Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

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EP07 キヴォトスから銃声が消えた日 -光遍-

 

チェロ弾き「始めよう。これが最後のコンサートだ」

 

 

 

 

 

――――――セミプロの楽団が観客がいない劇場で演奏を始める。その音は美しいと言うよりも不協和音に近い導入から始まった。

 

 

 

 

 

ロボット職員「演奏が始まりましたか」

 

錠前 サオリ「あれが終わったら、次の部で姫が歌うんだな」

 

秤 アツコ「うん」

 

守月 スズミ「……ですが、劇場内に不審な装置が置かれていましたね」

 

錠前 サオリ「ああ、2つほど見つけてコーイチが確認してくれたから大丈夫だと思うが、あからさまに不審物であることを見せつけるような隠し方で驚いたぞ」

 

ロボット職員「………………」

 

秤 アツコ「ねえ、コーイチ? 装置を解析して何かわかった?」

 

ロボット職員「…………高度にブラックボックス化された超高性能な通信機のようです。しかし、同時にキヴォトス産のミレニアム系列の製品も使ったお手製のアマチュア無線機のようなものでもあります」

 

ロボット職員「どうも設定としては何らかのデータを受信して外部に送信しているらしいことはわかりました」

 

守月 スズミ「……怪しくないですか、それ? 劇場のライブ配信に使っている機材なわけないですよね?」

 

ロボット職員「ですから、指紋データの採取は実施済みです。これは外部の人間の侵入の痕跡ですから」

 

ロボット職員「ともかく、中継機としての機能を停止したので外部への送信は止めました。あとは受信しているデータを解析すれば、何のための通信機なのかが見えてくるはずです」

 

ロボット職員「――――――ネットワークセキュリティ用のタブレットでデータを確認しますね」

 

守月 スズミ「お願いします」

 

ロボット職員「……ん? このデータ容量は? このデータ形式は? これは音声データのライブ配信?」

 

錠前 サオリ「今の時間に劇場でライブ配信しているのは、コーイチが招待したセミプロの楽団の演奏だぞ?」

 

ロボット職員「……逆探知。あ、できちゃった」

 

ロボット職員「どうやら、劇場のライブ配信の音声データを転送しているみたい」

 

守月 スズミ「それって……」

 

秤 アツコ「何のために?」

 

錠前 サオリ「コーイチ、確認しておきたいことがある」

 

ロボット職員「はい」

 

 

錠前 サオリ「この劇場で先生が開催した音楽フェスティバルのライブ配信をするのを知っている人間は限られているよな?」

 

 

ロボット職員「はい。この劇場は先生と、セミプロと、アツコさんしか使わせないようにしてあります」

 

守月 スズミ「そうですよね。私たちも裏口から入ってますから。関係者以外立入禁止ということでエントランスは開いてません」

 

ロボット職員「一応ね、劇場を貸し切りにするにあたって安全対策と見回りもしていたわけだから、こんなものが目立つように置かれているはずないんですよね」

 

秤 アツコ「じゃあ、これを置くことができるのは私たち以外だと――――――」

 

錠前 サオリ「そういうことになるな」

 

守月 スズミ「え、でも、音楽フェスティバルのプログラムはライブ配信されているんですから、する意味がないじゃないですか! しかも、音声データだけを抜き取ることに何の意味が?」

 

ロボット職員「…………どういうことだろうね」

 

 

――――――その時、【メトロポリス(首都:D.U.)】方面に落ちた超巨大隕石γから怪獣が現れたとの速報が流れた。

 

 

ロボット職員「やはり、あの隕石は大きさから言って怪獣カプセルだったわけですか。先生の見立て通りです」

 

守月 スズミ「でも、あらかじめ包囲してすぐに対応できるようにしていましたから、サーモバリック爆弾が直撃です」

 

錠前 サオリ「だが、油断は禁物だ。サーモバリック爆弾だけで怪獣を倒した事例は未だにないのだからな」

 

ロボット職員「現在、出現した怪獣と隕石の分析結果が私の元にも送られていますね」

 

 

ロボット職員「――――――『怪獣が現れる直前に謎の怪音波が検出されている』だって?」

 

 

ロボット職員「……この波形は? この抑揚は? このリズムは?」

 

秤 アツコ「……コーイチ」

 

ロボット職員「いや、そんな馬鹿な……」

 

錠前 サオリ「なあ、コーイチ?」

 

ロボット職員「嘘だ! そんなことがあるわけが――――――」

 

秤 アツコ「待って! あれ!」

 

 

守月 スズミ「――――――装置が浮いている!?」

 

 

ロボット職員「こっちもです! 凄い力だ!」ググググ・・・!

 

錠前 サオリ「スズミ!」ポイッ

 

守月 スズミ「あ、はい!」パシッ

 

錠前 サオリ「サーモバリック手榴弾だ! そいつでコーイチが持っている謎の装置を破壊しろ!」

 

錠前 サオリ「私は浮き上がった装置を追う!」ダダッ

 

守月 スズミ「わかりました!」

 

ロボット職員「そういうことでしたら、外付けの部分を強制放電させてクラッシュさせましょう! 離れてください!」バチバチバチ・・・

 

ロボット職員「これでいいでしょう」プシュー・・・

 

ロボット職員「おや、クラッシュして破損させたせいか、さっきまでかかっていた持ち上げる力がなくなりましたね」

 

守月 スズミ「――――――!」

 

守月 スズミ「あの、ガリバーさん!」

 

ロボット職員「うん」

 

ロボット職員「ここは任せて各々が成すべきことを果たしてください!」

 

 

――――――終わったら劇場ホールに集合してください!

 

 

謎の怪音波の発生と共に隕石から怪獣が現れたのを聞き、【シャーレ・オフィス】からそう遠くない場所にある首都:D.U.に存在する劇場に音楽フェスティバルのために来ていたロボット職員:マウンテンガリバーたちは劇場内に目立つように隠されていた謎の装置を巡って暗闘を繰り広げることになった。

 

まず、【アリウススクワッド】錠前 サオリは目の前で種も仕掛けもなく浮き上がった装置を追って駆け出しており、走りながら拳銃で装置を撃ち抜いてボロボロと外装が崩れていくことになったのだが、それでも浮遊する物体は勢いが止まることない。

 

次に、【トリニティ自警団】守月 スズミもまた劇場内に隠されていた音声データを送信する装置と怪音波と共に現れた隕石怪獣との繋がりを直感的に疑うことになり、キヴォトスに落ちた隕石が3つであることから、まだ劇場内に隠された1個が残っているのではないかと駆け出した。

 

そして、本来は次の部で劇場で歌を披露するはずだった秤 アツコはロボット職員:マウンテンガリバーと共に劇場ホールを見下ろす調整室に足を運ぶことになり、そこで状況の確認とそこからの策を考えることになった――――――。

 

 

 

ズバババババ・・・! チュドーーーーーン! ズバババババ・・・! ズバババババ・・・!

