Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX- 作:LN58
バララララ・・・
北条先生「やあ、みんな!」
ロボット職員「お待ちしておりました、先生」
錠前 サオリ「待っていたぞ、先生」
秤 アツコ「みんな、先生がなかなか来ないから待ちくたびれていたよ」
北条先生「はじめまして、僕が【連邦捜査部
小鳥遊 ホシノ「やあやあ、私が【アビドス生徒会】副会長:小鳥遊ホシノだよ。よろしく~。それとアイスクリームケーキ、美味しかったよ~。ありがとね~」
戦場カメラマン「――――――」パシャパシャ
十六夜 ノノミ「あれが本物の“シャーレの先生”なんですね!」
黒見 セリカ「もう本当に何でもできる凄い人なんだから! 一番驚いたのが動画配信者として実績の凄さよ! 何、あの、【ゲヘナ学園】で毎週収録しているって話の公開授業のコンテンツ数に動画再生数! いったいどれくらいの動画収益になっているのかしら!」
奥空 アヤネ「キヴォトス史上最大の軍事組織【キヴォトス防衛軍】を一から築き上げたということで失踪した“連邦生徒会長”の実質的な後継者と目されているキヴォトスの頂点に立つ“GUYSの先生”……」
砂狼 シロコ「ん、あんまり強そうに見えない」
砂狼 シロコ「あ、他にもたくさんの輸送機が飛んで来たよ」
奥空 アヤネ「はい。事前の通達にあった通りです」
バララララ・・・
羽沼 マコト「さてさて、来てやったぞ、このマコト様がな!」キキキッ
黒舘 ハルナ「さあ、着きましたよ、みなさん! 本日は待ちに待った【アビドス】のグルメツアーといたしましょう!」
鬼怒川 カスミ「この日を待ち侘びていたぞ、先生! さあ、これから好きなだけ温泉開発するぞ!」
陸八魔 アル「……これは錚々たる面々ね(どうして私たちがこんなところに一緒にいないといけないのよ~!?)」
空崎 ヒナ「まさか、こうやって【美食研究会】【温泉開発部】【便利屋68】といった【ゲヘナ】でも指折りの犯罪集団と【“雷帝”の遺産】の捜索に来ることになるなんてね」
羽沼 マコト「ほう、貴様が【アビドス生徒会】の唯一の生き残りか。まだくたばっていなかったか。金の亡者共に掠め取られんうちにさっさと公認の生徒会活動に認めてもらえるよう、精々【連邦生徒会】に尻尾を振ることだな」
小鳥遊 ホシノ「そっちこそ、この広大なアビドス砂漠のド真ん中で遭難して干からびるだなんてことがないようにね~」
羽沼 マコト「ではな。今回は【キヴォトス防衛軍】としても参加しているということで、砂漠に埋まっていた校舎は我々も好きに使わせてもらう」キキキッ
小鳥遊 ホシノ「砂に埋れた校舎の復旧に協力してくれて、ありがとね~」
戦場カメラマン「――――――」パシャパシャ
空崎 ヒナ「あなたが小鳥遊 ホシノね」
小鳥遊 ホシノ「おや、おじさんのことを知っているの? いや~、おじさんも意外と有名人だったりして~?」
空崎 ヒナ「今日まで【アビドス生徒会】の最後の一人として学園を守り抜いてきた実力は本物だったみたいね」
空崎 ヒナ「今回、【アビドス高等学校】を正式に【ゲヘナ学園】が支援することになったのは、2年前に【アビドス】に隠されたとされる【“雷帝”の遺産】を回収するためなのは、すでに説明済みね」
空崎 ヒナ「その橋渡しをしてくれたのが【連邦捜査部
小鳥遊 ホシノ「うんうん。そんなのは人として当然だから、別にいいかな~」
空崎 ヒナ「まあ、そのために【ゲヘナ】でも指折りの犯罪集団の手を借りることになったから、支援金はその迷惑料ということになるわ」
小鳥遊 ホシノ「ああ、大丈夫だから。もう行き着けのラーメン屋を爆破されて迷惑をかけられたばかりだしね」
黒舘 ハルナ「今、何と言いましたか、小鳥遊 ホシノさん!?」
小鳥遊 ホシノ「う、うへ~?」
空崎 ヒナ「……黒舘 ハルナ」
黒舘 ハルナ「もしや、そのラーメン屋というのは『柴関ラーメン』だったりしませんか?」
小鳥遊 ホシノ「う、うん。それで今は屋台ラーメンになっちゃって大変なんだ」
黒舘 ハルナ「ゆ、許せませんわ! なんということ! 私たちが行く予定だったラーメン屋を爆破するなど、これは食に対する最大限の冒涜ですわ!」
黒舘 ハルナ「必ずや仇を取りますわよ、みなさん!」
陸八魔 アル「おやおや、騒々しいことね(な、なんですってえええええええええええ!? 私たち、これから【美食研究会】に報復されちゃうのおおおおお!? このままだと私たちの事務所が危ない!)」
空崎 ヒナ「……黒舘 ハルナ、【美食研究会】がそれを言うの?」
小鳥遊 ホシノ「おもしろい人がいっぱいだね~、【ゲヘナ】って」
空崎 ヒナ「……そうね。息を吐く暇さえないぐらいにまったく退屈させない人たちよ」ハア・・・
小鳥遊 ホシノ「おじさんはお昼寝の邪魔にならなければ、なんだっていいけどね~」
小鳥遊 ホシノ「それじゃあ、よろしくね、【ゲヘナ】の風紀委員長ちゃん」
空崎 ヒナ「ええ。こちらこそ、小鳥遊 ホシノ」
現在、【アビドス高等学校】または【アビドス対策委員会】の許に【ゲヘナ学園】の生徒たちが大挙して押し寄せていた。そこには【万魔殿】議長:羽沼 マコトと【風紀委員会】委員長:空崎 ヒナも現場に足を運んでおり、キヴォトス中がただならぬものを感じ取っていた。
しかも、同じく現地入りが確認されているのが【美食研究会】【温泉開発部】【便利屋68】といった、これまた【ゲヘナ】でも有名な実力者揃いの犯罪集団であり、彼女たちが一堂に会することの異常性が事態の深刻さを物語っていた。
ちなみに、【美食研究会】は“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラを乗せた【シャーレ】の輸送ヘリに同乗してきており、その動機も『極上の料理人:北条 アキラについていけば美食にありつけるから』であり、新旧のグルメ雑誌を引っ提げて【アビドス】でグルメツアーを敢行しようとしていた。
また、【温泉開発部】はすでにご自慢のドリルライナー号と共に四次元都市:フォーサイト経由で現地入りを果たしており、【アビドス高等学校】を襲撃してきた【便利屋68】と傭兵たちを線路がなくても動き回れるドリルライナー号で容赦なくミンチにしようとしたことで降伏させる武功を上げていた。
そのため、黒見 セリカの誘拐を指示した【アビドス対策委員会】の敵対勢力に雇われていた【便利屋68】は情報封鎖されていた【アビドス】に出稼ぎに来てからはとことん貧乏クジを引いており、
【アビドス対策委員会】の会議室以外の全てを【キヴォトス防衛軍】に貸し出していた奇策など知る由もなかったので、勇んで攻め込んだら【キヴォトス防衛軍】が誇るドリルライナー号に地の果てまで追い回され、
散々な目に遭った後に何度も温情をかけてくれた『柴関ラーメン』を伝言ミスで部下が爆破してしまうなど、踏んだり蹴ったりな目に遭い続けているのだった。
なんだか『前回』よりも短期間の内に酷い目に遭って憔悴しきっているところを見かねたロボット職員:マウンテンガリバーは戦場カメラマン:姫矢 ジュンを通じて【アビドス】のハザードマップ作成の手伝いをさせて日銭と食糧を渡すように手を回していたのだった。
そして、今回のアビドス遠征に【万魔殿】【風紀委員会】が本腰を入れて参加することを受けて、【便利屋68】の名もついでに売れるように一緒の場に呼び寄せた結果が、今の状況となっている。
と言っても、そう何日も【ゲヘナ学園】を離れるわけにもいかないので、【万魔殿】議長:羽沼 マコトや【風紀委員会】委員長:空崎 ヒナが現場にいるのは数日限りであり、それは“シャーレの先生”でもあり“GUYSの先生”でもある地球人:北条 アキラについても同様だった。
つまり、これらは【“雷帝”の遺産】を求めて通信障害を引き起こすなどして【アビドス高等学校】を破滅に導こうと暗躍していた裏組織に対する牽制であり、【キヴォトス防衛軍】【ゲヘナ学園】【アビドス高等学校】の強固な繋がりを内外に強烈に
ただ、そうすると【ゲヘナ学園】に負けてられないと無駄に張り合うのがライバル校【トリニティ総合学園】であったため、【ゲヘナ学園】と入れ替わりに公式に【アビドス高等学校】を訪れて支援することが予定されていた。
そのため、地球人:北条 アキラはこの時にもう一度【アビドス】を訪れて、今度は【キヴォトス防衛軍】【トリニティ総合学園】【アビドス高等学校】の強固な繋がりを内外に強烈に
これにより、【ミレニアムサイエンススクール】が台頭する以前の【旧キヴォトス
それを実現に導いたのが他ならぬ地球人:北条 アキラということで、その影響力の大きさを【アビドス対策委員会】の生徒たちは実感することになったのだ。
まさしく“連邦生徒会長”の後継者と言わんばかりに【キヴォトス
すでに【ティーパーティー】の凄腕エージェント:阿慈谷 ヒフミの協力を得て、ブラックマーケットに存在する闇銀行を通じて【アビドス対策委員会】が現金で借金返済をしていた【カイザーローン】がヘルメット団に資金を流して【アビドス】を襲撃させていたマッチポンプの証拠を掴んでおり、
