その影響力は凄まじく、波動は社会全体にまで及んでいた。
だがある1人の少年がリモコンを手にした時。
大戦後に封印された、伝説の兵器が復活しようとしていた…
今書いている推し喰らは現在6話を誠意製作中。
ただちょっと苦戦気味。
え?じゃあこんなの書いてる暇あればやれって?
それが無理だから書いちまったんだろぉ…
長く続いてきた人類の歴史の中に、ある"ロボット"の話がある。
それはいわく、生まれてきてはならなかった存在。
いわく、無敵の不死身の兵士。
いわく、愚かな戦争が産み落とした最強の兵器。
遥か昔、戦争の災禍から逃れて見せたそれは、
その10年後に伝説を残した。
ロボットという存在に人々が希望を、未来を見出していた時代。
その影が生まれるようにして、ロボットは人類に矛先を向けた。
それもまた、同じ人間が起こした業だった。
何十メートル、何十トンにもなる鉄の巨体が、街を蹂躙する。
人々は己の無力さを味あわされた。
またロボットを作ろうとした者は、その恐ろしさを知った。
ロボットという存在が、人類の新たな敵となろうとしていた、そんな時...
1人の少年が立ち上がった。
少年は、あるロボットを"正義"のために使った。
自分と同じ名を持つそのロボットを。
過ちの末に、取り戻した平和を守るために。
兄弟として、誇れる相棒として、数々の難事件を解決していった。
それこそが、父の残した遺産。
何十年も前の話。
それはいつしか、正義の象徴ともなっていた。
だが忘れてはいけない。
例え正義のために戦っても。
いくつもの命を救っても。
それが元々、兵器だったことを。
我々の犯した、罪だということを。
そして、その
結局全ては人類に、一任されているのだ。
ビルの街に、夜のハイウェイに。
ガオ、と雄たけびをあげ...
鋼"鉄"の体を持ち、"人"と瓜二つなシルエットをした機械。
人はそれを『鉄人』と呼んだ。
時代は流れた。
何十年、百何年も後の話。
ロボットは確かに、人々の生活に浸透している。
だが少しだけ...否、あることが大きく変わった。
―IS―
その名が何を示すのか、我々はまだ知らない。
これは未来の話だ。
では今、その未来の一節をここで見ることにしよう。
舞台はとある街、かの少年の子孫の家に移る―――
燃え盛る街。
その炎の中で、黒い何かが佇んでいる。
―――あぁ、またこれか。
最近になってからいつも見るようになった。
お前は何なんだ?
なぜこうも毎晩僕の頭の中に現れてくる?
何が目的だ。
僕はお前を知っている。
だったらこんなことをする必要なんて、ある訳ないじゃないか。
教えてくれ。
「鉄人」
両腕を振り掲げ、獣のような叫び声をあげる大きな影に呟く。
お前は何を言いたい?
何を訴えかけようとしている?
だがそこで、その姿は薄れてゆく。
こんなことの繰り返しでどうなるって言うんだ。
真っ直ぐに、手を伸ばす。
しかし、一向に届く気配はない。
そこで体が、ぐらりと揺れた。
『鉄人28号のお時間です!』
体を襲う激しい痛みと共に、ノイズがかったナレーションが聞こえる。
「いててててて...」
鼻をすさりながら、顔を上げる少年。
先ほどの衝撃で、自分がベッドから転げ落ちたことだけは分かった。
だが何も、朝の目覚めからこんな思いしなくてもいいだろうと思うが。
そんな少年を横目に、音楽が流れ始める。
『ビルの街にガオー!夜のハイウェイにガオー!』
古臭い昭和チックなメロディが目を引く曲。
目覚ましの音にはあまりにも似合わない。
変えたいとは思うものの、中々出来ないのが現状だ。
これが母の趣味など、死んでも友に相談できない。
「征ちゃ~ん、起きなさーい。」
扉の向こうから、母の声が聞こえてくる。
恐らく朝食を作っている途中だろう。
今日は休日なのだから、ゆっくり休んでもいいじゃないかと時計を見たが...