 

 

 

セミ人間「グワアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

錠前 サオリ「――――――お前たち、キヴォトス人じゃないな!」

 

錠前 サオリ「さすがにその姿は獣人ではあるまい? バム星人と同じか! お前たちの擬態にはヘイローがない!」

 

錠前 サオリ「しかも、バム星人と同じで1発でも中たれば致命傷になるか! なら、物の数ではない!」

 

セミ人間「シネェ!」

 

錠前 サオリ「とは言え、多勢に無勢か!」

 

錠前 サオリ「奇妙なものを使う! 手も触れずに離れた場所から装置を引っ張り寄せるという!」

 

錠前 サオリ「私たちキヴォトス人に銃弾の効果が薄いとわかれば、それでガラス片や自動車の部品をぶつけてこようとする!」

 

錠前 サオリ「いや、隠れている場所も見破られている! 周りから瓦礫が襲いかかってくる以上、足を止めたら最後だ!」

 

錠前 サオリ「……とんでもないな、侵略宇宙人の技術力は。それだけじゃなく、視えているんだ、やつらには」

 

錠前 サオリ「四次元空間から侵略してくるバム星人と言い、とてもじゃないが、【アリウス】だけで対処しきれる相手ではない」

 

錠前 サオリ「だが、ここで装置を奪い返さないと、隕石から怪獣が現れる可能性が高い!」

 

錠前 サオリ「何としてでも――――――」

 

 

バキューーーーーン! バララララ・・・!

 

 

セミ人間「グワアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

錠前 サオリ「!」

 

錠前 サオリ「――――――UH-60(ブラックホーク)! あれは【RABBIT小隊】か!」

 

錠前 サオリ「ということは、コーイチが【シャーレ】の権限で応援要請してくれたか!」

 

空井 サキ「RABBIT2、現場に到着した! 援護するぞ、【アリウススクワッド】!」

 

月雪 ミヤコ「RABBIT1、前方に多数の敵を確認、これより対処します」

 

錠前 サオリ「気をつけろ! やつらはバム星人と同じでヘイローがない擬態をして、同じように1発の弾丸が致命傷になる代わりに、手を触れずに私たちの周りにある瓦礫やガラス片で襲いかかってくるぞ! 足を止めるな!」

 

空井 サキ「なら、逃げ回るよりも3人で突入するぞ! RABBIT3(風倉 モエ)、火力支援を頼むぞ!」

 

月雪 ミヤコ「RABBIT4(霞沢 ミユ)も引き続き援護射撃を!」

 

錠前 サオリ「何としてでもここは制圧する!」

 

 

劇場の外に飛んでいった装置を単身で追いかけた【アリウススクワッド】錠前 サオリはヘイローのない謎の武装集団と交戦状態になり、真正面からの撃ち合いで何人かがバム星人と同様に1発の銃弾で致命傷になって恐るべき異形の骸を晒し、即座に今回の隕石怪獣の出現が侵略宇宙人によるものだと理解した。

 

しかし、バム星人よりも手強かったのは手も触れずに劇場にあった装置を外から引き寄せた小型万物操作機:エスパライザーによるテレキネシスが使える点であり、キヴォトスで流通している銃器でキヴォトス人が即死しないことを仲間たちが薙ぎ倒されていくのを目の当たりにして、瓦礫やガラス片などをぶつける作戦を展開してきたのである。

 

これがなかなかに数の利を活かした作戦であり、遮蔽物に身を隠していると周囲の物体が音もなく飛んでくるので銃弾で即死しないキヴォトス人にしても生命の危機を感じさせるのには十分であり、隠れている場所が丸わかりな上に足を止めたら周囲の物体が容赦なく襲いかかってくるので、戦闘力では侵略宇宙人を圧倒しているはずの錠前 サオリは多勢に無勢の消耗戦を強いられてしまっていた。

 

そこに駆けつけたのが、最初の侵略宇宙人:バム星人の隠れ家を次々と摘発してきた実績を持つ【シャーレ】のロボット職員:ガリバーが手ずから鍛え上げた【SRT特殊学園】の特殊部隊【RABBIT小隊】であり、【RABBIT小隊】のヘリコプター(RABBIT3)狙撃手(RABBIT4)による支援射撃も加わったことで形勢逆転となった。

 

こうなると、地球人を凌駕する戦闘能力を持つキヴォトス人の独壇場であり、いくらテレキネシスで周囲の物体をぶつけられるとは言え、所詮は目で追える程度の速さでしか動かせず、真正面からの撃ち合いに再び持ち込まれたらキヴォトス人に劣る地球人と大差ない戦闘能力の侵略宇宙人に勝ち目はなかった。

 

そして、劇場の外に展開していた侵略宇宙人を制圧したのを確認すると【RABBIT小隊】隊長:月雪 ミヤコと【アリウススクワッド】のリーダー:錠前 サオリが握手を交わす。どちらも悲惨な状況から【シャーレ】の庇護下に置かれて【シャーレ・オフィス】で顔を合わせることになった仲であり、こうして突発的な共同作戦でも息を合わせることを可能としていた。

 

それから未確認の侵略宇宙人がテレキネシスで回収していた装置:怪音波の発信源を取り戻すと、RABBIT4:風倉 モエと協力して爆破処理するのであった。

 

 

――――――これにより、【百鬼夜行】方面に出現した隕石怪獣:ガラモンβは完全に機能を停止することになった。

 

 

 

 

 

シュワ!

 

 

一方、【百鬼夜行】に出現した隕石怪獣:ガラモンβから敵の正体と対策を情報共有したのを確認した北条 アキラはウルトラマンに変身しており、ガラモンβを単独で圧倒していた。

 

隕石怪獣:ガラモンのことは史上初の侵略宇宙人が地球征服に繰り出した侵略兵器ということでたしかに知っていたが、記録(モノクロ)が古すぎて実物(総天然色)を見てもすぐに思い出せなかったことで即座に対策が出てこなかったのを巻き返すべく、弱点さえわかってしまえば頑丈なだけのラジコン操作のロボット怪獣の対処を手短に済ませてしまった。

 

変身直後にサクシウムエネルギーを固形化したウルトラレイランスを両手で叩きつけるのだが、実弾攻撃も光学兵器も通用しないチルソナイトのあまりの堅さに弾き返されるどころかウルトラレイランスが圧し折られてしまっていた。

 

しかし、圧し折られたウルトラレイランスをかまわずガラモンβの口に突っ込ませて怯ませた一瞬に、喉の奥に突っ込まれたレイランスを取り除こうとするガラモンの右腕を掴んで、赤熱化させた右手の手刀(ウルトラチョップ)でチルソナイト製の腕を切断したのである。続けて左腕――――――。

 

それには生徒会長として【ミレニアムサイエンススクール】の実働部隊を率いながら現場に司令部を置いて作戦全体の戦況を把握していた“ビッグシスター”調月 リオも息を呑んだ。同時刻、【メトロポリス(首都:D.U.)】方面でガラモンγと交戦中の【万魔殿】保有の対怪獣特殊空挺機甲(特空機):機龍丸が大苦戦していたのとは大違いであるのだから。ウルトラマンの強さは隔絶していた。

 

実は、こんなことができるのもウルトラマンメビウスをあらゆる光線技を反射して一度は敗退させた光波宇宙人:リフレクト星人をウルトラマンレオが素手で部位破壊して(ハンドスライサー)、最終的に2人のダブルキックで撃破したという過去の事例を学んでいたから迷うことなくできたのだ。

 