その手段として【アビドス対策委員会】の面々が銀行強盗を実行することになったのだが、ドリルライナー号で襲撃者を追い払って巧みな弁舌で信用を得ていた【温泉開発部】鬼怒川 カスミという裏稼業のプロの頭脳も組み合わさり、
本来は犯罪行為を止めるべき立場のロボット職員:マウンテンガリバーも、そもそもブラックマーケットという非合法地帯にある闇銀行という叩けばいくらでも埃が出る場所への立入捜査をする名目で【RABBIT小隊】による現場の監視を取らせるという完璧な布陣で敢行されていた。
つまり、【アビドス対策委員会】の面々と【ティーパーティー】の凄腕エージェント:阿慈谷 ヒフミが扮するテロリストグループ【覆面水着団】は【カイザーローン】の犯罪を追及する捜査協力者にすることで、【連邦捜査部
ここまでする必要があったのは、この通り【アビドス高等学校】を存続させるためには単純に【カイザーローン】から債権を取り上げるだけでは解決しないことを『前回』のことでロボット職員:マウンテンガリバーが知り尽くしているためであり、その背後にいる【カイザーコーポレーション】の思惑を叩き潰すための算段を【温泉開発部】鬼怒川 カスミと共に企てていたのだ。
そこで今回のアビドス遠征について良きに計らうように言われたロボット職員:マウンテンガリバーが立案した悪巧みというのが、【“雷帝”の遺産】を捜索する名目でキヴォトス屈指の犯罪発生率を誇る【ゲヘナ学園】の重鎮たちをアビドス遠征に参加させることであり、【万魔殿】の登場は完全に予想外の制御不能の天災と言っていいほどの衝撃を内外に与えることになったのである。
その理由もただ単なる【万魔殿】羽沼 マコトの気紛れなどではなく、【キヴォトス防衛軍】の主力であるライナー部隊の軍用列車に積載されている列車砲が【万魔殿】からの提供であったことから、その有用性を十分に示せたということで【“雷帝”の遺産】を回収する流れになったという話には何の不整合も見当たらない。
そのため、出るわ出るわ、【“雷帝”の遺産】を【万魔殿】が回収する話が出回ってから【アビドス対策委員会】や【連邦捜査部
ちなみに、“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラがこれまで築き上げた数々の武勇伝がキヴォトスにおいても現実離れしたものであったため、
それを失踪した“連邦生徒会長”の後継者であることを愚民共に信じ込ませるためにでっちあげたプロパガンダだと鼻で笑い、地球人:北条 アキラをただの青二才だと侮って高圧的に接してくる輩は決まって【“雷帝”の遺産】を怪獣対策のために買い取ることを開口一番に言われることにまず驚かされ、金塊のインゴットを大量に載せた台車が次々と部屋に運び込まれることで更に驚くことになる。
そう、怪獣対策のために【“雷帝”の遺産】を平和利用する大義名分があり、その取引は【キヴォトス防衛軍】との正式なものになるため、目の前にある金塊の山を前にして誰も口を開くことができなくなった。ここで抜け駆けして金塊に手を付けたくもなるが、そうした時の裏切りへの制裁を恐れて誰も動けなくなるのだ。
ちなみに、大量の金塊の出処については誰も訊ねる勇気がなかったのだが、これは光のピラミッドの管理人である神代キヴォトス人:サーベラスが運営している地下資源の栽培場で3000万年分も溜まっていたものを放出したものであり、決して彼らが想像しているような疚しいものではないのだ。
そして、とどめの一言で決まって無礼な来訪者たちは何も言えなくなって丁重にお帰りとなるのであった――――――。
――――――キヴォトス中の学園から人材や資金を掻き集めたキヴォトス史上最大の軍事組織【キヴォトス防衛軍】に買えないものがあるとでも?
そこから更に畳み掛けるように北条 アキラは手を打ったのである。
世間に対してアビドス砂漠で起きた怪獣災害による惨劇を公表し、怪獣災害対策を学園側が何も実施していなかった場合の最悪のケースとして紹介され、今まで以上に自治区内での避難シェルターの整備と安否確認サービスへの登録を徹底することを呼びかけたのである。これが怪獣災害対策の基本中の基本だからである。
また、【アビドス】全域で通信障害を発生させている強力な電磁波が原因で惨劇を生み出した変形闇怪獣:ガゾートが電離層で誕生したことも暴露し、この通信障害の発生源を取り除かない限り、キヴォトスは半永久的に変形闇怪獣:ガゾートの脅威に襲われ続けることを誇張抜きで告げたのである。最初に複数体が確認された時点でそれは非常に信憑性が高かった。
そのため、同じキヴォトスの同胞を救うため、あるいは愛する家族や故郷を守るため、未調査領域100%となっているアビドス自治区のハザードマップ完成のために力を貸して欲しいと、地球人:北条 アキラは世間に対して力強く訴えたのである。財源となる金塊も脇に添えて。
現在、アビドス自治区には様々な理由で数多くの生徒たちが駆けつけてきており、そうした需要に応えて新たな鉄道網や宿場町を構築することが決定され、それは西部開拓時代のゴールドラッシュを思わせるものがあり、今まさにアビドス砂漠が熱い!
そう、地球人:北条 アキラの呼びかけに応えて これだけの人数が動いて 経済が回ることが証明されたのである。
その結果、これだけの商機である;【アビドス高等学校】を滅亡させようとしていた裏組織の内部で足並みが揃わなくなり、同時に【アビドス対策委員会】への襲撃もこれで大きく防がれることになったのである。
そして、かつてキヴォトス最大の勢力を誇ったのは今は昔、収まることのない砂漠化によって荒廃した大地で違法行為に手を染めることでしか生きられない大勢の子供たちに手を差し伸べることになったのである。
現地入りを果たした地球人:北条 アキラは未調査領域100%のハザードマップ完成のために駆けつけてくれた生徒たち一人一人の許を訪れて声をかけて回ったのである。実際にできるかどうかではなく、本当にやろうとしていることが、現地でハザードマップ完成のために汗を流していた子供たちに一番に驚かれたことなのである。
この人がお偉いさんなのは誰もが知っていることなのだが、まさか底辺の人間である自分たちにも別け隔てなく接してくるだなんて夢にも思わず、そんな人から握手を求められても恐れ多くて固まってしまった子たちへの親愛の表現として、ここからある作法がキヴォトスで広まり出すのである。
――――――それこそが“クロスタッチ”だった。
北条 アキラが生きてきた地球で広まった恐るべき感染症の感染拡大防止のために人同士の接触が大きく制限されていた頃、ヒーローショーでの握手会の廃止によって子供たちとの繋がりを表現できなくなったことから新たに考案された絆を結ぶ印であり、
アビドス砂漠で汗ばんだ手を握られることへの恥じらいを覚えた年頃の子供たちの心情や手袋を外す手間を汲んだものとして、あるいは握手よりも手早く簡潔に気軽に行える挨拶として、“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”でもある地球人:北条 アキラが始めたこととして世間の大きな注目を集めることになったのである。
実際、銃を手にした状態でもできるという利点が銃を手放せないキヴォトス人の生活事情に合致しており、普通の握手会をするよりも格段に早く一人一人に触れることができることから、北条先生と子供たちの交流は促進していくのであった。
そして、発展形である3人同時のトリプルクロスタッチ、多人数用のサークルクロスタッチの練習をしていた時である――――――。
北条先生「――――――?」
ロボット職員「今のは……?」
戦場カメラマン「………………?」
錠前 サオリ「どうしたんだ、先生たち?」
秤 アツコ「ほらほら! 『右』、『左』で叩いたら、みんなで手を『重ねて』! 最後に『オー』!」
戒野 ミサキ「これ、練習する意味あるの?」
槌永 ヒヨリ「でも、これはこれで楽しいですねぇ」エヘヘ・・・
戒野 ミサキ「……まあ、そうだね。また【アリウススクワッド】で集まることができたのは、本当にね」
戒野 ミサキ「――――――【ゲヘナ】でまた会えたと思ったら、今度は【アビドス】だなんてね」
錠前 サオリ「ああ、本当だな」
錠前 サオリ「ミサキ、【救急医学部】の手伝いをしているはずじゃなかったのか?」
戒野 ミサキ「いや、ちゃんと【救急医学部】も来ているよ。当たり前じゃん。【万魔殿】や【風紀委員会】のトップが現地入りしているんだから、信頼できる医療班も連れて行くよ」
槌永 ヒヨリ「私もハルナさんに『【アビドス】でグルメツアーをしよう』ってことで先生が乗る輸送機で来ちゃいました……」
錠前 サオリ「ああ。私もヒヨリが先生と一緒の輸送機で来たことには驚いた」
槌永 ヒヨリ「ホント、いいですねぇ。ふかふかの布団にパジャマも用意してもらって、温泉合宿とはちがった開放感がありますね、ここは」
秤 アツコ「うん。キヴォトスにはいろんなところがあるね」
戒野 ミサキ「ホント、埃っぽいところはダメだから、ここまで空気洗浄してくれているところはありがたいよ」
小鳥遊 ホシノ「ああ、この部屋にいたんだ。やっと見つけた……」フラァ・・・
