月の都で発生した事故
そうして天才科学者の手によって生み出された一つの命は、果たして正義が悪か___その答えは今示される‼︎



※という嘘予告とともに4ヶ月ぶりの小説投稿となることをどうかお許しください。あくまでこの世界線なりの鉄腕アトムということを読む前にご了承ください。

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難産.....なのかなぁって感じの出来です、はい。
家に置いてあったのを発見した浦沢直樹先生のプルートゥを見て書きたくなったやつです。
ここ最近祖母の入院やボツとアイディアの無限ループのおかげで投稿できない地獄に陥っていました。あと、冬休みの宿題のやり直しとか。

はっきり言って情けないのですが、作品を投稿するかどうか自分で悩んでいた節があります。何せ、これで読んでくれる人は満足なのかという葛藤が心の中にあったりしたからです。
追加で一言加えるとするなら.....ブレイバーン、すごかった。

こんな作品でも読んでくれる人がいるのなら作者からしたら幸いです。
それではどうぞ。


鉄腕少年東方録

人々が、穢れと呼んでいる生と死が最も薄いと言われている、科学技術の発達したこの月の都。

何百、下手をすれば千年以上にも及ぶ物語の舞台はここで起こったとある事故が始まりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、玉兎の新しい装備なんかなんだっていいだろ⁉︎それに、そっちはワシの管轄から外れているはずだ。そういうのは防衛担当の八意の方に回しておけ!」

『し、しかしですね、博士。向こうも、ぜひ博士に意見をもらいたいと....』

「知ったことか!適当にあしらっておけ」

『は、はぁ....わかりました』

 

秘書代わりの兵士の通信を切断すると、博士と呼ばれたサングラスをかけて、髭を蓄えた男は深いため息をついて椅子に腰掛ける。

この男の名は天馬牛太郎、月の都で技術関係の管轄をしている科学省のトップの座についている男である。

 

そして、新しい着信が来たと思えばそれは自身の息子であるトビオからの連絡であった。

 

『お父さん、今日の約束忘れないでよ。この前は仕事のせいですっぽかしちゃったんだからさ』

「ハハハ、わかっているとも。安心しろ、今日のために仕事はきちんと終わらせてきた。明日から休みだから、少しの間だけでもゆっくりできるさ」

『それならいいんだよ。じゃあ、ボクは友達と遊びに行ってくるから』

「あぁ、気をつけるんだぞ。今夜の待ち合わせには送れんからな」

 

そうして通信を切ると、天馬は残りの仕事を進めつつ休みに何をしようかを考えていた。

 

 

 

 

約束の時間になり、天馬はトビオと約束していた店にやってきたが、時間を過ぎてもトビオが全くやってこないのである。

(やけに遅いな....別に時間を破ったりするような子ではないんだが)

と、胸騒ぎを覚えながらも飲み物だけでも注文しておこうかと思ったその時であった。

『博士!天馬博士!緊急の連絡です‼︎』

うんざりしながら秘書からの電話に出た天馬は、つい手に持っていたお冷を溢してしまった。そう、秘書から伝えられた衝撃の事実によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都の中央に位置する、巨大な病院。天馬は鞄を抱えながら大急ぎで、目的の部屋に駆けつけた。

 

「トビオ!ワシだ、牛太郎だ!」

部屋のドアを思い切り開けると、そこには顔に布をかけられ、息絶えた息子_トビオの姿があった。

ほんの些細な、たった一本の導線の破損のせいで起きた燃料による爆発事故、犠牲になったのは皮肉にもトビオただ1人であった。

 

「......数分前に亡くなりました、既にこの病院に運ばれた時には...頭骨や頚椎の骨折、消化器官の内臓破裂が確認されており。ここまでもったのが奇跡でしょう」

 

近くで気まずそうに呟いたのは、次の頭脳とも天才とも評される女性である八意永琳。

蓬莱の薬を作り出し、自らの主人である輝夜を牢獄と呼ばれる地上に送り込む原因を作り出した女性でもある。

他の医者達も気まずそうに目を逸らしたり肩身を狭くするだけであった。

 

「何が月の頭脳だ、天才だ!1人の子供救えずに、よくも名乗れたものだ⁉︎ご立派なのは肩書だけか‼︎そこに並んでいるお前達も同罪だ、都で1番の病院だとほざきおって!ワシの、ワシの息子を.....」

 

そうして天馬が鞄を壁に投げつけると、永琳や医者達はただ冷や汗を垂らしてその場で縮こまるだけであった。

 