「もう9:00か...」
新たに高校生になったばかりで、生活リズムも大分崩れてきてしまった。
そろそろベッドから身を引くのもいいかもしれない。
「はーい!」
そうして目覚ましのスイッチを消し、
少年『
『続いてのニュースです。』
1階の居間へと下り、食卓へと出向く。
「あら征ちゃん、おはよう。」
そこでは征太郎の母、
今は彼と母しか、この家には居ない。父親は出張中だ。
『人類史上初の男性"IS"操縦者、織斑一夏君が...』
つけっぱなしのテレビでは、最近大盛り上がりの話題が取り上げられている。
「いただきます」
それを横目に、征太郎は朝食に手をつけ始めた。
「男の子が"IS学園"に入学なんてね~。
10年前じゃ考えられなかったわよ。」
そこで倫子が呟く。
IS、インフィニット・ストラトス。
それは現代のこの世界において頂点に立つ、最強の兵器。
人が乗り込み動かす、『ロボット』のようなもの。
このISには、性能以外で特筆すべき点がある。
それは『女性にしか動かせられない』ということ。
「僕たちには関係ないよ。彼ぐらいしか動かせないんだし。」
男性はこの兵器を起動すること自体ままならなく、
ISというのはまさに届くことのできない高みの存在のようなものだ。
そのせいで、この社会をも変えてしまった訳だが。
今までの常識を覆したIS。それが女性にしか使えないとなれば、
必然的に女性と男性で差が生まれてしまう。
そうなると生まれてくるのは『差別』だ。
昔は人種だの持病などで大きく騒がれていたが、
ISが出てきたここ10年で女尊男卑という言葉が使われるようになった。
女性は男性の上位互換。
大昔の男尊女卑の真逆になるようにして、今の社会は成り立っている。
だがそこで、とんでもないイレギュラーが現れた。
その名を『
奇しくも征太郎と同じ歳の少年だ。
世界で初めて、ISを操縦できる男。
現れてくるなり、彼は一躍脚光を浴びた。
そうして今、IS操縦者を育てる学校に入れさせられている。
それがIS学園だ。
「いわゆる女性だらけの学校。そこに1人男として放り込まれるなんて...
僕は考えたくもないね。いくらハーレムにも程がある。」
考えるだけでもぞっとすると、苦笑を浮かべる征太郎。
彼はそこまで女付き合いが得意な方ではない。
「でもこの子、結構イケメンねぇ。モテちゃうんじゃない?
まぁ、『
自信満々に棚の上に立てかけられた写真を見ながら大声を出す倫子。
写真立てに飾られた白黒の写真には、
小さいながら探偵のような恰好をした、1人の子供が立っていた。
それを見てまたか、と征太郎はため息をつく。
金田正太郎。征太郎の先祖であり、この世界ではかなり有名な人物だ。
そして征太郎の母である倫子は、その正太郎の大ファン。
自身を『ショータローコンプレックス』、
通称『ショタコン』と呼ぶほどには熱狂的な人だ。
父と結婚したのも、その正太郎の子孫だったからという理由であって。
だから自分にも同じ征太郎の名前をつけた訳だ。
「彼よりよっぽど若いのに見てよ!この正太郎さんのイケメンフェイス!」
我ながら少し面倒くさい母親を持ったと思いながらも、
いつも話し相手をしてあげている。
「ハイハイ。確かにかっこいいね。」
「ムスー。征ちゃんそれ相手にしてない人の言い方よ。」
頬を膨らましながら言う倫子を横目に、
征太郎はハムエッグをかじる。
「個人的には、鉄人の方がかっこいいけどね。」
鉄人。その名を聞いた瞬間、倫子は棚の上にある別の写真へと目をやった。
そこにあったのは、人間と比べてとてつもなく巨大なロボット。
まるで人間の黒目がようなものがついた瞳で、カメラ目線をしている。
その大きな手の上に乗っていたのは、間違いなくあの”正太郎”。
箱型に日本のアンテナがついた物体を持って、どこかの方角を見つめていた。
「征ちゃんはずっと鉄人が好きね。全く、お父さんと変わらないわ。」
「そりゃあ、うちの誇りだし。」
征太郎の家系は『鉄人』と縁が深い。
それ故征太郎は幼い頃から鉄人を大層気に入っていた。
何せ人類の歴史に名を残す偉大なロボットだ。
誇らしげになるのも当然だろう。
「そういえば征ちゃん、あなた小学校の卒業アルバムある?」
そこでいきなり、倫子が話題を変えてきた。
「そりゃああるけど...どうして?」
「校長の大塚さんっていたでしょ?あの人いきなり辞めちゃったんだって。」
「え!?どうしてそんな...」
征太郎が驚きの声を上げるのも無理はない。
大塚校長。それは征太郎が居た小学校の方だ。
何度か征太郎もお世話になり、その温厚な性格から周囲からも人気を得ていた。
「どうしてなんて...そんなのお母さんも知らないわよ。
ただその、大塚校長ってどんな顔してたか覚えてなくて...