小鳥遊 ホシノ「うへ~。なんで【美食研究会】のところにいないのかな。しかも、【アリウススクワッド】の2人と一緒……?」
錠前 サオリ「……ホシノか?」
秤 アツコ「どうしたの?」
小鳥遊 ホシノ「――――――」ジー
槌永 ヒヨリ「……えと、私、ですか?」
戒野 ミサキ「ヒヨリがどうかしたの?」
錠前 サオリ「そう言えば、ヒヨリの姿を見た時のホシノの様子が変だったな……」
小鳥遊 ホシノ「へえ、ヒヨリちゃんって言うんだ」
小鳥遊 ホシノ「あ、あのさ、1つ、おじさんの頼み事を聞いてもらえたら、おじさん、すごくうれしいな~」モジモジ・・・
槌永 ヒヨリ「え」
戒野 ミサキ「うわ、なんか怪しい……」
小鳥遊 ホシノ「ええ~? そんなことないよ~。だから、ね? ね?」ニッコリ
槌永 ヒヨリ「ひ、ひぇ」
小鳥遊 ホシノ「ほらほら、姫矢さん、撮って撮ってぇ!」
槌永 ヒヨリ「????」 ←アビドス高等学校の制服姿
戦場カメラマン「あ、ああ……」パシャパシャ
錠前 サオリ「どういうことなんだ、これは?」
北条先生「――――――【アビドス生徒会】生徒会長:梔子 ユメに槌永さんがよく似ているらしいです」
錠前 サオリ「……そうだったのか」
北条先生「これが【連邦生徒会】に提出されている【アビドス生徒会】のプロフィールです」
秤 アツコ「へえ。これは、似てなくは、ないかな?」
戒野 ミサキ「だからって、制服を持ってくるかな、普通?」
ロボット職員「…………ホシノ」
十六夜 ノノミ「あ~! 私の制服をそんなことのために使うんですね、ホシノ先輩! この前は【ミレニアム】のメイドさんにデレデレして! もう許しませんよ!」
小鳥遊 ホシノ「うへ~。見つかっちゃった~」
槌永 ヒヨリ「これ、他人のものだったんですか~!?」
錠前 サオリ「すまない! そうだとは知らなかったんだ! いくら払えばいい?」
十六夜 ノノミ「あ、別にいいですよ、それぐらいは。家に何着でもありますから。それはもう差し上げます」
戒野 ミサキ「よかったじゃん。替えの服がタダでもらえたね、ヒヨリ」
小鳥遊 ホシノ「うん。だから、それをずっと着ていてもらえないかな」モジモジ・・・
槌永 ヒヨリ「ええ……」
小鳥遊 ホシノ「じゃあ、もういっそのこと、【アビドス】に転校してこない? いつでも大歓迎だよ、おじさん~!」
十六夜 ノノミ「ホシノ先輩!」
錠前 サオリ「待て、それ以上はダメだ、小鳥遊 ホシノ」
錠前 サオリ「ヒヨリは私たち【アリウススクワッド】の一員だからな。大切な仲間なんだ」
槌永 ヒヨリ「さ、サオリ姉さん……」
小鳥遊 ホシノ「ああ、そういうことだったんだ……」
小鳥遊 ホシノ「うへ~。それなら、しかたないか……」
小鳥遊 ホシノ「ごめんね、ノノミちゃん! やっぱり、おじさんにはノノミちゃんしかいない~!」
十六夜 ノノミ「そんなことを言ってもダメなんですからね! もう知らないです、ホシノ先輩のことなんか!」
小鳥遊 ホシノ「ああ、待ってよ! 待ってよ、ノノミちゃん! おじさんが悪かったから~!」
小鳥遊 ホシノ「あ、姫矢さん! あとで写真をちょうだいね~! それじゃ、おやすみ~!」
戦場カメラマン「ああ、わかっている」
戦場カメラマン「…………ユメ」
ロボット職員「……他人の空似か。こんなことが起きるんだな」
秤 アツコ「先生」
秤 アツコ「先生、今の子だよ。小鳥遊 ホシノが【アビドス】の“光”を受け継いでいる生徒。今、わかった」
北条先生「……【アビドス生徒会】生徒会長:梔子 ユメさんとの繋がりが鍵になっているわけですか」
秤 アツコ「でも、コーイチから感じる“光”とはちがう。先生ともちがう」
秤 アツコ「コーイチからはジーンと身体の内側から温まる感じがして、先生からは太陽の光のようにポカポカしてくる感じがする」
秤 アツコ「ホシノから感じたのはなんというか、もっと遠いところにあって全てを包みこむような温かさがあった。『のどけき春』みたいな?」
秤 アツコ「――――――そう、ずっとホシノのことを温かく見守っている姫矢さんのよう」
北条先生「そうですか。素晴らしいです。サーベラス様に良い報告ができそうです」
北条先生「言われてみると、
北条先生「……ん?」
秤 アツコ「先生、そのブレスレットは?」
北条先生「――――――『ネクサスレット』というらしい」
北条先生「……あ、消えた」
秤 アツコ「やっぱり、姫矢さんがウルトラマンなんだね」
北条先生「そうみたいだ」
――――――その翌朝、アビドス砂漠で怪獣発見の報告がもたらされた。
北条先生「これは深海怪獣:グビラですね。【ドキュメント
北条先生「見た目通りのイッカクを思わせるドリルが特徴です」
北条先生「ですが、砂漠にグビラですか? 地下水脈があるということでしょうか?」
鬼怒川 カスミ「いや、正確には砂漠に呑まれた都市部に現れているから、こいつは完全に陸棲生物と思った方がいい」
鬼怒川 カスミ「言うならば、“オカグビラ”と言ったところじゃないかい?」
北条先生「これはこれで厄介だな。グビラはクジラのようにエコロケーションで位置を把握する能力を持ち、それで獲物をドリルで突くわけですが、地中でも大気中よりも速く振動が伝わるので地上の獲物への奇襲に利用できます」
鬼怒川 カスミ「先生、あのドリル、私にくれないか? いや、解剖して新しい地中探査機の参考にしよう! これは夢が広がるぞー!」
北条先生「そうですね。それでアビドス砂漠にオアシスを見つけてくれたのなら、表彰してあげますよ」
北条先生「ただ、アビドス遠征には機龍丸やGUTSファルコンを投入できない以上、ライナー部隊でどうにかするしかないので、無力化できる自信があるのなら話を聞きます。ウルトラマンに任せたら光線技で爆発四散ですから」
鬼怒川 カスミ「よーし! それなら作戦を練ろうじゃないか! ドリルにはドリルということさ!」
北条先生「こちら、【キヴォトス防衛軍】作戦司令部、確認された怪獣は以降、地底怪獣:オカグビラとする。深海怪獣:グビラが陸棲生物になったものと推測される」カチッ
北条先生「グビラの生態を考えるに肉食ではないはずなので、確認された場所から一定範囲内を立入禁止区域に設定します。ただし、地中を潜るオカグビラがいつどこで現れるかは予測不可能なので、オカグビラの撃破が確認されるまではアビドス自治区からの避難を推奨します」
――――――
氷室 セナ「先生! 大変です!」
――――――
北条先生「――――――氷室さん!?」
北条先生「どうしました!? 負傷者ですか!? 今どこですか!?」
――――――
氷室 セナ「――――――吸血植物です!」
――――――
北条先生「なに!?」
――――――
氷室 セナ「復旧した校舎で寝泊まりをしていた班をどこからともなく蔦が伸びてきて吸血してきたそうです!」
氷室 セナ「幸い、犠牲者は出ていませんが、大量の輸血液が必要です! 急がないと砂漠の日照りで脱水症状にも陥ります! 発見が少しでも遅れていたら手遅れになっていました!」
氷室 セナ「現在、【風紀委員会】が一夜にして砂漠に咲き乱れた赤い花を焼き払っていますが、吸血蔦に襲われています!」
――――――
北条先生「すぐに手配します!」
北条先生「いや、待った! 地底怪獣:オカグビラの発見を受けて立入禁止区域に入っていませんか、そこ?」
北条先生「今すぐに撤退してください! 吸血植物のことは今は後回しです!」
北条先生「すぐに迎えに行きます!」
――――――
氷室 セナ「急いでください!」
――――――
北条先生「鬼怒川さん! 立入禁止区域にて吸血植物に【ゲヘナ学園】の部隊が襲われています! 輸血液や水を詰め込んでドリルライナー号で強行突入してもらえませんか!?」
鬼怒川 カスミ「おっと、私の完璧な温泉開発計画に注文をつけるんだ。こいつは高くつくぞ、先生?」
北条先生「いいですよ。子供たちが創り上げる未来より値を張るものはないですから」
鬼怒川 カスミ「さすがは先生だ! 私好みの答えだ!」
鬼怒川 カスミ「――――――【温泉開発部】! 人命救助だ! これから立入禁止区域に突入するぞ!」
温泉開発部「おおおおおおお!」
北条先生「本当に【ゲヘナ学園】は部活動単位になると、この結束力と行動力が頼りになりますね」
こうしてアビドス砂漠には地底怪獣と吸血植物が居て、上空の電離層からガゾートがいつ現れてもおかしくない状況にある魔境であることが明らかとなったのである。
当然、これまでアビドス自治区に怪獣が現れたという歴史的事実はなく、何もない場所が果てしなく続くように見えるアビドス砂漠に赤い花が咲き乱れるのも立派な怪奇現象であった。
アビドス砂漠を力強く縦横無尽に駆け巡る【温泉開発部】のドリルライナー号によって【ゲヘナ学園】の部隊が無事に救助され、帰る途中でドリルライナー号に対して地中のオカグビラが攻撃を仕掛けてくることになったのだが――――――。
戒野 ミサキ「ねえ、もっとスピードを出せないの!?」
鬼怒川 カスミ「だったら、重荷になっているものを捨てればいいだろう!」
空崎 ヒナ「そんなことは絶対にさせない!」ヒョイ ――――――ドリルライナー号の屋根に乗り移る!
