原作:アイドルマスター
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苦手な方はごめんなさい。
書いた経緯として、最初にとあるキャラとの絡みを書きたかったのですが、思いのほかいい設定が浮かばず悶々としているときにシャニマス6thライブで「とある英雄たちの物語」を聞いてハッ!とひらめいたのが始まりです。
設定とか間違えているところがあったら温かい目でお許しください。
「王より我らシラセ騎士団に命が下された。
彼の地に人を襲うヴァンパイアが集落を作って時折人を襲っているそうだ。
それを討ち、近辺の平和維持を行えとの事だ。」
私は騎士団の面々に告げた。
彼らは王より新たな命令を受けられたとして意気揚々と声援をあげる。
「今回は王の諜報部隊が偵察を行っているため規模は分かっている。
奴らに勘付かれる前に討ち入り、全滅させる。
その為に今回は我が騎士団の精鋭のみで集落を襲撃、残りの団員は大きく迂回しながら逃げるであろう場所に先回りして追撃を行こうと思う。
それでは、名を呼んだものは後で来てほしい。」
それから数日後、私は騎士団の精鋭十数名を連れて集落へ向かった。
私たちが常駐している王都からは距離として馬で一週間かかる程遠い辺鄙な土地だった。
・
私たちは平穏に暮らしていた。
元来私たちは人を襲い、その生き血を啜って生きてきた。
しかし中にはそれが耐えきれない者たちもいた。
その者たちは大体元は人間だった者たちだ。
苦しい・・・。
飢餓感と過去に耐えきれずに人を襲ったという罪悪感、太陽の下を迂闊に歩けない制約に苛まれながら月夜に紛れ旅をしていた。
しかし、ある日そんなヴァンパイアたちが集まって暮らしていると聞いた。
私はそんな話を信じてその土地へと向かった。
何日か歩くと噂通りにその集落は存在した。
「突然すみません!誰かいらっしゃいませんか!」
私はとりあえず手前にあった家の戸を叩く。
そうすると家主と思わしき人物が出てきた。
「何よ・・・、こんな夜更けに・・・」
「突然すみません、ここは私の同胞が多くいる集落だと聞き伺わせていただきました。」
「同胞・・・、ああ、あなたヴァンパイアね。
確かに間違えていないわ。
けどここは人間区、夜は基本的にみんな寝ているわ。
話が聞きたかったらこの町の少し先の黒塗りの家に向かいなさい。
そこから先があなた達の暮らす区域よ。」
「なるほど、こんな遅くにすみませんでした。」
礼を告げて私は紹介された家へと向かった。
少し離れ、木が一列に塀のように並べられたその先に黒塗りの家があった。
また私は戸を叩いた。
中からは大柄な男が出てきた。
「なんだ、こんな夜更けに。良い子は寝る時間だぜ」
「私は噂を聞きここに来ました。」
そういい私は過去に吸われた痕を見せた。
「そういうことか、入りな」
男に招かれて家の中に入ると机と椅子があるだけの殺風景な場所だった。
「姉ちゃん、随分殺風景だと思ったろ。
すまねぇな、ここは応接室だ。
まだあんたを信用したわけじゃない。
とりあえず話だけ聞かせてもらおう。
俺の名前はオウリ、こっちの村長をしてる。
一応言うがここはヴァンパイアと人間が共存している村だ。
とはいえ、生活習慣が違うから多くの集落がある方向を人間、山側で人が少ない方をヴァンパイアが住んでいる。
その為、村長を二名立てて共同運営をしている。
まぁ、説明は終わりだ。
あんたの名は?」
「私の名前はエレオノーラと言います。
正直なところ人を殺して血を吸う事に耐えきれず、旅をしていたらここのうわさを聞いて来させていただきました。」
「なるほどな、確かに俺たちは人から血を吸う事に耐えきれずにいる者たちだ。
一応確認だがその傷跡を触ってもいいかね?
俺たちはこの平穏な生活を失いたくなくてな、一応来る者たちは試しているんだ。」
「ええ、大丈夫よ。
それで信用してもらえるなら。」
傷跡を見せると彼はそこを触った。
「うん、本物のようだ。
歓迎しよう。
いつも我々は夕方に人々と交流し、真夜中に我々だけで交流したり、各々やりたいことを行って朝方に寝る。
とりあえずそこの扉の先にある客間で寝るといい。
今日ももうじき終わりだかね。
明日みんなに紹介するよ。」
「ありがとうございます!