「うおおおおおぉぉぉぉ、トビオ、お前も、お前でさえもこのワシを置いていくというのか...」

 

天馬は弱々しく動かなくなったトビオに縋り付く事しかできなかった。その日の天馬は魂の抜けた人形のように家に帰ると、寝ることもできないままただ茫然としていた。

 

 

 

 

しかし、それからというもの天馬は仕事に全てを注ぎ込んだ。

助手や秘書も部屋に入れず、ただひたすら数年もの間研究に熱中した。

鬼気迫るとはまさにあんな風なんだろうなと玉兎の間でまことしやかに囁かれるほどの仕事ぶりはたちまち皆の知るところとなった。

 

 

「最近の博士は一段と研究に励んでおられるな。心配になってくるくらいだ」

「無理もない、奥様が亡くなられてからというものご子息だけが心の支えだったのが、数年前に亡くされたのだからな。研究でもして気を紛らわそうとしているんだろ」

 

 

その時、後ろから革靴が床を叩くコツコツという音が響いたもので2人の衛兵が振り向くと噂をすればというわけでもないのだが、天馬が大きな鞄を持ちながらやってきたところであった。

 

「天馬博士、八意様が心配されていましたよ。流石にお身体の方が」

「大丈夫さ。こう見えても、体の方は丈夫なんだ。まだ心配させる程でもないさ」

 

笑いながら二の腕を叩いて見せるその姿は、痩せ我慢のようにも感じられたがなにせ天馬がとっつきにくい雰囲気だったので特に何も言わずに軽く挨拶だけをしてその場はおさまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして「科学省」と書かれた周りと比べて一際大きな建物に入った天馬は早速目的の部屋に行くために受付の玉兎に身分証明書を提示してこう言った。

 

「夜分遅くにすまんね、ちょっと14区画に忘れ物をしてしまってな。まだ研究中の道具の書類を置いてきてしまった。取りに行かせてもらえないだろうか?」

 

少しお待ちくださいと、玉兎が機械を操作すると言いにくそうな表情をしながらこう答えた。

 

「申し訳ありませんが、14区画は機密保持のため許可証がなければ入室することができません。後日また許可証を持ってくるのなら大丈夫なのですが....」

 

「そりゃ困る!あれがないと仕事にならないくらい重要な物なんだ。なんとかできんのかね⁉︎」

 

「申し訳ありませんが、規則ですので....」

(というか、何かあろうものなら全責任私に押し付けられるし)

 

という思惑と裏腹に鞄を一度床に置いた天馬はこんな提案をしてきた。

「じゃあ、今夜ここで何か事件でも起こったら、全責任はこの私に押し付けて構わない。君は何も知らなかったし。何も見なかった。これでどうだ?」

念押しするような天馬と言葉に加え、科学省の最高責任者という肩書きが功を奏したのか、時間は30分までで責任をそっちが負ってくれるならと渋々OKをくれた。

 

 

「本当に30分だけですからね。こちらが、そのカードキーになります」

「やぁ、どうも。助かるよ」

念押しするような声とともにカードキーを受け取った天馬は続けて言った。

 

「ついでなんだが、ちょっと確認してもらいたいことがあってね」

「はいはい、次は何なんです___か?」

何を見せられるのかと思ったその瞬間、強烈な光と共に玉兎は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成功した。予定通りカードキーを手に入れ、玉兎を一発で気絶させた。

意識を失った玉兎を椅子に転ばないように座らせると、エレベーターに乗りながらこれまでの努力を思い返していた。

 

(もう少しだもう少しで、トビオ、お前を___)

 

鞄を開くと、そこにはバラされたパーツが散りばめられていた。

そう、1人のロボットを作ることができるくらいの量はあるだろうか。

 

「こんな父親ですまんな、トビオ。お前の命を弄ぶつもりも侮辱するつもりもないんだ。許してくれとは言わない、ただ一度でいい」

込み上げてくる涙を拭うと、天馬はもう一度鞄の中身に向き直る。

「愚かな私に約束を、守らせてはくれないだろうか」

 

 

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こんな無謀な計画を立てたのかまでは、はっきりとは思い出せない。

最初の内は、自分の心の慰めのつもりだったのだろうか。仕事の合間に作り始めたロボットはいつしか、トビオと同じような背丈になっていた。

 

魔が刺した、いいや、悪魔が私の心を乗っ取ったと言うべきだろう。

 

私は引き取って冷凍保存しておいたトビオの遺体から脳を手術によって取り出し、最新式の機械でスキャンした。その結果、自他共に完璧なトビオの脳のデータが完成した。

 