氷室 セナ「ヒナ委員長!」
北条先生「空崎さん!」
――――――
空崎 ヒナ「アビドス砂漠で吸血植物に襲われて、次は地底怪獣に追い回されるなんてね!」ズバババババ!
北条先生「よし、このまま地上に出た状態で誘い込んでサーモバリック爆弾と列車砲で勝負を仕掛けます!」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
空崎 ヒナ「先生!」
戒野 ミサキ「先生、私も居るから!」バァーーン! ――――――ロケットランチャー<セイントプレデター>!
空崎 ヒナ「よし! 3人でなんとかこの場は乗り切りましょう!」ズバババババ!
空崎 ヒナ「え」
戒野 ミサキ「は……、冗談、だよね!?」
北条先生「――――――グビラが跳んだ!?」
ドリルライナー号の屋根の上で猛追してくるオカグビラを迎撃していると、突如としてオカグビラが飛びかかってきたのである。
このままだと逃げられると勝負を決めにかかったことにより、恐るべき脚力を発揮したわけであり、北条 アキラがすぐにでもウルトラマンに変身しようとブライトスティックに手を掛けた瞬間であった――――――。
飛びかかってきたオカグビラが急に勢いを失ってアビドス砂漠に前のめりに倒れ込んだのである。
舞い上がる砂塵で次の瞬間にはオカグビラの姿が隠れてしまったが、砂煙が晴れるとオカグビラが奥の方へと引きずり込まれているように見えたのは錯覚などではなかった。
――――――なんと、【ゲヘナ学園】の部隊を襲った吸血植物の蔦がオカグビラの足を絡め取って、オカグビラの体液を吸い尽くしているのである。
そして、オカグビラ出現の立入禁止区域を全速力で離脱していくドリルライナー号の屋根からでも、オカグビラが急速に干からびていくのが見え、もしも一目散に救出に来なかった時のことを考えると、その光景を見ることができた3人はゾッとする他なかった。
オカグビラすらも餌食になる吸血植物が突如としてアビドス砂漠の不毛の大地に現れたとなると、これ以上のハザードマップ完成のための調査を進めるのは危険であるため、【キヴォトス防衛軍】軍事顧問として北条 アキラは即刻中止、アビドス自治区からの退避を全体に命令したのである。
幸い、オカグビラと吸血植物の出現の報は朝早くだったため、これから出稼ぎに来る生徒たちはこれで怪獣災害に巻き込まれることはなくなったはずだ。
問題はここから始まる【キヴォトス防衛軍】による吸血植物の駆除であり、本体となる根っこの部分を見つけ出して焼き払うためにどれだけの犠牲が出るかを考えてしまったが、吸血怪獣:ギマイラの時と同じようにワイン樽に輸血液と枯死剤を混ぜる作戦で行こうと考えた。
しかし、干からびたオカグビラの姿が遠くになって一安心になろうとした時、吸血植物の本体が飛んできたのである。
戒野 ミサキ「な、何あれ?! お腹にでっかい花が咲いているんだけど!?」
北条先生「――――――あ、アストロモンスだとぉ!? 【ZAT】が戦った宇宙大怪獣じゃないか!? 本体が植物なのにマッハ3で空を飛ぶという!」
北条先生「宇宙人の侵略どころか、宇宙大怪獣まで現れるだなんて、どうなっているんだ……?」
空崎 ヒナ「吸血植物の本体がマッハ3で空飛ぶ宇宙大怪獣って、もう何が何だかわからないわね……」
北条先生「まずい! 干からびたオカグビラを捕食するつもりだ! アストロモンスの幼体がチグリスフラワーという真っ赤な花の球根植物らしいですから、株分けさせる養分を与えるわけにはいかない!」
戒野 ミサキ「何それ!? 植物なの!? 動物なの!? どっちなの、それって!? というか、花粉を撒き散らさないでよね!」
北条先生「そういう、理屈じゃない理不尽な存在の総称を“
北条先生「…………!」
北条先生「いや、待った! もう成体になって何日経っていると言うんだ、あれは!?」
戒野 ミサキ「……それって、冗談だよね? 先生が考えていることって、まさか、ちがうよね?」
空崎 ヒナ「先生。私、さっきまであんなには大きくないけど、あの怪獣に咲いている真っ赤な花と同じものを焼き払っていた……」
北条先生「――――――かつてキヴォトス最大の勢力を誇っていた【アビドス高等学校】」
北条先生「しかし、今は自治能力を失って管理者不在の自治区は長らく放置されていたことによって怪獣災害の被害は最悪なものになったけど、」
北条先生「もしも【アビドス対策委員会】の管轄外の地域ですでに怪獣災害が発生して犠牲者が出ていたとしたら――――――?」
戒野 ミサキ「あ!」
戒野 ミサキ「せ、先生……、あ、あれ……!」
空崎 ヒナ「ここは地獄ね、先生」
北条先生「……未調査領域100%のハザードマップ完成のためにゴールドラッシュを仕掛けた結果、これは地獄の釜を開けてしまったのかもしれない」
――――――追加で飛来する2体のアストロモンス;合わせて3体のアストロモンスが同時に出現したのである!