助かりました。」
「こちらこそ困っている同胞を助けたいからね。
ああ、そうだ、しばらくいるつもりなのだろう?
俺の娘を紹介しておこう。
少し待っていてくれ。
ああ、客間で荷下ろししていてもいいよ。」
そうして彼は階段を登っていった。
私はお言葉に甘えて客間へと向かった。
客間はそれなりに綺麗で、飾りつけまで行われており、応接室とは大違いだった。
荷物を下ろして一息つくと戸が叩かれて村長と二人の娘さんが入ってきた。
「荷下ろし中だったか、すまんね。
彼女たちが俺の娘のコノミとカリンだ。
俺の妻は普通の人間でな、子供らはダンピールなんだ。
だから一応こっち側にいる。
ほら、二人ともあいさつしな。」
「はじめまして。私はコノミよ!小さいけど私の方がおねえちゃんなんだから!
これからよろしくね!」
「わ、わたしは妹のカリンです。よろしくお願いします。
ええっと、名前を伺っても・・・?」
「あ、すみません。
名乗り忘れていましたね。
私の名前はエレオノーラと言います。
これからよろしくね、二人とも。」
「ええ!」「はい!」
「三人とも顔合わせは済んだようだな。
コノミ、俺の直感だがお前はエレオノーラさんと年が近い気がする。
これから世話をしてやってくれ。」
「分かったわ!
お姉さんに任せなさい!
改めてこれからよろしくね、エレオノーラ!」
「ええ、これからよろしく。コノミ」
それからはオウリのご厚意や、コノミとカリンの手助け、村のみんなの温かさによって平穏に暮らしてきた。
血は週に一度、人間区から善意で少し頂いている。
勿論直接咬むのではなく、瀉血を行うときと同じ手段で、だ。
それを鳥や、牛などの家畜の血と混ぜて飲んでいた。
直接飲まなくていいというだけでものすごく気が楽になった。
血への衝動が無くなったことにより、夕方だけだが人と交流できることで随分と人間性を取り戻せた気がする。
以前は人を襲いたくない、と闇夜に隠れて移動していたからそれに比べたら相当改善されている。
あとはお世話をしてもらっているコノミとだけど仲が相当よくなったと思う。
とはいえどちらかと言うと恋愛的な感じもしてくる。
彼女を見ていると胸がドキドキしてきて、一緒に居たいと思えてくる。
彼女も悪くは思ってないどころか同じ気持ちのようで近頃は同じ時を過ごすことも多くなった。
それと最近村に一人の少女が入村した。
名はクリスティーナ、かわいらしい少女だ。
まだ小さな少女で、自分に子どもが居たらこんな感じなのかなとも考えてしまった。
こうしていると数年と言うのはあっという間に過ぎ、私も村の一員となっていた。
コノミとは数度の逢瀬を交わしていた。
村の人も女同士だからと差別したりはせず、快く新しい家を建てて二人で暮らしていた。
時折カリンやクリスティーナも遊びに来ており、村のみんなからはまるで姉妹みたいだと言われていた。
そんな平穏な日も長くは続かなかった。
あの日までは・・・。
・
私達、騎士団の精鋭十数名は集落への襲撃前に野営をしていた。
ヴァンパイア共にバレないように馬でも一日はかかるほど遠くにだが。
野営を行う事で襲撃前に綿密な打ち合わせを行う事が出来た。
「サクヤ様、今回の任務どうもきな臭くありませんか?」
「なに?どうしたんだい?」
「一応個人的に調べたのです。周りで血を抜かれた変死体の事件がないかどうかを」
「うん、それで?」
「調べてみたところ一切合切出てこなかったのです。周辺での聞き込みも食料調達の時に行いましたが話題に出てきませんでした。」
「それでは我々の王が嘘を申して我々に不要な虐殺を行わせようと言うのか?」