しかも、今回のガラモンは地球の怪獣頻出期から時を経た新型なのか、防御不可の超音波攻撃が可能だったのだが、怯ませる目的で折れたウルトラレイランスを口に突っ込んでいたことで知らずに封じていたのだから、同時刻の機龍丸の大苦戦と比較して観測している【キヴォトス防衛軍】からすれば、的確に相手の強みを潰しているようにすら視えていたのだ。

 

あとは両腕を切り落とされたガラモンβを足払いして転倒させたところでバタつかせる両脚を掴んでジャイアントスイング(ウルトラスウィング)で天高く投げ飛ばすと、ウルトラマンは大地を蹴って自分で投げ飛ばしたガラモンβと共にそのまま空の彼方に消えていったのだった。やがて圏外となったガラモンβは静かになった。

 

 

――――――これにより、【百鬼夜行】方面に出現した隕石怪獣:ガラモンβの脅威は先に取り除かれていたのだった。

 

 

 

 

 

どうやら、劇場で僕たちがやったことが少なからず【キヴォトス防衛軍】(怪獣退治)の助けになっていたことを司令部で情報処理を担当しているリオ会長から聞くことができて安心した。

 

隕石怪獣:ガラモンは3体同時に現れるはずだったが、ガラモンを送り込んできた侵略宇宙人はバム星人の侵略兵器:メカギラスを改修した対怪獣兵器:機龍丸の存在を知らなかったため、【ゲヘナ】に落ちた隕石αが空間トンネルで射爆場に転送されたことで圏外になったガラモンαは起動に失敗。

 

結果、【百鬼夜行】に現れたガラモンβはウルトラマン80が、【メトロポリス(首都:D.U.)】のガラモンγを対怪獣特殊空挺機甲(特空機):機龍丸が対処することになった。

 

ガラモンβはウルトラマンにあらゆる攻撃を防ぐ装甲でできた両腕をまさかの素手で切り落とされて後に空の彼方へと持ち去られたことで、初出撃となった機龍丸もまた正面装甲を引き裂かれながらも先生が手懐けた宇宙怪獣:ノイズラーの助けも受けて動きが停まったガラモンγを射爆場に転送することで勝利をもぎ取った。

 

 

――――――全てのガラモンが尽く圏外に移動させられたことによって侵略宇宙人は操作不能になったわけである。

 

 

長いようで短い時間で起きたキヴォトスの存亡を賭けた戦いは幸運にもラジコン操作のロボット怪獣:ガラモンの弱点を突くことで【キヴォトス防衛軍】の勝利となった。

 

その裏で、そうとは知らずにガラモンを操る怪音波を送信する怪しい装置の停止と破壊を僕たちがしたことによって、キヴォトスに送り込まれたガラモンが3体同時に起動するという最悪の状況を未然に防いでいた功績はあまり知られることはないだろう。

 

そう、それはいつものことであり、それこそが僕が待ち望んだ光の巨人がキヴォトスに現れるまでに重ねてきた出会いと別れを繰り返す日々だった。

 

全ては先生が言っていた通りだった。先生が現れてからこれから失われるものはないのだと自惚れていた僕への罰なのだろう。

 

そうとも、僕は救いたい命を救う力がなかった大罪人なのだから、僕なんかが神であるはずがない。

 

それでも、届けたい想いがあったからこそ、こうして僕は僕が待ち望んだ光と共にある。

 

 

――――――ウルトラマンは神ではない。どんなに頑張ろうと、救えない命もあれば、届かない想いもある。

 

 

 

 

 

パチパチパチ・・・

 

 

チェロ弾き「――――――」 ――――――アンサンブルを終えて観客席に一礼。

 

ロボット職員「……さあ、アツコさん」

 

秤 アツコ「はい」

 

ロボット職員「先生は 只今 怪獣退治に出動しておりますので、代わって司会進行をさせていただきます」

 

ロボット職員「それでは、花束を贈呈させていただきます」

 

ロボット職員「今日は遥々キヴォトスにお越しになり、素晴らしい演奏をありがとうございました」

 

秤 アツコ「どうぞ」パッ

 

チェロ弾き「こちらこそ、お招きいただき、ありがとうございました」ニコッ

 

ロボット職員「以上を持ちまして、アンサンブルの部は終了です。次の部までの休憩時間に入らせていただきます」

 

ロボット職員「もう一度、盛大な拍手をお願いします!」

 

 

パチパチパチ・・・

 

 

チェロ弾き「………………」

 

ロボット職員「………………」

 

秤 アツコ「……あの、他の人たちは先に行きましたよ?」

 

チェロ弾き「ああ、いいんだ」

 

 

チェロ弾き「これで楽団は解散だ。みんな好きに生きてくれ。元気でな」

 

 

秤 アツコ「どういうことですか、それ」

 

ロボット職員「……ずっと音楽の道を歩んできたセミプロの仲間なのに?」

 

チェロ弾き「………………」

 

ロボット職員「あの頃、あの場所に行くと、いつも快く迎え入れてくださり、生演奏を聴かせて貰っていました」

 

ロボット職員「僕は銃声と爆発音が鳴り止まないキヴォトスでこの楽団の演奏に勇気づけられて、今日まで生き永らえることができました」

 

ロボット職員「そして、こう言ってくれましたよね?」

 

 

――――――好きなように楽しんだらいい。

 

 

ロボット職員「使命を帯びてロボットの身体になって ただ孤独の時を過ごしていく中で、自分が記憶している人間らしさが失われていく恐怖に怯える心を、音楽の力で救ってくれたのに……

 

ロボット職員「音楽をもっと好きになったのは皆さんと出会ったからです。あの頃の思い出は、今でも宝物です」

 

ロボット職員「ううん。音楽だけじゃない。失敗続きの僕だけど、それでも大事なものを守りたくて、届けたい想いがあって、『本当はこうすべきだった』『ああすべきだった』と悔やみきれない後悔をし続けている僕だけれども、()()()()【シャーレ】で我武者羅な日々を送る勇気を与えてくれた……

 

 

ロボット職員「だから、どうして!? どうしてあなたたちが怪獣を操っているんですか!? 僕に勇気をくれた音楽で!?」

 

 

秤 アツコ「……コーイチ」

 

チェロ弾き「………………」

 

ロボット職員「答えて欲しい! さもないと、僕は年来の友人と思っているあなたのことを撃たなくちゃいけなくなる!」

 

チェロ弾き「()()()()()

 

ロボット職員「何が!?」

 

チェロ弾き「もうわかっているとは思うけれど、我々はこの星の人間ではないからね」

 

チェロ弾き「宇宙のあちこちに同胞をばら撒き、呼び寄せ、奪いつくし、去っていく――――――」

 

チェロ弾き「それが我々チルソニア遊星人だ。この星で装置を起動させ、呼び寄せた。後は奪うだけだった……」

 

ロボット職員「――――――『チルソニア遊星人』? そんな、やっぱり、侵略宇宙人、ずっと昔から?」

 

 

チェロ弾き「だが、出会ってしまった。音楽に」

 

 

ロボット職員「え」

 

秤 アツコ「………………」

 

チェロ弾き「あれは蓄音機で再生されていたレコードだった」

 

チェロ弾き「我々はすっかり夢中になってしまった。ついには自らの手で、奏でたくなってしまうほどに」

 

チェロ弾き「だから、我々は隕石に擬態して先に送り込まれた電子頭脳を秘密裏に回収して解体して、ただただ音楽に打ち込んで魅了される満ち足りた毎日がずっと続くことを祈り続けてきた」

 

ロボット職員「……なんだって?」

 

秤 アツコ「じゃあ、おじさんたちは本当は――――――」

 

チェロ弾き「しかし、時は来てしまった」

 

 

バーーーーーーン!