北条先生「もしかすると、アビドス砂漠はアストロモンスだらけになっているのかもしれない」
北条先生「けど、ここで逃げ出すわけにはいかないんだ!」
北条先生「どうする? 各個撃破はいけるか? それとも、枯死剤か? やっぱり、枯死剤か?」
羽沼 マコト「先生。先生はここに残って最後まで戦うつもりなのか?」
北条先生「最終防衛ラインを突破されたら、遺憾ながら【アビドス】を放棄して四次元都市:フォーサイトに撤退することにはなります」
羽沼 マコト「もういいではないか、先生よ。あんなのが何体もいることがわかったのなら、【アビドス】は呪われた地として今度こそ闇に葬られることになる。全域にサーモバリック爆弾を降らせる浄化作戦を発動しても誰も咎めんよ」
羽沼 マコト「これで先生の望み通り、【カイザーコーポレーション】もあきらめることだろうよ」
北条先生「そんなのは誰の勝利でもない。人類の敗北です」
羽沼 マコト「だがな、先生よ? ウルトラマンが当たり前のようにまた奇跡を起こすことを期待して、悪党たちは平和な世の中で悪行三昧を平然と続けることになるのだぞ? ここらで徹底的に痛い目に遭ってもらった方がいいのではないか?」
北条先生「僕は怪獣退治の専門家であって、人を裁く権利は持ち合わせてはいない」
北条先生「それに、ウルトラマンは心を持たない兵器でもない」
北条先生「そして、僕には考える時間が必要なんだ」
羽沼 マコト「そうか」
羽沼 マコト「先生、あなたと言う人は本当に思い通りにならない世の中を思い通りにする“雷帝”をも超える最高の暴君だよ」キキキッ
北条先生「やあ、小鳥遊さん。天気もいいし、今日は屋上でお昼寝ですか?」
小鳥遊 ホシノ「……うん。そんなところかな。そういう先生は?」
北条先生「僕も少し休息を取ろうと思ってね」
小鳥遊 ホシノ「じゃあさ、昨日来てすぐに砂漠に行っちゃった先生に【アビドス対策委員会】のことを憶えておいてもらいたいな」
北条先生「うん。教えて欲しいな」
小鳥遊 ホシノ「そう言えばさ、支援要請を受けて“シャーレの職員”のガリバーさんが先生の代理として先に来てくれてから、もうだいぶ経ったよねぇ」
北条先生「どうでしたか? 僕の半身とも言える、みんなが大好きなロボット職員:マウンテンガリバーさんは?」
小鳥遊 ホシノ「うん、最高だったよ。さすがは“シャーレの職員”ってことで仕事は完璧だし、初めて会ったはずなのに私たち【アビドス対策委員会】のことをよくわかってくれているしさ」
小鳥遊 ホシノ「だから、想像もつかなかったんだよねぇ。ガリバーさん以上に凄い大人の人っていうのがどうしても。だって、ネットに書いてあることがみんな嘘臭いんだもん」
北条先生「よく言われますよ。僕が打ち立てた怪獣退治の武勇伝の数々が失踪した“連邦生徒会長”の後継者であることを信じ込ませるためのプロパガンダなんだって」
小鳥遊 ホシノ「いや~、ホントにね。シロコちゃんなんて、先生を見た時の第一印象がガリバーさんと比べて『弱そう』だって言っててさ」
小鳥遊 ホシノ「でも、すぐにシロコちゃんも考えを改めることになったんだよね~」
小鳥遊 ホシノ「初めてのアビドス砂漠を駆け回って、ハザードマップ完成のために来てくれた生徒たち一人一人に労いの言葉を掛けて回っただけじゃなく、“クロスタッチ”っていう新たな流行をその場で作ったんだもんねぇ」
北条先生「クロスタッチは僕が考え出したものじゃないです。地球で考案されたものです」
小鳥遊 ホシノ「だとしても、流行らせたのは先生なんだから、それだけで先生の人望がキヴォトスでどれほどのものなのかを理解することができたよ」
小鳥遊 ホシノ「だから、先生と一緒に【ゲヘナ学園】の大物たちも【アビドス】にやってきたし、本当に先生の指示に従ってハザードマップ完成のために協力してくれている」
小鳥遊 ホシノ「おじさん、こんなにも凄くて凄い大人の人は初めてだよ」
北条先生「他にも信頼できる大人の人はいたんじゃないの?」
小鳥遊 ホシノ「いるにはいるけど、先生と比べたら全然凄くないよ」
北条先生「でも、小鳥遊さんが誰かを信じることができなくなるような時に側にいたのは僕じゃないよ」
小鳥遊 ホシノ「…………!」
小鳥遊 ホシノ「う、うへ~。先生って心が読めたりするの? おじさん、びっくりしちゃったよ」
北条先生「僕、本職は小学校の先生ですから」
小鳥遊 ホシノ「……知らなかったよ。大人って本当はこんなにも凄いんだね」
北条先生「目標となるものにひたすら打ち込んできたからね」
――――――ウルトラマンになりたくて。ウルトラマンの心を教育現場で実践したくて。
小鳥遊 ホシノ「そうなんだ。そう言われると、【アビドス対策委員会】のみんなが前よりイキイキするようになったのも、新しい目標に向かって歩み始めたからなんだろうね」
小鳥遊 ホシノ「セリカちゃんはみんなを頼ってくれるようになったし」
小鳥遊 ホシノ「アヤネちゃんは顔を上げてくれる時間が増えたかな」
小鳥遊 ホシノ「ノノミちゃんは誰のためでもなく純粋に笑ってくれることが増えた」
小鳥遊 ホシノ「シロコちゃんはね、うん、呼吸が深くなったと思う」
北条先生「僕はその場に居合わせなかったから、成長がわからないけれども、そのことを喜んでいる小鳥遊さんの表情が綺麗だから、真実なんだろうなとは思うよ」
小鳥遊 ホシノ「……おじさんはただみんなの生活を守りたいだけだよぉ」
北条先生「それがみんなの笑顔につながっているんだよ」
北条先生「だから、僕は怪獣退治の専門家として山のように大きな怪獣に立ち向かっていくんです。微笑みながらね」
小鳥遊 ホシノ「じゃあ、前に進むしかないのは私と同じだね、先生」
小鳥遊 ホシノ「よかった。先生はまだ【アビドス】をあきらめてなんかいなかった」
北条先生「怪獣だからと言って全てを倒す必要はないですが、このまま怪獣無法地帯が生まれることは人類の存亡に関わること」
北条先生「僕は【アビドス】全域を爆撃する浄化作戦の決行を言い渡したくはないんだ」
小鳥遊 ホシノ「……本当だね。今日が【アビドス】最後の日にならないように祈るしかないよね、もう」
戦場カメラマン「………………」
ロボット職員「くそっ! 通信障害さえなければ、作戦司令部との連携で怪獣を分断して各個撃破できるのに!」
秤 アツコ「……コーイチ」
ロボット職員「こんな馬鹿なことがあっていいのか!? 僕の16年間は何のためにあったんだ!?」
ロボット職員「先生は1対1なら絶対に負けない! 負けないんだ!」
ロボット職員「だから、アツコ!」
秤 アツコ「イヤ! 嫌だよ、コーイチ!」
錠前 サオリ「いいかげんにしろ、コーイチ! 最後まであきらめるな! 私も打開策を考えているのだから!」
ロボット職員「くぅうううううう!」
ロボット職員「……どうして僕は戦えないんだ! 部分的な1対1でもいいから! 僕が残りの2体を引き受ける囮になってもいいから!」
戦場カメラマン「………………」
スタスタスタ・・・
戦場カメラマン「――――――」スッ ――――――エボルトラスターを手にする。
北条先生「……考えることは同じになるわけですか」
戦場カメラマン「北条先生」
北条先生「――――――【アビドス】に現れる怪獣は全てウルトラマンネクサスにまかせる予定だったんですが」スッ ――――――ブライトスティックを手にする。
北条先生「さすがに宇宙大怪獣が3体同時に現れるのは予想外です。せっかく、対怪獣兵器も出揃って楽ができるようになったというのに『世の中、甘くはない』ってことでしょうかねぇ」
戦場カメラマン「そうだな」
戦場カメラマン「俺は新聞社のカメラマンだった。社会の不正を暴こうと正義感という名の野心に燃えて、社会の腐敗や人間の欲望を目の当たりにしていくうちに、俺は人間というものを信じることができなくなっていったんだ」
北条先生「――――――深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」
戦場カメラマン「フリードリヒ・ニーチェか。実際、その言葉の通りだった」
戦場カメラマン「だから、俺は海外の紛争地域を渡り歩く戦場カメラマンになっていた」
戦場カメラマン「そんな中、俺は紛争地域の取材の中でセラという孤児の少女に助けられた」
戦場カメラマン「だが、取材をやめることができなかった俺はセラが戦闘に巻き込まれて命を散らす瞬間を撮ることさえやめることができなかったんだ」
北条先生「……それはつらかったですね」
戦場カメラマン「ああ。俺はずっと間違いを犯し続けていたんだ」
戦場カメラマン「セラの最期の瞬間の写真が帰国後に大々的に評価されるまで、俺は人の死の瞬間ばかりを撮って、誰も救えていないことにまったく気づいていなかったんだ」
戦場カメラマン「だから、夢の中にセラが現れるようになって、セラを追いかけて遺跡の中にあった石棺に触れた時、俺はこの光を手に入れることになった」スッ ――――――エボルトラスターを見せる。
戦場カメラマン「そして、いつしか2年前のキヴォトスに俺はいた。アビドス砂漠に俺はいたんだ」
戦場カメラマン「世界そのものが紛争地域のようなキヴォトスの砂漠で俺はまたセラのような少女に助けられて、別れの言葉を告げることもできないまま、地球での戦いの日々に戻っていったんだ」
北条先生「ここに戻ってくるまでに何かを掴めましたか?」
戦場カメラマン「ああ。この力は決して希望を捨てない人々の為にあるのだと」
北条先生「そうですか」
戦場カメラマン「だから、俺はこの力で大切な人たちを守ってみせる!」
昼下がりの熱砂のアビドス砂漠に2人のウルトラマンが姿を現した。
干からびたオカグビラを腹部のチグリスフラワーで捕食し終わり、角のドリルだけを綺麗に残した3体の宇宙大怪獣:アストロモンスに対して、敢然と立ち向かっていく。
怪獣を超える超獣を更に超える“大怪獣”という、ウルトラ兄弟最強の肉体を持ったウルトラマンタロウさえも苦戦させた、地球の怪獣頻出期の最高潮に現れた最初の大怪獣:アストロモンスは“
事実、まだ滅んではいなかったヤプール人の置き土産である超獣:オイルドリンカーを一方的に嬲り殺しにした後、腹部のチグリスフラワーでそのまま捕食したのだから、明らかにこれまでの怪獣とは次元がちがうことを痛感させるには十分であり、以降は怪獣よりも強い超獣の生き残りに警戒しながらも、超獣よりも更に強い大怪獣の出現に最大限の警戒をしなくてはならなくなっていた。
そのため、ウルトラマンタロウと共に怪獣頻出期の最高潮に出現するようになった大怪獣に敢然と立ち向かった防衛チーム【ZAT】は大怪獣対策による軍備強化も相まって優れた怪獣撃破率を誇り、時代の頂点に君臨した最強の防衛チームとして記憶されることになる。
さて、この植物なのか、動物なのか、どちらの性質も併せ持つような奇々怪々の存在は石油を主食として火炎放射を行う超獣:オイルドリンカーをも捕食したように、植物だからと言って炎に弱いといったことはまずない。そもそもが宇宙大怪獣として星から星へと渡る基礎能力があることから、環境適応能力は極めて高いのだ。
それでも、植物的性質を持ってしまったがために生命力に優れる代わりに防御力は比較的低い部類に入るため、ここで有効なのはウルトラ兄弟最強の肉体を持つウルトラマンタロウが初陣で勝利を飾ったように力押しなのである。
よって、2人のウルトラマンは3体いるアストロモンスに対して、それぞれが狙いをつけて危険を承知で渾身の一撃を叩き込んで、
こうしてウルトラマン80と肩を並べた神秘の巨人は赤くなってウルトラマンネクサス ジュネッスとなり、得意の空中戦でアストロモンスを翻弄し、隙を見て余った1体を
我らがウルトラマン80も初代ウルトラマン譲りの力強い格闘技とウルトラ拳から繰り出されるアクロバティックな動きでアストロモンスを翻弄し、他のアストロモンスの右手のムチに絡め取られても即座に
そして、阿吽の呼吸でウルトラマン80とウルトラマンネクサスは眼の前にいるアストロモンスを余った1体の方に投げ飛ばし、3体のアストロモンスがまとめてアビドス砂漠に倒れ込むことになった。
タイガスパークによる新必殺技:デラシウム・スパイラルは放たれる前はドッジボールの球ぐらいの大きさの火の玉のように見えたが、放たれた直後にリング状の光線が大きく広がるのに合わせて大火球へと膨らんで3体のアストロモンスをまとめて焼き払ったのである。
そして、ウルトラマンネクサス ジュネッスののエナジーコアから発射される必殺光線:コアインパルスがデラシウム・スパイラルの爆発を受けても辛うじて生きていたアストロモンスにとどめを刺すことになり、常に人類の危機と背中合わせのこの一大決戦に勝利をもたらしたのである。
しかし、勝利の余韻に浸る間もなく――――――。
――――――地中から地底怪獣:オカグビラの奇襲をウルトラマン80が受けてしまうのだった!