私は仕事をほっぽり出してまで、トビオの復活に全てを捧げた。

 

DNAから部分的にトビオのクローンを作り出し、皮膚や骨格、筋肉までも作り出した。

 

足りない部分は機械で補い、体の内部には特殊金属や最大で10万馬力もの力を発揮できる人工筋肉を埋め込んだ。

 

足には自在に空を飛べるジェットエンジンを、腕には破壊光線を発射できる装置も取り付けた。何より苦労したのが、善悪の区別をつかせるという機械の開発だった。正義もわからぬ人など、獣と同じだからな。

 

そうして残るは起動だけどなり、私は震えながら機械の体となったトビオを起動させた、だが結果は

 

「何故だ!何故目覚めない‼︎理論は、仕組みは完璧なハズだ!」

 

そう、地上の技術では何千年費やしても作るのことのできないようなコンピュータを内部に使用してもトビオは目覚めなかった。

それはまるで、トビオ自身が目覚める事を拒絶しているかのようであった。

 

研究は、そこで頓挫した。いくら最新技術を詰め込んだロボットだとしても、動かなければただの鉄と肉の塊である。

 

しかし、私という人間はどうにも諦めが悪いらしい。何か使える部分はないかと、部下に送ってもらった研究中の発明品が事細かく記されているファイルをパラパラとめくって見てみるとその中で一つの道具が目に止まった。

 

「最新型人工知能ブラウ・1589.....第14区画に保管中、か」

教育次第で人のような考えと心を持つ事ができると開発者からの言葉が書かれていた。

 

勝手に持ち出しなんてすれば、その辺の月人なら一発で銃殺刑ものな程の代物だ。

だが不可能かもしれないという考えは、その可能性を諦める理由にはなりはしない。

 

私は元のトビオのパーツをできる限りバラバラにして、鞄に詰め込むと仕事の書類を忘れたフリをして、第14区画へと向かう計画を立てた。

その場しのぎと思われようと、念蜜に考えた作戦よりもこんな急拵えの作戦がうまくいくことだってある。

 

 

だが、私は既に覚悟を決めた。例え死刑になったとしても、トビオだけは生き返らせてみせるのだと。

 

目的地である14区画に到着し停止したエレベーターから降りた私は、カードキーをスキャンしパスワードである「A/TO.M」をマイクに向かって呟くと目の前の堅牢な扉はあっさりと開いた。

 

 

 

「置いてあるのは、最も奥の金庫か。ふん、無駄に凝った作りにしおって」

 

奥の金庫を開けるのは、私やそれ以上の権力を持つ人物の指紋と声の認証、及び虹彩のチェックが必要となる。なので基本的には科学省長官である私くらいしか、この金庫は開けられない。

 

 

そうして開いてみると、自動で金庫の中の照明が自動でついたので中に入ると、目的のものは真ん中の最も目立つ位置に置かれていた。

 

「まるでワシがやって来るのをわかっていたかのようだな。探す手間が省けてよかった」

 

そうして最新型のブラウ・1589をトビオの電子頭脳に簡易的にセットすると、私は急いで金庫の扉を閉めてエレベーターに乗り込むと、まだ夢の中にいる玉兎を尻目に建物から去った。

 

 

そうして愛車に荷物を詰め込んだ私は検問に引っかからない程度の速度で自分の家へと戻った。

 

道具や材料は、既に一通り揃えてある。あとは本格的に装置を取り付けて、起動させてみるだけだ。

 

 

「頼みの綱だ。ブラウ・1589、お前の性能を発揮する時だ」

 

ガゴンとレバーを倒すと、家庭で使われるものとは比べ物にならないほど強力な電流が流れ始める。

 

 

流れ始めると、トビオの指が確かに震えながらも動いているのが見えた。

何せトビオの体に使用している人工筋肉などは、人体の電気信号程度では全く反応しない。しかし、これ程はっきり動いているという事は電子頭脳がしっかりと反応して体を動かしているという事実に他ならなかった。

 

「ええぃ!ままよ‼︎」

 

そのまま電圧を上げれば最悪計器類の爆発すらあり得るものを、やけっぱちになっていた私はある種の賭けで更に出力を上げた。

 

すると、トビオに接続されていたコードが何本も弾けるように外れるとトビオはぎこちないからくり人形そっくりな動きで上半身を起き上がらせると、電圧によって焼き切れた皮膚の下から見える機械と肉で覆われた不気味な顔面で天馬の方を向いて、上手く人工声帯が働かない状態でこう言った。

