完全な短編です。
文字数が少なく終わりまでの間隔がない方がいいと思いました。
森の水面に映る金色の毛、流れる景色、足元も輝いている。そう君は美しい。
「なんて美しいんだ!」
私、姉畑支遁は恋をした。いわゆる後で聞いた名だがシシ神と言われる存在に恋をした。そんな変哲もない僕の物語だ。
私は気が付いた時には、美しい森にいた。植生を見るにここは北海道ではない。だが……。
「とても大好きだ!」
私は自然を走り回った。私は自然を愛した単なる一人の男に過ぎない。自然を愛せば自然もまた返してくれる。山菜などを摘み日々楽しく自然と愛し愛されて暮らしていると川のせせらぎが変わって聞こえた。
ついつい私はそちらに目をやる。
金色の光に照らされた樹木のような角、赤みがかった顔、様々な生き物に似た体型を持つ存在。見ていたらわかる。あれは神だ!それも自然の神だ!大自然自身に違いない。僕の体は硬直したようになり固く硬く堅く屹立をしていた。死後硬直よりも固く。私、いやしもべだ。僕は自然に恋をした。
その日から僕は大自然の神を追い続けた。途中も自然と愛を語り合うことはあったが、僕は自然に恋をしたのだから止まることはない。外来語風に言うとこれがロマンスなのだろう。僕は自然と共に走り抜ける。森の中を。道中自然を汚す人間たちと争いになったが北海道での経験が生きた。彼らは僕を見るたびに逃げ出すようになったのだ。
彼らが持っていた毛皮は役に立った。僕は自然と語らいながらも森の奥地に進んだ。山の中、自然に抱かれた。もちろん僕も自然を抱いた。私からしもべとしての僕になった今、誰よりも自由だ。
昼と夜の合間になる夕方所謂逢魔ヶ時に、自然を破壊する人間たちから名前を聞いたシシ神が体を変えて伸び上がる姿を見た。夜空を伸び上がる姿が星を見せていてより私を僕にした。当然の結末。
数ヶ月をかけた日に池に行く。水に浮かび全身に自然を感じながら、空を見て息を吸い込むと森の生気が体に浸るのを覚えられて考えるだけでも全身が震えだす。
岩を飛び跳ねる。スベスベとした岩肌に苔が生えて靭やかな触り心地がする。僕は我慢をした。池が待っていてくれるのにこんな事をする岩の君はなんて悪いやつなんだ。
だけれでも、今は君に構えないんだ。こんな男ですまない。走り抜ける様々な誘惑を乗り越え、池に着く。
光が溢れている。あの姿は……。
「君は美しすぎる!」
僕、姉畑支遁はシシ神に森自身に自然の体現の姿に恋をした。走り出したこの身体は止まりはしない。僕の手は……
はりつめた弓の ふるえる弦よ 月の光りにざわめく おまえの心
砥ぎすまされた 刃の美しい その切っ先によく似た そなたの横顔
悲しみと怒りにひそむ まことの心を知るは 森の精
もののけ達だけ もののけ達だけ
一体、何を書いてるんだこれは?
新たなぶっとんだ神話かなにかか?