その脅威のパワーでウルトラマン80を空高くに吹き飛ばし、そのままの勢いで空高く吹き飛ばされたウルトラマン80に追い討ちをかけてくるという冗談みたいな機動力を発揮したのには、ウルトラマンネクサスも驚きを禁じ得なかった。
宇宙大怪獣と2対3の戦いを繰り広げて消耗していたウルトラマン2人のカラータイマーとエナジーコアが点滅する中、天高く跳び上がって悠々とアビドス砂漠に潜行するオカグビラは意外なまでの脅威となり得たのである。
しかし、次にオカグビラがウルトラマンネクサスの背後から迫った瞬間、オカグビラの攻撃が阻止されるのであった。
鬼怒川 カスミ「待たせたな、先生! オカグビラ捕獲作戦の始まりだ!」
ロボット職員「撃てー! 撃てば中たるぞー!」バキュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン! ――――――レールガン<スーパーノヴァ>!
錠前 サオリ「援護するぞ、ウルトラマン!」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
砂狼 シロコ「ん、【アビドス】は私たちの手で守る!」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
羽沼 マコト「光栄に思うがいい! このマコト様が援護してやるぞ、ウルトラマン!」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
黒舘 ハルナ「さあ、今日はあのクジラのようなオカグビラで晩餐ですわよ、みなさん!」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
陸八魔 アル「いい? ここが私たちの腕の見せ所よ! 【便利屋68】の実力を存分に見せつけてやりなさい!(これでボーナスはいただきよ! よかった、家賃滞納で追い出されずに済む~!)」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
空崎 ヒナ「まさか【ゲヘナ学園】が一丸になって怪獣退治をする日が来るなんてね」バキューーーーーン! ――――――ギャラクシー・スナイパーライフル!
消耗したウルトラマン2人を地中から攻撃しようと繰り出すオカグビラの攻撃は出てきた瞬間にあらゆる角度からのギャラクシー・スナイパーライフルによる生徒たちの援護射撃で阻止されてしまう。
それはなぜか――――――、考えてみれば実に単純な
そして、その指揮を執っているのが【温泉開発部】鬼怒川 カスミであり、裏稼業のプロとしての卓越した頭脳が勝利の方程式を導き出していたのだ。
鬼怒川 カスミ「そちらが地中からのエコロケーションで地上の敵を狙い撃っているのなら、その外側から周りを囲うように狙撃手を絶え間なく配置してしまえば、その図体のデカさならどこにでも中てることができる!」
鬼怒川 カスミ「そして、周りから攻撃を加えてくる小蝿を探そうとしても、それに対して近くにいるウルトラマン2人があまりにも大きすぎるから、オカグビラ程度の知能では複雑な状況把握はできまいよ!」
鬼怒川 カスミ「だが、この作戦は当然ながら包囲を完成させるための狙撃手を大量に配置するだけの物量作戦の力押しさ」
鬼怒川 カスミ「それを実現可能に導いたのが、先生、怪獣と戦うためにこれほどの数の生徒たちが残る先生の人望や団結力ということさ」
鬼怒川 カスミ「ハーッハッハッ! それじゃあ、仕上げといこうじゃないか、先生!」
たとえ致命傷にならなくてもキヴォトス人とて銃弾を浴び続けていれば気絶するように、ギャラクシー・スナイパーライフルを全方位から浴び続けていればオカグビラの体力もごっそり吸われていくものである。
それによって、明らかに動きが鈍くなったオカグビラの攻撃を2人のウルトラマンはカイトストリングとセービングビュートで絡め取ることに成功したのだ。
その瞬間を待っていたと言わんばかりに、ロケットブースターを点火させた【温泉開発部】のドリルライナー号のドリル列車がオカグビラ目掛けて猛突進し、それがオカグビラの臓腑を抉り、風穴を開けることに成功したのだった。
そのあまりにも惨たらしい最期に断末魔の悲鳴を上げるオカグビラに対して、ウルトラマン80は静かな眠りを捧げるようオカグビラの脳髄を透視してウルトラアイスポットで焼き切って介錯するのだった。
こうして全ての怪獣の撃破を確認した2人のウルトラマンは【アビドス】の大空の彼方へと飛び去っていったのだった。
まさか、まさか、最後に決めたのは【温泉開発部】鬼怒川 カスミが指揮するドリルライナー号であり、実質的な怪獣撃破の一撃となったのだった。
ロボット職員「なんとか宇宙大怪獣と地底怪獣の群れを退けることができましたが、あれで最後という保証はどこにもないので、これからの未調査領域の調査は万全の注意を払わなければなりません」
北条先生「せっかくの人海戦術が台無しだね。少しずつ少しずつ探索範囲を広げて漸進していく手法に切り替えないとか」
羽沼 マコト「当然、【“雷帝”の遺産】の捜索も大幅に遅れることになるな、これは」
小鳥遊 ホシノ「うへ~。空からガゾート、地上はアストロモンス、地底からはオカグビラって、大変なことになっているね~、うちの自治区」
錠前 サオリ「ああ、認識を改めよう。ここは【アリウス】を超える地獄だ」
砂狼 シロコ「ん、でも、私たちは負けない」
奥空 アヤネ「そうです。ようやく【カイザーコーポレーション】がこの辺り一帯の所有権を【アビドス】に返還して、これからが再出発なんです」
北条先生「どうぞ、これが先程届いた新アビドス自治区の権利書となります」
小鳥遊 ホシノ「ホント、ありがとね、先生。私たちが管理できる範囲まで土地を取り戻してくれて」
北条先生「これが僕からできる最大限の支援です。それ以上は僕が是が非でもアビドス自治区の全てを買い取ろうとしていると思い込んで地価を暴騰させてバブルを到来させる狙いがあったので、ここで止めることでスリム化の目処が立ったでしょう」
小鳥遊 ホシノ「いやはや、それでも悪徳企業の親玉に首を縦に振らせるだなんてこと、普通に考えたら絶対に無理なことなのに、それを実現する辺り、本当に先生は凄いよ。おじさん、もうそれしか言えない」
十六夜 ノノミ「それぞれの学園の自治区はその学園に帰属するのが当たり前の常識です。私たちは 借金にばかり気を取られて この事態に気づくことができませんでした」
黒見 セリカ「その可能性に気づいて真っ先に土地を取り戻してくれていただなんて、さすが“シャーレの先生”よね!」
戦場カメラマン「いや、それが本来の土地の売買の常識なんだがな……」
ロボット職員「これが学園が国家と同義になっているキヴォトス人の常識……」
小鳥遊 ホシノ「でも、これで実質的にアビドス自治区の大半が【カイザーコーポレーション】のものになったことがキヴォトス中に知れ渡ったけれど、大丈夫なの?」
北条先生「問題ないです。怪獣災害が起きたら【キヴォトス防衛軍】は出動することができるので、そこが【カイザーコーポレーション】の土地だろうと関係なく、これまで通りに怪獣退治に繰り出すまでです」
――――――むしろ、これから大変なのは【カイザーコーポレーション】の方だから。
錠前 サオリ「ああ。未調査領域100%だった広大な砂漠の旧アビドス自治区のハザードマップの完成と提出をこれからは【カイザーコーポレーション】でやっていかなくてはならないわけだからな」