見せて欲しいのよ、卒業アルバム。」
「えぇ...」
予想外の言葉に、思わず征太郎はため息をつく。
いくらなんでも三年前まで関わっていた人の顔を忘れるとはあんまりだ。
「全く、母さんったら。分かったよ、探してくる。
ごちそうさま。」
そうして食事を終え、征太郎は自分の部屋のある2階へと上がってゆく。
扉を開いたその先にある押し入れに、確かしまったはずだ。
押し入れの扉を開け、埃が舞う。
そういえば何ヶ月も使っていなかったと思い出し、征太郎は探索を開始した。
出てくるわ出てくるわ、思い出の品。
ちょっとアルバムを探すだけのはずが、
いつの間にかあるものをひたすら懐かしむ時間へと変わっていた。
「うわ〜懐かしい、買ったなこんなもの。」
今となっては全く使わなくなったおもちゃも、
こうして過去の余韻に浸るぐらいならちょうどいい。
しかし肝心の卒業アルバムは、一向に出てこなかった。
「おかしいな〜」
自分の記憶を頼りに、押し入れの奥底まで探す征太郎。
しかしそこで、何か冷たいものが手にぶつかった。
「...?」
試しにそれを、取り出してみる征太郎。
そして出てきたのは、何か小さな鉄の箱のようなものだった。
しかし箱とはいっても、蓋らしきものはない。
ただの銀色の長方形という感じだ。
更には広い面に、ダイヤルのようなものが付いている。
「なんだ、これ?」
こんなのあったかと記憶を辿るが、何かそれらしいものはない。
彼からすれば全く身に覚えのない代物だった。
「...いやいやいやいや。」
一瞬不気味に思ったが、そんな訳はないと自分を説得する征太郎。
よく見れば箱の側面には、2つの取手のようなものが付いていた。
しかもどこか不安定で、ぐらついている。
もしかしたら動くのかもしれない。
引き出し式の取手など、征太郎の中でいくつもの推測が頭をよぎる。
それにいじっていくうちに思い出すかもしれない。
「あら、ごめんなさい征ちゃん!アルバムこっちにあったわ〜」
そして下から聞こえてくる母の声に耳を傾けることはなく...
征太郎は無心と、取っ手を引いていた。
その瞬間―――
燃え盛る街に、一つの影が聳え立つ。
その光景に、征太郎は見覚えがあった。
まさに今日の朝見た光景だ。
しかし少し違う。
朝はずっと遠かったそれは、今眼前に立ちはだかっていた。
そしてその足元に、いくつものスクラップにされた鉄の塊が転がっている。
その名前を、征太郎は知っていた。
「お前たちは...」
名前を口に出そうとした、その時...
ガオォォォォォォォォォ!!!
爆風と共に、けたたましい叫び声が征太郎を襲う。
両腕を曲げて振り上げ、夜空を見上げるその姿...
「鉄人!」
そこで再び、征太郎は現実に引き戻された。
いや、もしかしたら現実ではないのかもしれない。
何せ今、彼の手元には...
2本のアンテナが生え、ダイヤルのついた『リモコン』があったのだから。
「そんな、あり得ない!」
それはまさしく、金田家の伝説。
なぜ今自分がこれを持っているのか、征太郎には見当もつかなかった。
しかし次第にリモコンは光を発してゆき...