 

 

錠前 サオリ「姫! コーイチ! そいつに近寄るな! そいつらはバム星人と同じく擬態している侵略宇宙人だ!」

 

秤 アツコ「サッちゃん!」

 

錠前 サオリ「――――――一人だけか!? 楽団のメンバーがあと何人かいたはずだ! どこに行った!?」

 

月雪 ミヤコ「抵抗は無意味です。すでに全ての隕石怪獣の無力化に成功し、劇場の外に隠れていた侵略宇宙人は私たちが制圧しました」

 

ロボット職員「サオリさん! ミヤコさん!」

 

チェロ弾き「……そうか。さすがだ。強い子たちだ」フフッ

 

月雪 ミヤコ「動かないでください!」ジャキ!

 

 

チェロ弾き(セミ人間)「さあ、撃ちなさい!」ドン ――――――セミ人間としての異形を一部見せながら胸を張って的になる。

 

 

ロボット職員「その腕――――――」

 

錠前 サオリ「!!?!」

 

月雪 ミヤコ「……どういうつもりですか!?」

 

 

秤 アツコ「やめて、サッちゃん!」バッ ――――――チェロ弾き(セミ人間)の前に立つ!

 

 

錠前 サオリ「ひ、姫ッ!?」

 

チェロ弾き(セミ人間)「……お、お嬢さん?」

 

ロボット職員「アツコ!」ガシッ

 

 

秤 アツコ「おじさんたちは私たちと同じだった! おじさんたちも音楽に出会ったことで本当の幸せが欲しくて頑張って生きてきたの!」

 

 

秤 アツコ「だから、この人たちは【アリウス】を裏切った私たちと同じ! 怪獣災害を通じて私たちが先生に出会って虚無の代わりに愛と勇気を教わったように!」

 

秤 アツコ「この人たちを撃ったら、私たちも救われない! 命令に生きることを止めた裏切り者に訪れる未来は変えられない!」

 

秤 アツコ「誰とも変わらない心がこの人たちにもあるんだよ!」

 

錠前 サオリ「――――――!」

 

ロボット職員「………………ミカ

 

秤 アツコ「お願い、サッちゃん! コーイチ! みんな!」

 

チェロ弾き(セミ人間)「……お嬢さん」

 

錠前 サオリ「くっ」

 

ロボット職員「……アツコ」

 

月雪 ミヤコ「だ、だからと言って、この状況、いったいどうすればいいんですか?」

 

 

守月 スズミ?「……あの、今 これって、いったいどういう状況なんですか?」ガチャ・・・

 

 

ロボット職員「スズミ!」

 

守月 スズミ?「3つ目の装置を発見して爆破処理して、集合場所の劇場ホールに駆けつけたわけなんですが……」

 

守月 スズミ?「どうしてガリバーさんが招待した楽団の方を撃とうとして、秤 アツコさんとガリバーさんが盾になろうとしているんですか?」

 

ロボット職員「!」

 

ロボット職員「そうだ! 全員、そのまま!」

 

チェロ弾き(セミ人間)「えと……」

 

ロボット職員「理由を言ってください。なぜこの場で撃たれようとしているのかを。でないと、あの装置の回路を焼き切った電気ショックを流しますよ」ガシッ

 

ロボット職員「答えてください。これはあなたの幸せ、ここにいる少女の幸せのためにも」

 

ロボット職員「いや、生きてください。僕の心はあなた方が奏でた音楽で幾度となく癒やされ、救われてきました」

 

ロボット職員「今度は僕が救う番なんです」

 

チェロ弾き(セミ人間)「………………」

 

チェロ弾き(セミ人間)「………………」ポタポタ

 

秤 アツコ「お、おじさん?」

 

チェロ弾き(セミ人間)「――――――言葉の調べもまた音楽」

 

チェロ弾き(セミ人間)「この宇宙に音を出す生物はたくさんいる」

 

チェロ弾き(セミ人間)「でも、きみたちは、音を、音楽を純粋に楽しむことができ、」

 

チェロ弾き(セミ人間)「その素晴らしさを言葉で伝え合い、心でわかりあうことができている」

 

チェロ弾き(セミ人間)「ああ、消えてしまわなくてよかったよ」

 

チェロ弾き(セミ人間)「ありがとう!」

 

 

 

 

 

チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 

 

パラパラ・・・

 

 

錠前 サオリ「な、何が起こった!?」ゲホゲホ

 

錠前 サオリ「姫! 姫! 大丈夫か!?」

 

秤 アツコ「あ」

 

チェロ弾き(セミ人間)「うぅ……」

 

ロボット職員「大丈夫ですか?」

 

秤 アツコ「コーイチ!?」

 

ロボット職員「ロボットですから。この程度の瓦礫なんかビクともしませんよ」

 

ロボット職員「2人共、無事です! サオリさん、ミヤコさんの方は!? スズミさん!?」

 

月雪 ミヤコ「こちらは大丈夫です! 劇場ホールの崩落に巻き込まれていません!」

 

月雪 ミヤコ「でも、突然いったい何が――――――?!」

 

錠前 サオリ「あ、あれは――――――!?」

 

 

秤 アツコ「――――――あれって侵略宇宙人のUFO?」

 

 

ロボット職員「くっ! 撃ち落とせるか、RABBIT3,RABBIT4!?」

 

チェロ弾き(セミ人間)「あれは任務に失敗した者を粛清するために送り込まれたチルソニア遊星人の宇宙船です」

 

チェロ弾き(セミ人間)「狙いは裏切り者の私です。私のことは置いて逃げてください。それだけで済みます」

 

秤 アツコ「だ、ダメ!」

 

ロボット職員「そんなことはできない!」

 

チェロ弾き(セミ人間)「安心してください。チルソニア遊星人の侵略はロボット怪獣による破壊と支配です」

 

チェロ弾き(セミ人間)「裏返せば、ロボット怪獣による侵略に失敗すれば、失敗の責任を現場に送り込んだエージェントにとらせて終りとなるのです」

 

チェロ弾き(セミ人間)「つまり、私が死ねばキヴォトスは平和になります」

 

 

チェロ弾き(セミ人間)「さあ、裏切り者はここだ!」ドン! ――――――崩落した劇場ホールの天を仰ぐ。

 

 

秤 アツコ「だ、ダメええええええ!」

 

錠前 サオリ「に、逃げろ! 姫えええええええええ!」

 

ロボット職員「や、やめるんだ! やめてくれ! やめろ……!」

 

ロボット職員「僕はまた救えないのか!? 目の前で消える命を!

 

 

――――――どうして僕だったんだろう? どうして僕に? どうして僕が?