 

「オ....オトウ.....オト、ウサン」

 

その言葉を絞り出すと、トビオはゆっくりとベッドから降りたが、この体ではまだ上手く歩けないのか顔面から思いっきり転んだが気にする事もなく天満の元へ歩き出した。

 

「トビオが.....トビオが、生き返った」

 

天馬は、急いで駆け寄ってトビオを抱きしめた。神への冒涜、倫理観の欠如、ただの自己満足、そんな言葉が何度も浮かんできてはや幾年も苦しんできた。

こんな罪を犯した私は、本物のトビオと同じ所には行けないだろう。

こうして、科学省の長官だった男は今や息子を科学の力によって蘇らせた悪魔の科学者となったわけだ。

 

 

 

 

こうして蘇ったトビオの存在を隠して、私たちは家族らしい生活を満喫していた。

早く帰る日にはノリの軽い上司から小指を立てられ、コレか?なんて揶揄われたものの適当に返しながらも、トビオは良くこんな生活に耐えてくれると思う。

 

 

たが、お天道様というものはやはり人の行いなんてものをしっかりと見張っていたようだ。

私の罪のツケが回ってくるのもそう遅くはなかった、ということだ。

 

 

 

___________________________

 

『対象は、2から4区画を逃走中。第三小隊は南側方面から回り込め』

『3区画の監視カメラから対象の2名を発見、西方面に進路を変更した模様です』

 

「こっちこっち!早く捕まえて‼︎」

「だぁぁ、もう。無駄にすばしっこいんだから!」

 

通信機からの声や背後から飛んでくる怒号を尻目に私たちは必死に新開発のスーパーカーに乗って逃走する。

 

あの時、玉兎の記憶を消去した筈だというのに、人体の秘密というものを侮っていた自分に怒りが湧いてくる。

データも苦労して改竄したというのに、「だった気がする」というアナログもあながち馬鹿にできないものだとため息を吐く。

 

 

「パパ、大丈夫だよね。ボクたち、捕まったりしないよね」

 

不安げな顔で此方を見つめてくるトビオに私は抱き寄せながら笑顔を浮かべて答えた。

 

「大丈夫さ、トビオ。でも、これから私たちはもう月の都に住む事はできないんだ。だからこそ、パパはこれから地球に、移住しようと思っているんだ」

 

その言葉を受けて、トビオは静かに頷いた。とうに捨てたはずの罪悪感が、今更ながら私の心を蝕んでいくのが聞こえるように私は自分の胸を握った。

 

「心配するな。今追ってきてる奴らは、私を逃さないつもりでいるのさ。もう、パパは仕事に疲れてしまってね。これからは、トビオと一緒にいるさ」

「ホント‼︎もう、パパったらお仕事ばっかりしてるから疲れちゃったんだボクが手伝ってあげたのにさ!」

 

 

そうだ、お前がこうなってしまったのは全て私の責任なのだ。久しぶりにどこかに食べに行こうだなんて、柄にもないことを私が言わなければ、私がもっとお前のことを気にかけていたのなら....

不幸中の幸いとでも言うべきのだろうか、トビオは自分自身が機械なのだとは知らないままでいる。自らの存在を疑ってしまう時が来たのなら、私は真っ先に殺されるだろう。たが、罪滅ぼしはまだ終わってはいないのだ。私の贖罪を終わらせるその時まで、どんな手を使ってでもこの子を生き残らせてみせるとも。

 

 

 

 

 

そうして科学省本部に辿り着くと、私はトビオの手を引いて走り出した。入り口のガラスを携帯銃で破壊し、受付のプラスチックファイルからカードキーを無理矢理奪い取ると、急いでエレベーターに乗り込み、小惑星の解析及び回収を目的とした小型シャトルのある特殊研究室に到着するとすぐさま発信準備を進めた。

 

 

「よしトビオ、お前は先に乗って準備をしておきなさい。これから地球で生活するという大変な時期だからな。眠って体を休めておくといい」

「うん、パパも準備頑張ってね。忘れ物しちゃダメだよ」

 

トビオに()()()()()鞄を預けると、私は残りのシャトルの準備を済ませ後は搭乗するだけとなったその瞬間であった。

 

「動くな!そのまま両手を頭の後ろに回して、投降しろ‼︎」

 

ドアを蹴破る音がした次の瞬間には、何人もの玉兎が銃を此方に向かって構えて睨みつけていた。

 

