 

 人間を殺すのは、悪い事。

 私はそれを()()()()()()()で、()()していなければ()()もしていない。

 本当に別の生き物を殺したようにしか感じなくて。

 

 ずっと、閉鎖された場所に居たからなのかな。

 

「……分かりません。だけど、自分の所為で死んだ相手への罪悪感はありませんでした」

「それは当然だろうね。だって、君の個性は……おっと、いけないいけない」

 

 ???

 この人は、私の【個性】について何か知ってるんでしょうか?

 さっきから妙に気にかかる話し方なんですが……

 

「それじゃ、質問は以上だ。もう行っていいよ」

「あ、はい。分かりました」

 

 私はその言葉を聞いてすぐに部屋から離れました。

 あの声、深く考えれば考える程怖いです。

 深淵の底からこっちを引き摺り込もうとしているような……

 

 本当は色々と尋ねたかったんですが、それも辞めておきました。

 また機会があったら聞いてみたいけど……

 何となく、簡単には教えてくれなさそうな気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あの子の個性は要らないのか?」

「個性を奪ってもウイルスの免疫を完全に得られる訳じゃないからね」

「そう言えばそうだったのう」

 

 

 そんな微かな話し声が聞こえましたが、努めて聞こえないフリをしました。

 反応したら、色々と危ない予感がしたので……

 でも、記憶に留めておいた方が良いとも思いました。

 一体何だったんだろう?

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 怖そうな人に呼び出された翌日。

 教えてくれた場所に行くと、広い空間に出ました。

 一応、施設内なら自由に出歩いて良いとお達しでしたが、今回は呼び出されてここに来ました。

 何をするのかは聞かされてませんが、どんな事をさせられるんだか……

 

 ここに来てからは血液採取とか身体検査ばっかりやらされています。

 正直、この前まで居た場所とそう変わらないですね。

 寝て起きたら明日が来てる、そんな感じ。

 

 プロヒーローに守られた研究所と影に潜むヴィランの研究所。

 両方を経験してもあまり変化を感じられないのは、自分でもどうかと思います。

 案外、世界は大して広くないのかもしれません。

 

 と、私以外の人の気配が。

 数は3人。

 知ってる気配が1人分で、2人は知らない人です。

 

「たしか……トガヒミコさん、でしたっけ」

「おー、目が見えないのに分かるんですねぇ」

「知ってるぞこのガキ! 誰だ!?」

「へぇ……かなり若いな。15歳くらいか?」

 

 知らない2人はどちらも男性のようです。

 片方は若いですが、もう片方は結構歳上ですね。

 ……若い方は言動が支離滅裂なんですけど、気にしたらいけないのかな?

 

 あと、私はこれでも17歳です。

 見た目は15歳相当ですけども。

 

「それで、これからどうするんですか?」

「うーん、知らないままでいいんじゃないですかぁ?」

 

 いや、良くないよ。

 この三人に会う為だけにここに行かされたのならもう帰りたいのですが。

 

 

 

「それじゃあ……えいっ」

 

「っ!?」

 

 

 

 咄嗟にその場を飛び退きます。

 私が立っていた場所に風切り音がしました。

 棒立ちしていたままだったら、確実に首の位置を斬られてた……!

 

「わー、意外と速いんですねぇ?」

 

 そして、その刃物を振るったのはトガヒミコさん。

 よく感じてみれば、手に持っている1本だけでなくまだ他にも何かを隠し持っている様子……

 こ、この人こんなに怖い人だったの!?

 

 詳しい見た目は分からないけど、体型は多分女の子だよね?

 刃物を隠し持ってるなんて……

 でも、ヴィランならおかしい事でもないのかな。

 

「な、何故こんな事を……」

「黒味と模擬戦闘してみろって命令が出たからな」

「そう言えばそうだったな! 違うぞ!」

 

 も、模擬戦闘?

 何故そんな事を……

 

「ああ、それと一つ。俺達はウイルスのワクチン接種をしてるから、ウイルスを吸ってもまあ死にはしないから安心しろよ」

「……そう、なんですか」

 

 前にいた施設ではそんな物作れなかったのに……

 さっきのあの人、実は結構凄いのかな?