羽沼 マコト「その通り。これまでの土地の管理は学園が行うことが常識だったからこそ、その常識の穴を突いて これまでの不履行については学園の責任にすることができたが、土地の所有権がはっきりした以上はこれからは貴様ら企業が自分で自分のことを全てやらなければならんのだ」キキキッ
戦場カメラマン「それも、かつてキヴォトス最大の勢力を誇ったが 今は不毛の大地となって 企業としては何の旨味もない 旧アビドス自治区の全てをだ」
羽沼 マコト「もはや、怪獣無法地帯となって誰も買い手がつかないというのに、先生の前で地価を釣り上げようとしたのが運の尽きだったな。あれが最後の
小鳥遊 ホシノ「うへ~。捨てたくても捨てられない呪いにかかっちゃったね~」
黒見 セリカ「いい気味よ! 私たちが受けてきた苦しみはこれから倍返しなんだから!」
奥空 アヤネ「結果として、広大なアビドス自治区に散らばっていた住民たちも先生が取り戻してくれた新アビドス自治区の市街地に集まっていますから、ますます旧アビドス自治区の無人化が進みますね」
ロボット職員「あと、これまで土地の所有権を【アビドス生徒会】から借金の担保として譲り受けていたことについて【連邦生徒会】にも黙っていたことで億兆円規模の脱税疑惑がありますからね」
砂狼 シロコ「ん、これで【カイザーコーポレーション】の悪事もお終い」
北条先生「ただ、それでも頑なに土地の所有権を手放そうとしなかった場所があり、そこが長年に渡るアビドス自治区の簒奪に纏わる何かが秘められているように思います」
北条先生「まあ、これだけ大胆にアビドス自治区の所有権を手に入れていた【カイザーコーポレーション】がこの広大なアビドス砂漠に通信障害を発生させて、変形闇怪獣:ガゾートを生み出した罪状についてはいつか追及させてもらいますので」
――――――首を洗って待っていろ、
カイザーPMC理事「く、くそっ! 何だ、これは!?」
カイザーPMC理事「これまであんな化け物など出たことはなかったというのに……!」
カイザーPMC理事「まずい、まずいぞ! 所詮は子どもの集まりの【アビドス生徒会】を隠れ蓑にしていた土地の所有権がバレてしまった!」
カイザーPMC理事「そのせいで、我々が 今や怪獣無法地帯となった こんな最低の土地のハザードマップの完成と提出の義務を課されてしまった……!」
カイザーPMC理事「――――――【キヴォトス防衛軍】以外にあんな化け物を対処できるはずがないだろう!」
カイザーPMC理事「本社の連中はいったい何を考えているんだ!? 今すぐに不要になった土地の所有権を【キヴォトス防衛軍】のやつらに譲り渡せ! 現地にいる我々を見殺しにする気か!? 早く売れ!」
カイザーPMC理事「しかも、空から現れた怪獣の発生原因が通信妨害のための電磁波だと疑われているということは、怪獣災害発生の責任の追及と賠償問題にもなってくる!?」
カイザーPMC理事「いや! 私は必要ないと言ったのに、通信妨害を強化するように言ってきたのは本社だぞ――――――!」
カイザーPMC理事「ま、まさか、私一人に全ての責任を擦り付けようとしているのか……!?」
カイザーPMC理事「くぅうううううう! うああああああああああああ!」
カイザーPMC理事「……これ以上、邪魔をさせるものか! 私は早く
カイザーPMC理事「――――――忌々しい【対策委員会】め!」
カイザーPMC理事「ずっとお前たちが目障りだった。これまでありとあらゆる手段を講じて、それでもお前たちは滅びかけの学校に最後まで残り、繰り返し借金を返済しようとあがいて……」
カイザーPMC理事「あれほど懲らしめたのに! 徹底的に苦しめたのに! 毎日毎日楽しそうに!」
カイザーPMC理事「こうなったのも全てお前たちのせいだ! お前たちのせいで計画が! 私の計画がぁ~!」
黒服「――――――『ユザレの予言』よりも明らかに早い怪獣頻出期」クックック・・・
黒服「そして、【アビドス】における私の研究が頓挫するというのも予言に詠まれていた事実……」
黒服「いやはや、何もかもが“シャーレの先生”に味方しているように見えるのは非常に興味深い観測結果ではありますね」
黒服「しかたがありません。私は私の研究に没頭しすぎていて、【アビドス】の外で“シャーレの先生”が起こす変革の速さに対応できなかったということなのでしょう」
黒服「ですが、理解できません」
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ!?
黒服「先生、あなたはこのキヴォトスの支配者にもなりえました。頂点に立つ存在などという評価ではなく、王として。神として」
黒服「この学園都市における莫大な権力と権限――――――、そして、この学園都市に存在する神秘。その全てが一時的にとは言え、あなたの手の上にありました――――――」
黒服「しかし、それを迷わず手放した」
黒服「真理と秘義、権力、お金、力――――――、その全てを捨てるなんていう無意味な選択をどうして!?」
黒服「だから、訊ねたい。会って話がしてみたい。答えを知りたい」
黒服「……ですが、かっこよかったですよ、先生。あなたの活躍を間近に見ることができて本当に良かったです」
黒服「先生はこれからも 怪獣無法地帯となった この不毛の大地においても 誰も成し得なかった奇跡を起こし続けるのでしょう」
黒服「ベアトリーチェは先生に手駒を奪われたことに怒りを隠しきれていないですが、私もこの結果を受け容れるのですから、それはあなたが招いたミスだと声を大にして言いたいですね」
黒服「では、先生。これからも遠くの場所から微力ながら幸運を祈ります」
――――――それでは、次の手を考えるとしましょうか。
バララララ・・・
北条先生「みんな、僕はこれで【
北条先生「次は“シャーレの研究員”が来て、砂漠化の原因調査に来るから、怪獣に気をつけて!」
ロボット職員「お勤めご苦労さまでした」
小鳥遊 ホシノ「うん! 先生、本当にありがとう! 私、先生のことは忘れないから!」
奥空 アヤネ「大丈夫ですよ、ホシノ先輩。次もまた来てくれますから」
砂狼 シロコ「次はヒフミたち【トリニティ】の人たちと一緒に来るんだよね」
黒見 セリカ「先生! 今度、動画収益化のコツを教えてね! 先生の配信、見てるから!」
十六夜 ノノミ「じゃあ、先生! 最後にみんなと――――――!」
北条先生「うん。じゃあ、今回は右腕で」
――――――クロスタッチ! タッチ! タッチ! タッチ! タッチ! タッチ!
北条先生「また会いましょう、“
戦場カメラマン「ああ、北条先生」 ――――――大人2人のクロスタッチ!
羽沼 マコト「終わったな! 帰るぞ、先生!」
北条先生「それじゃあ!」
バララララ・・・
小鳥遊 ホシノ「行っちゃったね~」
砂狼 シロコ「一昨日来て今日帰ったとは思えないぐらい、凄い存在感だった」
ロボット職員「じゃあ、みなさん! スリム化によって【アビドス高等学校】の領域は大幅に縮小することになりましたが、怪獣無法地帯となった場所から避難してきた皆さんを受け容れて、学園らしい運営にしていきましょう!」
十六夜 ノノミ「目指せ、【連邦生徒会】公認の生徒会活動へ! 【アビドス対策委員会】が公認の部活動になった次のステップアップ!」
奥空 アヤネ「はい! 今日も頑張りましょうね、みなさん!」
黒見 セリカ「それじゃあ、『左』『右』で最後にみんなで手を『重ねて』! 最後に『オー』よ!」
戦場カメラマン「………………」フフッ ――――――カメラを向ける!
――――――【アビドス対策委員会】!