「いえ、そう言いたい訳ではございません。事件としては出てこなかったのですが集落があるという噂は出てきました。」
「では、我々の王に嘘偽りなし。人と化け物は共存などできない。そのまま行えば良い、という事だね。」
それから私たちは闇夜に乗じて奇襲を仕掛けることにした。
伝承によるとヴァンパイア共にとって闇夜は主戦場だが相手は人間が闇夜に襲ってくるとは思っていない。
それに私たちは誉ある騎士団だ。
敵が眠っているときに襲うなどとありえない。
「行くぞ、お前たち!我が剣に続け!突撃!」
「「Yes my lord!」」
それから私たちは一方的ともいえる虐殺を行った。
山側ではなく手前から襲撃したのだがどうにも手ごたえがなかった。
幾つかの家の中の者どもを討ち、塀のような木を越えると抵抗が現れ始めた。
ヴァンパイア共は強力な爪と牙を持ち、いくら精鋭とはいえこちらの兵が度々倒れていった。
だが見た目だけで言うと強力な爪と牙以外に差異はなく、言われなければ普通の人間と気が付かないと感じた。
あらかた片づけた時には朝方になっており、こちらでまともに立てているのは私も含めて4,5名しか残っていない。
「少し休もうか。それと化け物とはいえ丁重に葬ってあげよう。休憩後に全部の死体を集めて土の下に埋める。とりあえずまとめてほしい」
「「Yes my lord!」」
それからは数十体の死体が運ばれてきた。
しかしどうにも家々の数に比べて数が足りない。
大方逃げ延びたものが多くいたのだろう。
一応残りの兵数で残党狩りは任せているから対応できているといいが・・・。
「サクヤ様、集め終わりましたが全員分の穴を掘るのはいささか不可能かと」
「そうか・・・。少し残念だがすべて燃やしてしまおう。全員に祈りをささげて、顔を覚えておきたいから一列に並べてもらいたい。その後火をつけたら全員に祈りをささげる。捧げている間は無防備になってしまうから援護頼んだよ。」
「「Yes my lord!」」
それから私は一人一人の瞼をつぶってやり、祈りをささげた。
中には幼子とも思えるほど小さな子もおり、少々罪の意識を感じたが王の命令に逆らう事は出来ない。
私にできるのはこんな祈りをささげる事だけだった。
「そこで・・・そこで何をしているのよ!このぉ!」
その声と共に私は数メートル先へと吹き飛ばされていた。
顔をあげるとそこには死体を抱えて泣きながらこちらを睨む少女がいた。
・
私はその日は少し村から出ていた。
コノミと出会って、付き合い始めてから数年が経った記念に贈り物をしようと思ったからだ。
一応身体が日に当たらないようにすれば少しぐらいは昼間にも出かけることができる。
それからは楽しい時間だった。
彼女にこれをあげたら喜んでくれるだろうか、彼女にこれを食べさせたらおいしそうに食べてくれるだろうか。
そんなことを考えながら露天商を覗くというのは随分と懐かしさを感じるとともに気分が高揚した。
結局夜遅くで店が閉まるまで買い物を楽しんでしまい、私は彼女に似合いそうなブレスレットと旬だという葡萄を買った。
ウキウキしながら買えると集落の近くから血の匂いが強くした。
ヴァンパイアは血に関しての匂いは遠くでも反応する。
嫌な予感がしつつ走って向かうとそこは無残な光景が広がっていた。
人間区の人々の斬殺死体が転がり、奥の方から甲高い音がしていた。
イヤな予感を感じて山の方へと迂回して向かう。
上から眺めるとそれは悲惨なものだった。
見慣れた人々が戦い、死んでいく。
しかし、私が状況を判断した時にはもう最後の一人が討たれた後だった。
そのまま息をひそめて見ていると死体を並べだした。
見たところ余りにも人数が少ない。
逃げ延びることができたんだ!