 研究にしか興味が無さそうなしわがれてる老人って印象だったけど。

 

 でも、それって。

 

「それは、思う存分撒き散らしても良いって事?」

「そうだぞ! やめろ!」

「えっと、どっちですか?」

 

 ワカラナイ……なんなのこの人……

 

「構わないって言ってるじゃん。遠慮なんてしないでいいんだって」

「いい、のかな……」

「そうだって。我慢してる方が良くないです!」

 

 ……今までの人生はずっと我慢していたから。

 それが当たり前だと思っていました。

 私の身体から撒き散らされる鱗粉は有害だから。

 抑えなければ……他人が被害を受けてしまうから。

 

 思えば、私は何かと理由を付けて我慢ばかりでしたね。

 

「えと、トガヒミコさんでしたっけ。その、改めて自己紹介しても良いでしょうか?」

「今更か?」

「何でここで……」

 

 三人とも、多分不思議そうにしているんだと思います。

 困惑した顔をしているんだろうなぁ……

 私はそれを見る事はできないけれど。

 

「我慢は良くないって言ったじゃないですか、トガミヒコさん」

「ん、そうだったねぇ。あ、それとトガでいいです」

「じゃあ、トガちゃん。それとコン……コンなんとかさんとトゥワイスさん」

「ちょ、俺だけ呼び方適当過ぎないか!?」

 

 私は三人の方へとなるべく綺麗にお辞儀しました。

 礼儀は大切だって言っていましたから。

 ……名前は後でちゃんと覚えましょう。

 

「私は胡天黒味。誰からも忌み嫌われると思い込んでいた、世界を知らないちっぽけな一匹……ですから、どうか世界を私に教えてくださいませんか?」

 

 

 そう言って、思い切り力を込めて羽ばたかせました。

 

「(……ああ、飛べました)」

 

 飛ぼうとしたのだから当たり前ですが、飛べました。

 地下なのであまり高くは飛べませんけど。

 以前に飛翔したのは、幼い頃に一度きりでした。

 

 翼を飛ぶ為に動かすとどうしてもウイルスを撒き散らしてしまうから。

 なので、一度飛んだ後は翼を広げるのを強く禁止されていました。

 だけど……今は私を止める人は居ません。

 

 思い切り身体を動かせるって……こんなにも楽しかったんだ。

 初めて知ったよ。

 

「うおっ、この鱗粉がウイルスか! 違うだろ!」

「一応ワクチンを受けてるとは言え、あまり吸いたくないなぁ。よっと!」

 

 ……?

 ウイルスが、消えてしまいました。

 

 いえ、これは消えているのではなく何かに収納された?

 男性の手の先にあったウイルスが消えましたので、おそらくその人の【個性】……ですよね。

 どのような物かは分かりませんが、厄介そうな予感がします。

 

「それじゃあ……ショーの始まりだ」

 

 私……戦いなんて生まれて一度もした事ないんだけど。

 それでも本能で理解してしまう。

 この【個性】が思うがままに私は身体を動かしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふえ?」

 

 ふと、気が付いたらベッドの上でした。

 おかしいな……ついさっきまで模擬戦闘をやっていた筈なんだけど。

 それと身体のあちこちが凄く痛いんですが……

 

 何があったんでしょう?

 戦っていた間の記憶が凄く曖昧です。

 うーん……どう頑張っても薄らとしか思い出せません。

 

 翼脚を広げて相手を鷲掴みにしたり、口から何か吐いたような……流石に気の所為かな?

 戦闘に夢中過ぎて幻覚を見たんだと思います、きっと。

 それから、なんか頭から何か生えた気がします。

 うーん……多分これも気の所為ですよね?

 

「お、目覚めたか」

 

 ぼーっとしているとあの老人が部屋に入ってきました。

 妙に痛む身体に鞭を打ってどうにか起き上がります。

 なんでこんなに身体が痛いんだろう……あの三人にボコボコにされたのかな?

 曖昧な記憶の中では優勢だったと思うんだけど、私の妄想の可能性もあるよね。

 

「えっと、はい。ついさっき起きました。模擬戦闘の結果ってどうなんですか?」

「期待通りじゃったな。思惑の外にはみ出ていないとも言うが」

 

 何となくこの人は喜んでいる気がする。

 ならまあ、いいのかな。

 何だかなぁ……

 

「むむ、この気配は……トガちゃん?」

 

 見知った気配が私の感知できる範囲に入って来ました。

 あれ、なんか私よりも数段ボロボロじゃない?

 結構な血の臭いもするし……

 

「と、トガちゃんですよね? 大丈夫ですか?」

「えぇ……それをクロちゃんが言うの?」

「えっ」

「えっ」

 

 く、クロちゃん……!?

 何その呼び方、可愛い!

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

「うーむ……」

「かの者の戦闘結果が出たのかい?」

「そうだとも。しかし、これは酷いな。戦闘経験が皆無なのは分かっていたが、まさか途中で理性を失うとは思わなんだ」

「僕も()()についてしか知らなかったが……なるほど、幼体だとこんな風になるのか」

「だが、戦闘能力は凄まじい。まあ幼体にしては、じゃがのう」

「一番優れているのは、これを量産できるかもしれない事だろうな。本当に惜しい事をしたな」

「……今度は成体を研究できるようにしてくれよ?」

「反抗的にならなければ、だね。完全に成長して暴れられたら本気で殺さなくてはならない程度には厄介なのが困ってしまうね」

「その点は今のところ順調じゃな」

「そうだとも」

 

 






暑い
現実に焦凍君欲しい
五人くらい

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