 

 

こうして僕は新しい出会いの果てに新しい別れも幾度となく繰り返してきた。

 

その度に無力感に苛まれ、心が擦り切れ、精神が摩耗し、段々と【アリウス】で教え込まれている虚無に染まりそうになる。

 

それでも、全てを投げ出さずに苦しみを背負い続けているのは、それ以上に受け容れられない絶望を否定するためにあきらめてはならないからだ。そのために僕はここにいる。

 

あきらめることができたら、どれだけ楽だったか。理不尽な現実や苦しみから逃げることができたら、どれだけ幸せだったか。

 

実際、こんなことは起きたことなんてない。隕石怪獣:ガラモンなんて知らない。昔からキヴォトスにやってきて演奏しに来ていたセミプロの楽団が侵略宇宙人:チルソニア遊星人だったなんて――――――、何もかもが狂っている。むしろ――――――。

 

そして、力をなくした僕は周りと同じように逃げ惑うだけ。喚き散らすだけ。何もできないことを見ていることしかできない。力を失って生き延びた代償は更なる無力感で生きていることを苛んでくる。

 

 

状況としては【キヴォトス防衛軍】は隕石怪獣:ガラモン3体の無力化に成功し、侵略宇宙人:チルソニア遊星人に勝利したわけであり、キヴォトス中で怪獣退治が終わったことの歓喜に満ちていたはずだった。

 

しかし、突如として首都:D.U.の劇場の真上に未確認飛行物体が飛来し、チルソニア遊星人のUFOが劇場ホールを攻撃し、天井が崩落した劇場ホールからは侵略宇宙人のUFOが今まさに周囲を巻き込んで裏切り者を粛清しようとしていたのだ。

 

そう、本当ならば【キヴォトス防衛軍】の戦力を諸共しないチルソナイトの鉄壁の防御を誇るガラモンなのだ。【キヴォトス防衛軍】の迎撃を無視して3体同時に各地で暴れ回るだけでもキヴォトス中を絶望に陥れることができていたはずなのだ。

 

いや、それを言うならば、もっと早くに、それこそ【キヴォトス防衛軍】が結成される遥か以前に隕石怪獣がキヴォトスの大地を踏み潰していたはずであり、そうならなかったのは文化の力によるものであり、人知れず音楽がキヴォトスを救っていただなんて誰にも予測ができなかったことだろう。

 

 

――――――先生の教えた愛と勇気は本当に正しかった。本物の先生が教育の意味を、文化の価値を、平和への道を教えてくれていたんだ。

 

 

 

 

 

月雪 ミヤコ「……迎撃は不可能」

 

錠前 サオリ「……くそっ! せめて、ギャラクシー・スナイパーライフルさえあれば!」

 

守月 スズミ?「――――――来た」

 

 

シュワ!

 

 

秤 アツコ「あ」

 

ロボット職員「あれは――――――!」

 

チェロ弾き(セミ人間)「――――――ウルトラマン80」

 

 

――――――それは呆気ない幕切れだった。チルソニア遊星人のUFOは空の彼方からやってきたウルトラマン80のウルトラスパイラルビームで撃墜されたのだ。

 

 

両腕を切断したガラモンβを宇宙で処分してすぐにD.U.の劇場にて隕石怪獣を送り込んできた黒幕であるチルソニア遊星人の暗躍を察知し、全速力で地上に引き返してきたのだ。

 

以前に【百鬼夜行】上空に出現したアブドラールスのUFOを撃墜し損なった雪辱を果たすかのごとく、今度はチルソニア遊星人のUFOに直撃させることに成功し、火花を散らして空中で爆散する直下を身体を張って(ボディ硬化)劇場に居合わせた人たちを防護したのだった。

 

全てのガラモンの無力化に成功して宇宙怪獣:ノイズラーも満足して宇宙に帰ったところでホッと一息ついていた【キヴォトス防衛軍】としては首都:D.U.に侵略宇宙人のUFOが攻撃してきたことはまさに寝耳に水であったのだが、またしてもウルトラマンに守ってもらえたことに深く感謝する他なかった。それは現地で護られた人たちも例外なく。

 

 

チェロ弾き(セミ人間)「ごめんね、お嬢さん。次はお嬢さんの番だったのに」

 

秤 アツコ「ううん。おじさんが無事で良かった」

 

月雪 ミヤコ「本当に紙一重のところでウルトラマンに助けられましたね」

 

錠前 サオリ「ああ。【キヴォトス防衛軍】の戦力が分散して各地のガラモンに対応している状況で、侵略宇宙人のUFOの対応まではできなかった」

 

ロボット職員「おそらく、ウルトラマンは【百鬼夜行】に現れたガラモンをどうにかした直後に駆けつけた様子だったから、少しでも遅れていたら……」

 

 

北条先生「おーい!」タッタッタッタ・・・

 

 

錠前 サオリ「先生!」

 

北条先生「まさか、劇場に敵のUFOが来るだなんて……」ゼエゼエ

 

北条先生「みんな、大丈夫ですか?!」

 

ロボット職員「人的被害はないです、先生」

 

北条先生「そうですか、本当に良かった……」

 

北条先生「けど、劇場がこうも破壊されたとなると、秤さんのライブ配信はできそうにないですね」

 

錠前 サオリ「それはしかたがないんだ。こんなことになるだなんて誰も予想ができなかったことだ」

 

月雪 ミヤコ「ですが、どうしましょうか? 今回の怪獣災害は侵略宇宙人:チルソニア遊星人によるものだったという自供がありました」

 

北条先生「つまり、バルタン星人似のセミ人間の仕業か」

 

錠前 サオリ「――――――せ、『セミ人間』?」

 

月雪 ミヤコ「あ、言われてみれば、あれはたしかにセミのような感じでした」

 

 

北条先生「少しお時間をいただいてよろしいですか?」

 

 

チェロ弾き(セミ人間)「はい」

 

秤 アツコ「先生……」

 

北条先生「これからどうなさるつもりですか?」

 

チェロ弾き(セミ人間)「わかりません。我々には侵略とこの星で得られた音楽しかありませんでした」

 

チェロ弾き(セミ人間)「そして、我々は侵略よりも音楽を選び、この日が来るまで音楽三昧だったんです」

 

チェロ弾き(セミ人間)「ですから、この宇宙から音楽がなくなることを防ぐために、先生、先生が率いる【キヴォトス防衛軍】の奮闘に賭けていたんです」

 

北条先生「だから、市街地でロボット怪獣が暴れ回ることはなかったのですね」

 

チェロ弾き(セミ人間)「ええ。今まさに音楽フェスティバルがキヴォトス中で行われているじゃないですか」

 

チェロ弾き(セミ人間)「お見事でした」

 

北条先生「なら、もういいじゃないですか」

 

チェロ弾き(セミ人間)「え」

 

北条先生「大丈夫です。これもキヴォトスの日常だと思えば、劇場の爆破ぐらいでは【矯正局】送りにはならないですから」

 

チェロ弾き(セミ人間)「いや、でも、それは……」

 

北条先生「なら、今はキヴォトスから離れてください」

 

チェロ弾き(セミ人間)「はい」

 

 

北条先生「そして、また来てください。新曲を待ってます」

 

 

チェロ弾き(セミ人間)「――――――!」

 

チェロ弾き(セミ人間)「はい!」

 

秤 アツコ「先生」ホッ

 

ロボット職員「………………」

 

錠前 サオリ「……これがうまい落とし所なんだろうな」

 

月雪 ミヤコ「そうですね。逮捕したところで【矯正局】でも手に負えないはずですし」

 

 

 