パシャパシャ
バララララ・・・
七神 リン「先生!」
扇喜 アオイ「待っていましたよ、お帰りになるのを」
北条先生「うん、みんな、元気にしてた?」
七神 リン「先生ッ!」
北条先生「おお……」
七神 リン「また無茶をして! 怪獣より強い超獣より更に強い大怪獣3体を同時に相手にするだなんて、何を考えているんですか!?」
北条先生「怪獣退治の専門家として逃げるわけにはいかなかったんです」
七神 リン「……本当に良かった」
北条先生「七神さん」
北条先生「いやはや、心配をかけてごめんね。まさか、アビドス砂漠が怪獣無法地帯になっているとは思わなかったよ」
北条先生「でも、こうして無事に帰って来ることができましたよ」
七神 リン「そうは言っても、怪獣退治はいつも危険と隣り合わせなんです! 今度また【トリニティ】の方たちと【アビドス】に渡ることになっているじゃないですか! 私は今でも反対です……!」
北条先生「もう決まったことじゃないか」
扇喜 アオイ「先生!」ジトー
北条先生「ん」
扇喜 アオイ「挨拶。ちゃんと言ってあげてください」
北条先生「あ、そうだった」
北条先生「ただいま、七神さん。帰ってましたよ、【シャーレ・オフィス】に」
七神 リン「はい。おかえりなさい、先生」ポタポタ・・・
北条先生「え、ええ? 泣かないでくださいよ、七神さん?」
七神 リン「え、いや、泣いてないです、私……」
扇喜 アオイ「まったく……」
――――――未調査領域を踏破するまでアビドス遠征はまだまだ終わらない。それどころか、怪獣無法地帯と化している魔境に挑まなければならない前途多難。
ただ、今は無人の荒野を制する力よりも、人々の笑顔のために今できることを尽くしていくのみである。
そして、人々の笑顔を守る希望の光がこのキヴォトスの大地を照らし続けているのである。
2年前から更に絶望を深めていたはずの死せる【アビドス高等学校】を照らし、キヴォトスそのものを希望の光に包みこんだものが何なのかを見届けた戦場カメラマン:姫矢 ジュンは今日もアビドス砂漠を行く。
怪獣がいつ現れるかもしれない怪獣無法地帯には死にに行くつもりで多くの人たちが駆けつけているわけではなかった。
事実、滅亡を待つばかりの砂に埋れた街並みには人々の笑顔が溢れており、それに対してカメラを向けることに新たなやり甲斐を見つけることができた。
いつかまた地球に帰る時が来るまで、
世界は終わらない。人生はまだまだ旅の途中。キヴォトスの子たちの行く末も完全に決まったわけではない。
その行く末を照らす光――――――、人々が求め続ける光――――――、誰かのために存在し続ける温かな光――――――。
-Document GUYS feat.LXXX No.12-
古代地底獣:オカグビラ 登場作品『ウルトラマントリガー』第4話『笑顔のために』登場
深海怪獣:グビラの亜種と思われる四足歩行型の怪獣。グビラが陸上に完全適応し、地底で生きられるよう進化した同種族と推測されている。
通常の個体と違い、背中の班模様の黒い部分が岩石状のイボになっており、同様のイボが頭部にも見受けられ、体色も通常のグビラより若干褐色を帯びている。
一方で、陸に適応したためか潮は吹かなくなり、完全な陸棲生物として描写されている。
最大の武器は鼻先のドリルであり、地中を掘削しながら高速で突き進み、不意打ちで敵の背後に出現して突進攻撃を仕掛け、再び姿を消すドリルアタック戦法を得意とする。
また、意外なまでの跳躍力による突進力を誇り、劇中ではウルトラマントリガーを空中に吹き飛ばしたところを、自身も跳躍して追撃をし、無事に着地を決めており、ただの原始的な野生怪獣だと思って侮ることなかれ。
超古代の遺跡から発見された謎の神器に引き寄せられて地中から出現。GUTS-SELECTの面々は住処が海であるはずのグビラが地中から出現したことに驚愕していた。
ナースデッセイ号から盗み出した神器を持っていたイグニスを追いかけてイスタシティの市街地を荒らし回り、背中に乗ってしまったイグニスを空の彼方まで吹き飛ばしてしまった直後、ウルトラマントリガーと対峙し、地中への潜行や持ち前のパワーを生かしてトリガーを大苦戦させ、上空に吹き飛ばしたトリガーを大ジャンプして追撃するなど驚異的な身体能力を見せるが、
アキトが神器を持って走り回る誘導作戦に出たことで、トリガーそっちのけでアキトを追いかけてしまう。
その隙にトリガーが赤い剛力の姿:パワータイプにタイプチェンジし、力比べに持ち込まれると徐々に劣勢になり、最期はサークルアームズ・クローモードによる必殺技:デラシウムクローインパクトを叩き込まれて爆散した。
宇宙大怪獣:アストロモンス 登場作品『ウルトラマンタロウ』第1話『ウルトラの母は太陽のように』登場
東 光太郎が海外から持ち込んだチグリスフラワーという花が成長して誕生した、元々は宇宙に生息する宇宙大怪獣。
この幼体と言えるチグリスフラワーというのが、砂漠で百年に一度しか花を咲かせないとされる伝説の植物とされており、
その実態は、太古の昔、宇宙から地球へと飛来した宇宙植物の一種で、土の中から蔦を伸ばして捕えた動物の血を吸い取って成長する吸血植物であり、成長し切ると宇宙大怪獣:アストロモンスを生み出してしまう危険極まりない植物であった。
武器は右手のムチ:スネークビュート、左手の鎌、腹部のチグリスフラワーから出す溶解液。
また、腹の巨大なチグリスフラワーは同じ肩書きを持つベムスターと同様に捕食器官にもなっており、これにより超獣:オイルドリンカーを捕食してしまっている。
鈍重そうな外見と植物由来という出自に似合わず、空をマッハ3で飛行する能力を持ち、地底の場合は60kmで移動できる。
また、怪獣よりも強い超獣より更に強い大怪獣としての戦闘能力を有しており、超獣:オイルドリンカーを一方的に嬲り殺しにした。
劇中では、そうとは知らずに東 光太郎が白鳥船長からチグリスフラワーの球根を譲り受け、日本へ帰国して東京湾の埋立地にボクシングの縁起担ぎとして植えると瞬く間に急成長。すぐに真っ赤な花を咲かせ、花粉を大量に辺り一面にまき散らし、増殖していく。
結果、急激に成長したチグリスフラワーはこの時点で危険な肉食植物としての本性を表し、触手によって光太郎の飼っていた犬を捕食、更にはZATの戦闘車両:ラビットパンダにも襲いかかるも電気ショックで撃退される。
そして、襲った直後に全て焼却処分されてしまい、地中へと埋められるが、時既に遅く成長し切っていたようで、地下深くで既にアストロモンスは誕生していたらしく、地中から怪獣が出現することになってしまった。
これを超獣:オイルドリンカーの仕業と誤解したZATによってスーパーナパームを投下され、地表部分は焼却された。
しかし、根絶には至らず地下の本体を温存したまま逃走を果たす――――――。
そして、ZATとオイルドリンカーの戦闘中に怪獣態として出現し、オイルドリンカーに猛攻を加え、腹部のチグリスフラワーによって捕食して何処かへ飛び去る。
数日後、霞が関のZAT本部の窓から見えるほどすぐ近くに再度出現。ZATの電気ショック作戦を物ともせず、ムチでZAT本部を直接攻撃を加える。
その後、初登場したウルトラマンタロウと戦闘になり、奮戦するも最後は尻尾を掴んで投げ飛ばされた挙句、ストリウム光線で爆散した。ウルトラ兄弟最強の肉体は伊達ではなかった。
ハザードマップの提出命令を無視し続ける【アビドス高等学校】の安否確認から未調査領域100%のハザードマップを完成させるため、【キヴォトス防衛軍】によるハザードマップ完成を企図したアビドス遠征の最中に地底怪獣:オカグビラと共に宇宙大怪獣:アストロモンスは出現することになった。
これにより、アビドス自治区は空からはガゾート、地上にはアストロモンス、地底からはオカグビラが現れるという買い手が二度とつかないだろう怪獣無法地帯と化し、
皮肉にもそうした情勢から、数十年前からの陰謀のために【アビドス高等学校】を借金漬けにして土地の所有権を買い叩いていた【カイザーコーポレーション】が危機に陥る結果となった。
なにしろ、土地の管理者としてハザードマップの作成と提出が義務化されているのだから、今すぐにでも土地を放棄したいと現場は逃げ出したくなっていることだろう。
早朝、オカグビラの出現と同時に吸血植物:チグリスフラワーの脅威に晒された【ゲヘナ学園】の部隊の救出に向かったことでオカグビラからの追撃を受けることになったが、チグリスフラワーが伸ばす蔦に足を絡め取られたオカグビラは体液を吸いつくされて干からびることとなった。
そこに現れたのが3体のアストロモンスという絶望的な状況であり、アビドス遠征が即刻中断に追い込まれる事態となってしまった。
そこから【キヴォトス防衛軍】の怪獣退治に切り替わり、【アビドス】全域を襲う通信障害によって機龍丸やGUTSファルコンによる作戦行動が不可能ということで厳しい状況に追い込まれてはいたものの、
2人のウルトラマンの共闘と【アーカイブドキュメント】の知識により、1+1=2ではなく、1+1=∞であることを示すかのように、変則的な2対3の戦いを制することになった。
しかし、怪獣より強い超獣より更に強い大怪獣を3体相手するのに体力を消耗していたところに、別のオカグビラが奇襲を仕掛けてくることになり、意外なまでの実力の高さに大苦戦。
ところが、温泉開発の新たな道具としてオカグビラに目をつけていた【温泉開発部】鬼怒川 カスミの指揮の下、ウルトラマンを囮にしたオカグビラの包囲網が形成され、オカグビラを四方八方から狙撃して動きが鈍ったところをドリルライナー号で土手っ腹に風穴を開けて致命傷を追わせることに成功する。
実質的に怪獣を倒した栄誉が【温泉開発部】に与えられることになり、断末魔の悲鳴を上げるオカグビラを介錯するべくウルトラアイスポットでオカグビラの脳髄を焼き切ることになった。
アストロモンスに捕食されていたオカグビラの意外なまでの強さが発揮されることになり、結果としてオカグビラも決して侮れない怪獣として記憶されることになり、アビドス砂漠が怪獣無法地帯の魔境と化した要因の1つとなり得た。
なお、臓腑を抉られて絶命したオカグビラの遺骸は【キヴォトス防衛軍】が回収し、功労者である【温泉開発部】鬼怒川 カスミの指示で解剖されることになり、更なるドリルの強化に役立てられたとか。