どうかコノミとカリン、オウリにクリスティーナは無事であってくれ・・・。
そう祈りながら見ているとそこにはコノミとオウリの死体を見つけた。
その瞬間走り出していた。
殺してやる。
私の幸せを奪ったこいつらを殺してやる。
それだけを思って山を下りていた。
コノミの遺体があったところに一人の人間がいた。
「そこで・・・そこで何をしているのよ!このぉ!」
私は何も考えずにそのまま突き飛ばす。
そうして人間をそのまま睨みつけた。
・
私は吹き飛ばされた瞬間驚きを隠せなかった。
いや、油断していたと言った方が正しいだろう。
周りに警戒はさせていた為完全に油断していた。
「貴様ァ!サクヤ様に何を!」
「待て!」
私はなぜか分からないが剣を抜いた部下を止めてしまった。
「君は何者なんだ。そうして君と彼女はどういう関係なんだい?」
「あなたに答える必要はないわ。この人殺し。」
「人殺し?私たちは王の命令に従い化け物を討ちに来ただけだ。人など殺してはいない。」
「嘘よ!あなたたちは人間区の人々も殺したわ!あそこの木から先は人間のみが暮らす人間区よ!それをあなたたちは全員殺して、それから私達ヴァンパイアまで殺した!」
「何!?」
全体に動揺が走った。
確かにさっきまで戦ったヴァンパイアたちと違って手ごたえがなかった。
それに全員寝ているように静かだったり、逃げようとしたものも寝起きのようだった。
しかし、この集落に人がいるなんて情報は聞いていない。
「それに私たちは人を襲っていないわ!ここに来るまでは知らないけど最低限ここに来てからは人を襲っていない!あなた達に攻められる由縁はない!」
「しかし、君たちは人ではない!君の言う通り人もいたかもしれないが私たちの目的は人に仇なすヴァンパイアの討伐だ!」
「だから何よ!私たちはひっそりと暮らしていた!あなた達とは何のかかわりもないじゃない!」
そう言われるとこちらとしても言える事が無い。
実際、関りなどないのだ。
こんな命令が来なければ存在も知らなかったほどだ。
そうしていると一人の男が起き上がってきた。
「エレオノーラ、関りがないというのは嘘だ・・・」
「オウリ!生きていたのね!」
「エレオノーラ、そして俺たちを襲った騎士団ども、よく聞いてくれ・・・。俺たちは王に税を納めていた。理由はこの村を作る為、そして存続するために・・・。俺たちが税を納める代わりにここでひっそりと暮らすことを認めていた・・・。」
それを聞いてまた我々に動揺が走る。
「つまり、王は我々に守るべき民を一方的に殺せと命じたというのか・・・?」
「そうだ・・・、俺たちヴァンパイアがそれに入るかは分からないが最低限王に存在を認められていた者たちを殺せと命じた・・・。」
「つまり、私たちは・・・。ああ・・・。」
「ゴフッ、もう長くはなさそうだ・・・。エレオノーラ、コノミの亡骸だけでも持って逃げてくれ・・・。そうしてどこかいい土地・・・、そうだ昔に聞いたことがある・・・。ヴァンパイアも人間も誰でも幸せに暮らせる約束の地があると・・・。そこに葬ってくれないか・・・。カリンも頼みたいが君の体じゃコノミが限界だろう・・・」
「分かったわ、オウリ。けどこいつ等だけは道連れに!」
「行け!今はお前だけが頼りなんだ!行け!ゴフッ」
「くっ・・・。分かったわ、オウリ。そしてあなた達の事は一生許さない・・・!」
そう言って彼女は亡骸をもって去ろうとしていた。
「待て」
「何よ、殺すわよ。そうでなくても今すぐ殺したいのに。」
「山の方に行ってはいけない。私の部下が残党狩りに集結してる。逃げるなら逆から大きく迂回して逃げろ。」
「な、サクヤ様!?」
「お前たちは黙れ!今は・・・。行け!これで許せとは言わないがこれぐらい言わせてくれ・・・」
「ッ・・・。分かったわ・・・。けどあなた達は一生許さない・・・。」
こうして彼女は逃げてしまった。
「本当に良かったのですか、サクヤ様・・・」
「良かったのかどうかは分からない・・・。私たちは王の命令通りに任務を遂行した・・・。けどその結果、罪のなき守るべき民を殺してしまった・・・。ああ、そうか・・・。王は私たちを消そうとしたのか・・・。交わるべきではない五つの騎士団がつながりを持ちだしたから徐々に力を弱めようと・・・。そうして何かあったときにやり玉に挙げられかねないヴァンナパイアと共に運よく消そうと・・・。」
「サクヤ様・・・。」