守月 スズミ?「…………北条 アキラ。彼がウルトラマン80に変身しているのか」

 

 

 

こうして北条 アキラの呼びかけで開催された土日の音楽フェスティバルは1日目に宇宙怪獣:ノイズラー、2日目にロボット怪獣:ガラモンがキヴォトスに現れることになったのだが、それでも一部の参加者の演奏が中止になるなどありつつも、なんとか無事に終わりを迎えることができたのだった。

 

怪獣災害という最大のハプニングを乗り越えながら音楽フェスティバルをやり遂げることができたのはキヴォトス全体にとって価値ある進展であり、後に後夜祭と称して音楽フェスティバルの裏で起きていた出来事を記録映像を編集して配信することが決定した。

 

そのため、2日目の最後にD.U.の劇場が侵略宇宙人のUFOに破壊され、空から駆けつけたウルトラマン80に撃墜される様子の再現映像の監修に託つけて、音楽フェスティバルの裏で起きた怪獣災害の全貌の把握に努めていた、その時だった――――――。

 

 

 

守月 スズミ?「――――――」

 

北条先生「……守月さんじゃないですか? 一緒にお見送りに行っていたんじゃ? 忘れ物ですか?」

 

守月 スズミ?「……他に人はいませんか?」

 

北条先生「……大事な話ですか?」

 

守月 スズミ?「はい」

 

北条先生「……今は僕と守月さんだけですよ」

 

守月 スズミ?「そうですか」

 

 

守月 スズミ?「なら、私の話を聞いて欲しい。ウルトラマン80に変身する者よ」

 

 

北条先生「!?」

 

北条先生「誰だ!? 守月さんに擬態しているだけか!? もし守月さんに何かしているのなら、容赦はしないぞ!?」

 

守月 スズミ?「安心して欲しい。この姿は仮のものだ。姿だけを借りている」

 

守月 スズミ?「きみはウルトラマン80と呼ぶ光の巨人のことをよく知っているようだが、それがなぜかはこれから見極めていくとして――――――、」

 

守月 スズミ?「私からのテレパシーを受け取れるぐらいにはウルトラマンとなっているようだな」

 

北条先生「……まさか、ガラモンを宇宙に捨てた時に聞こえた あの声の正体か!?」

 

北条先生「そのことには感謝します。おかげで、劇場にいるみんなを守ることができました」

 

守月 スズミ?「うん。では、なぜこの星で怪獣災害が起こるようになったかについては?」

 

北条先生「知っているのなら、是非とも聴かせてもらえませんか?」

 

 

守月 スズミ?「それはアンバランス現象によるものだ」

 

 

北条先生「――――――『アンバランス現象』?」

 

守月 スズミ?「きみが地球人だったなら、かつて太陽系は およそ300万年に一度 ダークマター漂う未知の宇宙空間を通過したことでアンバランス現象で引き起こされた天変地異の時代:怪獣頻出期に突入していたことは知っていよう」

 

守月 スズミ?「そして、地球人であるきみがこの異星:キヴォトスに飛ばされることになったのも――――――」

 

北条先生「――――――ウルトラゾーン!」

 

守月 スズミ?「そうだ。怪獣頻出期に観測される空間の歪み:ウルトラゾーンに巻き込まれた結果だ」

 

北条先生「……だから、僕は【GUYS】の装備のままキヴォトスに来ていたのか?」

 

北条先生「でも、地球の怪獣頻出期は完全に終わったはずじゃ……?」

 

守月 スズミ?「果たしてそうかな。アンバランスゾーン。そこは何が起こっても不思議ではない世界;どこまでアンバランス現象の影響が尾を引いているか、その正確なところは誰にもわからないのだ」

 

北条先生「………………」

 

守月 スズミ?「この星は文明監視員が人類文明の発達を監視していた惑星の1つで、アンバランスゾーンに突入することで怪獣頻出期に入ることも予測されていた」

 

守月 スズミ?「そして、怪獣災害に対抗するにはあまりにも幼い文明であったが故に文明を保護するべく、この星の防衛の任に私が就くことになっていた」

 

守月 スズミ?「ところが、怪獣災害に備えて銃火によって分断されていたキヴォトスを瞬く間にまとめあげて【キヴォトス防衛軍】を結成した稀代の英雄が現れ、それと同時にウルトラマンも現れることになった」

 

北条先生「………………!」

 

守月 スズミ?「これにはさすがに驚いたぞ」

 

守月 スズミ?「はたして、キヴォトスに現れたウルトラマンの正体が何者であるかを見極めるために、きみがキヴォトスにとって良き存在かどうかを見させてもらった」

 

北条先生「…………それで?」

 

守月 スズミ?「そう警戒することはない。こうして言葉を交わすに至ったということは、合格ということだ。きみは信頼に足る人物だ」

 

守月 スズミ?「そして、きみは本当にウルトラマンのことをよく学んでくれているようだ」

 

北条先生「……それはどうも」

 

守月 スズミ?「そこでなのだが、地上はきみに任せたい」

 

守月 スズミ?「その代わり、宇宙から来る侵略者の撃退に私は専念したい」

 

守月 スズミ?「――――――協力体制を取りたい。どうだろうか」

 

北条先生「……それは願ってもない話ですが、言葉だけじゃ信用はできませんよ」

 

守月 スズミ?「そうだろうな。まだテレパシーも使えないとなると、怪獣や侵略者たちの情報共有もままならないだろう」

 

守月 スズミ?「利き手を出してくれ」

 

北条先生「……じゃあ、左手で変身アイテムを構えます」スチャ ――――――右手を差し出しながら、左手にはブライトスティックが握られる。

 

守月 スズミ?「用心深いな。だが、それぐらいがちょうどいいのかもしれないな」

 

 

デェイ!

 

 

北条先生「!!」ドクン!

 

北条先生「……これは?」ピカーン! ――――――右手に黒い手甲が装着されていた!

 

守月 スズミ?「――――――タイガスパークと言う」

 

北条先生「…………『タイガスパーク』?」

 

守月 スズミ?「現地の生命体のインナースペースに我々の存在をアストラル体で定着させるシステムを組み込んだデバイスだ」

 

北条先生「は」

 

守月 スズミ?「つまり、こういうことだ――――――」サァ・・・ ――――――光の粒となって消える。

 

北条先生「き、消えた!?」

 

 

守月 スズミ?(アストラル体)「……知覚できたか?」チョコーン ――――――北条 アキラの肩に小ちゃい姿で乗っかる!

 

 

北条先生「う、うおおおおお!?」ビクッ

 

守月 スズミ?(アストラル体)「こうすれば周りの人間に知覚されずに連絡を取ることができる」

 

北条先生「いや、こんなの、日常的に着けてられないし……」

 

守月 スズミ?(アストラル体)「安心して欲しい。デバイス自体がきみの肉体にアストラル化して定着しているから、必要に応じて実体化の切り替えができるようになっている」

 

北条先生「……本当だ」サァ・・・ ――――――右手の手甲が光の粒となって消える。

 

守月 スズミ?「これでタイガスパークを通じて問題なくやりとりができるな?」スッ ――――――実体化!

