しかしそこには、ジャンガリアンハムスターが潜伏していたのであった。
きかんしゃ、トーマス。
『とっとこはしるよジェームスくん』
というお話。
…。
ジェームスは、貨車を牽いていた。
他のきかんしゃ達も、仕事で大忙しだ。
ジェームスが一仕事を終えると、トップハム・ハット卿がやってきた。
「ひまわりの種を牧場まで運んで欲しい。」
「ひまわりの種、ですかぁ?」
「あぁそうだ。くれぐれも、ネズミには気をつけて欲しい。」
「わかりました!」
こうしてジェームスはひまわり貨車を轢くことになった。
何事もなく順調に、目的地に近づいていく。
「トップハム・ハット卿が何を言うかと思えば、全然なんてことはないじゃないか!」
ジェームスは快調に貨車を引っ張った。
次第に速度も、上がっていくような気がした。
『よし、休憩だ!』
ブレンダム港で追加のひまわり貨車を連結することになった。
ジェームスもここで、小休憩だ。
石炭と水を補給し、次の移動に備える。
ジェームスの機関士が貨車の見回りをすると、トラブルが起きた。
『おい、貨車が空になっているぞ!』
なんとジェームスのひまわり貨車の中身が空っぽになっていたのだ。
そしてその貨車からは、カサカサ、カサカサと音がした。
『ふ、ふァァッ!?』
そこにいるのはジャンガリアンハムスター、こうしくんであった。
彼は機関士に見つかると、慌てて逃げ出した。
『逃げたぞ!追え!』
「くァァ〜!?ネズミだとォ〜!?逃すか〜!」
ジェームスが一人でに発車し、こうしくんを追いかけた。
…。
「助けてくだァい!ハムタロサァン!」
「おいお前!ビーフステーキにしてやるよ!」
こうしくんが必死にジェームスから逃げ惑う。
「ハァッ…。」
しかし、きかんしゃとハムスターじゃ、速度が違いすぎる。
どうにか逃げ惑って公園のあたりまで行くと、フラフープが落ちていた。
「こっちの方が…早いですゥ!」
フラフープを起こし、それを滑車のように回して、速度を上げていく。
しかしそれでも機関車ほどの速度は、出せそうにない。
「逃がさないぞぉ!」
ジェームスは勢いよく蒸気を吐き出した。
「ふあぁ!?」
蒸気により視界を遮られたこうしくんは、バランスを崩してしまった。」
「よし!これでお前は終わりだ!」
「…。」
「あれれ?」
するとこうしくんの姿は、見当たらなかった。
「まっいい!アイツはもう生きてないだろ!」
ジェームスはそのまま戻ることにした。
…。
しばらくすると、ジェームスの足回りがガタガタ、震え出した。
「な、なんだぁ!?」
よく見ると、ジェームスの主連棒が、外れているではないか。
「かじかじ、かじかし」
なんとこうしくんがネジを齧って回すことで、引き抜いてしまったのだ。
「うあぁぁ〜!気持ちが悪いよぉ〜!」
ジェームスが、ガタガタと、震えている。
「私だって、生きるんですぅ!」
こうして反対側の主連棒も外れてしまった。
…しかし、トラブルが起きた。
工事中のぬかるんでいる地帯に入ってしまった。
そしてジェームスは機関士を乗せずに発車したため、止まる手段がない。
「助けてくれえええええええ!!!!」
ジェームスは勢い余って、脱線してしまった。
ぬかるみにのめり込むように、横倒しになった。
「そんなぁ…。」
これにてジェームスの敗北で決着、のように思われた。
「ハァッ…ハァッ…。」
勢い良く脱線したため、こうしくんは激しく地面に、叩きつけられた。
こうしくんの身体はボロボロで、立ち上がろうとしても、すぐに倒れてしまった。
「ハァッ…ハァッ…ハムタロサァン…。」
「私…どこで間違えたんでしょうか…。」
「私はただ、ひまわりの種を食べてっ…幸せになりたかっただけなんですぅ…。」
「かけがえのない日々を…幸せに生きたかった、だけなんですぅ!」
「ハムタロサァン…最期に、お願いがありまぁす…。」
「私の代わりに…私の代わりに!」
「ー幸せに生きてくださいね」
「…。」
「こうしくぅぅぅぅん!!!!」
ジェームスの悲鳴と共に、こうしくんの命の灯火は、消えたのであった。
ジェームスが呆然解いていると、パーシーが横を通り過ぎる。
「やぁ!ジェームス!自慢の赤いボディはどうしたんだい!?その汚れじゃ、まるでジャンガリアンハムスターじゃないか!」
それからしばらく、ジェームスは『ハムスターれっしゃ』と呼ばれた。
この話の出演は、『ジェームス』。
『パーシー』。
そして、『こうしくん』でした。