「天馬博士及び天馬.....トビオ殿、武器を捨ててコチラに投降してください。今ならまだ、減刑できる可能性が残されています」

「捕まるとわかって投降するバカは、今この場にはおらんよ⁉︎」

 

そうして私はコートに仕込んでおいたボタンを押すと、いきなり警報が鳴り響きアナウンスが流れ始めた。

 

『侵入者発見、侵入者発見。セキュリティロボットは、ただちに侵入者を捕獲せよ。繰り返す__』

 

すると両側の壁が迫り上がったかと思ったのも束の間、中から鎧の塊のような厳つい体つきをしたロボットが現れると敵と視認したのか一斉に玉兎たちに向かって攻撃を開始した。

 

右手の機関銃から発射されるのは、私が開発した特殊な素材でできたゴム弾であり命中すると訓練された兵隊でも数分は行動できなくなる強力な物である。

 

 

そうして私は必死に準備を終わらせたその瞬間だった。

 

 

ズドン‼︎

 

その瞬間に、私の腹部を熱い何かが貫通した。それは、玉兎の1人が発砲した事による弾丸だと理解するのに、そう時間はかからなかった。

 

「パパ‼︎」

 

「バカもの‼︎何故天馬博士を撃った⁉︎」

「ロ、ロボットの方を狙って撃ったんです!ワザとじゃありません‼︎」

 

腹が熱い、血が滲んで止まらない。腹部を撃ち抜かれるとは、どうやら神というやつは、私に対して厳しいようだ。

 

「まだ、終わらんさ.....」

 

残った力を振り絞り、私は壁傳に立ち上がる。

そうしてコンソールのボタンに手を伸ばすと、シャトルの窓を必死に叩くトビオの姿が視界に映った。

 

「ごめんなトビオ、こんなパパで。だが、お前だけでも、どうか幸せになってくれ」

 

私はそう言って、最後の力でボタンを押すとすぐさまシャトルと私の間に隔壁が現れ私とシャトルを隔てた。

 

 

『シャトル発進準備オールクリア。これより、カウントダウンを開始します、5・4・3・2・1__________探索用シャトル、発進」

 

そこで、私の意識はゆっくりと途切れた。あぁ、神よ仏よ、トビオが無事に人として生きられますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、むざむざと目の前で逃げられたと。貴女まさか、ワザと見逃したってことはないでしょうね?私が信頼している貴女がそんな事するわけ無いわよねぇ、優曇華?」

「す、すみません師匠。その、言い訳のつもりはないのですが、天馬博士の怪我の方を重要視してしまい...あの、えっと、シャトルの方までは.....」

 

口から出る言葉が小言みたいになっているのはストレスからだろうか、頭をガシガシと掻きむしる永琳の前に立つセーラー服姿の玉兎である、鈴仙・優曇華院・イナバはシュンとした表情をする。

 

高価な回転椅子から立ち上がった永琳は窓際に立ちながら牛太郎の自宅から押収した書類を捲ると忌々しげに呟いた。

 

「さすが科学省長官の座にいた人って感じね。人体構造をほぼ完璧に真似しながらも、サイボーグとしての仕組みも良くできてるわ」

 

紙の束を机に放り投げると、永琳は窓から見える水と緑に囲まれた惑星、地球を見つめていた。するとドアがノックされ、鞄を持った部下が気まずそうに部屋に入ってきた。

 

 

「八意様、蓬莱山輝夜様の地上へのお出迎えの件で相談なのですが....」

「わかったわ....申し訳ないのだけれどこちらも準備があるから、5分後にもう一度来てもらえる?」

 

そうして優曇華と部下を部屋から追い出した永琳は、これから起こるであろう仕事を思い浮かべて苛立つように頭を掻いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャトルが地球の重力圏内に突入しようかという頃、トビオは泣きながらも父親から預かったカバンを開けてみると、そこにはペン型の機械と一枚の手紙が入っていた。涙がにじんだのか、丸いシミが残る手紙の中にはこう書かれていた。

 

 

 

『トビオヘ

 

この手紙をお前が読んでいるのなら、お前はたった一人で地球に向かっていることだろう。

一緒に行くことができなくて、本当に済まないと思っている。あまり長くするのは嫌なので、簡潔に話そう。

これから話す真実は、お前にとってこれからの自分の運命を狂わせることになるだろう。嫌ならば、今すぐ手紙を破り捨てて読むのをやめてしまって構わない。どちらを選ぼうと、それはお前自身が選ぶことだ。』

 

 