 

北条先生「……こんなに便利なものをありがとうございます」

 

守月 スズミ?「本来はタイガスパークがなくとも、文明監視員からの情報と照らし合わせて、私一人で防衛任務を遂行することも可能だが、今回はきみというイレギュラーとのコミュニケーションのために用意させてもらった」

 

守月 スズミ?「他にもタイガスパークにはいろいろな機能があるが、それはまたの機会に説明しよう」

 

 

 

――――――では、まかせたぞ、北条 アキラ。この星で覚醒(めざ)めたウルトラマンよ。名に違わぬ“太陽を抱く勇気ある者(タイガ)”であれ。

 

 

 

 

 

守月 スズミ「さようなら! 元気でいてください!」

 

ロボット職員「また会いましょう!」

 

秤 アツコ「……行っちゃった」

 

錠前 サオリ「……ああ」

 

秤 アツコ「ねえ、サッちゃん? 私たちもキヴォトスの外に逃げたら、マダムはどうなっちゃうんだろうね?」

 

錠前 サオリ「さてな。キヴォトスの外まで追いかけてくるかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

 

錠前 サオリ「いや、わからないな。怪獣災害はキヴォトスの外にまで広がっているのだろうか……」

 

 

ロボット職員「それでも、みんなはキヴォトスで生きていくんでしょう? 怪獣災害が起こるようになった呪われた地になっても」

 

 

守月 スズミ「うん。大切な故郷を、そこに住む人たちを守りたいから」

 

秤 アツコ「サッちゃんは?」

 

錠前 サオリ「え? いや、私は姫が望むところなら、どこへだって――――――」

 

秤 アツコ「ウソ。やりたいこと、あるんだよね」

 

錠前 サオリ「それは……」

 

守月 スズミ「どうなんですか?」

 

錠前 サオリ「……スズミ」

 

錠前 サオリ「……たしかに私は先生の許に来ていろんなことを知りたいと思うようになった。たくさんのことを学びたいとも思っている」

 

錠前 サオリ「何も知らなかったから私たちはマダムのいいように使われるだけの存在であることを教えられたから」

 

錠前 サオリ「でも、だからと言って、誰でもいいわけじゃないんだ。世の中には良いものと悪いものがあるように」

 

錠前 サオリ「少なくとも、私自身が見て聞いて感じて自分で正しいものを選び取るようにしたいから……」

 

錠前 サオリ「だから、先生の元を離れたくない。もっといろんなことを先生に教えて欲しいんだ」

 

 

――――――先生が褒めてくれたんだ。キヴォトスで一番に先生の才能があるのは私だと。

 

 

ロボット職員「サオリさん」

 

守月 スズミ「それでいいと思います。帰りたいと思える場所があってそこから身近な誰かを守りたいと思いが生まれてくるんです」

 

秤 アツコ「ほら、やっぱり、サッちゃんがこれからの【アリウス】の生徒会長になるべきだよね」

 

守月 スズミ「そうですね。サオリさんなら、きっと良い生徒会長になれると思います」

 

錠前 サオリ「ありがとう、みんな」

 

ロボット職員「…………そっか」

 

 

――――――ずっと間違い続けてきた僕だったけれども、これで1つは願いを叶えることができたかな?

 

 

本当はそんな簡単な話じゃないのはわかっている。

 

今回の怪獣災害の裏で僕たちがやったことは完全に白黒をつけるべきところを高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処したという話だ。

 

今頃、先生が再現映像と言う名の口裏合わせ(カバーストーリー)を一所懸命に鋭意制作中だと思うと、侵略宇宙人とは知らずにセミ人間たちと年来の友人として付き合っていた僕の良心が鈍く痛む。

 

そして、表向きは怪獣災害に遭いながらも音楽フェスティバルをやり遂げたことでキヴォトス中が沸き立って後夜祭が開かれることも決まって、まだしばらくはキヴォトス中から銃声の代わりに音楽が鳴り止まない日々が続くと思うが、

 

実際の戦後処理はもっと複雑怪奇なものとなっており、侵略宇宙人:チルソニア遊星人からもたらされた新たなメテオール:Much Extreme Technology of Extraterrestial ORigin(地球外生物起源の超絶技術)をめぐって【キヴォトス防衛軍】で再びキヴォトス三大学園(BIG3)が啀み合うことになったのだから。

 

またである。バム星人の遺産である四次元メカ獣:メカギラスの保有先を巡って争ったばかりなのに、今度はラジコン操作の隕石怪獣:ガラモンのことで【万魔殿】羽沼 マコトがキヴォトス征服の野心を隠さずに不和の種を撒き散らすのだから。

 

同時に今回のガラモン襲来で【万魔殿】が実戦投入したかつてのメカギラス1号機:機龍丸の奮戦が後夜祭で表彰されることもあり、メカギラス2号機をもらったのに未だに実用化の目処が立っていない【ティーパーティー】桐藤 ナギサとしてはエデン条約締結に向けて足並みを揃えるためにも、これを機に実戦配備を急がせようとしていた。

 

実際、騒音怪獣:ノイズラーの援護が勝因とは言え、機長を務めた【万魔殿】棗 イロハの不退転の覚悟でガラモンγを抑え込んでいた奮戦を【メトロポリス(首都:D.U.)】方面に展開されていた【正義実現委員会】の部隊が間近に見ていたのだから、【ゲヘナ学園】への対抗心もあって実戦配備を急ぐ声が日増しに大きくなるのは自然な流れだった。

 

しかし、変化を嫌う勢力はどこにだっているわけなのだが、怪獣頻出期という天変地異の時代を迎えてなお、今日と同じ明日が来ることはない現実を弁えずに昨日に固執する勢力が【トリニティ総合学園】ではあまりにも多く、先生が危惧していた事態が現実のものになろうとしていた。

 

一方で、チルソニア遊星人の卓越した超能力と併用してテレキネシス能力を強化する小型万物操作機:エスパライザーについてはその存在を認めてしまうと何でもありになってグチャグチャになってしまうので【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】が秘密裏に回収することになった。

 

それで思う。バム星人にしても、チルソニア遊星人にしても、地球やキヴォトスの科学力を遥かに超えたものを持っていると言うのに、あまりにもやっていることがお粗末ではないかと。

 

いや、それは地球の基準では学生でしかないキヴォトス人が何の疑問もなく銃を持って日常的に武力行使して銃声が絶えない日々を送っているのだから、きっと宇宙規模で誰もが力に溺れているのだろう。

 

今更になって侵略宇宙人のやっていることが幼いキヴォトス人たちとやっていることと変わらないことに気づく。弱肉強食こそが宇宙の真理だとでも言うのだろうか。

 

でも、それはきっとちがうはずなんだ。力こそが全てじゃないからこそ、僕たちは心と心を繋げることができているのだから。それを僕はこの2日間で体験した。

 

土日の音楽フェスティバルだけで、歌の力で先生が宇宙怪獣:ノイズラーを手懐け、音楽の力で侵略宇宙人:チルソニア遊星人がキヴォトスを守るために力を貸してくれたのだ。

 

そう、ただただ憧れだけを抱いて戦うだけだった僕には言語化することができなかったものを先生は言葉にして生徒を的確に導いてくださっている。かつての僕ではできなかったことをこの短期間に成し遂げてみせているのだ。

 

結局、僕は僕にできることしか今もできていなかった。繰り返すことしかできない無能だった。いくつもの究極の奇跡を経てなお、僕に思いつくことはほとんど何もなかった。

 