やがて完全に、消え去った。
だがそれで、終わったわけではない。
今度は征太郎の体に異変が起こっていた。
明らかに体が重い。
鉄人の幻覚を見る前とでは大違いだ。
そうして征太郎が、自身の手を見てみると...
そこには、機械でできた“手“があった。
「うわぁっ!?」
思わず腑抜けた声を出してしまう征太郎。
それもそのはず。そのロボットとも言える手には、2つの既視感があった。
青いカラーリングと、黄色の球体の装飾が付いた黒い腕輪。
まさしくそれは、"鉄人"を連想させるようなもの。
そしてもうひとつ、自身を包み込むような鎧。
それはまさしく―――
「I、S...?」
すると征太郎の背後から、何かが落ちるような音がする。
「征ちゃん...?」
振り向くとそこには、扉のそばに倒れる卒業アルバムと、
強靭な鎧に身を包まれた征太郎を唖然と見つめる倫子の姿があった...
「というわけで、ここに来ました。これから、よろしくお願いします…」
目の前にいるのはたった1人の男子、そしてそれ以外数十人の女子。
真っ白な制服に身を包み、征太郎はお辞儀をする。
だがその動作はあまりにもガチガチで、お世辞にもかっこいいとはいえなかった。
クラス中の視線が彼1人に集まる。
副担任の山田先生も、一向に助太刀する気配はない。
(なんでこんなことに...)
征太郎は心の中で頭を抱える。
なぜ自分が『IS学園』に来させられてしまったのか。
せっかく入った高校を辞めて、ここにくる必要が果たしてあったのだろうか。
いや、拒んだら拒んだで無理矢理入らせられるだけなのだが。
そうして顔を上げ、自分の正面に座る人物を見る。
まさか数日前まで高みの存在として見ていた織斑一夏に、
こんな風にして会うだなんて誰が想像できただろうか。
なんだか神妙な目つきでこちらを見ている。
何を考えているんだか。
それにきつい。
女子からの視線がきつい。
織斑一夏では満足できないのかと言いたくなるぐらいには、
ほとんどの生徒はこちらに釘付けだった。
そこで教室の自動ドアが開き、スーツを着た女性が入ってくる。
「ッ!?」
その姿を見るなり、征太郎は驚いた。
確か名前は、織斑千冬。
かつてISで世界の頂点に立った人物のはずだ。
ISに無頓着だった征太郎も流石に知っている。
(待てよ...織斑?)
そこで征太郎は、一夏へと目を向ける。
一目で分かるほどには、2人は似ていた。
まさかと思っていると...
「よし、金田。」
「はいッ!?」
突如として織斑先生に呼ばれ、少し慌てる征太郎。
初めて聞いた先生の声は男勝りの女性にしては低いもので、
どちらかというと鬼教師、のような雰囲気を感じせざるを得なかった。
「お前は既に"専用機持ち"だ。せっかくだから、こいつらに見せてやれ。」
「わかり、ました...」
いきなりISを纏えと言われても。
しかしそう簡単に愚痴は口に出せないので、征太郎は言われるがままに鉄の箱を取り出す。
それを両手で持ち、全員に見せつけるように構えると...
取っ手を引き出して、箱は一回り大きくなりリモコンの形に変形した。
「来い、『鉄人28号』!」
そして征太郎の叫びと共に、辺りがまばゆい光に包まれる。
鉄人28号。その名を聞いて、クラス中がざわついた。
なぜならそれは、日本のロボットの原点。
ISの祖先とも言える、伝説のメカなのだから。
やがで輝きは消えてゆき、そこから青い機体が現れてくる。
まさにそれは、あの鉄人の生き写しのような姿。
巨大な手に、パイロットの征太郎を囲うようにして生えている緑と赤のガード。
そして、他のISでは見たこともないようなヘルメット。
口を守るクラッシャーと兵士の兜ような頭、
そして黄色の目の形のバイザーから覗かせる、征太郎その人の瞳。
ガオォォォォォォォォォ!!!
獣の如き雄叫びをあげ...
今ここに、鉄人28号が復活した。
万が一好評なら続きをやる…かも。
無論今やってるのが終わったらの話ですが。
では、読んでいただきありがとうございます。