そうして裏面を見ようとした時に、ボクは無意識のうちに手紙を少し破いていた。自分でも驚くぐらいの力に気づくのと同時に思い切って、手紙の裏を見た。

 

 

 

 

『トビオ、これを読んでいるということは、お前は真実を知る道を選んだというわけだ。

 カバンの内側にあるポケットを開けた後にこの手紙の続きを読むといいだろう。』

 

 

 

そうしてカバンの中にある引手の部分が取れてしまったファスナーを柱の部分を指で摘まみながら引っ張ると中からは、一枚の新聞の切り抜きがあった。乱雑に破られており、日常的に切り抜きを保存していますとは言い難い状態だろう。

 

 

それは、その記事は、天馬博士のご子息の()()()()()()()()()()という自らの死亡記事であった。新聞を読んでいくと、配線の事故による爆発で死亡したことや

 

 

 

 

 

その、瞬間に、トビオ____ですらないナニカである自分は、壊れた。

 

「うそ、ウソ、ウソだ。ボクが、キカイ機械きかい_」

 

膝から崩れ落ちると、僕の頭の中が数字になって行く。

アタマがナンカヘン、いや変ニナル?

どんどんアタマの中が数字にカワッテ、僕がボクじゃナクナル、みたいに____だめだ0001気をしっかり1101保たないと。0110そうだ1011そうだよ1011機械だから0001ナンだって言うんだ。0000大丈夫0011心は人間だ。0000ダカラ1001、ボク0001ハ0001

 

思考が数字に乗っ取られるかと思ったその時、僕の目には一枚の写真が目に入った。

 

すっかりシワのついてしまった、数少ないパパとの写真。パパが長官になった時にお祝いで撮った写真だ。

 

そうだ、ボクはパパの息子(天馬トビオ)だ。

でも、ボクは息子であり本物のトビオではない。

あぁそうだとしても、ボクは__________

ボクは生きている(パパの息子な)んだ‼︎

 

 

ならばもう涙は流さない。これから訪れるこの美しい地球で、ボクは生き抜いてみせる。

 

 

でも、とボクは写真を見て思った。

ボクは、トビオという名を名乗ることにどこか申し訳なさというか、そう名乗ってしまうのはボクが本当に何者でも無くなってしまうようにかんじたから。

 

そうしてどんな名前にしようかと考えてはみたものの、中々いいのが思い浮かばない。短くて、覚えやすいような名前というものはそうそう浮かばないものだと悩みながらもシャトルを操縦するためのコンソールを見て身ると『Atomはこれより大気圏に突入します。』との表示と共に座席に座りシートベルトを着用するよう指示された。

 

ここで、ボクはピンときた。

「そうだ、アトム。ボクの新しい名前はアトムだ!」

そうと決まれば、ボクは早速シートベルトを締めてこれからの出会いに胸をときめかせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁさぁ、ここで天馬トビオとしての彼のお話は一旦終わり。

これからはアトムとして、地球に飛来した月人としての彼の冒険が始まるのです。

これから歩むであろう道のりは大変でしょうね。何せ、無人島に子供を1人で放り込むような無謀な挑戦です。自ら死を選ぶかもしれませんし、物言わぬ殺戮兵器へと成り下がってしまうかもしれません。

えぇ?私は一体誰なんだ、ですか?

ふーむ、まぁとある幻想の郷の賢者とでも言うべきでしょうね。

でもご安心を皆々様、彼が私たちのいる場所にやってくるのならいつでも歓迎致しましょう。

この郷、いいえこの星は

何よりも美しく、そして何よりも残酷なのですから。

 

 




びっくりしたのが、ハーメルン自体12年前からあるサイトなのに鉄腕アトムで検索しても一件もヒットしなかったんですよね。
かつてあった作品が削除されたのかもしれませんが、なんだかんだアトムの作品を投稿しているのが自分だけなのが嬉しいです。

にしてもかなりプルートゥ面白かったです。個人的にロボットのデザインも設定も好みでしたね。

最近リコリスとかまほあこも見たので一応書いている作品もあるのですがクソほど微妙です。誰がまほあこと武田すん先生のグレイプニルの話見たいんだよ....

なんだかんだで一応アンケート置いておくので、気が向いたら投票お願いします。
それでは753101938315でした。

次に読んでみたい話

  • 今連載しているやつの続き
  • ケロロ軍曹×シンウルトラマン
  • まほあこ×グレイプニル(武田すん)
  • IS×ブレイバーン
  • リコリス×人造人間ハカイダー

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