そんな許されざる無能である僕であっても、許されざる罪を犯すことのない【アリウススクワッド】錠前 サオリの新しい可能性と成長の日々のことを見守っていきたいと今は思う。

 

 

秤 アツコ「コーイチ」

 

ロボット職員「どうしました、アツコさん?」

 

秤 アツコ「後夜祭は週一の【ゲヘナ学園】の公開授業でやるって話だったよね?」

 

ロボット職員「ええ。元々が先生の個人的な活動として行われている公開授業から始まった音楽フェスティバルですからね。その総評と総集編が主となりますね」

 

ロボット職員「ただ、それはそれとして、初出撃でガラモン相手に奮戦した機龍丸の表彰も行いますから、【ゲヘナ学園】では祝勝会も開かれる予定です」

 

秤 アツコ「じゃあ、当日は歌えなかったから、その【ゲヘナ】のパーティーで、私、歌うね」

 

ロボット職員「へ」

 

ロボット職員「え、いや、それは、さすがにマズイんじゃ――――――」

 

 

秤 アツコ「――――――【トリニティ】も憎いけど それ以上に【ゲヘナ】も憎い【アリウス】だから?」

 

 

ロボット職員「それがわかっているなら、どうして?」

 

秤 アツコ「それがサッちゃんと先生の助けになるから」

 

秤 アツコ「大丈夫。【アリウス】の計画だとサッちゃんが【トリニティ】と【ゲヘナ】の内通者と連携するものだから、サッちゃんの代わりは誰にも務まらないから、もう終わった話なんだ」

 

ロボット職員「それでも、ベアトリーチェの目的はきみなんだ。きみを儀式の生贄にさせるわけにはいかない」

 

 

秤 アツコ「だから、守ってくれるよね、騎士様?」

 

 

ロボット職員「え、『騎士』? 『騎士』だって、僕が?」

 

秤 アツコ「うん。国を追われたお姫様を守る騎士様。そのための鎧」

 

秤 アツコ「サッちゃんの方はね、サッちゃんのことを見初めてくれる王子様ってところかな」

 

ロボット職員「………………」

 

秤 アツコ「だから、コーイチも一緒に歌って」

 

秤 アツコ「そうしたら、何があっても側にいるお姫様のことを騎士様は守れるでしょう」

 

ロボット職員「……買い被りすぎだ」

 

秤 アツコ「コーイチがどう思うかなんて関係ない。私はコーイチがいい。コーイチが私を守って」

 

ロボット職員「……僕は守るためとは言え、生徒に手を上げることはしたくない」

 

秤 アツコ「うん。それでいいよ。コーイチは優しいから、銃じゃなくて鎧を選んだ」

 

 

――――――でも、いつかは私と同じように鎧の下の素顔を見せて欲しいな。たとえ血が通っていなかったとしても、心を通わせ合うことはできるから。

 

 




-Document GUYS feat.LXXX No.07-

宇宙怪人:セミ人間(チルソニア遊星人) 登場作品『ウルトラQ』第16話『ガラモンの逆襲』登場
地球侵略のためにガラモンを二度に渡って差し向けたチルソニア遊星から送り込まれた工作員。
その名の通り、セミと人間を合成したような姿をしており、鳴き声も地球のセミのそれ。ストライプ模様の素肌の上にレインコートのようなスーツを着ているのも特徴。
変身能力に長けており、言語や行動習俗も学習して高度に擬態を行うことが可能で、テレキネシスに似た現象を起こす小型万物操作機:エスパライザーを駆使する。
バルタン星人とは外見上の類似点やほぼ同一の形をした宇宙船を使用していることなどから、何らかの関係性を持っていると見做されることも多い。
なお、バルタン星人との大きなちがいは服をちゃんと着ることである。また、ロボット怪獣を使役する点もバルタン星人がいつも自慢している科学力をより身近にアピールできている。

ロボット怪獣:ガラモンを操っていた黒幕であり、先に送り込まれたところ 地球人に回収されて天体物理学研究所に保管されていたガラモンの電子頭脳をテレキネシスを発生させる小型万物操作機:エスパライザーを使って奪い返し、地球上に大量の隕石怪獣を呼び寄せて地球最大の危機を招いた。
その後、牛山という男性が運転するトラックに同乗するが、途中のドライブインに牛山を残したままトラックを発進させ、宇宙船の待つ榛名湖に向かう。
しかし、電子頭脳から発信される電波を追ってきた勇敢な民間人(万丈目 淳)と警官たちに追いつかれ、エスパライザーを用いてトラックを動かし、警官から銃を取り上げて発砲し殺害するなどして激しい抵抗を見せるが、
攻防の末に電子頭脳を取り返され、電波遮断がされたことで地球に降り立った隕石怪獣全機が機能停止となり、地球侵略の任務は失敗。
更に、ドライブインに置いてけぼりにされたトラック運転手に自分が殺害した警官の銃で撃たれたことでその正体を現すも、侵略作戦失敗の処罰として仲間の円盤の放った怪光線で処刑された。






本作ではロボット怪獣:ガラモンを動かすのが電子頭脳ではなくセミ人間の演奏という設定になっている。
そうなっているのは、元々は宇宙各地でガラモンを使った侵略活動をしており、今回も彼等が呼び寄せたガラモンが到着するまで潜伏する予定であったが、
次に侵略する星に到着した直後に、とある民家の軒先でかかっていた蓄音機から流れる音楽を耳にしたことで音楽に魅了されてしまい、セミプロの楽団を結成して自ら音楽を奏でるようになってしまったからであった。
そのため、ロボット怪獣に先行して送り込まれる電子頭脳は彼らが秘密裏に解体しており、それによってキヴォトスにガラモンが送り込まれる時期を限界まで引き伸ばしていた。

しかし、ついに隕石(ガラダマ)の到来を感じ取り、飛来したガラモンを起動。解体した電子頭脳の代わりに演奏でガラモンを自由自在に操作する。
それでも、侵略の意思はなく、積極的に街を破壊することはなく、迎撃に現れたキヴォトス防衛軍に反撃するだけに留めていた。
というのも、作戦失敗の責任を一人で取るために形ばかりの侵略行為をすることで仲間たちの生存を願ったものであり、同時に“GUYSの先生”が率いるキヴォトス防衛軍がガラモンを撃破してくれるという信頼がそこにあったからだ。
結果、全ての隕石怪獣の無力化に成功し、ついでに本国から差し向けられた監視人と宇宙船も撃破され、音楽を愛したセミプロの楽団は明日を掴み取ることになったのだった。

ただし、今回でこれまでドキュメントUGMの順番通りの怪獣が現れていた流れが断ち切られることになり、
たまたま北条 アキラがまだ知っている怪獣だったから被害が拡大する前に対処できた幸運はこれ以上続かないだろうことが示唆されている。
また、黒幕であったセミ人間の暗躍を止めることができたのも、北条 アキラを抜きにした人間関係からの偶然であり、どれだけ防衛チームとしての知識やウルトラマンへの変身能力があっても一人では限界があることを今回の怪獣災害の全貌から知ることになった。
その焦れったさが怪獣災害に単独で真っ向から立ち向かえるだけの強大な力を持つウルトラマンであることのもどかしさであることを噛み締めながら。
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