「そうだ、彼女だけは逃がさねばな・・・。君、今すぐ残党狩りの部隊に伝令を出しに行ってくれ・・・。残党狩りの必要はこれ以上必要ないと・・・。そうしてこちらに来て埋葬を手伝うようにと・・・。」
「Yes my lord!」
とりあえず今やれることをやると膝から崩れ落ちてしまった。
「サクヤ様・・・、今後我々はどうなるんでしょう・・・」
「分からないね・・・。けど、それよりも分からないことがあるよ・・・。私たちはこのまま王に忠誠を誓っていいものか・・・。」
・
私は走った。
コノミを抱きかかえて。
「コノミ、待っていてね。必ず約束の地で眠らせてあげるから・・・。」
私はとにかく走った。
時々見覚えのある顔が見えた。
しかし、それはもう生気のない顔だった。
今は止まる余裕はない。
涙を封じて走るしかなかった。
途中クリスティーナに似た少女を見た気がする。
けど今は走るしかなかった。
とにかく走って走って走って、山を越えて、国境を越えて、海のように広い川をも超えてとにかく走った。
時々体が冷えてくるのが怖くて彼女に私の血を少し流しこんだ。
理屈は分からないが少しでも体温が戻っているようにも感じた。
途中町にもよった。
そこでコノミが入るだけのトランクケースを買った。
そろそろ血を流しこむだけでは足りず、コノミの体が人の形を保たなくなり出していた。
私は泣く泣く彼女を燃やして骨だけにしてトランクケースに入れた。
それからはあらゆる噂を聞いて旅をした。
しかし、なかなか見つからない。
1年、 2年・・・。
気づけばそれ以上の月日が経っていた。
私達ヴァンパイアはそう簡単には死なない。
年も取らないが死も訪れない。
そうやって探し続けているといつの間にかそれらしき場所を見つけた。
「ああ、コノミ・・・。やっとあなたを眠らせれるわ・・・。ここが約束の地なのね・・・。」
そこには吸血衝動が抑えれる効果がある花が多く植えられていた。
実際、近づくと今まであった飢餓感が一気に抜けていく・・・。
私は花畑の中心に彼女と送ろうと思っていたブレスレットを埋めて一緒に眠った。
それから数か月後・・・。
・
「おお、よくやったぞ。シラセ騎士団長、サクヤよ。褒美は何が欲しい?」
「王よ、一つ教えていただきたい。私たちに嘘をついていませんか?」
「嘘?そんなものはない。私は嘘が苦手でね、特に家臣に付く嘘は苦手なのだよ。」
「そうですか、分かりました。これにて失礼いたします。」
「ま、待て!褒美は何かと聞いているだろう!」
「今は疲れているので褒美の件は後程・・・。それでは。」
「ま・・・」
私は王が言い切る前に歩き出し、玉座の間を出た。
それから私はいつもの崖に向かった。
誰かいないかと、誰かにこの相談を乗ってくれないかと。
そんなことを思って向かっていた。
崖に向かうと先客が居た。
「あ、お疲れ、さくやん。今回の任務は大変だったって?」
「ああ、そちらこそお疲れ、ユイカ。今回は・・・」
「どうしたの・・・?何か訳アリっぽいけど・・・。」
「変なことを言っていると思ったらスルーしてもらっても構わないんだが私たちはこのまま王に忠誠を誓ってもいいのだろうか・・・。」
「え・・・?」
こうして私はユイカに今回のすべてを話した。
守るべき民を殺したこと、ヴァンパイアが王に税を納めていたこと、そうして王が私たちに嘘をつき、もしかしたら私たちをすりつぶそうとしている事。
「なるほどね・・・。確かに嫌な予感は最近していたよ。実際最近おかしな命令が多いからね。大部隊を向かわせるべき戦に私たちのだれか一騎士団のみを向かわせたり、すぐに別の任務に駆り出したり、そうして最近の摂政の動きだったり・・・」
「それじゃあ、ユイカは・・・!」
「うん、もしその時が来たら立とうと思っているよ。ただみんなと戦いたくはないからみんなを味方に着けてからだけど。」
「そうか・・・。よしっ、決心がついた。もしその時が来たら私も立とう。そうして今回私たちが殺めてしまった民たちの命を改めて弔おう。」
・
あれから私は数か月は眠った。
コノミのいる地で寝ているとそれだけで心が安らんだ。
しかし、同時に一つ思うところができた。
それは今回の件でもしみんなが強ければこんな悲劇は起きなかったのではないかと。
実際逃げる途中で見た面々はみんなヴァンパイアの中では弱い連中だった。
そうだ、強いヴァンパイアだけの国を作ろう。
またこんな事の無いように。
それと次は私自身が権力を持とう。
誰かの庇護下にあろうとしたからこうなったのだ。
それだけ考えて私は笑みを浮かべ、花をいくつか摘み、この土地を去った・・・。